紫外線散乱剤と吸収剤の防御メカニズム|肌への負担と光老化を防ぐ正しい選び方

紫外線散乱剤と吸収剤の防御メカニズム|肌への負担と光老化を防ぐ正しい選び方

いつまでも若々しい肌を保ちたいと願うとき、最も力を入れるべきなのは日々の紫外線対策です。しかし、日焼け止めのパッケージに書かれた「散乱剤」や「吸収剤」という言葉の違いを正しく理解して選べている人は多くありません。

肌のたるみやシワの原因となる光老化を食い止めるには、それぞれの成分が持つ防御の仕組みと特性を知り、自分の肌質やライフスタイルに合わせて使い分けることが重要です。

この記事では、紫外線防御の基本原理から、肌への負担を考慮した選び方までを詳しく解説し、あなたが理想の美肌を守るための手助けをします。

目次

光老化の原因となる紫外線の種類と肌への影響

私たちが日常的に浴びている紫外線は肌の奥深くにある美しさの源を破壊し、時間をかけて深刻なエイジングサインを刻み込みます。

このセクションでは肌老化の大部分を占めるといわれる光老化の実態と、それを引き起こす2種類の紫外線がそれぞれどのように肌へ作用するのかを解説します。敵を知ることは、防御を固めるための第一歩となります。

シワやたるみを引き起こすUV-Aの脅威

地表に届く紫外線のうち約9割を占めるのがUV-Aです。UV-Aは波長が長く、雲や窓ガラスを透過して室内にも降り注ぎます。

最大の特徴は、肌の表面だけでなく真皮層にまで到達することです。真皮には肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンが存在しますが、UV-Aはこれらを変性させたり破壊したりします。

UV-Aによるダメージはすぐに目に見える炎症としては現れません。しかし、長い年月をかけて「肌のハリ不足」「深いシワ」「たるみ」として蓄積していきます。これを光老化と呼びます。

痛みや赤みが出ないため油断しがちですが、エイジングケアを考える上で最も警戒すべきなのはこのUV-Aです。生活紫外線とも呼ばれ、洗濯物を干すだけの短い時間や、曇りの日でも肌にダメージを与え続けます。

表皮にダメージを与えシミの原因になるUV-B

UV-Bは波長が短く、エネルギーが強い紫外線です。主に肌の表面にある表皮に作用し、細胞に直接的なダメージを与えます。

レジャー紫外線とも呼ばれ、夏場に海や山で肌が赤く炎症を起こしたり、黒くなったりする日焼けの主な原因はUV-Bにあります。

UV-Bを浴びると、肌は防御反応としてメラニン色素を過剰に生成します。これが排出されずに残ることで、シミやそばかすの原因となります。また、角層の水分保持能力を低下させ、肌のごわつきや乾燥を招くこともあります。

たるみやシワへの直接的な影響はUV-Aほど深くはありませんが、乾燥による小ジワの原因となり、肌全体の老化を加速させる要因になります。

日焼け止めで防ぐべき光老化のリスク

年齢を重ねるごとに気になり始める肌の悩みは、実は加齢そのものよりも、過去に浴びてきた紫外線の総量に大きく左右されます。光老化は予防が可能であり、適切な日焼け止めを使用することで進行を遅らせることができます。

日焼け止めを選ぶ際は、UV-Aを防ぐ指標である「PA」と、UV-Bを防ぐ指標である「SPF」の両方を確認する必要があります。特にたるみやシワを気にする場合は、PA値の高さに着目することが大切です。

しかし、数値が高ければ良いというわけではありません。高い数値の製品は肌への負担が増す場合もあるため、日常使いとレジャー用を使い分ける知識が必要です。

次項より、その防御の要となる成分の違いについて詳しく見ていきます。

紫外線A波とB波の特徴比較

種類波長と特徴主な肌への影響
UV-A波長が長く、真皮まで到達する。雲や窓ガラスも透過しやすい。コラーゲンを変性させ、シワやたるみの原因となる。即効性は弱いが蓄積する。
UV-B波長が短く、エネルギーが強い。表皮を中心に作用する。赤みや炎症(サンバーン)を起こし、シミやそばかすの原因となる。乾燥を招く。
防御指標PA(+の数で表示)SPF(数値で表示)

