SOOF(眼輪筋下脂肪)の萎縮とゴルゴライン|目の下のクマ・たるみを引き起こす深層脂肪

SOOF(眼輪筋下脂肪)の萎縮とゴルゴライン|目の下のクマ・たるみを引き起こす深層脂肪

鏡を見たとき、目の下から頬にかけて斜めに走るラインや、以前よりも平坦になった頬の高さに不安を感じることはありませんか?

これらのエイジングサインは単なる皮膚のたるみではなく、より深い部分にある「SOOF(眼輪筋下脂肪)」という特殊な脂肪層の変化が大きく関係しています。

表面的なスキンケアでは改善が難しいとされるゴルゴラインや深刻な目の下のクマは、この深層脂肪の萎縮と移動が根本的な原因となっている場合が多くあります。

本記事では、顔の構造を支える重要な土台であるSOOFの役割と、その萎縮が引き起こす顔貌変化の仕組み、そして正しい理解に基づいた対策について、解剖学的な視点から詳しく解説します。

目次

SOOF(眼輪筋下脂肪)の解剖学的な位置と顔面構造における役割

SOOF(Sub-Orbicularis Oculi Fat)は、その名の通り「眼輪筋」の下に存在する脂肪層であり、顔面の立体構造を維持するために極めて重要な役割を果たしています。

多くの人が気にする表面的な皮下脂肪とは異なり、骨膜に近い深い層に位置することで頬の高さを出し、若々しい丸みを形成する土台として機能しています。

この脂肪層が適切なボリュームと位置を保つことで、私たちは健康的で張りのある顔立ちを維持できています。

まずはSOOFがどこにあり、どのような働きをしているのかを正しく理解することが、エイジングケアの第一歩となります。

眼輪筋の下で骨膜上にある「深層脂肪」の特性

顔の脂肪は大きく分けて、皮膚のすぐ下にある「浅層脂肪(皮下脂肪)」と、筋肉の下にある「深層脂肪」の2種類に分類します。

SOOFはこのうちの深層脂肪に該当し、目の周りを囲む眼輪筋の裏側、そして頬骨の骨膜の上にしっかりと張り付くように存在します。

この位置関係は非常に重要で、SOOFは単なる脂肪の塊ではなく、皮膚や筋肉を内側から持ち上げる「テントの支柱」のような役割を担っています。

浅層脂肪が重力の影響を受けて下垂しやすいのに対し、深層脂肪であるSOOFは本来、位置がずれにくい硬めの性質を持っていますが、加齢による影響をダイレクトに受ける部位でもあります。

ROOFやメーラーファットとの明確な違い

顔にはSOOF以外にも名前のついた重要な脂肪塊がいくつか存在し、それぞれが異なる役割を持っています。

よく混同されるのが、眉毛の下あたりに存在するROOF(Retro-Orbicularis Oculi Fat)や、頬の比較的浅い層にあるメーラーファットです。

ROOFは上まぶたの厚みに関与し、メーラーファットはほうれい線の上に乗っかる脂肪として知られていますが、SOOFはこれらよりもさらに深い位置で顔面の中顔面(ミッドフェイス)の骨格的な輪郭を作っています。

メーラーファットが下垂して法令線を深くする一方で、SOOFは「萎縮」して顔をコケさせるという、逆のベクトルでの老化現象を引き起こす点が大きな違いです。

顔の靭帯(リガメント)との密接な関係性

SOOFの周囲には、骨と皮膚をつなぎ止める強力な結合組織である「リガメント(靭帯)」が存在します。

特に眼窩下縁にあるリガメントや、頬骨弓から伸びるリガメントは、SOOFを正しい位置に保持するための枠組みとして機能しています。

SOOFはこのリガメントによって区画されたスペースの中に納まっており、若い頃はこの区画内で十分な膨らみを維持しています。

しかし、この密接な関係があだとなり、SOOFが痩せてくるとリガメントの付着部が皮膚表面に浮き出て見えるようになり、凹凸が目立つ原因となります。

顔面脂肪の分類と特徴

脂肪の種類位置と深度主な役割とエイジング変化
SOOF(眼輪筋下脂肪)眼輪筋の下、骨膜の上(深層)頬の高さを形成する土台。加齢により「萎縮」し、ゴルゴラインやクマの原因となる。
メーラーファット頬骨付近の皮下(浅層)頬の柔らかい丸みを作る。加齢により「下垂」し、ほうれい線を目立たせる。
眼窩脂肪眼球の周囲(深層から突出)眼球を保護するクッション。加齢により眼輪筋が緩むと「突出」し、目袋(バギーアイ)を形成する。

