UVAとUVBの違い|真皮に届くUVAがたるみ・しわを作るメカニズム

UVAとUVBの違い|真皮に届くUVAがたるみ・しわを作るメカニズム

顔のたるみやしわが気になり始めたとき、多くの方が「紫外線対策はしているのに、なぜ?」と感じるのではないでしょうか。じつは紫外線にはUVAとUVBの2種類があり、肌への影響はまったく異なります。

とくにUVAは波長が長いため肌の奥にある真皮にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを壊してたるみ・しわの直接的な引き金になります。一方、UVBは主に表皮にダメージを与え、日焼けやシミの原因になるものの、真皮への到達は限定的です。

この記事では、UVAとUVBの違いを波長・到達深度・肌への影響という観点で整理し、なぜUVAが「たるみ・しわの元凶」といえるのか、そのしくみを医学的根拠にもとづいてわかりやすく解説します。

目次

光老化とは?紫外線UVAとUVBが肌に与えるダメージは根本的に違う

紫外線が肌を老化させる現象を「光老化」と呼び、加齢による自然な老化とはまったく別のルートで進みます。

光老化の原因となる紫外線はUVAとUVBに大別され、波長の違いによって肌への到達深度もダメージの性質も異なるため、それぞれに応じた対策が求められます。

そもそも光老化が起きる原因は紫外線の蓄積にある

太陽光に含まれる紫外線は、1回浴びただけでは目に見える変化を起こさないことがほとんどです。しかし毎日少しずつ浴び続けると、肌の内部では着実にダメージが蓄積していきます。

光老化とは、こうした長年にわたる紫外線曝露の結果として生じる肌の変化を指し、深いしわ・たるみ・シミ・くすみといった症状が代表的です。自然老化による細かいしわとは異なり、光老化ではより深く刻まれたしわや皮膚のたるみが目立つようになります。

UVAは波長が長く真皮まで届いてしまう

UVAの波長は320〜400nmと紫外線のなかではもっとも長く、肌の表面(表皮)を通過して真皮にまで到達します。真皮にはコラーゲンやエラスチンなど、肌のハリや弾力を支える重要な線維タンパク質が豊富に含まれています。

UVAはこれらの線維タンパク質を傷つけるだけでなく、線維芽細胞(コラーゲンを作り出す細胞)の働きそのものを低下させます。

地表に届く紫外線の約90〜95%はUVAであり、曇りの日でも窓ガラスを通過するため、気づかないうちに浴びている量が非常に多いのが特徴です。

UVAとUVBの波長と到達深度

項目UVAUVB
波長320〜400nm280〜320nm
到達深度真皮まで届く主に表皮にとどまる
地表への到達量全紫外線の約90〜95%全紫外線の約5〜10%
窓ガラスの透過大部分が透過するほとんど遮断される
主な肌ダメージコラーゲン分解・たるみ・しわ日焼け・シミ・DNA損傷

UVBは表皮にとどまるが日焼けやDNA損傷を引き起こす

UVBの波長は280〜320nmで、UVAに比べると短いため、肌への浸透は主に表皮層に限られます。しかしエネルギーが強いぶん、表皮の細胞に直接的なDNA損傷を与える力があります。

日焼けで肌が赤くなるサンバーンはUVBによるものです。また、UVBはメラニン合成を活発にすることでシミの原因にもなります。

表皮と真皮の境界付近にはごく一部が届くこともありますが、たるみやしわの主な原因としてはUVAの方がはるかに影響が大きいといえるでしょう。

UVAが真皮のコラーゲンを壊す仕組み ─ 活性酸素とMMPの連鎖反応

UVAが真皮に到達すると、活性酸素の大量発生からコラーゲン分解酵素の活性化までが連鎖的に起こります。肌のハリを支えるコラーゲン線維が内側から壊されていくのです。

たるみやしわが生じる根本には、この「活性酸素 → MMP → コラーゲン破壊」という一連の反応があります。

活性酸素(ROS)が真皮の線維芽細胞を傷つける

UVAが真皮に届くと、まず大量の活性酸素(ROS:Reactive Oxygen Species)が発生します。活性酸素とは、酸素から派生した反応性の高い分子の総称で、細胞内のDNA・タンパク質・脂質を酸化させて傷つけます。

