バッカルファット(Buccal Fat)と顔のたるみ|除去すべきか温存すべきかの判断基準

バッカルファット(Buccal Fat)と顔のたるみ|除去すべきか温存すべきかの判断基準

鏡を見たときに感じる「口元の重たさ」や、年齢とともに気になりだす「フェイスラインの崩れ」。これらの原因としてバッカルファット(Buccal Fat)が注目を集めています。

小顔効果や将来のたるみ予防として除去手術を検討する方が増える一方で、「取ると頬がこける」「余計に老けて見える」といったネガティブな情報も散見され、除去すべきか温存すべきかの判断に迷う方は少なくありません。

顔の構造は一人ひとり異なり、すべての人が除去によって利益を得るわけではありません。誤った判断は取り返しのつかない結果を招く可能性があります。

この記事では、バッカルファットの解剖学的特徴から、たるみとの因果関係、そして後悔しないための具体的な判断基準について、専門的な視点を交えながら詳しく解説します。

目次

バッカルファットの正体と顔のたるみが生じる構造的要因

バッカルファットは皮下脂肪とは異なる深層に位置する脂肪塊であり、加齢による支持組織の衰えと共に下降することで、顔のたるみやマリオネットラインの直接的な原因となります。

バッカルファットと皮下脂肪の決定的な違い

私たちの顔には大きく分けて二種類の脂肪が存在します。一つは皮膚のすぐ下に広がる「皮下脂肪」、もう一つは表情筋よりもさらに深い層にある「バッカルファット(頬脂肪体)」です。

多くの人がダイエットで顔が痩せたと感じる時、減少しているのは主に皮下脂肪です。

一方でバッカルファットは頭蓋骨と筋肉の隙間を埋めるクッションのような役割を果たしており、体重の増減による影響を受けにくいという特徴を持ちます。

この脂肪は、こめかみから頬骨の下を通り、口角のあたりまで細長く垂れ下がるような形状をしています。若い頃は頬の高い位置に収まっているため、ふっくらとした若々しい印象を作ります。

しかし、この脂肪自体が独立した袋状の膜に包まれているため、周囲の組織との癒着が弱く、重力の影響で移動しやすい性質を持っています。これが、皮下脂肪とは異なるアプローチが必要となる理由です。

加齢によりバッカルファットが下垂するメカニズム

年齢を重ねると顔がたるむのは、皮膚の弾力低下だけが原因ではありません。

バッカルファットを支えている周囲の組織、特に「咬筋(こうきん)」や顔面の靭帯(リガメント)が加齢によって緩むことで、支えを失ったバッカルファットが重力に従ってズルズルと下がってきます。

本来あるべき頬の高い位置から脂肪が滑り落ちてくるイメージです。

下垂したバッカルファットは、口元やフェイスラインに溜まります。これが「ブルドッグ顔」と呼ばれる状態や、口角から下に伸びる「マリオネットライン」、ほうれい線の深化を引き起こします。

つまり、若い頃は頬のボリュームとして機能していた脂肪が、加齢と共に顔の下半分を重く見せる「たるみの原因物質」へと変化するのです。この物理的な移動こそが、多くの人がエイジングケアとして除去を検討する動機となります。

脂肪の種類による特徴の違い

特徴バッカルファット皮下脂肪
存在する場所表情筋の深層(奥側)皮膚の直下(浅い層)
ダイエットの影響ほとんど受けない食事制限等で減少しやすい
たるみへの影響下垂して直接的な原因になる重さで皮膚を伸ばす要因になる

除去が「たるみ」を引き起こすという説の真偽

「バッカルファットを除去すると、皮膚が余って逆にたるむのではないか」という懸念を持つ方は非常に多いです。この問いに対する答えは、除去する量と皮膚の弾力性に依存します。

風船から空気を抜くとゴムがしぼむように、中身の脂肪を急激に減らせば、それを覆っていた皮膚が余る可能性は否定できません。

しかし、適切な適応を見極めた上での手術であれば、除去によって生じたスペースは治癒過程で瘢痕化(はんこんか)し、組織が収縮して引き締まる効果(タイトニング効果)が期待できます。

