真皮深層に届くロングUVAの脅威|日焼け止めをすり抜けてシワを刻む光

真皮深層に届くロングUVAの脅威|日焼け止めをすり抜けてシワを刻む光

日々のスキンケアを入念に行い、高いSPF値の日焼け止めを塗っているにもかかわらず、鏡を見るたびに深くなるシワやたるみに不安を感じていませんか。

実は、一般的な紫外線対策では防ぎきれない「ロングUVA」という光が肌の奥深くにある真皮層を破壊し、不可逆的な老化を引き起こしています。

本記事では、この見落とされがちなロングUVAの正体と、真皮を守り抜くために必要な具体的な対策を網羅的に解説します。表面的なケアだけでなく、光の性質を理解した本質的なアプローチを取り入れることで、未来の肌は確実に変わります。

目次

ロングUVAとは何か通常の紫外線との決定的な違い

ロングUVAは地上に届く紫外線の約75%を占め、肌の弾力を支える真皮層まで到達して深刻なダメージを与えるため、通常のUVBや短いUVA以上に警戒が必要です。

私たちが日常的に浴びている紫外線には波長の長さによって種類があり、それぞれ肌への影響度が異なります。多くの人が意識する「日焼け」は主にUVBによるものですが、光老化の主犯格はUVA、中でも波長の長いロングUVAです。

この光の特性を正しく理解することが、たるみやシワを防ぐ第一歩となります。

波長が長いほど肌の奥深くまで侵入する物理的性質

光の波長はその長さによって物質への透過力が変わります。波長が短いUVB(280〜320nm)はエネルギーが強く、主に肌の表面(表皮)で炎症や赤みを引き起こします。

これに対し、UVA(320〜400nm)はエネルギー自体は弱いものの、物質を透過する力が優れています。さらに、UVAの中でも340〜400nmの波長領域を持つものを「ロングUVA」と呼びます。

ロングUVAは、波長が長いために障害物をすり抜ける性質を強く持ちます。この性質により、肌のバリア機能を持つ角層や表皮を容易に通過し、肌の土台である真皮層にまで到達します。

表皮でのダメージはターンオーバーによってある程度修復しますが、真皮層でのダメージは蓄積しやすく、回復が困難です。これが、ロングUVAが「静かなる老化の光」と呼ばれる理由です。

地上に降り注ぐ紫外線の大部分を占めるロングUVA

私たちが浴びる紫外線の総量のうち、肌に急激な炎症を起こすUVBはわずか5%程度に過ぎません。残りの約95%はUVAであり、そのUVAの中のさらに約75%以上をロングUVAが占めています。

つまり、日常生活で私たちが無意識のうちに浴び続けている紫外線のほとんどが、このロングUVAなのです。

UVBは夏場に量がピークを迎えますが、UVA、特にロングUVAは季節による変動が比較的少なく、一年中降り注いでいます。また、朝夕の太陽高度が低い時間帯でも、ロングUVAの量は大きく減少しません。

この「常に大量に降り注いでいる」という事実が、知らず知らずのうちに肌へのダメージ蓄積を招きます。日差しの強さを基準に対策をしていると、この大量のロングUVAの被ばくを防げないのです。

雲や窓ガラスを透過して生活空間に侵入する脅威

ロングUVAの透過力の高さは肌に対してだけでなく、私たちの生活環境に対しても脅威となります。曇りの日であっても、雲を構成する水滴や粒子を散乱しながら透過するため、晴天時の60%以上のロングUVAが地上に届きます。

「今日は曇っているから日焼け止めは塗らなくていい」という判断は、ロングUVAに関しては大きな誤りです。

さらに深刻なのは、一般的な住宅やオフィスの窓ガラスをも透過する点です。UVBの多くはガラスで遮断しますが、ロングUVAはガラスを容易にすり抜けます。

テレワーク中や家事をしている最中、あるいは車を運転している間にも、窓越しの光によって肌は確実にダメージを受けています。室内なら安全という常識はロングUVAには通用しません。