真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチンを産生する「肌のハリ工場」のような存在です。活性酸素がこの線維芽細胞を攻撃すると、細胞の正常な機能が低下し、コラーゲンの産生量が減ってしまいます。

MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)がコラーゲン線維を分解する

活性酸素の発生に続いて起こるのが、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)と呼ばれるコラーゲン分解酵素の活性化です。

MMPとは、真皮の細胞外マトリックスを構成するタンパク質を分解する酵素群の総称で、なかでもMMP-1・MMP-3・MMP-9の3種が紫外線照射後に強く誘導されることがわかっています。

活性酸素はMAPキナーゼ経路を活性化し、AP-1やNF-κBといった転写因子を介してMMPの発現量を増加させます。その結果、真皮のI型コラーゲンやIII型コラーゲンが切断・分解され、肌の構造的な強度が失われていくのです。

TGF-βシグナルが阻害されて新しいコラーゲンが作られなくなる

UVAの影響はコラーゲンの分解だけにとどまりません。コラーゲンの新規合成を促す重要なシグナル経路であるTGF-β/Smad経路も、紫外線によって阻害されます。

TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)は線維芽細胞に働きかけてI型プロコラーゲンの合成を促すタンパク質です。

紫外線を浴びるとAP-1がSmad7を誘導し、TGF-βのシグナル伝達をブロックしてしまうため、コラーゲンの「壊れる量」が増えると同時に「作られる量」も減るという二重の悪循環に陥ります。

UVAによるコラーゲン破壊の流れ

段階起こる変化肌への影響
第1段階UVAが真皮に到達し活性酸素(ROS)が大量発生細胞内の酸化ストレスが増大
第2段階MAPキナーゼ経路が活性化しMMPが増加コラーゲン・エラスチンの分解が進行
第3段階TGF-β/Smad経路が阻害される新しいコラーゲンが合成されにくくなる
最終結果コラーゲンの分解 > 合成の状態が慢性化たるみ・深いしわが出現する

UVBが肌に及ぼす影響 ─ 日焼け・シミ・DNA損傷と表皮の老化

UVBは真皮にはほとんど届きませんが、表皮に対しては強いエネルギーで直接的なDNA損傷を引き起こし、日焼け・シミ・肌荒れの原因になります。UVAとは異なる経路で肌を傷つけるため、UVBへの対策も同時に行うことが大切です。

UVBはCPDやピリミジン光産物を作りDNA変異を促す

UVBは表皮のケラチノサイト(角化細胞)のDNAに直接吸収され、シクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)や6-4光産物といった光産物を形成します。

これらは正常なDNA配列を乱し、修復が追いつかない場合にはC→T変異のような遺伝子変異を引き起こすときがあります。

こうしたDNA損傷の蓄積は、表皮細胞の機能低下だけでなく、長期的には皮膚がんのリスクを高める要因にもなるため軽視できません。

メラニン生成が活発になりシミの原因になる

UVBを浴びると、表皮の基底層にあるメラノサイト(色素細胞)がメラニン色素を大量に産生し始めます。メラニンは本来、紫外線を吸収して細胞を守る防御システムとして機能するものです。

UVBによる表皮への影響

影響具体的な変化見た目の症状
DNA損傷CPD・6-4光産物の形成細胞機能低下・突然変異リスク
炎症反応サイトカイン放出・血管拡張日焼け(サンバーン)・赤み
色素沈着メラニン過剰産生シミ・そばかす・くすみ
バリア低下角質層のダメージ乾燥・肌荒れ

表皮のバリア機能が低下して肌荒れが起こりやすくなる

しかし過剰にメラニンが生成されると、色素が局所的に沈着してシミやそばかすになります。年齢を重ねるとメラニンの排出サイクル(ターンオーバー)が遅くなるため、若い頃は消えていた日焼け跡がシミとして定着しやすくなるのです。

UVBによる表皮への影響はDNA損傷だけではありません。角質層が傷つくことで肌のバリア機能が低下し、水分が蒸散しやすくなります。その結果、乾燥や肌荒れが起きやすい状態になり、外部刺激にも敏感になってしまいます。

