活性酸素による細胞の酸化とDNAへのダメージ|肌のサビが招く老化のメカニズム

活性酸素による細胞の酸化とDNAへのダメージ|肌のサビが招く老化のメカニズム

活性酸素による細胞の酸化とDNAへのダメージは、肌の老化を加速させる最大の要因です。呼吸をするだけで発生する活性酸素は通常であればウイルスを撃退する免疫機能として働きますが、過剰に発生すると健康な細胞から電子を奪い、細胞膜や遺伝子情報を傷つけます。

これが「肌のサビ」と呼ばれる現象であり、真皮層のコラーゲン破壊やメラノサイトの暴走を引き起こし、深刻なしわやたるみ、シミの原因となります。

本記事では、この目に見えないミクロの破壊活動がどのようにして老化現象として肌表面に現れるのか、その詳細な仕組みと、日常で取り入れるべき具体的な抗酸化対策について解説します。

目次

活性酸素が肌細胞を酸化させる根本的な理由

私たちは生命活動を維持するために酸素を必要としますが、取り込んだ酸素の一部は必然的に活性酸素へと変化し、これが肌細胞を酸化させる根本的な原因となります。

酸素は細胞内のミトコンドリアでエネルギーに変換されますが、その過程で約2%が活性酸素という反応性の高い物質に変わります。

この活性酸素は不安定な電子配置を持っており、安定しようとして周囲の物質から電子を奪い取ろうとする性質があります。この「電子を奪う」行為こそが酸化の正体であり、肌細胞が錆びていく始まりです。

呼吸とエネルギー代謝に伴う避けられない副産物

人間が生きる上で欠かせない呼吸と食事によるエネルギー代謝は、同時に酸化リスクを背負うことでもあります。細胞内のミトコンドリアは酸素を使って糖や脂肪を燃焼させ、ATPというエネルギー通貨を作り出します。

この発電所のような働きをする場所で、燃えカスとして発生するのが活性酸素です。つまり、私たちが元気に活動すればするほど、体内では常に酸化の火種が生まれています。

若い頃はこの火種を消す力が十分に備わっていますが、年齢と共にその処理能力が追いつかなくなることで、酸化ダメージが蓄積し始めます。

紫外線などの外的要因が引き起こす過剰発生

体内で自然に発生する活性酸素に加え、外部からの刺激は爆発的な活性酸素の発生を引き起こします。特に紫外線は肌の表皮細胞に直接作用し、スーパーオキシドアニオンなどの活性酸素を大量に作り出します。

これは本来、紫外線による害から身を守るための防御反応ですが、量が多すぎると正常な細胞まで攻撃対象となってしまいます。

また、大気汚染物質やタバコの煙、過度なストレスなども、体内での活性酸素生成を強力に後押しする要因となります。これらの外的要因が重なることで肌の酸化許容量を超え、老化のスイッチが入ります。

加齢によって低下する抗酸化力のバランス崩壊

私たちの体には発生した活性酸素を無害化する「抗酸化酵素(SODなど)」を作る能力が備わっています。しかし、この能力は20代をピークに低下し、40代以降では急激に減少します。

生成される活性酸素の量が変わらなくても、それを処理する力が弱まるため、結果として体内に活性酸素が溢れかえる状態「酸化ストレス」に陥ります。

このバランスの崩壊、加齢とともに肌の悩みが増える根本的な理由です。自前の酵素だけでは賄いきれない分は、外部から抗酸化物質を補うことが重要になります。

活性酸素の発生源と肌への影響

発生源主な要因肌への具体的影響
内部要因呼吸、代謝、精神的ストレス全身の細胞機能低下、血行不良による肌のくすみ
外部要因紫外線、大気汚染、喫煙表皮バリア機能の破壊、メラニンの過剰生成
生活習慣激しい運動、食品添加物、睡眠不足修復サイクルの乱れ、炎症によるコラーゲン分解

肌のサビと呼ばれる酸化ストレスの正体

肌のサビとは、活性酸素によって細胞膜やタンパク質が変質し、本来の機能を失ってしまう状態のことを指します。鉄が酸化して錆びるとボロボロになるのと同様に、人間の体も酸化することで組織が脆くなります。

特に肌においては、細胞一つひとつを包む細胞膜が酸化されると「過酸化脂質」という有害物質に変化します。この過酸化脂質は周囲の細胞まで次々と酸化させていく連鎖反応を引き起こし、肌内部の環境を急速に悪化させます。