加齢に伴いSOOFが萎縮してしまう原因と生理的な変化

なぜSOOFは年齢とともに減少してしまうのでしょうか。この変化は単なる体重減少とは異なり、加齢に伴う生理的なプロセスの一環として進行します。

骨密度の低下やホルモンバランスの変化など複数の要因が絡み合うことで、深層脂肪であるSOOFは徐々にそのボリュームを失っていきます。

このセクションではSOOFが萎縮する具体的な原因と、それによって顔の内部でどのような物理的変化が起きているのかを詳しく解説します。

頭蓋骨の骨吸収による土台の後退

顔の老化において見落とされがちなのが「骨の萎縮(骨吸収)」です。

年齢を重ねると体の他の骨と同様に顔の骨も少しずつ体積が減少し、形が変化します。特に眼窩(目のくぼみ)は加齢とともに広がり、頬骨の前面は後退して平坦になっていきます。

SOOFは頬骨の上に載っている脂肪であるため、その土台となる骨が痩せて後退してしまうとSOOF自体も支えを失い、奥へと落ち窪んでしまいます。

これにより、脂肪の絶対量が減るだけでなく、位置が深部へと移動することで、表面からは脂肪が減ったように見える「見かけ上の萎縮」も進行します。

脂肪細胞の代謝機能低下とボリュームロス

深層脂肪であるSOOFを構成する脂肪細胞は浅層の皮下脂肪とは異なる代謝特性を持っています。加齢とともに細胞の代謝機能が低下すると、脂肪細胞一つひとつのサイズが小さくなる傾向があります。

若い頃はパンパンに膨らんでいた風船が、時間が経って空気が抜けてしぼんでいくようなイメージです。特に閉経後の女性や、急激なダイエット経験がある方は、このボリュームロスが顕著に現れやすくなります。

表面の皮膚にはまだ弾力があったとしても、中身の詰め物であるSOOFが減ってしまうため、皮膚が余ってたるみが生じます。

表情筋の使い癖による圧迫と消耗

日々の表情の作り方も、長期的にはSOOFの状態に影響を与えます。

SOOFの上には眼輪筋という筋肉が覆いかぶさっていますが、目を細めたり、強く瞬きをしたりする動作が多い場合、眼輪筋が常に収縮してSOOFを圧迫し続けることになります。

筋肉による持続的な圧迫は、その下にある脂肪組織の血流を阻害し、組織の萎縮を早める可能性があります。

また、眼輪筋自体が加齢により薄く引き伸ばされるとSOOFを抑え込む力が弱まり、萎縮したSOOFが重力に負けて下方へズレ落ちる現象も併発します。

SOOF萎縮を加速させる主な要因リスト

  • 加齢による顔面骨(特に眼窩縁と頬骨)の骨密度低下と形態変化
  • 女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴う脂肪組織のボリュームダウン
  • 過度なダイエットや栄養不足による急激な体重減少
  • 遺伝的な骨格要因(もともと頬骨が平坦な場合など)
  • 長期間にわたる眼精疲労や眼輪筋の過度な緊張状態
  • 紫外線ダメージによる真皮層の弾力低下(脂肪の保持力低下に寄与)

ゴルゴライン(ミッドチークライン)の正体と発生の仕組み

ゴルゴラインは医学的には「ミッドチークライン」や「眼頬溝(がんきょうこう)」とも呼ばれ、目頭の下から頬の中央に向かって斜めに走る凹みのラインを指します。

これは通常のシワとは異なり、皮膚が折れ曲がってできるものではなく、構造的な「溝」であることが最大の特徴です。

SOOFの萎縮はこのゴルゴラインの形成に直接的に関与しており、深層脂肪の減少がどのようにして表面の深い溝として現れるのか、その構造的な背景を紐解きます。

皮膚と骨をつなぐ靭帯の引き込み現象

ゴルゴラインの正体を理解するには、顔の「リガメント(靭帯)」の存在を知る必要があります。

ゴルゴラインができる位置には、皮膚と骨を強固に繋いでいる「zygomatic cutaneous ligament(頬骨皮膚靭帯)」などの靭帯が存在します。

これらの靭帯はアンカーのような役割を果たしており、皮膚を骨側に引き込んで固定しています。若い頃は靭帯の周囲にSOOFなどの脂肪が十分に充満しているため、皮膚が内側から押し上げられ、靭帯による引き込みは見えません。

