飲む日焼け止めは光老化を防げる?抗酸化サプリの効果を検証

飲む日焼け止めは光老化を防げる?抗酸化サプリの効果を検証

「塗る日焼け止めだけでは不安」「内側からも紫外線対策をしたい」と感じている方は少なくないでしょう。近年、飲む日焼け止めや抗酸化サプリへの注目度は年々高まっています。

しかし、飲む日焼け止めだけで光老化(紫外線による肌の老化)を完全に防げるかといえば、答えはNoです。臨床研究では、抗酸化成分の経口摂取が紫外線ダメージを軽減する可能性が示されていますが、塗る日焼け止めの代わりにはなりません。

本記事では、皮膚科領域で20年以上の臨床経験をもとに、飲む日焼け止めの効果と限界を医学的根拠に基づいて丁寧に解説します。しわ・たるみの予防に関心のある方が正しい判断をするための情報をお届けします。

目次

光老化はなぜしわ・たるみの原因になるのか

肌のしわやたるみの約80%は、加齢そのものではなく紫外線による光老化が原因です。紫外線を長年浴び続けると、肌内部のコラーゲンやエラスチンが分解され、ハリや弾力が失われていきます。

紫外線が真皮のコラーゲンを壊す流れ

紫外線、とくにUVA(波長320〜400nm)は皮膚の深い部分である真皮にまで到達します。真皮に届いた紫外線は活性酸素(フリーラジカル)を大量に発生させ、コラーゲン線維を分解する酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生を促進します。

MMP-1はコラーゲンを直接切断し、MMP-9はさらに断片化を進めます。こうして壊れたコラーゲンは正常な構造を保てず、肌のハリを支える「土台」が崩れてしまうのです。

酸化ストレスが引き起こす肌の老化連鎖

紫外線が生み出す活性酸素は、コラーゲンの分解だけにとどまりません。細胞のDNAに損傷を与えたり、脂質を酸化させたりすることで、肌全体に慢性的な炎症を引き起こします。

紫外線の種類到達する深さ肌への主な影響
UVB表皮まで日焼け・シミ・DNA損傷
UVA真皮までしわ・たるみ・コラーゲン分解
可視光線真皮深層まで色素沈着・酸化ストレス

日常の紫外線量でも光老化は進む

「夏だけ気をつければ大丈夫」と考えている方は多いかもしれません。実際には、冬場や曇りの日でもUVAは地表に降り注いでおり、窓ガラスも通過します。通勤や洗濯物を干すわずかな時間でも、蓄積すれば光老化は確実に進行します。

オーストラリアで行われた大規模ランダム化試験では、毎日日焼け止めを塗り続けたグループは、自己判断で塗ったグループと比べて4.5年間で肌老化の進行が24%抑えられたという結果が報告されています。日々の紫外線対策がいかに大切かを示す証拠といえるでしょう。

一度壊れたコラーゲンは簡単に元に戻らない

光老化で深刻なのは、分解されたコラーゲンの修復が追いつかない点です。若い頃はコラーゲンの合成能力が高いため多少のダメージは回復できますが、30代を過ぎると合成速度が低下し、分解のほうが上回りやすくなります。

そのため、予防こそが何よりも重要です。すでに進んでしまった光老化を完全に巻き戻すことは難しく、「これ以上進ませない」対策が現実的なアプローチになります。

飲む日焼け止めとは何か|塗る日焼け止めとの違い

飲む日焼け止めは、抗酸化成分を経口で摂取することで紫外線ダメージに対する体の防御力を内側から高めるサプリメントです。塗る日焼け止めとは作用のしかたが根本的に異なります。

飲む日焼け止めに含まれる主な抗酸化成分

飲む日焼け止めに配合される代表的な成分として、ファーンブロック(ポリポディウム・ロイコトモス抽出物)、アスタキサンチン、リコピン、ルテインなどが挙げられます。これらはいずれも植物由来の天然抗酸化物質であり、活性酸素を消去する力を持っています。

日本国内で市販されている製品の多くは「栄養補助食品」に分類されており、医薬品ではありません。効果の程度や発現までの期間は成分や配合量によって異なるため、過剰な期待は禁物です。