逆に、もともと皮膚が薄く弾力がない人や、必要以上に脂肪を取り過ぎた場合には皮膚が収縮しきれずに余り、たるみや「やつれ」として現れるリスクがあります。

つまり、除去自体が悪なのではなく、個人の皮膚特性を無視した処置がリスクを生むのです。

除去をおすすめする人の特徴と適した顔立ちの条件

ベース型の輪郭や口横の膨らみが顕著な方、また皮膚に厚みと弾力がある方は、バッカルファット除去によってシャープなフェイスラインと将来のたるみ予防効果を同時に得られる可能性が高いです。

笑った時に口横が膨らむ「リス顔」タイプ

バッカルファット除去の恩恵を最も受けやすいのが、笑った時に口角の横にポコッとした膨らみが出るタイプの方です。

これはバッカルファットが多い、あるいは位置が低いことを示唆しています。口の中に食べ物を溜め込んでいるように見える、いわゆる「リス顔」や「キャンディボール」と呼ばれる状態です。

このタイプの顔立ちの方は、バッカルファットの絶対量が多いため、除去することでフェイスラインが直線的になり、洗練された印象に変化します。

また、口の内側を頻繁に噛んでしまうという悩みを持つ方も、この脂肪が原因であることが多く、除去によって機能的な改善も見込めます。

皮膚が厚く弾力があり、顔の脂肪量が多い人

皮膚の厚みは、術後の仕上がりを左右する重要な要素です。皮膚が厚く弾力がある人は脂肪を除去した後に皮膚がしっかりと収縮し、新しい骨格のラインにフィットしてくれます。

その結果、たるみが出ることなく、きゅっと引き締まった小顔効果を実感できます。

また、顔全体の脂肪量が多い丸顔の方は、バッカルファットを除去しても極端に頬がこけるリスクが低く、むしろ適度な立体感が生まれます。

顔の下半分のボリュームを減らすことで顔の重心が上がり、全体的なバランスが整う効果も期待できます。

バッカルファット除去が適している人の目安

  • 笑うと口の横にポコッとした膨らみが出る
  • 顔の下半分が重たく下膨れに見える
  • 指でつまめる皮下脂肪よりも奥の膨らみが気になる
  • 食事中によく頬の内側を噛んでしまう

将来のブルドッグ顔を予防したい若い世代

現在はまだたるみが気になっていなくても、将来的な予防措置として除去を検討するケースもあります。先述したように、バッカルファットは加齢とともに下垂し、たるみの元凶となります。

皮膚に十分な弾力がある20代から30代前半のうちに適切な量を除去しておくことで重力による下垂を物理的に防ぎ、将来のマリオネットラインやフェイスラインの崩れを遅らせることができます。

ただし、予防目的であっても「取りすぎ」は禁物です。加齢と共に顔の脂肪は自然に減少していく傾向もあるため、将来的に必要なボリュームまで奪ってしまわないよう、控えめな除去量を設定することが重要です。

温存すべき人の特徴と除去によって生じる将来のリスク

頬骨が高い方や顔の肉付きが薄い方が安易に除去を行うと、頬の不健康なこけや皮膚のたるみを招き、実年齢以上に老けた印象を与えるリスクが高いため温存を選択することが重要です。

頬骨が高く、頬のくぼみが目立ちやすい骨格

頬骨が横に張り出している、あるいは頬骨が高い位置にある骨格の方は、バッカルファットを除去することに対して慎重になる必要があります。

バッカルファットは頬骨の下にあるくぼみを埋める役割も果たしているため、これを取り除いてしまうと、頬骨の下が極端に凹んでしまう「頬こけ」を引き起こします。

頬がこけると顔に影ができやすくなり、骸骨のような不健康な印象や、疲れたような老け顔を作ってしまいます。特に横顔においてその傾向は顕著に現れます。

このような骨格の方は、むしろバッカルファットを温存し、くぼみをふっくらと見せることが若々しさを保つ鍵となります。

顔の脂肪が少なく皮膚が薄いタイプ

もともと顔に脂肪が少なく、スリムな顔立ちの方も適応外となるケースが多いです。

バッカルファットは顔の輪郭を滑らかに見せるクッション材でもあります。脂肪が少ない方がこれを除去すると、皮膚と骨の間のボリュームがなくなり、皮膚が余って垂れ下がってしまうリスクがあります。