しかし、SOOFが萎縮してボリュームが減ると皮膚を押し上げる力が弱まり、靭帯が皮膚を骨側に引っ張っている部分だけが強く凹んで見えるようになります。

脂肪の段差が生み出す影のライン

ゴルゴラインは、単一の線ではなく、脂肪の区画(コンパートメント)の境界線としても現れます。SOOFが萎縮すると、その上にあるメーラーファットとの間に段差が生じます。

さらに、目の下の眼窩脂肪が突出している場合、その膨らみと、SOOFが萎縮して凹んだ部分との高低差が強調されます。

この「膨らみ」と「凹み」のコントラストが照明の下で濃い影を作り出し、あざのような暗いラインとして認識されます。

つまり、ゴルゴラインは皮膚表面の問題ではなく、皮下組織のボリューム配分の不均衡によって生じるシルエットの崩れと言えます。

通常のシワ治療では改善しない理由

多くの人がゴルゴラインを「シワ」と捉え、保湿クリームや表面的なマッサージで対処しようとしますが、これらでは根本的な解決には至りません。なぜなら、前述の通りゴルゴラインは組織の欠損と癒着によって生じているからです。

乾燥による小ジワであれば皮膚の保湿で改善しますが、ゴルゴラインは中身(SOOF)が減って、強固な繊維(リガメント)が食い込んでいる状態です。

この構造的な問題を解決するには、減ってしまった中身を補うか、食い込んでいる繊維を解除するといった物理的なアプローチが必要となります。

ゴルゴラインの深度別特徴

進行度見た目の特徴内部の構造的変化
初期夕方や疲れた時にうっすらと線が現れる。光の加減で目立つ程度。SOOFの軽度な萎縮が始まり、皮膚のハリで支えきれなくなっている状態。
中期無表情の時でもはっきりと斜めのラインが確認できる。SOOFのボリュームロスが進行し、リガメントによる皮膚の引き込みが固定化している。
重度ラインが深く刻まれ、頬全体が分割されたように見える。皮膚のたるみも併発。SOOFの著しい萎縮に加え、骨の吸収やメーラーファットの下垂も重なり、組織が雪崩を起こしている。

深層脂肪の減少が引き起こす中顔面の組織雪崩現象

SOOFの萎縮は単にその部分が凹むだけでなく、顔全体のバランスを崩すドミノ倒しのような現象を引き起こします。これを専門的には「組織の雪崩現象」と表現することもあります。

深層にあるSOOFは上にある眼輪筋や皮膚、そして隣接する脂肪組織を支える重要なストッパーの役割も果たしています。このストッパーが小さくなり機能を失うと、重力の影響を受けた周囲の組織が一斉に下方へと移動を始めます。

ここでは、SOOFの減少がどのように連鎖的な顔の崩れを招くのかを解説します。

浅層脂肪(メーラーファット)の支えを失う

SOOFの上に位置する眼輪筋、さらにその上にはメーラーファットが存在します。SOOFは奥からこれらを持ち上げ、高い位置にキープする役割を担っています。

しかし、土台であるSOOFが萎縮して平坦になると、上に乗っていたメーラーファットは滑り台を滑るように下方へ移動し始めます。これが「頬の位置が下がった」と感じる原因です。

下がったメーラーファットは法令線の上に覆いかぶさるように蓄積し、結果として法令線を深く濃く見せてしまいます。つまり、法令線の悩みであっても、その根本原因の一つは頬上部のSOOFの萎縮にある場合が多いのです。

皮膚の余剰とたるみの発生

顔の皮膚は、皮下組織のボリュームに合わせて面積が決まっています。中身であるSOOFが萎縮して体積が減ると、表面を覆っていた皮膚が余ってしまいます。急に痩せた人の服がダブつくのと同じ原理です。