塗る日焼け止めは「物理的な盾」、飲むタイプは「細胞レベルの補助」

塗る日焼け止めは紫外線を肌の表面で吸収・反射することで、皮膚に届く紫外線の量を物理的に減らします。SPFやPA値で示される防御力は科学的に証明されており、光老化対策の柱となる存在です。

一方、飲む日焼け止めは紫外線そのものを遮断する力を持ちません。体内に吸収された抗酸化成分が、紫外線によって発生した活性酸素を中和し、細胞へのダメージを軽減する「補助的な役割」を果たすにすぎないのです。

「飲む日焼け止め」という呼び方は正確ではない

医学的に厳密にいえば、「飲む日焼け止め」という表現は誤解を生みやすい名称です。経口の抗酸化サプリは紫外線を遮る力を持たないため、「日焼け止め」という言葉が示す意味とは大きく異なります。

あくまでも塗る日焼け止めや帽子、日傘などの物理的な遮光対策に「上乗せ」するものとして位置づけるのが医学的に正しい理解です。名前のイメージだけで安心してしまうと、かえって紫外線対策が手薄になりかねません。

比較項目塗る日焼け止め飲む日焼け止め
紫外線の遮断力直接遮断する遮断しない
作用の仕組み肌表面で吸収・反射体内で活性酸素を中和
単独使用の可否単独で使用可能単独では不十分
塗り直しの必要性2〜3時間ごとに必要不要
分類医薬部外品・化粧品栄養補助食品

抗酸化サプリが紫外線ダメージを抑える仕組み

抗酸化サプリは、紫外線が肌内部で引き起こす酸化ストレスを軽減することで間接的に光老化の進行を緩やかにします。紫外線を物理的にブロックする作用はありませんが、細胞レベルでの防御に寄与する可能性があります。

活性酸素を消去して細胞を守る

紫外線が皮膚に当たると、細胞内で活性酸素が大量に発生します。活性酸素はDNAやタンパク質、脂質を酸化させ、肌のバリア機能や構造を損傷する原因となります。

抗酸化成分は、自らが酸化されることで活性酸素を無害化し、細胞が受けるダメージを減らします。ビタミンCやビタミンE、カロテノイド類(アスタキサンチン、リコピンなど)がこの働きを担う代表的な成分です。

MMP(コラーゲン分解酵素)の過剰発現を抑える

抗酸化成分が注目される理由のひとつに、コラーゲンを分解するMMP-1の発現を抑制する効果が挙げられます。二重盲検のランダム化比較試験では、リコピンやルテインの12週間の経口摂取がUVA照射後のMMP-1遺伝子発現を有意に低下させたと報告されています。

  • MMP-1遺伝子の発現抑制(コラーゲン分解の軽減)
  • HO-1遺伝子の発現抑制(酸化ストレスの指標)
  • ICAM-1遺伝子の発現抑制(炎症反応の軽減)

炎症シグナルを鎮めて慢性的なダメージを減らす

紫外線が引き起こす肌の赤みやヒリヒリ感は急性の炎症反応ですが、目に見えないレベルの微小炎症は慢性的に続くことがあります。この「静かな炎症」がコラーゲンの分解やメラニンの過剰生成を促し、しわ・たるみ・シミの原因になると考えられています。

アスタキサンチンの臨床試験では、16週間の経口摂取によって表皮角質層中の炎症性サイトカイン(IL-1α)の上昇が抑えられたというデータがあります。抗酸化成分が炎症の連鎖を断ち切ることで、光老化の進行を緩やかにする可能性が示唆されています。

経口摂取で全身にまんべんなく届く利点

塗る日焼け止めは塗りムラやこまめな塗り直しが課題になりがちです。飲む日焼け止めの場合、有効成分が血流を介して全身の皮膚に届くため、塗り残しの心配がありません。

もちろん、血中濃度が一定のレベルに達するまでには数週間の継続摂取が必要な成分もあります。飲んですぐに効果が出るわけではなく、日々の習慣として続けることが前提になるでしょう。

主要な成分別に見る飲む日焼け止めの効果

飲む日焼け止めに含まれる代表的な成分には、それぞれ異なる研究結果が蓄積されています。すべてが同等の効果を持つわけではなく、成分ごとに強みや限界が明確に分かれている点に注意が必要です。

