リガメントリフトとは|支持靭帯を引き上げ若返る手術の全貌

リガメントリフトとは|支持靭帯を引き上げ若返る手術の全貌

顔の老化現象の本質的な原因である「支持靭帯(リガメント)」のゆるみに直接アプローチし、皮膚や筋肉だけでなく顔の土台から再構築することで、自然かつ長期的な若返り効果を実現するのがリガメントリフトです。

従来の皮膚のみを引っ張る手術や一般的なSMAS法では解決が難しかった深いほうれい線やマリオネットライン、頬のたるみに対して、解剖学的な根拠に基づいた処置を行うことで、後戻りの少ない根本的な改善を目指します。

本記事では、この高度な術式の構造的理解から、メリット、リスク、費用感、そしてクリニック選びの基準に至るまで、検討に必要な全情報を網羅的に解説します。

目次

リガメントリフトの基礎構造と従来の手術との決定的な違い

リガメントリフトとは、顔の組織を骨につなぎ止めている「支持靭帯(リガメント)」を一度切り離して引き上げ、適切な位置で再び固定し直すことで、顔全体の構造的な若返りを図る術式です。

皮膚の表面だけを操作するのではなく、深層にあるアンカー部分を補強するため、強力なリフトアップ効果を発揮します。

顔のたるみを引き起こす支持靭帯の役割と劣化

私たちの顔は、皮膚、皮下脂肪、筋肉(SMAS)、そして骨という層構造で成り立っています。これらが重力によって滑り落ちないように、骨から皮膚に向かって杭(くい)のように貫き、組織をしっかりと繋ぎ止めている強力な線維束が「支持靭帯(リガメント)」です。

若い頃はこのリガメントが太く短く、ピンと張った状態で組織を支えているため、頬の位置が高く、フェイスラインも引き締まっています。

加齢とともにこのリガメント自体が弾力を失い、長く伸びて垂れ下がってしまいます。支えを失った脂肪や皮膚は重力に従って下垂し、結果として深いほうれい線やブルドッグのような頬のたるみ、マリオネットラインを形成します。

リガメントリフトは、この伸びてしまった「杭」を打ち直す作業に相当します。根本的な支えを修復しない限り、表面の皮膚をいくら引っ張っても、すぐにまた伸びたゴムのように戻ってしまうのです。

SMAS法とリガメントリフトのアプローチの差異

一般的に広く知られる「SMAS法」は、皮膚の下にある表情筋の筋膜(SMAS)を引き上げて固定する手術です。

これは皮膚だけの切除に比べて高い効果を持ちますが、SMASの下にあるリガメントが突っ張ったままの状態では、引き上げしろに限界が生じます。リガメントがブレーキのような役割を果たし、SMASを十分に引き上げることができないのです。

一方、リガメントリフトでは、このブレーキとなっているリガメントを一度意図的に切離します。これにより、SMASと顔面神経、皮膚を含む組織全体が骨から自由に動く状態(フリーな状態)となります。

可動域が劇的に広がるため、SMAS法単独では動かせなかった範囲まで組織を引き上げることが可能になります。

引き上げた後、余分な皮膚を切除し、リガメントを高い位置で再固定することで、後戻りのリスクを大幅に低減します。

術式によるアプローチ階層と効果の違い

術式名アプローチする層リガメントの処理
皮膚切除のみ表皮・真皮処理しない(触らない)
一般的なSMAS法表皮・SMAS(筋膜)処理しない、または折りたたむ程度
リガメントリフト表皮・SMAS・支持靭帯・顔面空間切離して解放し、引き上げて再固定する

解剖学的に重要な2つの主要リガメント

リガメントリフトにおいて特に重要となるのが、「頬骨リガメント(Zygomatic Ligament)」と「咬筋リガメント(Masseteric Ligament)」です。

