貴族手術(プロテーゼ挿入)とは?ヒアルロン酸との違いとメリット・デメリット

貴族手術(プロテーゼ挿入)とは?ヒアルロン酸との違いとメリット・デメリット

鼻の横から口元にかけてのくぼみが気になり始めると、ほうれい線が深く見えたり、顔全体が疲れた印象になったりしがちです。「貴族手術」と呼ばれる鼻翼基部へのプロテーゼ挿入は、この悩みに対して半永久的な改善を目指す方法として注目を集めています。

一方で、手軽に受けられるヒアルロン酸注入との違いが分かりにくいと感じる方も多いでしょう。両者の効果・持続期間・リスクを比較しながら、どちらが自分に合うのかを判断するための情報をお伝えします。

目次

貴族手術(鼻翼基部プロテーゼ挿入)で変わる顔の印象は想像以上に大きい

貴族手術とは、鼻翼基部(小鼻の付け根あたり)にシリコンプロテーゼを挿入してボリュームを補い、口元や頬まわりの印象を改善する施術です。顔の中央部分のくぼみが整うだけで、見た目年齢はぐっと若返ります。

小鼻の付け根を持ち上げるとほうれい線が目立たなくなる

鼻翼基部が凹んでいると、ほうれい線の溝が余計に深く見えます。この部分にプロテーゼを挿入して骨格レベルで底上げすると、ほうれい線の影が浅くなり、口元全体が明るくなるのを実感できるでしょう。

シリコンプロテーゼを鼻翼基部に挿入する仕組み

手術では、口の中(上唇の裏側)を数センチ切開し、骨膜の下にポケットを作ってプロテーゼを挿入します。外側から傷が見えないため、周囲に気づかれにくい方法です。

使われるプロテーゼは医療用シリコンが一般的で、患者さん一人ひとりの骨格に合わせてサイズや厚みを選びます。左右のバランスを確認しながら位置を微調整できるため、自然な仕上がりを実現しやすいでしょう。

プロテーゼの素材と特徴

素材特徴持続期間
シリコン加工しやすく、抜去も容易半永久的
ゴアテックス(ePTFE)組織と馴染みやすい半永久的
ヒアルロン酸(注入)注射のみで手軽6〜12か月程度

口元や頬全体の印象がすっきり若返る

鼻翼基部のくぼみが改善されると、頬から口元にかけてのラインがなめらかになります。その結果、顔全体の輪郭がすっきりとして、実際の年齢よりも若々しい印象を与えられるようになります。

横顔のシルエットが整うことも大きな変化です。鼻の付け根から上唇にかけてのカーブがゆるやかになり、いわゆる「貴族的な横顔」に近づくことからこの名称がつきました。

鼻翼基部の陥没が老け顔やほうれい線の深さを招く

ほうれい線が深くなる原因は、皮膚のたるみだけではありません。鼻翼基部の骨格が十分に前方へ突出していないと、周囲の組織を支えきれず、溝が目立ちやすくなります。

加齢で鼻翼基部が凹むと「疲れ顔」に見えやすい

年齢を重ねると、顔の中央にある骨や脂肪が徐々に減少します。とりわけ上顎骨(じょうがくこつ)まわりの骨吸収が進むと、鼻翼基部の凹みが際立ち、顔全体にくたびれた印象を与えてしまうのです。

鏡を横から見たときに口元が奥に引っ込んで見える方は、骨格レベルで凹みが生じている可能性があります。スキンケアやマッサージでは解決できない構造的な問題です。

口元のもたつきとほうれい線が深くなる原因

鼻翼基部の陥没は、ほうれい線の溝を深くするだけでなく、口元に影を作ります。上唇が薄く見えたり、鼻と唇の角度(鼻唇角)が鋭くなったりして、もたついた印象を生むことが少なくありません。

脂肪注入やヒアルロン酸注入で一時的にふっくらさせることはできますが、骨格の土台が不足している場合は根本的な改善にはつながりにくいでしょう。

鼻翼基部の骨格的な特徴と東アジア人の顔立ち

東アジア人は欧米人と比較して、上顎の前方への突出がやや控えめな骨格をしている傾向があります。そのため鼻翼基部の凹みが目立ちやすく、ほうれい線も深く見えやすいという特徴を持っています。