また、皮膚が薄い方は除去後の空洞が表面の凹凸として現れやすく、なめらかなフェイスラインが損なわれる可能性があります。

加齢に伴う自然な脂肪減少も考慮すると、現在気になっている膨らみがバッカルファットによるものなのか、単なる皮膚のたるみなのかを慎重に見極める必要があります。

除去が不向きなケースとその後の変化

不向きな特徴除去後のリスク見た目の変化
頬骨が張っている頬骨下が深くくぼむ骸骨のようなごつごつした印象
顔の脂肪が少ない皮膚が余って垂れるシワが増え、やつれた老け顔
皮膚が薄く伸びやすい引き締まらずヨレが生じるハリがなくなり疲れた表情

すでにたるみが進行している場合の注意点

40代以降などで、すでに皮膚のたるみが顕著に現れている場合、バッカルファット除去単独での施術は推奨されないことが多いです。

皮膚の弾力が低下している状態で中身の脂肪だけを抜くと皮膚の収縮が追いつかず、余った皮膚がさらに下に垂れ下がり、たるみを悪化させる結果となります。

このようなケースでは、バッカルファットを温存するか、あるいは除去と同時に余分な皮膚を切除するフェイスリフトや、強力な引き締め治療を併用することが前提となります。

「脂肪を取ればスッキリする」という単純な図式は、ある程度の年齢層や皮膚の状態においては成立しないことを理解しておく必要があります。

バッカルファット除去のメリットとデメリットの比較検討

バッカルファット除去は半永久的な小顔効果とたるみ予防という大きなメリットを持つ反面、過剰除去による頬のコケや修正の難しさという不可逆的なデメリットも併せ持っています。

小顔効果とフェイスラインのシャープ化

最大のメリットは確実なボリュームダウンによる小顔効果です。特に笑った時の横への広がりや、下膨れ感が解消され、洗練されたシャープな輪郭を手に入れることができます。

ダイエットでは落ちにくい部分であるため、長年コンプレックスを感じていた方にとっては劇的な変化を感じられる施術です。

また、口の中からのアプローチであるため、顔の表面に傷跡が残らない点も大きな利点です。メイクや洗顔も直後から制限が少なく、日常生活への復帰が早いことも、多くの人に選ばれる理由の一つです。

将来的なたるみの予防効果

メリットの側面で見逃せないのが、アンチエイジング効果です。バッカルファットは年齢とともに重力で下がり、マリオネットラインやほうれい線を深くする原因となります。

早い段階で、あるいは下垂が始まる前に適量を除去しておくことで、将来的に重みで皮膚が伸びたり、ブルドッグのような頬になったりするリスクを物理的に減らすことができます。

これは「治療」というよりも「予防」としての側面が強く、5年後、10年後の自分の顔立ちに対する投資と捉えることもできます。

効果とリスクの対比表

メリットデメリット修正の難易度
半永久的な小顔効果取りすぎによる頬のこけ脂肪注入等が必要で困難
将来のたるみ予防皮膚の余りによる即時的たるみリフトアップ等が必要
顔表面に傷ができない左右差が生じる可能性微調整が難しい

一度除去すると元に戻せない不可逆性

デメリットとして最も強調すべき点は、この手術が「不可逆(元に戻せない)」であることです。

一度取り除いたバッカルファットは再生しません。もし仕上がりに満足できず「取りすぎたから戻したい」と思っても、元のバッカルファットを戻すことは不可能です。

修正するためには、太ももなどから脂肪を採取して注入する脂肪注入や、ヒアルロン酸注入など、別の施術が必要となります。

しかし、人工的に注入した脂肪は本来のバッカルファットのように滑らかな塊として機能するとは限らず、質感や表情の動きに違和感が出ることもあります。

そのため、除去量は「少し足りないかもしれない」と感じる程度に留めるなど、慎重な判断が必要です。

失敗しないための自己診断と医師によるシミュレーション

自身でできる簡易的なチェックに加え、経験豊富な医師による皮膚の厚みや骨格の触診、そして将来の加齢変化を見越した詳細なシミュレーションを行うことが、後悔しない選択への第一歩です。

自宅でできる簡易チェック方法

まずは、鏡の前で自分が適応かどうかをある程度確認してみましょう。

口をすぼめて頬を吸い込んだ時、頬骨の下が極端に凹む場合は、バッカルファットを除去するとさらにその凹みが強調されるため、適応ではない可能性が高いです。

逆に、吸い込んでもあまり凹まず、肉厚感がある場合は適応の可能性があります。

また、仰向けに寝た状態と起き上がった状態を見比べるのも有効です。起きた時にだけ頬の下部に重みが出るなら、重力で移動するバッカルファットが原因である可能性が高まります。