紫外線種類別の特徴と肌への到達度比較

種類(波長)主な特徴肌への到達度
UVB(280-320nm)エネルギーが強く、短時間で赤みや炎症(サンバーン)を起こす主に表皮までで表面的なダメージが中心
ショートUVA(320-340nm)UVBとロングUVAの中間の性質を持つ。即時的な黒化に関与表皮から真皮の上層部にかけて影響を与える
ロングUVA(340-400nm)透過力が高く、痛みや赤みを伴わずにじわじわと細胞を傷つける真皮の深層部まで到達し、土台を破壊する

赤くならずに進行するため自覚症状がない怖さ

UVBによる日焼けは肌が赤くなったりヒリヒリしたりするため、ダメージを受けたことをすぐに自覚できます。しかし、ロングUVAによるダメージには、こうした即時的な警告サインがほとんどありません。

肌が黒くなる反応(サンタン)は起こりますが、痛みや炎症を伴わないことが多いため、多くの人が「日焼け止めを塗っていなかったけれど大丈夫だった」と勘違いをしてしまいます。

自覚症状がないまま、ロングUVAは日々真皮層の組織を破壊し続けます。数年後、あるいは数十年後に深いシワやたるみとして表面化したときには、すでに真皮の構造はボロボロになっているのです。

この「サイレントキラー」としての性質こそが、ロングUVAの最大の脅威と言えます。

真皮層の破壊と老化の進行肌内部で起きていること

ロングUVAは真皮にある線維芽細胞にダメージを与え、コラーゲンやエラスチンを変性・切断することで、肌の弾力を根本から奪い去ります。

肌のハリや弾力は、真皮層にあるコラーゲン線維やエラスチン線維が網目状に張り巡らされることで維持しています。ロングUVAはこの構造体そのものを破壊するだけでなく、それらを生み出す工場の役割を果たす細胞までも弱らせてしまいます。

線維芽細胞への直接的なダメージと機能低下

真皮層には「線維芽細胞」という非常に重要な細胞が存在します。この細胞は肌のハリ成分であるコラーゲン、弾力成分であるエラスチン、そして潤い成分であるヒアルロン酸を生み出す、いわば「肌の工場」です。

ロングUVAが真皮深層まで届くと、この線維芽細胞の核にあるDNAに傷をつけます。DNAが損傷した線維芽細胞は正常な機能を果たせなくなります。

新しいコラーゲンやエラスチンを作る能力が低下するだけでなく、質に問題のある不完全な線維を作り出すこともあります。

工場の機能が低下すれば、どれだけ良い化粧品を使って表面を保湿しても肌の内側からのハリは失われていく一方です。ロングUVA対策は、この線維芽細胞を守ることに他なりません。

活性酸素の発生によるコラーゲンの切断と変性

ロングUVAが肌内部に侵入すると、細胞内で「活性酸素」が大量に発生します。活性酸素は本来、細菌などから体を守る役割を持っていますが、過剰に発生すると健康な細胞や組織を攻撃し始めます。これを「酸化ストレス」と呼びます。

真皮内で発生した活性酸素はコラーゲン線維を硬く変質させたり、ブチブチと切断したりします。さらに、エラスチンを変性させ、弾力を失ったゴムのような状態にしてしまいます。これを「ソーラーエラスボーシス(光弾性線維症)」と呼びます。

しなやかさを失った真皮は、表情の動きによってできた折り目(シワ)を押し戻すことができなくなり、それが定着して深いシワとなります。

分解酵素の過剰産生によるマトリックスの崩壊

ロングUVAによる刺激は、真皮の構成成分を分解する酵素(MMP:マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生を異常に促進します。

通常、この酵素は古くなった組織を分解して新陳代謝を促すために必要ですが、ロングUVAの影響で過剰に作られると、新しくて健康なコラーゲンまで手当たり次第に分解し始めます。

作る能力(線維芽細胞)が低下している状態で壊す能力(分解酵素)だけが暴走するため、真皮の密度はスカスカになっていきます。

この状態が続くと皮膚が重力に抗えなくなり、たるみやマリオネットライン、ブルドッグ顔といった深刻な老化現象を引き起こします。

真皮層で破壊の対象となる主要な要素

  • 肌のハリを支える柱となるコラーゲン線維
  • 肌の弾力と伸縮性を担うエラスチン線維
  • 上記の成分を生み出す司令塔である線維芽細胞
  • 真皮内の水分を保持するヒアルロン酸などの基質