この骨格的な背景があるからこそ、鼻翼基部にプロテーゼを挿入する貴族手術は、とりわけアジア圏で多くの臨床報告が蓄積されてきました。

  • 上顎骨の前方突出が控えめで、ほうれい線が目立ちやすい
  • 加齢による骨吸収が加わると、凹みがさらに進行する
  • スキンケアでは改善しにくい骨格レベルの問題である

ヒアルロン酸注入と貴族手術(プロテーゼ)はどう違うのか

同じ鼻翼基部の凹みを改善する方法でも、ヒアルロン酸注入とプロテーゼ挿入では効果の持続期間やリスク、仕上がりに大きな違いがあります。自分の目的や生活スタイルに照らして比較することが大切です。

ヒアルロン酸注入は手軽だが持続は半年から1年程度

ヒアルロン酸注入は注射だけで完結するため、施術時間は15分から30分ほどと短く、ダウンタイムもほとんどありません。痛みも比較的軽く、初めて美容医療を受ける方でもハードルが低いといえるでしょう。

ただし、ヒアルロン酸は体内で徐々に吸収されるため、効果は半年から1年程度で薄れていきます。効果を維持したい場合は定期的な再注入が必要になり、長期的に見るとコストがかさむことがあります。

プロテーゼ挿入は一度の手術で長期間維持できる

プロテーゼを骨膜下に留置する貴族手術は、一度の手術で半永久的な効果を得られるのが大きな特徴です。注入のように繰り返し通院する必要がないため、忙しい方や長期的な安定感を求める方に向いています。

プロテーゼは体内に吸収されないため、形態が安定したあとは経年変化がほとんどありません。ただし手術を伴うため、ダウンタイムや術後の管理はヒアルロン酸注入よりもしっかり行う必要があるでしょう。

ヒアルロン酸注入とプロテーゼ挿入の比較

項目ヒアルロン酸注入プロテーゼ挿入
施術時間15〜30分30〜60分
持続期間6〜12か月半永久的
ダウンタイムほぼなし1〜2週間
痛み軽度麻酔下で施術
修正のしやすさ溶解注射で対応可再手術が必要

仕上がりの自然さに差が出るケースもある

ヒアルロン酸は柔らかいジェル状の製剤であるため、注入直後はふっくらとした印象になりやすい反面、時間の経過とともに形が崩れることがあります。動きの多い鼻翼基部では、注入物が周囲に広がりやすい点が課題です。

プロテーゼは固形の素材を骨の上に固定するため、形状が安定しやすく、シャープで自然な輪郭を出しやすい傾向があります。ただし厚みの選択を誤ると不自然な突出感が出ることがあるため、医師の経験と審美眼が仕上がりを左右します。

貴族手術で半永久的な効果が続くのはプロテーゼだからこそ

貴族手術で使われるシリコンプロテーゼは体内で吸収されず、安定した状態を長く保ちます。一度の施術で長期間の効果を望む方にとって、もっとも信頼できる選択肢の一つです。

半永久的にボリュームを維持できる安心感

ヒアルロン酸が数か月から1年で吸収されるのに対して、シリコンプロテーゼは体内で分解されません。そのため術後の形態が安定すれば、何年経っても同じボリュームを維持できます。

「せっかく理想の顔立ちになったのに、また元に戻ってしまうのでは」という不安がないのは、精神的にも大きなメリットです。

繰り返しの注入にかかる費用と比較するとコストパフォーマンスが良い

ヒアルロン酸注入は1回あたりの費用は手術より安価ですが、半年から1年ごとに再注入を繰り返すと、5年間のトータルコストではプロテーゼ挿入を上回ることも珍しくありません。

長期的な視点で費用対効果を比較すると、一度の手術で完結するプロテーゼ挿入のほうが経済的な負担を抑えられる場合があります。

骨格に沿ったプロテーゼは自然な横顔をつくる

プロテーゼは骨膜の下に留置するため、骨と一体化したようなシルエットをつくりやすい点が魅力です。笑ったときや表情を動かしたときに不自然な膨らみが出にくい傾向にあります。