しかし、これらはあくまで目安であり、最終的な判断材料にはなりません。

カウンセリングで確認すべき重要事項

  • 医師が触診で脂肪の量と位置を確認したか
  • 皮膚の弾力性や厚みを考慮した提案か
  • 5年後、10年後の顔の変化についての説明があるか
  • 「全摘出」ではなく「適量除去」の調整が可能か

医師による触診と骨格診断の重要性

正確な適応判断には、医師による直接的な触診が必要です。口の中と外から指で挟み、バッカルファットの量、位置、硬さ、そして皮下脂肪とのバランスを確認します。

また、CTスキャンや3Dシミュレーションを用いて、骨格と脂肪の関係を可視化するクリニックもあります。

名医と呼ばれる医師たちは、単に「小顔にしたい」という希望を叶えるだけでなく、その人の骨格においてバッカルファットを取った場合に頬骨がどう浮き出るか、顎のラインがどう変化するかを立体的に予測します。

現在の顔だけでなく、加齢による骨の萎縮や皮膚の変化まで見越したデザインができる医師を選ぶことが大切です。

「全摘」か「一部除去」かの見極め

かつてはバッカルファットを根こそぎ除去する手術が主流でしたが、現在は将来的なこけのリスクを考慮し、必要な分だけを取り除く「一部除去」や、位置を移動させる(リポジショニング)手術も行われています。

個人の顔立ちに合わせて、どの程度の量を残すべきかを細かく調整する技術が求められます。「たくさん取れば取るほど小顔になる」というのは誤りです。

美しいフェイスラインを作るために必要なボリュームは温存し、下垂の原因となる余剰分だけをターゲットにする。このさじ加減こそが、成功と失敗を分ける境界線となります。

除去以外の選択肢と併用することで相乗効果を生む施術

バッカルファット除去だけが正解ではありません。

皮下脂肪へのアプローチである脂肪吸引や、皮膚を引き締めるHIFUや糸リフトなどを組み合わせ、あるいは代替することで、より安全で理想的な輪郭形成が可能になります。

脂肪吸引との違いと使い分け

顔の大きさを気にしている場合、その原因がバッカルファットではなく皮下脂肪にあることも多々あります。

皮下脂肪が厚い場合はバッカルファット除去ではなく「顔の脂肪吸引(頬・顎下)」が適応となります。皮下脂肪は浅い層にあるため、これを減らすことで皮膚のタイトニング効果も期待しやすく、輪郭を整える効果が高い施術です。

また、バッカルファットと皮下脂肪の両方が多い場合は、両方を同時に行うことで最大限の小顔効果を狙うこともあります。

どちらが主原因かを見誤ると、期待した効果が得られないばかりか、不自然な段差が生じる原因となります。

糸リフト(スレッドリフト)との併用メリット

バッカルファット除去を検討する際、非常に相性が良いのが糸リフト(スレッドリフト)です。

バッカルファットを除去して内部の容量を減らすと同時に、糸リフトで皮膚と組織を物理的に引き上げることで除去後の皮膚のたるみを防ぎ、より強力なリフトアップ効果を実現します。

除去によってできた空洞(スペース)を利用し、糸で組織を正しい位置に癒着させることで後戻りの少ないシャープなフェイスラインを作ることが可能です。

特にたるみ予防を重視する30代以降の方には、この併用療法が標準的な選択肢として提案されることが増えています。

主な代替・併用治療の比較

施術名ターゲットバッカルとの関係
脂肪吸引皮下脂肪(浅い層)表面の厚みを減らす代替・併用案
糸リフトSMAS・皮下組織除去後のたるみを防ぐ強力な併用案
HIFU(ハイフ)筋膜・真皮層軽度の引き締めや術後のケアとして活用

HIFUなどの照射系治療による引き締め

手術に抵抗がある場合や、バッカルファットの量がそれほど多くない場合は、HIFU(高密度焦点式超音波)などの照射系治療で様子を見るのも一つの賢明な選択です。

HIFUは熱エネルギーによって脂肪層を引き締め、筋膜(SMAS)をリフトアップさせる効果があります。劇的な脂肪減少は望めませんが、ダウンタイムがほとんどなく、自然な引き締め効果が得られます。