ファーンブロック(ポリポディウム・ロイコトモス抽出物)は研究数が多い

ファーンブロック(PLE)は中南米原産のシダ植物から抽出された成分で、飲む日焼け止めの分野で最も研究が進んでいます。ランダム化二重盲検試験では、PLEを1日480mg、60日間摂取したグループで紅斑(日焼けによる赤み)の程度が有意に低下したと報告されました。

PLEの特徴は、抗酸化作用に加えてDNA損傷の抑制や免疫抑制の軽減など、多面的な保護効果が確認されている点です。ただし、その効果は塗る日焼け止めのSPF値に換算できるほど強力ではなく、あくまで補助的な防御に位置づけられます。

アスタキサンチンはしわや水分保持に対する臨床データがある

アスタキサンチンは、サケやエビの赤い色素として知られるカロテノイドです。複数のランダム化比較試験を集めたシステマティックレビューでは、経口アスタキサンチンが肌の水分保持を有意に改善し、弾力性の向上にも寄与する可能性が示されています。

65名の健常女性を対象とした16週間の臨床試験では、プラセボ群でしわの悪化が認められた一方、アスタキサンチン群では有意な悪化が見られませんでした。紫外線や乾燥が強まる秋冬の期間に行われた試験であり、環境ダメージへの防御効果が示唆されています。

リコピンとルテインは紫外線誘発遺伝子の発現を抑える

トマト由来のリコピンやホウレンソウなどに含まれるルテインも、経口摂取による光保護効果が報告されています。65名を対象としたクロスオーバー試験では、12週間のリコピンまたはルテインの摂取が、UVA/UVB照射後の酸化ストレスマーカーや炎症関連遺伝子の発現を抑制しました。

とくにリコピンを豊富に含むトマト栄養複合体(TNC)は、照射の順序にかかわらず一貫して保護効果を示した点が注目されています。

ニコチンアミド(ビタミンB3)はDNA修復を促す別アプローチ

ニコチンアミドは抗酸化とは少し異なり、紫外線によるATP(細胞のエネルギー源)の枯渇を防ぎ、DNA修復能力を維持する働きが報告されています。386名を対象とした第3相ランダム化試験では、1日1000mgのニコチンアミドが皮膚がんの発生率を23%低下させました。

光老化の予防そのものを主な目的とした成分ではありませんが、紫外線による免疫抑制を軽減する作用が確認されており、広い意味での紫外線防御に貢献する可能性があります。

成分名主な効果推奨される併用対策
ファーンブロック紅斑抑制・DNA保護塗る日焼け止め必須
アスタキサンチン水分保持・弾力改善塗る日焼け止め必須
リコピンMMP-1発現抑制塗る日焼け止め必須
ニコチンアミドDNA修復促進塗る日焼け止め必須

飲む日焼け止めだけでは光老化を完全に防げない

飲む日焼け止めの臨床データは確かに蓄積されていますが、単独で光老化を完全に防ぐことは現時点の科学的エビデンスでは証明されていません。塗る日焼け止めとの併用が大前提です。

SPF値に換算できるほどの遮断力は期待できない

塗る日焼け止めはSPF30で約97%、SPF50で約98%の紫外線を遮断するとされています。一方、飲む日焼け止めの臨床試験で報告されているMED(最小紅斑量)の上昇幅は、SPFに換算すると2〜3程度にとどまるケースが多いのが現実です。

つまり、紫外線の大部分は依然として肌に到達しているわけです。飲む日焼け止めだけに頼って外出するのは、日傘なしで真夏の炎天下を歩くのとほぼ変わりません。

βカロテン単独摂取では光老化の予防効果が確認されていない

オーストラリアの大規模試験では、日焼け止めの毎日使用は肌老化の抑制に有効だった一方、βカロテンの経口摂取には光老化を防ぐ有意な効果が認められませんでした。

対策の種類光老化への効果エビデンスの強さ
塗る日焼け止め(毎日使用)肌老化を24%抑制大規模RCTで証明済み
βカロテン経口摂取有意な効果なし同上の試験で確認
飲む日焼け止め(PLE等)補助的な効果あり小〜中規模のRCT