特に横顔の変化が顕著で、鼻から上唇にかけてのラインがなめらかに整います。正面だけでなく横からの印象も大切にしたい方には、プロテーゼ挿入が適しているでしょう。

長期的な費用比較(目安)

期間ヒアルロン酸(年2回想定)プロテーゼ挿入
1年約10〜20万円約25〜50万円
3年約30〜60万円約25〜50万円
5年約50〜100万円約25〜50万円

手術を受ける前に押さえておきたいデメリットとリスク

貴族手術はメリットの多い施術ですが、手術である以上、リスクやデメリットが伴います。術前にしっかり把握しておくことで、安心して手術に臨めるでしょう。

手術後の腫れや内出血は避けられない

口腔内を切開するため、術後は口元や頬にかけて腫れが生じます。個人差はありますが、大きな腫れは1週間ほどで落ち着き、2週間から1か月で自然な状態に戻っていくのが一般的です。

内出血が出た場合も、通常は1〜2週間で吸収されます。マスクやメイクでカバーしやすい部位のため、社会復帰は比較的早いでしょう。

感染や異物反応のリスクをゼロにはできない

体内に人工物を挿入するため、ごくまれに感染症や異物反応が起きる場合があります。術後は処方された抗生物質を指示どおりに服用し、口腔内を清潔に保つことが大切です。

術後に注意すべきリスク一覧

リスク発生頻度対処法
腫れ・内出血ほぼ全例1〜2週間で改善
感染まれ抗生物質の内服
プロテーゼのずれまれ再固定手術
しびれ・知覚異常一時的にあり通常は数週間で回復

プロテーゼのずれや違和感が出る可能性

術後に強い衝撃が加わったり不適切な圧迫があったりすると、プロテーゼが当初の位置からずれてしまうことがあります。手術時の丁寧なポケット作成とフィッティングが欠かせません。

また、術後しばらくは上唇周辺にしびれや違和感を覚えることがあります。神経が一時的に圧迫されることが原因で、多くの場合は数週間以内に自然と回復します。

貴族手術の流れとダウンタイムを詳しく解説

手術を検討する際に、施術の流れやダウンタイムの過ごし方を事前に把握しておくと不安が軽減されます。カウンセリングから術後の回復までを時系列で整理しました。

カウンセリングから手術当日までの準備

まずは医師によるカウンセリングで、鼻翼基部の凹み具合や左右差、顔全体のバランスを確認します。レントゲンやCT撮影を行い、骨格に合ったプロテーゼの種類と厚みを決定する場合もあるでしょう。

手術日が決まったら、飲酒や喫煙の制限、血流を促進するサプリメントの中止などが指示されます。体調を万全に整えて手術に臨むことが、スムーズな回復への第一歩です。

手術の所要時間と麻酔の方法

手術時間は片側15〜20分程度、両側で30〜60分が目安です。局所麻酔に加えて静脈内鎮静法を併用する医療機関もあり、眠っている間に手術が終わるケースも少なくありません。

ダウンタイム中の過ごし方と注意すべきポイント

術後3〜5日間は腫れのピークとなるため、冷却を心がけ、激しい運動や長時間の入浴は控えてください。食事は柔らかいものを中心に、口腔内の傷に負担をかけないよう工夫することをおすすめします。

1週間を過ぎると腫れは徐々に引き、2週間後にはほぼ日常生活に支障がなくなります。完成形に近づくのは術後1〜3か月ごろです。

  • 術後3〜5日が腫れのピーク。冷却と安静が回復を早める
  • 1週間後からデスクワークなど軽い作業は再開可能
  • 術後1〜3か月で最終的な仕上がりに落ち着く

注入と手術、自分に合った施術を見極めるためのチェックポイント

ヒアルロン酸注入とプロテーゼ挿入、どちらを選ぶかは一人ひとりの悩みの深さやライフスタイルによって変わります。後悔のない選択をするために、以下の観点で検討してみてください。