頬骨リガメントは頬の前面を支えており、これが緩むと目袋の下から頬全体が下がり、ゴルゴラインや深いほうれい線の原因となります。

咬筋リガメントはフェイスラインの後方を支えており、ここの緩みは口元のたるみやフェイスラインの崩れに直結します。

これらのリガメントは、顔面神経の走行と非常に近い場所に位置しています。そのため、リガメントを処理するには、顔面の解剖学に精通した高度な技術と経験が必要です。

単に引き上げるだけでなく、神経を温存しながら適切にリガメントを解除し、再固定するという繊細な手技を行うことで、初めて自然で立体的な若返りが完成します。

リガメント処置を行うことで得られる具体的なメリット

リガメントリフトを行う最大の利点は顔の表面的な平面性を変えるのではなく、立体的な構造を若い頃の状態に復元できる点にあります。

皮膚に過度な負担をかけずにリフトアップするため、手術特有の不自然さを回避しつつ、長期間にわたる効果維持を実現します。

  • 皮膚を無理に引っ張らないため、表情がひきつらず自然な仕上がりになる
  • 土台から引き上げるため、効果の持続期間が5年から10年以上と非常に長い
  • SMAS法では改善しにくい口元のたるみや深いシワに対して高い効果を発揮する
  • 耳の前の傷跡に過度な力がかからないため、傷跡が目立ちにくく綺麗に治る

不自然な「引きつれ顔」を回避する原理

フェイスリフト手術で懸念されるのが、皮膚が横に引っ張られすぎて口が横に裂けたようになったり、表情が能面のようになったりする「引きつれ」です。

これは、深部組織が下がったままの状態で、表面の皮膚だけに強いテンション(張力)をかけて縫い合わせることで発生します。

皮膚は弾力があるとはいえ、無理な力がかかり続ければ変形し、さらに時間の経過とともに伸びてしまいます。

リガメントリフトでは内部組織(SMASや脂肪)をリガメントの位置で引き上げて固定するため、表面の皮膚にかかる負担は最小限で済みます。

皮膚はあくまで「余った分を切り取って合わせる」程度に留めるため、笑った時の表情も自然で、横に引っ張られたような違和感が生じません。

顔の中心部から立体的に持ち上がるため、若々しい丸みのある頬を取り戻すことができます。

効果の持続性と後戻り防止の強さ

切開リフトを受けたにもかかわらず、数年で元に戻ってしまったというケースは少なくありません。

これは多くの場合、皮膚やSMASを引き上げただけで、それを支えるアンカー(リガメント)の補強が行われていないことに起因します。重力の影響を受け続ける顔面において、支えが弱ければ組織は再び滑り落ちていきます。

リガメントリフトは、一度切離したリガメントが治癒する過程で、引き上げられた新しい位置で骨と強固に癒着(再接着)する現象を利用します。つまり、治癒後は生体本来の強力な癒着によってリフトアップされた状態が維持されます。

人工的な糸だけで吊り上げるのではなく、自身の組織が新しい位置で生着するため、物理的な強度が非常に高く、老化の時計を10年単位で巻き戻すような持続力を発揮します。

鼻唇溝とマリオネットラインへの到達力

顔の中心に近い「鼻唇溝(ほうれい線)」や口元の「マリオネットライン」は、耳の切開線から距離が遠いため、従来の手術法ではアプローチが難しい領域とされてきました。

耳の前でいくら強く引っ張っても、その力は顔の中心部までは届きにくく、口元のたるみが残りやすいという課題がありました。

リガメントリフトでは、頬骨リガメントなどの顔面中央部に近い靭帯を解放することで、この「距離の壁」を克服します。靭帯というストッパーを外すことで、耳からの牽引力が顔の中心部までダイレクトに伝わるようになります。

その結果、従来法では改善が困難だった深いほうれい線や口角の下がりに対しても、顕著な改善効果を出すことができます。

手術当日の流れと医学的な処置内容

リガメントリフトは高度な外科手術であり、正確な手順と安全管理の下で実施します。麻酔の導入から手術終了まで、患者様の身体的負担を考慮しながら、数ミリ単位の調整を行う精密な作業が続きます。

ここでは実際の手術室で行われる処置の流れを解説します。

切開線のデザインとアプローチの開始

手術は患者様の骨格や皮膚の余剰量を計算したデザインに基づき、切開ラインを決定することから始まります。

通常、こめかみの毛髪内から耳の前(耳珠のふち)、耳の後ろ、そして髪の生え際にかけて切開を行います。このラインは、傷跡が目立たないよう耳の軟骨の凹凸に沿って曲線的に描きます。

麻酔が十分に効いたことを確認した後に皮膚を切開し、皮下を剥離(はくり)していきます。この際、皮膚の血流を損なわないよう、適切な厚みを保ちながら慎重に剥がし進めます。

SMAS(表在性筋膜)が露出した段階で、次の重要な工程であるリガメントの処理へと移行します。

靭帯の解放と組織の引き上げ固定

露出したSMASの下層へと剥離を進め、顔面神経を確認しながら、顔の組織を骨に繋ぎ止めている主要なリガメント(頬骨リガメント、咬筋リガメントなど)を同定します。ここが手術のハイライトであり、執刀医の技量が問われる場面です。