従来の日焼け止めが抱えるロングUVA防御の課題

一般的な日焼け止めの指標であるSPFやPAはロングUVAに対する防御効果を十分に反映していない場合があり、数値だけで選ぶと無防備な状態になりかねません。

多くの人が「SPF50+ PA++++なら安心」と考えますが、現在の測定基準にはロングUVA特有の波長領域に対する防御力を厳密に示す統一された指標が少ないのが現状です。

SPFとPAの測定基準における死角

日焼け止めに記載する「SPF」は主にUVB(赤くなる日焼け)を防ぐ時間をどれだけ延ばせるかを示す数値です。

一方、「PA」はUVAによる即時黒化(肌が黒くなる反応)を防ぐ効果を示します。しかし、このPA値の測定において重視するのは、UVAの中でも比較的波長が短い領域の反応です。

ロングUVA(370nm〜400nm付近)は即時的な黒化反応が弱いため、PA値の測定試験ではその防御力が数値に反映しにくいという側面があります。

つまり、PA++++と表示してあっても、それは340nm付近までのUVAはしっかり防げているが、370nm以上のロングUVAに対してどれだけ防御力があるかは、製品によって大きなばらつきがあるのです。

紫外線吸収剤と散乱剤のロングUVA対応力

日焼け止めの成分には「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があります。

従来から使われている多くの紫外線吸収剤は、UVBやショートUVAの波長領域では高い吸収能力を発揮しますが、400nmに近づくロングUVAの領域になると、吸収能力が急激に低下するものが多く存在します。

また、紫外線散乱剤(酸化チタンや酸化亜鉛)も、粒子径の大きさによって防御できる波長が変わります。一般的に白浮きを防ぐために微粒子化しますが、粒子を小さくしすぎるとロングUVAの波長を反射しにくくなるというジレンマがあります。

近年ではロングUVAに対応した新しい吸収剤や技術が登場していますが、すべての製品に配合しているわけではありません。

塗布量の不足と塗りムラによる防御効果の低下

どんなに優れたロングUVA対応の日焼け止めでも、塗る量が少なければ効果は発揮しません。

試験で測定するSPFやPAの値は、皮膚1平方センチメートルあたり2mgという、かなり厚塗りの状態で測定したものです。しかし、実際に多くの人が塗っている量はその半分以下と言われています。

特にロングUVAは透過力が高いため、塗りムラがある部分や薄くなっている部分を狙い撃ちするかのように侵入します。また、皮脂や汗、表情の動きによって日焼け止め膜(UVブロック膜)にミクロの亀裂が入ると、そこからロングUVAが漏れ込みます。

均一で厚みのある防御膜を作ることが、ロングUVA対策では特に重要です。

日焼け止め成分のタイプ別特徴とロングUVAへの適性

成分タイプ一般的な特徴ロングUVAへの防御力
従来の紫外線吸収剤白浮きせず使用感が良い。UVB防御に優れる370nm以上の長波長領域で防御力が落ちる傾向がある
紫外線散乱剤(ノンケミカル)肌への負担が少ない。酸化チタン、酸化亜鉛など粒子サイズや加工技術に依存する。酸化亜鉛は比較的対応範囲が広い
次世代型紫外線吸収剤光安定性が高く、広範囲の波長をカバーするテレフタリリデンジカンフルスルホン酸などはロングUVAも強力にカットする

シワとたるみを防ぐための正しい日焼け止めの選び方

ロングUVAによる深層ダメージを防ぐには、「ロングUVA対応」を明記した製品を選び、防御膜の持続性と密着性を重視することが必要です。

パッケージの「SPF50+ PA++++」という表示だけで満足せず、どのような技術でロングUVAを防いでいるか、配合成分やキャッチコピーを確認する視点が求められます。