紫外線散乱剤の働きとメリット・デメリット

敏感肌向けやベビー用の日焼け止めによく配合されているのが紫外線散乱剤です。この成分は、物理的な力で紫外線を防ぐというシンプルながら確実な働きを持っています。

肌への優しさが注目されがちですが、その防御の仕組みを正しく理解することで、どのようなシーンで効果を発揮するのかが見えてきます。散乱剤の特性を深掘りします。

物理的に紫外線を跳ね返す散乱剤の原理

紫外線散乱剤は、その名の通り肌の表面で紫外線を「散乱」および「反射」させることで、肌内部への侵入を防ぎます。イメージとしては、肌の上に無数の小さな鏡やシールドを並べ、光を跳ね返している状態です。

主な成分としては「酸化チタン」や「酸化亜鉛」といったミネラル由来の粉末が使われます。これらは化学的な変化を起こさず、物理的に紫外線を遮断するため、構造が壊れにくく、効果が長持ちするという特徴があります。

また、紫外線のエネルギーを熱に変換しないため、肌表面の温度上昇や刺激が起きにくいのも大きな原理的特徴です。この物理的な防御壁としての機能が、散乱剤の安定性を支えています。

肌への負担が少ないノンケミカル処方の魅力

紫外線散乱剤のみを使用した日焼け止めは、一般的に「ノンケミカル」と呼ばれます。化学反応を伴わないため、肌への刺激が極めて少なく、敏感肌の人やアレルギーを起こしやすい人でも安心して使用できる場合が多いです。

また、有機化合物である吸収剤とは異なり、散乱剤は無機粉末であるため、皮膚に浸透していく心配がほとんどありません。肌の表面に留まって役割を果たすため、クレンジングや洗顔料で比較的落としやすい製品が多いのも魅力です。

肌のバリア機能が低下している時期や、美容施術後のデリケートな肌を守る際にも、この低刺激性は大きなメリットとなります。

白浮きやきしみやすさといった使用感の特徴

散乱剤の最大の課題は、その使用感にあります。主成分が白い粉末であるため、肌に塗った際に白く残る「白浮き」が起こりやすくなります。特に酸化チタンは可視光線も反射するため、肌のトーンが変わって見えることがあります。

また、粉体特有の「きしみ」や「粉っぽさ」を感じることもあります。製品によっては伸びが悪く、塗布時に摩擦が生じてしまう可能性も否めません。

しかし、近年の技術向上により、粉末をナノレベルまで微細化したり、コーティング技術を施したりすることで、白浮きを抑え、なめらかな使い心地を実現した製品も増えています。

紫外線散乱剤の主な特徴まとめ

項目詳細メリット・デメリット
主な成分酸化チタン、酸化亜鉛天然のミネラル成分であり、化学的な変質が少ない
防御の仕組み物理的に紫外線を反射・散乱させる紫外線による化学変化が起きず、肌への熱刺激がない
使用感と外観やや重めのテクスチャー、白くなる傾向肌への密着度は高いが、白浮きやきしみが起きやすい

紫外線吸収剤の働きとメリット・デメリット

ドラッグストアなどで広く販売されている日焼け止めの多くに配合されているのが紫外線吸収剤です。高いUVカット効果となめらかな使い心地を両立できるため、多くの製品で採用されています。

化学反応を利用するため「肌に悪い」というイメージを持たれがちですが、その仕組みを正しく知れば、強力な紫外線防御が必要な場面での頼もしい味方となります。

化学反応を利用してエネルギーを変換する原理

紫外線吸収剤は、肌の表面で紫外線をスポンジのように吸収し、化学反応によって赤外線などの熱エネルギーに変換して放出するという仕組みを持っています。

紫外線のエネルギーを自らの中に取り込み、別の形に変えて処理することで、肌内部への侵入を阻止します。代表的な成分には「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」や「t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン」などがあります。