神経を傷つけないよう細心の注意を払いながら、これらのリガメントを根元から切離します。

リガメントを切離すると、頬の脂肪やSMASが可動性を持ち、容易に動くようになります。執刀医は重力と逆方向、つまり斜め上方向へと組織全体を十分に引き上げます。

引き上げた組織は吸収されない丈夫な糸を用いて、耳周囲の強固な組織や骨膜などの動かない土台へしっかりと固定します。これにより、顔の内部構造が若かった頃の位置へと復元します。

手術概要と所要時間目安

項目内容・目安備考
麻酔方法静脈麻酔 または 全身麻酔眠っている間に行うため痛みを感じません
手術時間4時間 〜 6時間リガメント処理の範囲により変動します
入院の必要性基本は日帰り または 1泊入院ドレーン(血抜きの管)挿入時は翌日抜去

余剰皮膚の切除と縫合技術

内部組織の引き上げと固定が完了すると、耳の前には余分な皮膚がたわんで残ります。この余剰皮膚を引き上げた形に合わせてトリミング(切除)します。

この時、皮膚を無理に引っ張って縫い合わせるのではなく、ふんわりと合わせる程度の張力で縫合することが、傷跡を綺麗に治すための重要なポイントです。

縫合は、真皮縫合(中縫い)と表皮縫合(外縫い)の二層、あるいは三層で行います。時間をかけて丁寧に縫い合わせることで、術後の傷跡の幅が広がるのを防ぎます。

最後に術後の腫れや内出血を最小限に抑えるため、圧迫固定(フェイスバンテージ)を行い、血液に溜まるのを防ぐドレーンを挿入して手術は終了します。

リガメントリフトが推奨される症状と適性

すべてのたるみ治療においてリガメントリフトが必要なわけではありません。軽度な症状であれば、より侵襲の少ない治療法を選択することも可能です。

しかし、特定の症状や強い希望を持つ方にとって、リガメントリフトは唯一無二の解決策となります。ご自身の状態と照らし合わせて検討してください。

  • 50代以上で、顔全体のたるみが顕著に現れている方
  • 過去に糸リフトやHIFUを受けたが、効果に満足できなかった方
  • 指で頬をかなり強く引き上げないと、理想のフェイスラインにならない方
  • 10年後も今の若々しさを維持したいと強く望む方

重度のたるみと皮膚余剰があるケース

加齢により皮膚が大幅に伸びてしまい、つまめるほどの余剰皮膚がある場合、レーザー治療や糸リフトでは物理的な限界があります。余った皮膚を切り取らずに引き上げようとすれば、どこかに歪みが生じたり、すぐに戻ったりします。

リガメントリフトは内部組織の引き上げと余剰皮膚の切除を同時に行うため、重度のたるみに対して最も合理的かつ効果的な治療法となります。

特に、首元までたるみが及んでいるようなケースでは、リガメント処理を含めた広範囲の剥離が必要です。

骨格的な要因と皮下脂肪の量

骨格的に頬骨が小さかったり、下顎が後退していたりする方は、骨による組織の支持力が弱いため、比較的若い年齢でもたるみが生じやすい傾向にあります。

また、皮下脂肪が厚く重い方も、重力の影響を強く受けるためリガメントが伸びやすくなります。

こうした骨格的・体質的な要因でたるみが進行している場合、表面的な治療だけでは支えきれません。リガメントリフトによって強固な土台を作り直すことで骨格的な不利を補い、シャープな輪郭を形成することが可能です。

根本解決を望む心理的ニーズ

「何度もメンテナンスに通うのは避けたい」「一時的な変化ではなく、しっかりと若返りたい」という価値観を持つ方にとって、リガメントリフトは適しています。

ダウンタイムや費用という一時的なコストはかかりますが、その後の長い人生において、たるみの悩みから解放される時間は計り知れません。

対症療法的なアプローチではなく、老化の原因そのものを外科的にリセットしたいという強い意志を持つ方に、この手術は応えることができます。

想定されるリスクとダウンタイムの現実

リガメントリフトは効果が高い反面、侵襲(体への負担)も大きい手術です。安易に決断するのではなく、術後に起こりうる身体反応やリスクについて正確に理解し、生活のスケジュールを調整した上で臨むことが大切です。