「ロングUVA対応」「Deep UVA」の表記を確認する

最も確実な方法は、パッケージや公式サイトに「ロングUVA対応」「Deep紫外線カット」「380nm-400nm対応」といった文言があるかを確認することです。

メーカー側もロングUVAの脅威を認識しており、特定の波長領域をカットできる技術を搭載した製品には、その旨を強調して記載しています。

特に欧州系のブランドや皮膚科学に基づいたドクターズコスメのブランドでは、ロングUVAに対する防御基準(UV-APFなど)を独自に設け、厳格なテストを行っているものが多くあります。

成分表示を見る際はロングUVAに強い吸収剤(ドロメトリゾールトリシロキサンやビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなど)や、適切な大きさの酸化亜鉛が配合しているかをチェックすると良いでしょう。

テクスチャーと密着性が防御膜の強度を決める

ロングUVAの侵入を許さないためには、肌の上に「隙間のない均一な膜」を作ることが重要です。そのためには肌の凹凸にピタッと密着し、時間が経ってもヨレにくいテクスチャーの製品を選ぶことが大切です。

サラサラしすぎるものや、揮発性が高くすぐに乾いてしまうものは、塗りムラができやすい傾向にあります。

最近では、肌のキメや毛穴の凹凸に合わせて防御膜が変形・密着する技術(ストレッチ処方など)を採用した日焼け止めも登場しています。特に表情がよく動く目元や口元はシワができやすい場所なので、柔軟性のある被膜を作るタイプが適しています。

店頭でテスターを使用し、皮膚を動かしても膜が割れないか、密着感があるかを確認しましょう。

下地やファンデーションとの重ね使いで防御壁を厚くする

単一のアイテムだけでロングUVAを完全に遮断するのは困難です。

日焼け止め単体ではなく、UVカット効果のある化粧下地、ファンデーション、フェイスパウダーを重ねる「ミルフィーユ塗り」を行うことで防御壁を物理的に厚くし、隙間を埋めることができます。

特に仕上げのフェイスパウダーに紫外線散乱剤(酸化チタンや酸化亜鉛)が含まれているものを使うと、肌表面で物理的に光を跳ね返す効果が期待できます。

複数のアイテムを重ねることで、万が一どれか一つの層が崩れても、他の層がロングUVAの侵入を食い止めるバックアップの役割を果たします。

ロングUVA対策に有効な日焼け止め選びのポイント

確認すべき項目推奨される内容理由
パッケージ表記「ロングUVA対応」「長波長UVAカット」等の記載通常のPA値だけでは判断できない領域をカバーしている証拠となるため
配合成分酸化亜鉛、または次世代型の紫外線吸収剤酸化亜鉛はUVA領域の遮断に優れ、次世代吸収剤は光安定性が高いため
機能性耐こすれ、ストレッチ機能、フリクションプルーフ表情の動きや摩擦による防御膜のヨレ・隙間を防ぐため

生活シーンに潜むロングUVAのリスクと対策

屋外だけでなく、窓際や車内など日常のあらゆる場面にロングUVAのリスクは潜んでおり、シーンに合わせた遮蔽対策を講じることが重要です。

日焼け止めを塗ることは基本ですが、それ以外の物理的な遮断方法を組み合わせることで、被ばく量を大幅に減らすことができます。

室内における窓際対策と遮光アイテムの活用

自宅のリビングやオフィスの窓際は、ロングUVAの危険地帯です。窓ガラス(フロートガラス)はUVBをカットしますが、UVAは7割以上透過します。

直射日光が当たっていなくても、窓から1〜2メートル以内の場所は屋外の日陰と同程度の紫外線量があると考えましょう。

対策としては、窓にUVカットフィルムを貼ることが非常に有効です。特に「UVAカット率99%」や「防虫(紫外線に集まる虫を防ぐ)」機能があるフィルムは、ロングUVAも大幅にカットします。