UVAとUVBの違いを紫外線の波長・到達深度・肌への影響で比較する

UVAとUVBはどちらも紫外線ですが、波長・エネルギー・肌への到達深度・引き起こすダメージの種類が大きく異なり、たるみやしわとの関連性にも明確な差があります。この違いを正しく知ることが、効果的な紫外線対策の第一歩です。

波長と到達深度の違いがたるみ・しわの出方を左右する

紫外線は波長が長いほど肌の深いところまで到達する性質があります。UVAは320〜400nmと波長が長いため真皮まで浸透し、コラーゲンやエラスチンを直接傷つけてたるみやしわの原因になります。

一方、UVBは280〜320nmと波長が短く、エネルギーは強いものの表皮でほとんどが吸収されます。そのためUVBが直接たるみを引き起こすことは少なく、しわの深さもUVAに比べて浅い傾向にあるといえます。

日常生活における曝露量はUVAが圧倒的に多い

地表に届く紫外線のうち約90〜95%がUVAで、UVBは約5〜10%にすぎません。さらにUVAは季節や天候による変動が比較的小さく、冬場や曇りの日でも相当量が地表に届きます。

つまり、日常的にもっとも多く浴びている紫外線はUVAであり、その蓄積が長年にわたって真皮のコラーゲンを少しずつ分解していると考えられます。夏場にだけ気をつけていても、UVAによる光老化は確実に進んでいるかもしれません。

窓ガラスを通過するUVAは室内にいても肌を老化させる

UVBは一般的な窓ガラスでほぼ完全にブロックされますが、UVAはガラスを透過します。車の運転中やオフィスの窓際で長時間過ごすだけでも、UVAによる真皮へのダメージは少しずつ蓄積されていくのです。

実際に、長年トラックの運転をしていた方の顔の左右で、日光に多くさらされた側にだけ深いしわやたるみが生じていたという報告もあり、UVAの影響の大きさをよく示しています。室内にいるからといって安心はできないという点を、ぜひ覚えておいてください。

紫外線の曝露量と肌への影響の比較

比較項目UVAUVB
曝露量全紫外線の90〜95%全紫外線の5〜10%
季節変動年間を通じて比較的安定夏に増加・冬に減少
ガラス透過透過するほぼ遮断される
たるみ・しわ真皮のコラーゲン破壊が主因直接的な影響は限定的
日焼け・シミ色素沈着に関与サンバーンとシミの主因

紫外線によるコラーゲンとエラスチンの破壊がたるみ・しわにつながる理由

たるみやしわの本質的な原因は、真皮を構成するコラーゲンとエラスチンの減少・変性にあります。UVA曝露によってこれらの線維タンパク質が壊され続けると、肌は内部から支えを失い、やがて目に見えるかたちでたるみやしわとなって現れます。

真皮のコラーゲンが減ると肌のハリが失われる

真皮の約70〜80%はI型コラーゲンで構成されており、肌の強度とハリを維持する土台となっています。UVAによって活性酸素が発生しMMPが活性化すると、このI型コラーゲンが断片化され、真皮全体の構造が緩んでいきます。

若い肌では、壊れたコラーゲンの修復と新しいコラーゲンの合成が速やかに行われるため、ダメージが表面化しにくいものです。しかし紫外線曝露が長期間にわたると修復が追いつかなくなり、コラーゲンの「正味の減少」が始まります。

エラスチンの変性(日光弾性線維症)がたるみを悪化させる

エラスチンは肌の弾力を担う線維タンパク質で、伸びたあとに元に戻る「ゴムのような性質」を持っています。

しかし慢性的な紫外線曝露を受けると、正常なエラスチンが変性して異常なかたまり(弾性線維変性物質)として真皮上層に蓄積する「日光弾性線維症」と呼ばれる変化が起こります。

コラーゲン・エラスチンの変化と症状の関係

線維タンパク質紫外線による変化肌に現れる症状
I型コラーゲンMMPによる断片化・合成低下ハリの喪失・深いしわ
III型コラーゲン分解によるI型との比率変化肌の柔軟性低下
エラスチン変性・異常蓄積(日光弾性線維症)弾力低下・たるみ
フィブリリン乳頭真皮での減少細かいしわの増加