これらは有機化合物であり、特定の波長の紫外線を効率よく吸収する性質を持っています。化学反応の過程で成分の分子構造が変化したり壊れたりすることがあるため、時間の経過とともに防御効果が徐々に低下する傾向があります。そのため、こまめな塗り直しが必要となります。

白浮きせずなめらかな使い心地を実現する利点

吸収剤の大きなメリットは、その使用感の良さにあります。多くの吸収剤は油溶性または水溶性の液体であり、無色透明です。そのため、肌に塗っても白浮きすることがなく、透明感を保つことができます。

また、散乱剤のような粉っぽさやきしみがなく、ローションやジェルのようなみずみずしいテクスチャーを作ることができます。肌にすっとなじみ、メイクの邪魔をしないため、日常の化粧下地としても使いやすいのが特徴です。

高いSPF値やPA値を出しやすく、強力な紫外線防御効果を持つ製品を作りやすいという利点もあります。

肌質によっては刺激を感じる可能性がある理由

吸収剤のデメリットとして挙げられるのは、肌への刺激の可能性です。紫外線を熱エネルギーに変換する際の化学反応が、敏感な肌には刺激となることがあります。

人によっては、塗布した直後にピリピリとした感覚や、赤みを感じる場合があります。また、特定の化学成分に対してアレルギー反応を起こす人もいます。

これを防ぐために、最近では吸収剤をカプセル化して直接肌に触れないようにする技術なども開発されていますが、極度の敏感肌や肌荒れを起こしている場合は注意が必要です。

自分の肌に合う成分かどうか、事前にパッチテストを行うことが推奨されます。

紫外線吸収剤の主な特徴まとめ

項目詳細メリット・デメリット
主な成分メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等有機化合物であり、多様な種類が存在する
防御の仕組み紫外線を吸収し、熱エネルギーに変換化学反応を伴うため、稀に刺激を感じる場合がある
使用感と外観透明性が高く、伸びが良い白浮きせず、メイクの邪魔をしないが、塗り直しが重要

散乱剤と吸収剤の違いを比較して理解する

ここまで個々の性質を見てきましたが、実際に製品を選ぶ際には両者の違いを明確に比較することで、より自分に合った一本を見つけやすくなります。

防御の仕組み、耐久性、そしてメイクやファッションとの兼ね合いなど、多角的な視点で散乱剤と吸収剤を比較します。

紫外線を防ぐ方法の根本的な違い

散乱剤と吸収剤の最も大きな違いは、「跳ね返す」か「取り込んで変換するか」という防御のアプローチです。

散乱剤は物理的な盾であり、吸収剤は化学的な処理工場のようなものです。散乱剤は幅広い波長を均一に反射する傾向がありますが、吸収剤は成分によって吸収できる波長(UV-Aが得意、UV-Bが得意など)が異なります。

そのため、吸収剤を使用した製品では、複数の成分を組み合わせて広い範囲の紫外線をカバーするように設計されています。

汗や水への耐性と塗り直しの頻度

持続性の面でも違いがあります。散乱剤は物理的に肌の上に存在し続ける限り効果を発揮しますが、汗や皮脂、摩擦によって物理的に落ちてしまうと効果がなくなります。

一方、吸収剤は化学反応を繰り返すことで成分自体が消耗していくため、肌に残っていても防御力が低下していきます。

一般的に、吸収剤を含む製品はウォータープルーフ処方にしやすい傾向があり、水への耐性が高い製品が多く存在します。しかし、効果の持続性という観点では、化学変化を起こさない散乱剤の方が有利な面もあります。

どちらのタイプであっても、汗で流れたりタオルで拭いたりした後は塗り直すことが大切ですが、特に吸収剤は成分の消耗を考慮して、2〜3時間おきの塗り直しが重要になります。