ダウンタイムは回復のための重要な期間であり、適切なケアが仕上がりを左右します。

術後の経過と回復の目安

経過期間主な症状と状態生活上の注意点
手術直後〜3日目腫れや内出血のピーク、圧迫固定が必要頭を高くして安静にする、冷却を行う
1週間後抜糸を行う、強い腫れは引いてくるメイクが可能になる、外出も徐々に可能
1ヶ月後むくみが残り、患部が硬くなる(拘縮)傷跡は赤いがコンシーラーで隠せる
3ヶ月〜6ヶ月ほぼ完成、傷跡が白く目立たなくなる知覚の鈍さも徐々に回復する

術後の腫れと内出血の程度

リガメントリフトでは広範囲の剥離を行うため、術後の腫れや内出血は避けて通れません。特に術後2〜3日は腫れのピークとなり、顔が大きくむくんだように見えます。

内出血が生じた場合、黄色や紫色のあざが首元まで降りてくることがありますが、これらは通常2週間程度で自然に吸収され消失します。

マスクや髪型で隠せる範囲であることが多いですが、重要なイベントがある場合は、最低でも1ヶ月以上の余裕を持って手術日程を組むことが重要です。

顔面神経麻痺のリスクと回避

患者様が最も懸念されるリスクの一つが顔面神経麻痺です。

リガメントのすぐ近くには表情筋を動かす顔面神経の枝が走っています。手術操作によって神経が引っ張られたり、一時的なダメージを受けたりすることで、眉毛が上がりにくい、口が動かしにくいといった症状が出ることがあります。

多くは一時的な麻痺(ニューラプラキシア)であり、数週間から数ヶ月で回復しますが、永続的な損傷を防ぐためには、解剖熟知した医師による慎重な剥離操作が不可欠です。

知覚異常と拘縮(こうしゅく)

耳の周りや頬の皮膚の感覚が鈍くなったり、触れるとピリピリしたりする知覚異常が起こることがあります。これは手術中に細かい知覚神経が切断されるために起こる正常な反応で、半年から1年かけて徐々に感覚が戻ってきます。

また、術後1ヶ月頃から傷が治ろうとする過程で組織が硬くなる「拘縮(こうしゅく)」が始まります。

皮膚が突っ張るような感覚を覚えますが、これも治癒過程の一環であり、マッサージや時間の経過とともに柔らかく馴染んでいきます。

費用相場と価格差が生じる要因

リガメントリフトは美容外科手術の中でも高額な部類に入ります。提示される料金には大きな幅があり、なぜこれほどの差があるのか疑問に思う方も多いでしょう。

費用は単なる値段ではなく、技術料、安全性、そしてアフターケアの質を反映しています。

費用の内訳と相場観

項目費用相場(税込)変動の要因
手術基本料金100万円 〜 250万円執刀医の技術ランク、クリニックの立地
麻酔費用5万円 〜 20万円麻酔科専門医の立ち会いの有無、麻酔の種類
検査・薬品代3万円 〜 10万円術前血液検査、心電図、術後処方薬など

高度な技術料としての側面

リガメントリフトが高額になる最大の理由は、その技術的難易度にあります。前述の通り、顔面神経が走行する深層部での操作が必要であり、習得には長い年月の修練と深い解剖学的知識を要します。

一般的な皮膚のみのリフトや簡易的なSMAS法に比べ、手術時間も2倍以上かかります。医師の拘束時間と高度な技術への対価として、費用が高く設定されるのは必然と言えます。

安価なクリニックでは、リガメント処理を行わない簡易的な手術をリフトと呼んでいる場合もあるため、注意が必要です。

安全管理と設備投資へのコスト

安全に手術を行うための環境作りにもコストがかかります。

全身麻酔や静脈麻酔を安全に行うための生体モニター、万が一の停電に備えた無停電電源装置、滅菌管理の徹底など目に見えない部分への投資が手術の安全性を担保しています。

また、術後の腫れを早く引かせるためのインディバ(高周波温熱機器)トリートメントや、万全の検診体制などのアフターケアが費用に含まれている場合もあります。

提示された金額に何が含まれているのか、見積もりの詳細を確認することが大切です。

長期的なコストパフォーマンスの視点

初期費用は高額ですが、効果の持続期間を考慮するとコストパフォーマンスは必ずしも悪くありません。

例えば、半年ごとに数万円から十数万円かかる糸リフトや注入治療を10年間繰り返した場合、総額はリガメントリフトの費用に匹敵、あるいは上回ることもあります。

何度もダウンタイムを繰り返すストレスや、徐々に効果が薄れていく不安と比較して、一度の手術で長期間の安定した効果を得ることを「投資」と捉える考え方もあります。

失敗しないためのクリニックと医師選び

リガメントリフトの成否は、完全に執刀医の腕にかかっています。機械が行う施術とは異なり、職人技とも言える手作業であるため、医師選びを間違えれば取り返しのつかない結果になりかねません。