肌の弾力が戻らなくなる「コラーゲン不足の悪循環」とは

変性したエラスチンは本来の弾力を失っているため、肌を押し返す力が弱まり、表情の動きなどで生じた皮膚のたわみが元に戻りにくくなります。コラーゲンの減少と合わさることで、たるみが加速度的に進むのです。

コラーゲンが減少すると、線維芽細胞が周囲の細胞外マトリックスから受ける機械的な張力も低下します。

線維芽細胞は張力を感知して自らのコラーゲン産生量を調節しているため、張力が下がるとさらにコラーゲンの合成量が減り、同時にMMPの産生量は増えてしまうことがわかっています。

つまり、コラーゲンが減るほど線維芽細胞の機能が衰え、さらにコラーゲンが減るという「負のスパイラル」が生まれます。光老化によるたるみ・しわが年齢とともに急速に目立つようになる背景には、この悪循環が深く関わっています。

紫外線から真皮を守るために毎日の紫外線対策で気をつけたいポイント

UVAとUVBの違いを理解したうえで、真皮のコラーゲンを守るにはUVA対策を軸とした日常的な紫外線防御が欠かせません。日焼け止めの選び方から生活のなかでの工夫まで、今日から取り入れられるポイントを整理します。

日焼け止めはSPFだけでなくPA値(UVA防御指標)を重視する

日焼け止めを選ぶ際、SPF値だけを見ている方は少なくありません。SPFはUVBに対する防御力の指標であり、UVAを防ぐ力は「PA」(Protection Grade of UVA)で示されます。

PA+からPA++++まで4段階あり、+の数が多いほどUVA防御力が高いことを意味します。

たるみやしわの予防を考えるなら、SPFだけでなくPA値が高い製品を選ぶことが重要です。日本の製品ではPA++++表示のものが増えており、日常使いにはPA+++以上を目安にするとよいでしょう。

曇りの日や室内でもUVA対策を怠らない

UVAは雲を透過しやすく、曇りの日でも晴天時の約60〜80%が地表に届くとされています。また前述のとおり窓ガラスも通過するため、室内で長時間過ごす日でも紫外線対策は必要です。

とくにオフィスや自宅の窓際に長時間いる方は、朝の洗顔後にUVA防御力のある日焼け止めを塗る習慣をつけるだけでも、長い目で見れば真皮へのダメージを大きく軽減できるでしょう。

抗酸化成分を取り入れて内側から肌を守る

UVA対策は紫外線を「遮る」だけでなく、体内で発生した活性酸素を「消す」のも大切です。ビタミンC・ビタミンE・コエンザイムQ10・ポリフェノールなどの抗酸化成分は、活性酸素を中和してMMPの活性化を抑える働きがあるとされています。

食事やサプリメントからこれらの栄養素を意識的に摂取することに加え、抗酸化成分を配合したスキンケア製品を取り入れると、紫外線防御を外と内の両面から強化できます。

紫外線対策に役立つ抗酸化成分

  • ビタミンC(L-アスコルビン酸)── コラーゲン合成の促進と活性酸素の中和
  • ビタミンE(トコフェロール)── 細胞膜の脂質過酸化を防ぐ
  • コエンザイムQ10 ── ミトコンドリア内での酸化ストレス軽減
  • ポリフェノール類 ── 緑茶カテキン・レスベラトロールなど広範な抗酸化作用
  • フェルラ酸 ── ビタミンCやEと組み合わせることで紫外線防御力を高める

光老化を加速させないために見直したい生活習慣と紫外線対策の基本

日焼け止めを塗るだけでは、UVAによる真皮のダメージを完全に防ぐことはできません。物理的な遮光・紫外線の強い時間帯の回避・年齢に応じた防御強化など、総合的なアプローチで光老化の進行を遅らせることが大切です。

帽子・日傘・サングラスで物理的に紫外線を遮断する

日焼け止めは汗や皮脂で落ちることがあるため、物理的なバリアを併用すると紫外線防御の信頼度が上がります。つばの広い帽子は額から頬にかけてのUVA曝露を大きく減らしてくれるでしょう。

紫外線対策グッズと期待される防御効果

  • つばの広い帽子(7cm以上) ── 顔面への紫外線到達量を最大約60%カット
  • UVカット日傘 ── 遮光率99%以上の製品なら直射のUVA・UVBを大幅に遮断
  • UVカットサングラス ── 目周りの皮膚が薄い部分を紫外線から守る
  • UVカット機能付き衣類 ── UPF50+の素材なら非常に高い遮蔽効果