抗酸化成分の種類によって効果にばらつきがある

「飲む日焼け止め」とひとくくりにされがちですが、含まれる成分によって作用も効果の大きさもまったく異なります。ファーンブロックやアスタキサンチンには複数のランダム化比較試験がある一方、十分な臨床データが不足している成分も少なくありません。

製品を選ぶ際には、「飲む日焼け止め」という商品カテゴリではなく、具体的にどの成分がどのくらいの量配合されているかを確認することが大切です。

過信が紫外線対策の手抜きにつながるリスク

飲む日焼け止めを摂取しているという安心感から、塗る日焼け止めの塗り直しを怠ったり、帽子や日傘の使用をやめてしまったりする方がいます。こうした行動変容はかえって紫外線被ばく量を増やし、光老化を加速させかねません。

飲む日焼け止めはあくまで「プラスαの守り」であり、基本の対策を置き換えるものではないと心得ておきましょう。

紫外線対策を底上げする毎日の生活習慣

飲む日焼け止めの効果を引き出すには、日常生活のなかで紫外線対策を総合的に組み立てることが大切です。ひとつの対策だけに頼るのではなく、複数の手段を重ねることで防御力は格段に高まります。

塗る日焼け止めは「量」と「塗り直し」が効果を左右する

塗る日焼け止めの効果を十分に発揮させるには、1平方センチメートルあたり2mgという量が必要です。これは顔全体でクリームタイプなら真珠2粒分に相当しますが、実際にはこの半分以下しか塗っていない方がほとんどだといわれています。

また、汗や皮脂で落ちるため、2〜3時間おきの塗り直しも欠かせません。こうした塗り方のむずかしさを補う手段として、飲む日焼け止めの併用は合理的な選択肢になりえます。

物理的遮光を組み合わせれば防御力は段違いに上がる

帽子、日傘、サングラス、UVカットの長袖シャツなど、紫外線を物理的に遮断するアイテムは日焼け止めクリームとは異なり、汗で落ちたり塗りムラが生じたりする心配がありません。

  • つばの広い帽子(7cm以上で顔の紫外線を約60%カット)
  • UPF50+の衣類(紫外線の98%以上を遮断)
  • UVカット機能付きサングラス(目からの紫外線侵入を防ぐ)
  • 遮光率99%以上の日傘

抗酸化力を高める食事パターンを意識する

サプリメントだけでなく、日常の食事から抗酸化物質を積極的に摂ることも肌の防御力強化につながります。トマト(リコピン)、サケ(アスタキサンチン)、ホウレンソウ(ルテイン)、柑橘類(ビタミンC)などを日々の食卓に取り入れることで、体の内側から酸化ストレスに対抗する土台が整います。

臨床研究では、特定の成分をサプリメントとして摂った場合の効果が多く報告されていますが、バランスの良い食事と組み合わせることで相乗効果が期待できるとされています。

紫外線が強い時間帯の外出を避けるだけでも大きな差になる

紫外線量が最も多い午前10時から午後2時の間は、可能であれば直射日光を避けるのが理想です。日陰を選んで歩くだけでも紫外線の被ばく量は大幅に減ります。

もちろん、仕事やお出かけの都合で完全に避けるのは難しいでしょう。そうした場合にこそ、塗る日焼け止めと飲む日焼け止めの併用、さらに帽子や日傘といった物理的遮光を重ねる「多層防御」の発想が有効です。

飲む日焼け止めを選ぶときに気をつけたいポイント

飲む日焼け止め市場には多種多様な製品が出回っており、成分の種類・配合量・品質にはかなりのばらつきがあります。自分に合ったものを見極めるためには、いくつかの判断基準を持っておくと安心です。

臨床試験で効果が確認された成分を選ぶ

確認ポイント判断のめやす
含有成分PLE・アスタキサンチン・リコピンなど論文で効果報告がある成分
配合量臨床試験で使用された用量に近いかどうか
品質管理GMP認証を取得した工場で製造されているか

配合量が明記されていない製品には注意する

「〇〇エキス配合」と記載されていても、具体的な含有量が明記されていない製品は少なくありません。臨床試験で効果が報告されている成分であっても、十分な量が入っていなければ期待通りの結果は得られない可能性があります。