この余った皮膚は、行き場を失って重力に従い下方向へ垂れ下がります。特に目の下の皮膚は非常に薄いため、この「余り」が顕著に現れやすく、ちりめんジワや全体的なヨレとして認識されます。

SOOFのボリュームを回復させずに皮膚だけを引き上げようとしても、中身がスカスカの状態では自然な張りを取り戻すことは困難です。

眼輪筋の拘縮と表情のこわばり

SOOFによるクッション性が失われると、眼輪筋は直接的に骨に近い硬い組織と接触することになります。

また、ボリュームロスを補おうとして無意識に筋肉に力が入り、眼輪筋が過緊張(凝り固まった状態)になることがあります。これにより、笑った時に不自然なシワが寄ったり、目の周りの表情が硬くなったりします。

さらに、支持組織を失った眼輪筋自体も下方へと伸展し、いわゆる「目袋」の下の境界線を明確にしてしまうため、疲れ顔や老け顔の印象を強める要因となります。

顔面組織の崩壊プロセス一覧

段階現象結果として現れる症状
1. 土台の喪失加齢によりSOOFが萎縮し、頬骨上のボリュームが減少する頬の高さがなくなり、顔が平坦に見え始める
2. 表層の滑落支えを失ったメーラーファットや皮膚が下方へ移動するゴルゴラインが出現し、法令線が深くなり始める
3. 境界の強調リガメント(靭帯)部分での食い込みが強くなる目の下のクマ(黒クマ)が顕著になり、疲れた印象が定着する

目の下のクマ・たるみとSOOFの密接な相関関係

「目の下のクマ」に悩む方は非常に多いですが、その中でも特にメイクで隠せない「黒クマ(影クマ)」は、SOOFの萎縮と深い関係があります。

血行不良による青クマや、色素沈着による茶クマとは異なり、黒クマは顔の立体構造の変化によって生じる「影」です。この影を作り出している主犯格の一つが、SOOFの減少による段差です。

ここでは、SOOFの状態がどのように目の下の見た目を左右するのか、その相関関係を詳しく見ていきます。

ティアトラフ(目頭側の凹み)の形成

目の下のクマを構成する要素として、目頭から斜め下に向かって伸びる「ティアトラフ(涙の溝)」と呼ばれるラインがあります。

このティアトラフの深層にもSOOFが存在しており、この部分のSOOFが萎縮すると、皮膚が骨に張り付くように凹んでしまいます。

一方で、そのすぐ上にある眼窩脂肪が突出していると、「上が膨らんで、下が凹む」という急激なカーブが生まれます。この高低差が強い影を落とし、目の下に濃い黒色のクマを作り出します。

コンシーラーで色を塗っても消えないのは、そこに物理的な「溝」があるためです。

眼窩脂肪の突出を助長するメカニズム

SOOFは、眼窩脂肪が前方へ飛び出してくるのを下から支える壁のような役割も担っています。SOOFが十分に発達していれば、眼窩脂肪の突出を目立たなくさせる「段差埋め」の効果があります。

しかし、SOOFが痩せてしまうと、眼窩脂肪の膨らみがダイレクトに強調されてしまいます。

つまり、目の下の膨らみ(目袋)が目立つ原因は必ずしも眼窩脂肪の量が多すぎるからではなく、その下の頬のボリューム(SOOF)が減って、相対的に段差が大きくなったことにある場合が多いのです。

この場合、眼窩脂肪を取るだけでは目の下が全体的に凹んでしまい、やつれた印象になるリスクがあります。

Ogee Curve(オージーカーブ)の消失

美しく若々しい顔の特徴として「Ogee Curve(オージーカーブ)」という概念があります。これは斜め45度から顔を見たときに、頬から顎にかけて描かれるS字状の滑らかな曲線のことです。

SOOFが健全であれば、目の下から頬にかけてふっくらとした高いカーブが描かれます。しかし、SOOFが萎縮すると、このカーブの頂点が失われ、目の下が直線的、あるいは凹んだラインになってしまいます。

この曲線の消失こそが、視覚的に「老けた」「疲れている」と判断される大きな要因となります。

SOOFの状態によるクマの見え方の違い

クマの種類主な原因SOOFとの関連性
黒クマ(影クマ)皮膚のたるみ、脂肪の突出と凹みによる影関連性:大。SOOFの萎縮による凹みが影を濃くする主原因。
青クマ血行不良、皮膚が薄く静脈が透ける関連性:小。ただしSOOF減少で皮膚が薄く見えると目立ちやすくなる。
茶クマ色素沈着、摩擦によるシミ関連性:なし。皮膚表面の問題であるためSOOFは無関係。