テクスチャーやメイクとの相性の比較

メイクとの相性では、吸収剤に軍配が上がることが多いです。透明で薄づきなため、ファンデーションの色味に影響を与えず、厚塗り感が出にくいからです。

一方、散乱剤はトーンアップ効果として利用できる反面、ファンデーションと混ざって白くなりすぎたり、乾燥によってメイク崩れの原因になったりすることがあります。

しかし、最近の散乱剤はオイルに分散させる技術が向上し、しっとりとした使い心地のものも増えており、一概に吸収剤だけが良いとは言えなくなってきています。

散乱剤と吸収剤の比較一覧

比較項目紫外線散乱剤紫外線吸収剤
肌への優しさ高い(低刺激)人によっては刺激になる可能性あり
透明感・使用感白くなりやすく、重め透明で軽く、なめらか
防御力の持続落ちなければ持続する化学反応で消耗するため低下する

肌悩みやシーンに合わせた日焼け止めの選び方

成分の違いを理解したところで、次は実践的な選び方について考えます。

日焼け止めは「どれが一番強いか」ではなく「今の自分の肌と状況に合っているか」で選ぶことが、肌への負担を最小限にしつつ、光老化を最大限に防ぐ鍵となります。肌質とシチュエーションに応じた最適な選択肢を整理します。

敏感肌や乾燥肌に適した成分の選び方

肌のバリア機能が低下している敏感肌や乾燥肌の人は、外部からの刺激に弱くなっています。そのため、第一選択肢としては「紫外線散乱剤(ノンケミカル)」ベースのものが安心です。

特に、アルコールフリーや無香料といった表示があるものを選ぶと、より肌への負担を減らすことができます。

乾燥が気になる場合は散乱剤の中でも保湿成分(セラミドやヒアルロン酸など)が配合されているクリームタイプやミルクタイプを選ぶことで、日中の乾燥ダメージを防ぐことができます。

レジャーやスポーツ時の高い防御力の活用

炎天下でのスポーツや海水浴など、強烈な紫外線を長時間浴びるシーンでは、防御力の高さと落ちにくさが最優先されます。このような場合は、紫外線吸収剤をメインにした、SPF50+・PA++++の製品が力を発揮します。

吸収剤は高いUVカット効果を持ちながら、肌への密着度を高める処方がしやすいため、汗や水に強いウォータープルーフタイプが多く揃っています。

肌への負担が気になる場合はレジャーの時だけ吸収剤タイプを使い、帰宅後はすぐに優しく洗い流してしっかりと保湿ケアを行うという使い分けを行いましょう。

日常生活での使いやすさと肌負担のバランス

通勤や買い物、洗濯物を干すといった日常生活レベルであれば、SPF20〜30、PA++〜+++程度で十分な防御効果が得られます。毎日使うものだからこそ、肌への負担が少なく、洗い流しやすいものを選ぶことが大切です。

散乱剤タイプであれば肌への負担は軽いですが、白浮きが気になる場合は、マイクロカプセル化された吸収剤を使用した低刺激なジェルタイプなども選択肢に入ります。

また、デスクワークが多い人は、ブルーライトカット効果のある酸化チタンや酸化亜鉛を含む製品を選ぶのも賢い選択です。

肌悩み別・シーン別推奨リスト

  • 敏感肌・ゆらぎ肌の人:
    「紫外線散乱剤(ノンケミカル)」の表示があるもの。低刺激処方で、石けんで落とせるタイプが理想的。
  • 炎天下のレジャー・スポーツ:
    「紫外線吸収剤」を含む高SPF・高PA値のもの。ウォータープルーフ機能があり、汗や水に強いタイプ。
  • 乾燥肌・エイジングケア重視:
    保湿成分が豊富なクリームタイプ。散乱剤ベースだが、きしみを抑えた高保湿処方のもの。
  • オフィスメイク・短時間の外出:
    SPF30前後の軽いつけ心地のもの。メイク下地としても使えるトーンアップ効果のある散乱剤配合タイプなど。