たとえばファーンブロック(PLE)の臨床試験では1日240〜480mgが使用されています。製品を選ぶ際には、成分表示を確認して試験で使われた用量と照らし合わせてみてください。

医師への相談が必要なケースもある

飲む日焼け止めは基本的に安全性が高いとされていますが、妊娠中・授乳中の方や、持病のある方、他の薬を服用中の方は事前に主治医に相談することをおすすめします。

とくにシダ植物由来の成分はアレルギー反応を起こすケースがまれに報告されています。初めて使用する際は少量から始め、体調の変化に注意を払いましょう。

「飲めば安心」ではなく総合的な紫外線対策の一部として取り入れる

何度も繰り返しになりますが、飲む日焼け止めだけで光老化を防ぐことはできません。塗る日焼け止めの正しい使用、物理的遮光、生活習慣の見直しと組み合わせて初めて、その補助的な効果が活きてきます。

「できる対策はすべてやる」という姿勢こそが、5年後・10年後の肌の若々しさを大きく左右するのです。

よくある質問

飲む日焼け止めは塗る日焼け止めの代わりになりますか?

飲む日焼け止めは塗る日焼け止めの代わりにはなりません。経口の抗酸化サプリは、紫外線そのものを肌の表面で遮断する力を持っておらず、体内で発生した活性酸素を中和する補助的な作用にとどまります。

塗る日焼け止めはSPF30以上で紫外線の約97%を遮断できますが、飲む日焼け止めで期待できるMED上昇はSPF換算で2〜3程度です。あくまでも塗る日焼け止めを基本とし、それに上乗せする形で飲む日焼け止めを取り入れるのが医学的に推奨される使い方です。

抗酸化サプリはどのくらいの期間飲み続ければ効果を実感できますか?

抗酸化サプリの効果が現れるまでの期間は成分によって異なりますが、多くの臨床試験では8〜12週間の継続摂取が効果判定の基準とされています。アスタキサンチンの場合は16週間、リコピンやルテインでは12週間の試験が行われています。

飲み始めてすぐに紫外線への防御力が上がるわけではありません。血中濃度が安定し、皮膚の細胞に十分な量が届くまでには一定の時間がかかります。毎日継続して摂取し、途中でやめないことが効果を得るための条件です。

飲む日焼け止めに含まれるファーンブロックの安全性は確認されていますか?

ファーンブロック(ポリポディウム・ロイコトモス抽出物)は、二重盲検プラセボ対照試験において1日480mgを60日間投与した場合にも重篤な副作用は報告されておらず、安全性が高い成分と考えられています。

ただし、シダ植物由来であるためアレルギー体質の方は注意が必要です。妊娠中・授乳中の方についてはヒトでの安全性データが限られていますので、使用前に必ず主治医にご相談ください。

アスタキサンチンのサプリメントはしわの予防に効果がありますか?

アスタキサンチンのしわ予防効果については、複数の臨床試験でポジティブな傾向が報告されています。65名の健常女性を対象とした16週間の二重盲検試験では、プラセボ群でしわパラメータが有意に悪化した一方、アスタキサンチン群では悪化が認められませんでした。

ただし、既存のしわを積極的に改善する効果が証明されているわけではありません。現時点のエビデンスは「悪化を防ぐ可能性がある」というレベルであり、しわ治療を目的とする場合は皮膚科で専門的な相談を受けることをおすすめします。

飲む日焼け止めと食事から摂る抗酸化成分はどちらが光老化対策に向いていますか?

飲む日焼け止め(サプリメント)と食事由来の抗酸化成分は、どちらか一方を選ぶものではなく併用が理想的です。臨床試験では特定の成分を一定量摂取した場合の効果が報告されていますが、日常の食事からバランスよく摂る抗酸化成分も肌の防御力に貢献します。

トマト、サケ、緑黄色野菜、柑橘類などを意識的に食卓に取り入れつつ、食事だけでは補いきれない量をサプリメントで補うという考え方が実践的です。いずれにしても、塗る日焼け止めと物理的遮光が光老化対策の土台であることに変わりはありません。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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