セルフチェックによるSOOFの状態確認と見極め

自分の顔の悩みが、本当にSOOFの萎縮によるものなのか、それとも単なる皮膚のたるみやむくみなのかを見極めることは、正しい対策を選ぶ上で重要です。

専門的な診断は医師に委ねるべきですが、自宅でもある程度の傾向を確認することができます。

ここでは、SOOFの萎縮やゴルゴラインのリスクを簡易的にチェックする方法を紹介します。鏡を用意して、自然光の入る明るい場所で確認してみましょう。

照明を使った「影」の確認テスト

まず、天井の照明の真下に立ち、手鏡を持って顔を正面から見ます。次に、顔をゆっくりと上に向けて天井を見上げてください。

もし、正面を向いていた時にあった目の下のクマや頬の斜めのラインが、上を向いて光が正面から当たった時に消えたり薄くなったりする場合、それは「黒クマ(影)」であり、SOOFの萎縮による凹凸が原因である可能性が高いです。

逆に、上を向いても茶色い色味が変わらない場合は色素沈着、青みが変わらない場合は血行不良が疑われます。

指を使ったリフトアップテスト

人差し指を頬骨の高い位置(黒目の下の少し外側)に軽く当て、優しく斜め上方向へ皮膚を持ち上げてみてください。

この時ゴルゴラインが消え、目の下のクマが目立たなくなり、若々しい印象に戻るようであれば、それはSOOFの位置が下がり、ボリュームが不足していることを示唆しています。

指で持ち上げた分だけのボリュームとサポートが、本来そこにあったはずのSOOFの役割です。この操作で改善が見られる場合、物理的なボリューム補充やリフトアップが有効な解決策となります。

無表情と笑顔の比較チェック

真顔の時と、思い切り笑った時の顔を比較します。真顔の時にゴルゴラインがくっきりとあり、笑って頬の筋肉が持ち上がった時にそのラインが消える場合、それは筋肉の衰えと脂肪の萎縮が混在しているサインです。

逆に、笑った時にだけ深い溝ができる場合は、筋肉の付着部やリガメントの癒着が強いタイプのゴルゴラインである可能性があります。

SOOFの萎縮が進んでいる場合、笑っても頬の高さが十分に出ず、目の下に複数の細かいシワが寄る傾向があります。

SOOF萎縮の可能性が高いサイン一覧

  • 夕方になると目の下が窪んで、疲れていないのに「疲れてる?」と聞かれる
  • 若い頃に比べて頬骨の位置が下がったように感じる
  • 目の下のクマがコンシーラーでは隠しきれない
  • 斜めから顔を見た時に、頬のカーブが平坦、または凹んでいる
  • 親や祖父母にゴルゴラインがはっきりとある(遺伝的骨格の影響)
  • 急激なダイエットをしてから顔が老けた気がする

深層脂肪へのアプローチによる改善と対策

SOOFの萎縮が原因である場合、化粧品やエステのマッサージといった表面的なケアでは残念ながら劇的な改善は望めません。物理的に減ってしまった深層のボリュームを補い、緩んだ土台を引き締めるアプローチが必要です。

現代の美容医療ではメスを使わずに改善する方法から、外科的に根本治療する方法まで、多様な選択肢が存在します。

ここでは、SOOFの萎縮に対して有効とされる代表的な治療アプローチについて、その原理と特徴を解説します。

注入治療によるボリュームの復元

最も直接的かつ一般的なアプローチは減ってしまったSOOFの代わりにフィラー(注入剤)を補う方法です。主にヒアルロン酸を使用します。

重要なのは皮膚の浅い層ではなく、骨膜上の深い層(まさにSOOFがある場所)に硬めのヒアルロン酸を注入することです。

これにより、萎縮したSOOFの代わりに土台が再構築され、テントの支柱が立ったように皮膚が持ち上がります。結果としてゴルゴラインが浅くなり、リフトアップ効果も得られます。