また、バッカルファット除去後のメンテナンスとして定期的に受けることで皮膚のタイトニングを促し、長期的な小顔状態をキープするのに役立ちます。

術後の経過とダウンタイムにおける生活上の注意点

術後の腫れや内出血は数日から1週間程度で落ち着きますが、組織が完全に安定し完成形となるまでには数ヶ月を要します。

この期間の適切なケアが仕上がりを左右することを理解しておきましょう。

手術直後から数日間の腫れと痛み

バッカルファット除去は口の中を1〜2センチほど切開して行うため、顔の表面に傷はできませんが、術後数日は腫れが生じます。

腫れのピークは翌日から2日目くらいで、親知らずを抜いた時のような、少し膨らんだ状態になるのが一般的です。痛みについては、処方される痛み止めでコントロールできる程度であることがほとんどです。

この期間は激しい運動や長時間の入浴、サウナなど、血流が良くなる行為を避ける必要があります。血行が良くなりすぎると腫れや内出血が強く出たり、長引いたりする原因となります。

食事制限と口腔ケアの重要性

口の中に傷があるため、術後数日間は食事に注意が必要です。熱すぎるもの、辛いものなどの刺激物は傷口にしみて痛みや炎症を引き起こす可能性があります。

また、硬いものを無理に噛むと傷口に負担がかかるため、お粥やゼリー、うどんなどの柔らかい食事から始めることが推奨されます。

感染予防のための口腔ケアも欠かせません。イソジンなどのうがい薬を用いて毎食後こまめに口の中を消毒し、清潔に保つことが、順調な回復への近道となります。

歯磨きの際も、傷口にブラシが当たらないよう慎重に行う必要があります。

回復までの一般的なタイムライン

経過時期状態の目安生活上の注意
手術当日〜3日目腫れのピーク・鈍痛刺激物を避け、安静に過ごす
1週間後腫れが引き始める抜糸(必要な場合)、徐々に通常食へ
1ヶ月〜3ヶ月組織が引き締まる完成形に近づく、拘縮(硬さ)が和らぐ

完成形までの期間と組織の拘縮

腫れが引いたからといって、すぐに完成というわけではありません。脂肪がなくなったスペースが治癒する過程で、組織が硬くなる「拘縮(こうしゅく)」という現象が一時的に起こります。

皮膚の下が少し突っ張るような感覚や、しこりのような硬さを感じることがありますが、これは正常な治癒反応です。この拘縮は通常1ヶ月から3ヶ月、長い場合は半年ほどかけて徐々に柔らかくなり、馴染んでいきます。

この期間を経て初めて、皮膚がピタリと癒着し、すっきりとした最終的なフェイスラインが完成します。焦らずに組織の回復を待つ姿勢が大切です。

よくある質問

バッカルファット除去の手術は痛いですか?

手術中は局所麻酔や静脈麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。意識がある状態が怖い場合は、眠っている間に終わる静脈麻酔を選択できるクリニックも多いです。

術後は麻酔が切れると鈍痛を感じることがありますが、処方される鎮痛剤で十分にコントロールできる範囲の痛みです。

一度除去すればリバウンドはしませんか?

バッカルファットの脂肪細胞そのものを除去するため、基本的にはリバウンドしません。通常のダイエットでは脂肪細胞の「大きさ」が変わるだけですが、この手術では「数」を減らすためです。

ただし、暴飲暴食によって体重が大幅に増加した場合、残っている皮下脂肪が肥大化し、顔がふっくらと戻って見えることはあります。

効果はいつ頃から実感できますか?

手術直後は腫れがあるため、逆に顔がふっくらして見えることもあります。

大きな腫れが引く1週間後くらいから徐々に変化を感じ始めますが、脂肪がなくなったことによる引き締まり効果がはっきりと現れるのは、組織の修復が進む1ヶ月後から3ヶ月後くらいが目安です。

歯科治療への影響はありますか?

傷口が完全に治癒していれば、通常の歯科治療に影響はありません。ただし、術後1ヶ月程度は口を大きく開けることが困難だったり、傷口に負担がかかったりする可能性があります。

そのため、緊急性のない歯科検診や治療は、術後1ヶ月以上空けてから行うことを推奨します。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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