エイジングケア視点で見る日焼け止めの活用法

たるみやシワを防ぐためには単に日焼け止めを塗るだけでなく、その成分が持つ付加的な効果を味方につける視点も大切です。大人の肌に必要なのは、紫外線を防ぎながら肌環境を整える「攻めと守り」のケアです。

ここでは、エイジングケアの観点から見た成分の活用法について解説します。

酸化亜鉛などが持つ皮脂吸着効果の活用

紫外線散乱剤として使われる酸化亜鉛には紫外線を防ぐだけでなく、皮脂を吸着して固める性質があります。皮脂の過剰な分泌は酸化することで肌に炎症を引き起こし、老化を加速させる要因になります。

酸化亜鉛配合の日焼け止めを使用することで、日中のテカリや化粧崩れを防ぐと同時に、酸化皮脂による肌ダメージを抑制する効果が期待できます。

ただし、皮脂を吸着しすぎると乾燥を招くこともあるため、保湿ケアとの併用が大切です。

保湿成分配合タイプで乾燥による小ジワを防ぐ

日中の肌は紫外線だけでなくエアコンの風や外気によって常に乾燥の脅威にさらされています。乾燥は小ジワの直接的な原因となり、放置すると深いシワへと進行します。

エイジングケアを意識するなら、日焼け止め自体に美容液並みの保湿成分が含まれているものを選びましょう。特に吸収剤タイプの日焼け止めには油分を含むリッチな質感のものが多く、日中の乾燥から肌を守るヴェールとしての役割を果たしてくれます。

散乱剤タイプを選ぶ場合も、コーティング技術によって乾燥感を軽減したものを選ぶことが重要です。

光老化を防ぐために必要な塗布量と塗り方

どんなに優れた成分を選んでも、塗る量が少なければ期待通りの効果は得られません。

製品に記載されているSPFやPAの数値は、皮膚1平方センチメートルあたり2mgという規定量を塗った時の値です。これは一般的に考えられているよりもかなり多い量で、顔全体で500円玉大、またはパール粒2つ分程度が必要です。

薄く伸ばしすぎると散乱剤の粒子や吸収剤の分子の間に隙間ができ、そこから紫外線が侵入してしまいます。

一度に大量に塗ると白浮きやヨレの原因になるため規定量の半分を全体に馴染ませた後、もう一度重ね塗りをする「ミルフィーユ塗り」を行うことで、均一で強固な防御膜を作ることができます。

エイジングケアに役立つ成分機能

成分・機能エイジングケアへのメリット注意点
酸化亜鉛(散乱剤)UV-A防御力が高く、皮脂を吸着して酸化を防ぐ金属アレルギーの人は稀に合わない場合がある
保湿成分(セラミド等)日中の乾燥を防ぎ、乾燥小ジワを予防するテクスチャーが重くなる場合がある
抗酸化成分紫外線による活性酸素の発生を抑える開封後は酸化しやすいため早めに使い切る

ハイブリッド処方と最近のトレンド傾向

近年、日焼け止めの技術は飛躍的に進化しています。「散乱剤は白浮きする」「吸収剤は刺激が強い」といったかつての常識を覆す、新しいタイプの製品が次々と登場しています。

これらを知ることで、より快適で効果的な紫外線対策が可能になります。最新の処方トレンドについて触れます。

散乱剤と吸収剤を組み合わせた製品の利点

現在市場に出回っている多くの高機能日焼け止めは、散乱剤と吸収剤の両方を配合した「ハイブリッド処方」を採用しています。

吸収剤で隙間なく紫外線をブロックしつつ、散乱剤で防御力を底上げすることで、高いSPF/PA値を実現しながら、それぞれの配合量を抑えてデメリットを軽減しています。

これにより白浮きを最小限にしつつ、肌への刺激もマイルドにするというバランスの良い製品が生まれています。

独自の技術で弱点を克服した新しい処方

成分そのものの進化も見逃せません。例えば紫外線吸収剤をカプセルの中に閉じ込めることで、直接肌に触れさせないようにした技術があります。これにより、敏感肌の人でも高いUVカット効果を持つ吸収剤を利用しやすくなりました。