紫外線量が多い時間帯をなるべく避ける

日傘を用いた場合でも、地面や建物からの照り返し(反射紫外線)は完全には防げません。紫外線量がピークになる午前10時〜午後2時の外出をできるだけ控えるか、日陰を選んで歩くだけでも曝露量は大きく変わります。

やむを得ず屋外に出る場合は、日焼け止めの塗り直しを2〜3時間おきに行い、帽子や日傘と組み合わせることで総合的な防御力を維持しましょう。

年齢を重ねるほど紫外線対策の徹底が欠かせない

加齢とともに、肌が持つ内因性の抗酸化防御力は低下していきます。若い頃と同じ量の紫外線を浴びても、活性酸素を中和しきれずにコラーゲン破壊が進みやすくなるため、年齢が上がるほど紫外線対策を強化する必要があります。

20代のうちから正しいUVA対策を続けていれば、40代・50代になったときのたるみやしわの進行度に大きな差が出ます。紫外線対策は「未来の自分への投資」ととらえ、日々の生活に無理なく組み込んでいきましょう。

よくある質問

紫外線UVAは曇りの日でも肌の真皮にダメージを与えますか?

はい、UVAは曇りの日でも肌の真皮に届きます。雲はUVBの多くを遮断しますが、UVAは雲を透過しやすい性質があり、曇天でも晴天時の約60〜80%が地表に到達するとされています。

そのため、曇りの日でもUVAは真皮のコラーゲンやエラスチンに影響を及ぼし続けます。天候に関係なくPA値の高い日焼け止めを毎日使用する習慣が、たるみやしわの予防につながります。

紫外線UVBだけを防いでいればたるみやしわは防げますか?

UVBへの対策だけでは、たるみやしわの予防は十分とはいえません。UVBは主に表皮に作用して日焼けやシミの原因になりますが、真皮のコラーゲンを直接分解する作用は限定的です。

たるみやしわの主な原因は、真皮まで到達するUVAによるコラーゲン破壊です。SPF値だけでなく、UVA防御力を示すPA値の高い日焼け止めを選ぶと、より効果的にたるみ・しわを予防できます。

紫外線によって破壊されたコラーゲンは元に戻りますか?

一度断片化されたコラーゲン線維そのものが修復されることはありません。ただし、線維芽細胞が正常に機能していれば、新しいコラーゲンを合成して補うことは可能です。

問題は、紫外線による慢性的なダメージが続くと線維芽細胞の機能自体が低下し、新しいコラーゲンの合成量も減ってしまう点にあります。

そのため、まずは紫外線対策でこれ以上の破壊を食い止めることが重要です。レチノイドやビタミンCなどの成分がコラーゲン合成をサポートするという研究報告もありますので、皮膚科医に相談されるとよいでしょう。

紫外線UVAとUVBでは肌の老化に対する影響度にどのくらい差がありますか?

たるみやしわといった肌のハリに関する老化に対しては、UVAの影響度がUVBよりもはるかに大きいと考えられています。UVAは真皮まで浸透してコラーゲンやエラスチンを直接傷つけるのに対し、UVBの到達範囲は主に表皮に限られるためです。

さらに、地表に届く紫外線の90〜95%がUVAであることを考えると、日常的な曝露量の面でもUVAが肌の老化を左右する主要因であるといえます。

一方、シミやDNA損傷に関してはUVBの影響が大きいため、両方を総合的に防御する「広域スペクトル」の日焼け止めが推奨されます。

紫外線による光老化を遅らせるために何歳ごろから対策を始めるべきですか?

紫外線による光老化への対策は、できるだけ早い時期から始めるのが望ましいとされています。紫外線のダメージは幼少期から蓄積し、10代・20代で浴びた紫外線の影響が30代以降のたるみやしわとなって現れるためです。

とくに日本では、子どもの頃から戸外で活動する機会が多いにもかかわらず、紫外線対策の意識が十分でないケースも少なくありません。年齢を問わず日焼け止めの使用や物理的な遮光を習慣にすると、将来の光老化リスクを大幅に抑えられます。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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