また、UVカット機能付きのレースカーテンを使用するのも効果的です。カーテンを開けて光を取り込みたい場合は、必ず日焼け止めを室内でも塗る習慣をつけましょう。

車や電車での移動中に受ける側面からの照射

移動中の乗り物の中も注意が必要です。特に車の運転中はフロントガラスは合わせガラスでUVカット機能が高い場合が多いですが、サイドガラスは強化ガラスでUVAを通しやすい車種が少なくありません。

右側の頬や腕だけにシミやシワが多い「ドライバーズ焼け」は、まさにロングUVAによる非対称な光老化の典型例です。車内ではUVカット手袋やアームカバーを使用し、サンバイザーを活用しましょう。

電車やバスで移動する際も窓際の席は避けたり、日差しの向きを計算して座る位置を選んだりする工夫が必要です。短時間の移動であっても、毎日の積み重ねが数年後の肌に大きな差を生みます。

ブルーライトとの複合的な影響と対策

ロングUVAの波長(340-400nm)は、可視光線であるブルーライト(380-500nm)と隣接しており、性質も似ています。

近年、ブルーライトもまた肌の奥深くに到達し、酸化ストレスを与えて色素沈着や老化を促進することが分かってきました。太陽光にはロングUVAだけでなくブルーライトも大量に含まれています。

PCやスマートフォンの画面から出るブルーライトも懸念されますが、圧倒的に光量が強いのは太陽光に含まれるブルーライトです。

ロングUVA対策を行う際は、ブルーライトも同時にカットできる日焼け止めや、酸化鉄(着色顔料)を含んだファンデーションを使用することで、より広範囲の光ダメージから肌を守ることができます。

特に警戒すべきロングUVAのリスクが高い状況

  • 南向きや西向きの窓がある部屋で過ごす時間帯
  • 車の運転中や、電車の窓際席での移動中
  • 曇りの日や雨の日など、日差しが弱く油断しやすい天候
  • 朝の洗濯物干しやゴミ出しなど、数分間の外出

受けてしまったダメージを最小限に抑えるアフターケア

ロングUVAによって発生した活性酸素を消去し、真皮の修復力を高めるためには、抗酸化成分の補給と徹底的な保湿ケアが必要です。

どれだけ防御しても100%完全に遮断することは難しいため、侵入を許してしまった後の「事後処理」がエイジングケアの鍵を握ります。

抗酸化成分の内側と外側からのダブル摂取

ロングUVAの最大の害は、大量の活性酸素を発生させることです。この活性酸素を無害化するために、「抗酸化物質」を積極的に取り入れましょう。

スキンケアでは、ビタミンC誘導体、フラーレン、アスタキサンチン、コエンザイムQ10などが配合された美容液を使用します。これらは発生した活性酸素を素早く除去し、コラーゲンの酸化を防ぎます。

食事やサプリメントによる内側からのケアも重要です。ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(リコピンやカテキンなど)を豊富に含む食品を日常的に摂取することで、全身の抗酸化力を高め、紫外線に対する抵抗力をつけることができます。外出前後のビタミンC摂取は特におすすめです。

真皮の修復をサポートする成分の活用

ダメージを受けた真皮の再構築を促す成分を取り入れることも有効です。レチノール(ビタミンA)やナイアシンアミドは線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進する作用が認められています。

これらを夜のスキンケアに取り入れることで、昼間に受けたダメージの修復を助けます。ただし、レチノールなどは肌への刺激になる場合があるため、使用頻度や濃度を調整しながら慎重に取り入れましょう。

また、ペプチド類も肌の修復シグナルとして働き、ハリの回復をサポートします。自分の肌に合った成分を見つけ、継続的に使用することが真皮ケアの鉄則です。

炎症を鎮めバリア機能を強化する保湿

ロングUVAを浴びた肌は、内部で微弱な炎症(マイクロ炎症)を起こしている状態です。炎症は老化を加速させる要因となるため、まずは鎮静させることが大切です。

グリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などの抗炎症成分が入った化粧水や乳液を選びましょう。

そして、角層のバリア機能を高めるために、セラミドやアミノ酸などの保湿成分をたっぷりと補います。バリア機能が整っている肌は紫外線の透過をある程度防ぐ物理的な盾となります。