また、散乱剤である酸化チタンや酸化亜鉛を板状や花びら状など特殊な形状に加工することで、光を乱反射させて肌を美しく見せたり、均一に分散させて白浮きを完全に消したりする技術も実用化されています。

環境への配慮と肌への優しさの両立

最近のトレンドとして無視できないのが、環境への配慮です。特定の紫外線吸収剤(オキシベンゾンなど)がサンゴ礁に悪影響を与えるという報告から、ビーチフレンドリーな処方の開発が進んでいます。

こうした環境対応型の日焼け止めは結果として肌への安全性が高い成分を厳選していることが多く、人間にも自然にも優しい製品として注目されています。

パッケージの記載を確認することで、地球環境を守りながら自分の肌も守る選択が可能になります。

進化した日焼け止め技術のポイント

  • カプセル化技術:
    吸収剤をカプセルに封入し、肌への直接的な接触を防ぐことで刺激を低減する
  • 分散技術の向上:
    散乱剤の粒子を均一に分散させ、白浮きやきしみを解消し、透明感を出す
  • 環境配慮型処方:
    海の生態系に影響を与える成分を排除し、水環境と肌の両方に優しい成分構成にする
  • ロングUVA対応:
    真皮の深部まで届く長波長UV-Aもしっかり防ぐ成分の配合や技術

よくある質問

どちらのタイプがより焼けにくいですか?

単純な防御力(SPF/PA値)が同じであれば、散乱剤でも吸収剤でも焼けにくさに理論上の差はありません。しかし、実際には「隙間なく塗れているか」「落ちていないか」が大きく影響します。

吸収剤タイプは伸びが良く肌に密着しやすいため、塗りムラができにくく、結果として高い防御効果を発揮しやすい傾向があります。一方、散乱剤タイプは厚塗りになりがちですが、汗に強いものを選べば物理的な膜として強固に守ってくれます。

状況に応じた塗り直しを行うことが、どちらのタイプにおいても最も重要です。

ノンケミカルなら専用クレンジングは不要ですか?

必ずしも不要とは限りません。製品のパッケージに「石けんで落とせる」と記載がある場合は通常の洗顔料やボディソープで落とすことができます。

しかし、ノンケミカルであっても、汗や水に強いウォータープルーフ処方や化粧下地効果の高いものは肌への密着力が高いため、クレンジング剤を使用しないと毛穴に残ってしまうことがあります。

肌に残った日焼け止めは酸化して肌トラブルの原因になるため、製品の表示を確認し、不安な場合はクレンジングを使用することをお勧めします。

敏感肌でも吸収剤を使って大丈夫ですか?

一概に「敏感肌だから吸収剤はダメ」とは言えません。近年の製品は吸収剤をカプセル化したり、アレルギーを起こしにくい成分を選定したりと、肌への優しさを考慮したものが増えています。

散乱剤の「塗る時の摩擦」や「乾燥感」の方が肌に負担となる場合もあります。まずは「敏感肌用」としてテスト済みの製品を選び、二の腕の内側などでパッチテストを行ってから顔に使用することをお勧めします。自分の肌が何に反応するかを知ることが大切です。

去年の余った日焼け止めは今年も使えますか?

開封済みの日焼け止めは、原則としてそのシーズンのうちに使い切るのが理想です。時間が経つと、空気中の酸素や雑菌によって成分が酸化・変質している可能性があります。

特に油分を含む製品は酸化しやすく、劣化したものを肌に塗ると、かぶれや色素沈着の原因になりかねません。

未開封であれば製造から3年程度は持ちますが、一度開封したものは色やにおいに変化がなくても、翌シーズンに持ち越さず新しいものを用意することが、光老化を防ぐための賢明な判断です。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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