自身の脂肪を採取して注入する「脂肪注入」も、生着すれば半永久的な効果が期待できるため、根本的なボリューム回復手段として選択されます。

熱エネルギーによる深層引き締め

HIFU(高密度焦点式超音波)などの照射系治療も有効な手段の一つです。HIFUは超音波の熱エネルギーをピンポイントで深部に届ける技術ですが、SOOF周辺の筋膜や脂肪層に熱凝固を加えることで、組織を引き締める効果があります。

特にSOOFが萎縮して緩み、下垂しかけている状態に対して、熱によるタイトニングを行うことで脂肪の位置を安定させ、全体的なリフトアップを図ります。

ボリュームを足すわけではありませんが、組織をギュッと凝縮させることで、フェイスラインのもたつきやゴルゴラインの影を軽減します。

再生医療的アプローチと外科的処置

近年ではPRP(多血小板血漿)療法や、成長因子を用いた治療など、組織の再生を促すアプローチも注目されています。

これらは自身の細胞の力を利用して、萎縮した組織の修復やコラーゲン生成を促すものです。即効性ではヒアルロン酸に劣りますが、自然な若返りを望む層に支持されています。

また、たるみが著しく進行している場合には、ミッドフェイスリフトやハムラ法(裏ハムラ法)といった外科手術が適応となります。

これらはSOOF自体を引き上げたり、眼窩脂肪を移動させて凹みを埋めたりする手術であり、構造的な問題を根本から修正する強力な手段です。

深層脂肪(SOOF)への主な治療アプローチ比較

アプローチ主な施術名特徴と目的
ボリューム補充ヒアルロン酸注入
脂肪注入
減ったSOOFの代わりに物質を充填し、土台から持ち上げる。即効性が高く、ゴルゴライン改善の第一選択となることが多い。
引き締め(熱)HIFU(ハイフ)
高周波(RF)
熱エネルギーで緩んだ組織を収縮させ、位置を安定させる。ボリュームは増えないが、たるみ予防と引き締めに有効。
外科的移動裏ハムラ法
ミッドフェイスリフト
余っている眼窩脂肪をSOOFの位置へ移動させたり、下垂した組織を糸や剥離で元の位置へ戻す。根本的な構造修正。

よくある質問

SOOFの萎縮はマッサージで改善できますか?

残念ながら、マッサージでSOOFの萎縮を改善することはできません。SOOFは深層にある脂肪組織であり、マッサージでボリュームが増えることはありません。

むしろ、強いマッサージは皮膚と骨をつなぐリガメント(靭帯)を伸ばしてしまったり、摩擦によって皮膚の色素沈着(茶クマ)を悪化させたりするリスクがあります。

特に目の下や頬はデリケートなため、自己流の強いマッサージは避け、優しくスキンケアを行う程度に留めることが重要です。

何歳くらいからSOOFの減少は始まりますか?

個人差や遺伝的な骨格の影響が大きいですが、一般的には20代後半から30代前半にかけて徐々に減少が始まります。

初期段階では目に見える変化は少ないですが、30代半ばを過ぎると「夕方に顔が疲れて見える」「なんとなく頬が下がった」という形で自覚症状が出てくることが多いです。

40代以降になると、ホルモンバランスの変化も加わり、萎縮のスピードが加速する傾向にあります。

ダイエットをするとゴルゴラインが悪化するのはなぜですか?

急激なダイエットを行うと体脂肪全体が減少しますが、顔の深層脂肪であるSOOFも例外なく減少します。

体が痩せると同時に顔の土台となる脂肪まで減ってしまうため、皮膚が余ってたるみが生じ、ゴルゴラインや頬のコケが顕著に現れるようになります。

年齢を重ねてからの過度なダイエットは顔の老け見えを加速させる大きな要因となるため、栄養バランスを保ちながら緩やかに体重をコントロールすることが大切です。

一度萎縮したSOOFは自然に元に戻りますか?

一度萎縮してしまった脂肪細胞が、自然に元のボリュームに戻ることは極めて困難です。

体重を増やせば顔にも脂肪はつきますが、都合よくSOOF(深層)だけに脂肪がつくわけではなく、フェイスラインや顎下など、ついてほしくない浅層脂肪が増えてしまうことが多いです。

失われた深層のボリュームをピンポイントで回復させるには、注入治療などの物理的なアプローチが必要となります。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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