広告の華やかさや価格の安さだけで判断せず、以下の基準を持って慎重に医師を選定してください。

  • 形成外科専門医の資格を持ち、解剖学の基礎がしっかりしているか
  • フェイスリフトの手術実績が豊富で、特にリガメント処理について詳しく説明できるか
  • メリットだけでなく、リスクや合併症についても隠さずに話してくれるか
  • 術後の長期経過(1年以上)の症例写真を提示できるか

解剖学的知識と経験の重要性

顔の解剖は教科書通りではありません。人によって神経の走行やリガメントの強さは微妙に異なります。

手術中に予期せぬ血管や神経の走行に出くわした際、瞬時に適切な判断ができるのは豊富な経験に裏打ちされた知識を持つ医師だけです。

形成外科での再建手術の経験や、頭蓋顎顔面領域の手術に精通している医師は組織の扱いが丁寧で、出血を抑えながら確実な層を剥離する技術を持っています。

医師の経歴を確認し、どのようなトレーニングを積んできたかを知ることは非常に重要です。

カウンセリングでの対話の質

カウンセリングは、医師との相性や信頼関係を確認する場です。良い医師は患者様の希望を聞くだけでなく、「できること」と「できないこと」を明確に伝えます。

例えば、「絶対に腫れない」「リスクはない」といった甘い言葉ばかりを並べる医師は避けるべきです。

また、リガメントリフトの具体的な術式について、「どこをどの程度剥離し、どのリガメントを処理するのか」という専門的な質問に対し、図を描いて論理的に説明してくれる医師であれば、信頼に値すると判断できます。

アフターケア体制の充実度

手術はやりっぱなしでは終わりません。術後の不安な時期に、いつでも相談できる体制が整っているかどうかもクリニック選びの決め手となります。

夜間の緊急連絡先があるか、抜糸後の検診は医師が直接行うか、修正が必要になった場合の保証制度はあるかなど、術後のサポート体制を確認しましょう。

誠実なクリニックは術後の経過観察を大切にし、患者様が完全に回復して笑顔になるまで責任を持って伴走します。

よくある質問

傷跡は本当に目立たなくなりますか?

傷跡が完全に消えることはありませんが、他人の目にはほとんど分からないレベルまで綺麗に治すことは可能です。

耳の軟骨の形に沿って切開線をデザインし、皮膚に緊張(テンション)をかけずに縫合することで、傷は白い細い線へと変化します。

髪の毛を下ろせば隠れる位置であり、髪をアップにしても注意深く見なければ気づかれない程度に回復します。ただし、喫煙習慣がある方は傷の治りが悪くなるため、術前後の禁煙が必要です。

リガメントリフトは何歳まで受けられますか?

年齢の上限は特に設けておらず、70代や80代で手術を受けられる方もいらっしゃいます。

重要なのは年齢そのものよりも、全身の健康状態です。麻酔や手術の侵襲に耐えられる体力があり、持病(高血圧や糖尿病など)がコントロールされていれば手術は可能です。

むしろ、皮膚のたるみが強い高齢の方ほど、劇的な変化を実感しやすい傾向にあります。

他の施術と同時に受けることはできますか?

はい、多くの方が複合的な手術を選択します。

例えば、首のたるみを改善するネックリフト、余分な脂肪を除去する脂肪吸引、目の下のたるみ取りなどを同時に行うことで顔全体のバランスを整え、より完成度の高い若返りを実現できます。

同時に行うことでダウンタイムを一度にまとめることができる利点もあります。医師と相談し、身体への負担を考慮したプランを立てることが大切です。

手術中の痛みはありますか?

手術中は静脈麻酔や全身麻酔を使用するため、意識がない状態で進行し、痛みを感じることはありません。

術後、麻酔が切れると鈍痛を感じることがありますが、処方される鎮痛剤を内服することで十分にコントロール可能な範囲です。多くの患者様が「想像していたよりも痛くなかった」という感想を持たれます。

痛みのピークは当日の夜から翌朝にかけてで、その後は急速に落ち着いていきます。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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