注入と手術を比較して判断する基準

「まずは試してみたい」「ダウンタイムを取れない」という方にはヒアルロン酸注入が向いています。手軽に始められ、効果に満足できなければ溶解することも可能です。

施術選択の判断基準

判断基準ヒアルロン酸向きプロテーゼ向き
初めての施術まず試してみたい方はっきりした変化を求める方
ダウンタイム休みが取りにくい方1〜2週間の休みが確保できる方
持続期間短期間で様子を見たい方長期的な効果を望む方
費用初期費用を抑えたい方トータルコストを抑えたい方

医師とのカウンセリングで必ず確認すべき項目

施術を決める前に、使用するプロテーゼの種類やサイズ、過去の症例数、想定されるリスクについて具体的に質問してください。丁寧に答えてくれる医師なら、信頼して任せられるでしょう。

術後のフォロー体制も確認しておきたいポイントです。トラブルが起きたときに迅速に対応してもらえるかは、医療機関を選ぶうえで見逃せない要素といえます。

長期的に満足できる選択は「目的」と「予算」で決まる

明確なゴールが定まっている方は、最初からプロテーゼ挿入を選んだほうが満足度が高い傾向にあります。ゴールがまだ曖昧な段階であれば、ヒアルロン酸注入で仕上がりのイメージを確認してから手術に進むのも賢い方法です。

予算についても、短期的な出費だけでなく5年後・10年後のトータルコストまで見据えることをおすすめします。ご自身の悩みの深さとライフプランに合わせて、納得のいく施術を選んでください。

よくある質問

貴族手術(プロテーゼ挿入)のダウンタイムはどのくらいですか?

貴族手術のダウンタイムは、大きな腫れが出る期間として術後3〜5日間が目安です。1週間ほどで腫れの大部分は引き、マスクで隠せる程度になります。

完全に腫れが落ち着いて最終的な仕上がりになるまでには1〜3か月かかる場合もありますが、日常生活への復帰は2週間前後で可能です。

貴族手術のプロテーゼは将来的に抜去や入れ替えが必要になりますか?

医療用シリコンプロテーゼは経年劣化がほとんどないため、問題が生じなければ入れ替える必要はありません。ただし、加齢による骨格の変化で見た目のバランスが変わった場合は、担当医と相談のうえで調整を検討するケースもあります。

万が一プロテーゼを抜去したいと思ったときは、口腔内から取り出す手術で対応できます。挿入時と比べて手術時間は短く、身体への負担も少ないでしょう。

鼻翼基部へのヒアルロン酸注入を繰り返すとプロテーゼより費用がかかりますか?

ヒアルロン酸注入は1回あたりの費用は5〜10万円前後が一般的ですが、効果を維持するには半年〜1年ごとの再注入が必要です。5年間で換算すると50〜100万円程度になる場合があります。

プロテーゼ挿入は初回費用が25〜50万円程度ですが、追加費用が基本的に発生しないため、長期で比較するとコストを抑えられることが多いです。

貴族手術で使用するプロテーゼが外から触れてわかることはありますか?

プロテーゼは骨膜の下に挿入するため、皮膚の上から触っても輪郭がわかることはほとんどありません。骨と一体化するように設置されるので、見た目にも触感にも違和感が出にくい設計になっています。

ただし、皮膚が非常に薄い方や極端に厚いプロテーゼを挿入した場合は、わずかに触知できることがあります。そのため、カウンセリング時に自分の組織の厚みに合ったサイズを選ぶことが大切です。

貴族手術とほうれい線治療は同時に受けられますか?

鼻翼基部へのプロテーゼ挿入と、ほうれい線へのヒアルロン酸注入やフェイスリフトなどを同時に行うことは可能です。複数の施術を組み合わせることで、口元から頬にかけてのエイジングサインをより効果的に改善できるでしょう。

ただし、同時施術はダウンタイムがやや長くなるため、スケジュールに余裕を持って計画するのがおすすめです。具体的な組み合わせは担当の医師にご相談ください。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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