乾燥した肌は角層の隙間から紫外線が入り込みやすくなるため、徹底した保湿はロングUVA対策の基礎となります。

光ダメージケアに役立つ主要な栄養素と成分

分類成分名期待できる働き
抗酸化(守る)ビタミンC、アスタキサンチン、フラーレン発生した活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐ
修復促進(攻める)レチノール、ナイアシンアミド、ペプチド線維芽細胞を活性化し、コラーゲン産生を促す
抗炎症(鎮める)トラネキサム酸、グリチルリチン酸2K微弱炎症を抑え、メラニンの過剰生成や組織破壊を防ぐ

一年を通した継続的な対策の重要性

ロングUVAは季節や天候による変動が少なく、一年中降り注いでいるため、365日の継続的なケアが数年後の肌質を決定づけます。

多くの人が夏場だけ熱心に対策を行いますが、真皮へのダメージ蓄積は冬場や曇りの日にこそ進行しています。

冬でも弱まらないロングUVAの特性

UVBは冬になると夏場の5分の1程度まで減少しますが、ロングUVAは夏場の半分程度までしか減少しません。

「冬の日差しは弱いから大丈夫」と感じるのは、熱さや赤みを感じさせる赤外線やUVBが減っているからに過ぎず、シワの原因となるロングUVAは十分な強度で降り注いでいます。

冬は乾燥によって肌の透明度が上がり、紫外線が内部へ透過しやすくなる時期でもあります。保湿ケアとセットで冬でもPA値の高い日焼け止めを使用することが、未来のシワを防ぐためには必要です。

朝のスキンケアを「守り」の時間に変える

毎日のルーティンとして、朝のスキンケアの最後に必ず日焼け止めを組み込みましょう。「外出する日だけ塗る」のではなく、「朝起きて顔を洗ったら塗る」という習慣にすることで、うっかり浴びてしまう生活紫外線を防げます。

日焼け止めの使用感や香りが苦手で習慣化できない場合は、心地よく使える製品を探すことに投資してください。

乳液タイプ、ジェルタイプ、クリームタイプなど、季節や肌のコンディションに合わせて使い分けることで、ストレスなく継続することができます。継続こそが、ロングUVA対策における最大の武器です。

季節ごとのロングUVA対策の意識レベル

  • 春(3月〜5月):量は急増する。夏と同じレベルの警戒が必要。
  • 夏(6月〜8月):量はピーク。汗で流れるため塗り直しを重視。
  • 秋(9月〜11月):量は減り始めるが、夏のダメージ蓄積ケアも同時に行う。
  • 冬(12月〜2月):量は夏の半分ある。油断せず保湿重視の日焼け止めを使う。

よくある質問

SPF50であればロングUVAも防げますか?

いいえ、SPFは主にUVB(肌表面の炎症)を防ぐ指標ですので、SPF50であってもロングUVAを十分に防げているとは限りません。

ロングUVAの防御力を確認するにはPA値(+の数が多いほど効果が高い)や、「ロングUVA対応」といった特定の表記を確認することが大切です。

日陰にいればロングUVAの影響は受けませんか?

残念ながら、日陰にいても影響を受けます。ロングUVAは散乱しやすく、地面や建物からの照り返しによって、直接日光が当たっていない場所にも届きます。

日傘や帽子を使用していても、横や下からの反射光を浴びているため、日焼け止めの併用が必要です。

メイクをしている日は日焼け止めを塗らなくてもいいですか?

ファンデーションや下地にもUVカット効果があるものが多いですが、一般的にメイクアップ製品は薄く塗るため、表示通りの防御効果が得られないことが多々あります。

スキンケアの最後に専用の日焼け止めを適量塗り、その上からメイクを重ねることで、確実な防御壁を作ることができます。

ロングUVAは目にも影響を与えますか?

はい、影響を与えます。目から入る紫外線は角膜の炎症を引き起こすだけでなく、脳にストレスを与えて全身のメラニン生成を促す指令を出させることがあります。

また、目の水晶体へのダメージは白内障のリスクを高めます。UVカット機能付きのメガネやサングラスを使用し、目も肌と同様に守りましょう。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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