健康なピンク色の肌が黄ばんだり、弾力を失ったりするのは、この微細なサビが顔全体に広がっている証拠です。

正常な細胞膜やタンパク質から電子を奪う破壊行為

活性酸素による攻撃は、化学的には「電子の強奪」です。すべての物質は原子からなり、原子は電子を持っています。

活性酸素は電子が足りない不安定な状態にあるため、隣接する正常な細胞膜の脂質や、肌を構成するタンパク質から無理やり電子を奪い取ります。

電子を奪われた細胞膜は構造を維持できなくなり、栄養の取り込みや老廃物の排出といった基本的な代謝機能が麻痺します。これにより細胞は栄養失調状態に陥り、みずみずしさを保つことができなくなります。

メラノサイトへの刺激とシミ形成の連鎖

酸化ストレスはシミの工場であるメラノサイトを過剰に刺激します。表皮で大量の活性酸素が発生すると、肌を守るための信号としてメラノサイトに「メラニンを作れ」という指令が送られ続けます。

通常であればターンオーバーとともに排出されるメラニンですが、酸化によって肌の代謝機能自体が衰えているため、排出が間に合わず色素が沈着します。

さらに、酸化した脂質がメラニン色素と結びつくと、より頑固で消えにくい「リポフスチン」という老化色素に変化し、肌の透明感を奪います。

真皮層のコラーゲン繊維が切断される影響

肌の弾力を支える真皮層においても、酸化は深刻なダメージを与えます。活性酸素はコラーゲンやエラスチンといった弾力繊維を直接攻撃して硬化させたり、切断したりします。

さらに厄介なことに、活性酸素による炎症反応はコラーゲン分解酵素(MMP)の産生を促します。これにより、新しく作られるコラーゲンよりも分解される量の方が多くなり、肌内部の支えが失われます。

これが、重力に逆らえずに皮膚が下がる「たるみ」や、皮膚が折れ曲がる「しわ」の直接的な原因となります。

酸化ストレスが及ぼす組織別の影響

影響部位主な構成成分酸化による劣化現象
細胞膜リン脂質過酸化脂質への変化、細胞の破壊と炎症の拡大
真皮層コラーゲン、エラスチン繊維の切断と硬化、深いシワとたるみの発生
血管内皮細胞血流悪化、栄養供給不足による顔色の悪化

DNAへのダメージが及ぼす肌老化の深刻な影響

DNAへのダメージは、肌の再生能力そのものを根底から損なわせるため、老化現象の中でも特に深刻な影響をもたらします。細胞の核内にあるDNAは、私たちの体の設計図であり、新しい細胞を作るための情報がすべて詰まっています。

活性酸素、特にヒドロキシルラジカルのような強力な酸化力を持つ種は、核膜を通り抜けてDNAを直接攻撃します。設計図が傷つくと正確なコピー細胞を作ることができなくなり、形がいびつで機能の低い細胞しか生まれなくなります。

これが、加齢とともに肌の質感が変わり、トラブルが治りにくくなる核心的な理由です。

細胞分裂の設計図が書き換えられるリスク

DNAは「塩基」という化学物質の配列によって遺伝情報を記録していますが、活性酸素はこの塩基を酸化させ、配列を誤変換させてしまいます。これを変異と呼びます。

例えば、コラーゲンを作るための指令部分が損傷すれば、細胞はコラーゲンを十分に合成できなくなります。また、細胞分裂の回数を制御する「テロメア」という部分が酸化ダメージを受けると、予定よりも早く細胞分裂が停止してしまいます。

設計図の書き換えは、一時的な肌荒れとは異なり、細胞の系譜そのものを劣化させるため、長期的な老化固定化につながります。

修復機能が追いつかない時の細胞死と機能不全

私たちの細胞には、傷ついたDNAを修復する機能が備わっています。しかし、活性酸素の攻撃が絶え間なく続き、修復スピードを損傷スピードが上回った場合、細胞は「アポトーシス」と呼ばれる自死を選びます。

これは異常な細胞を増やさないための防御システムですが、あまりに多くの細胞が死滅すれば肌の組織はスカスカになり、密度が低下します。

また、死なずに生き残ったとしても、修復が不完全なままの細胞は「老化細胞」として居座り、周囲に炎症性物質を撒き散らすことで、周りの健康な細胞まで老化の道連れにします。

ターンオーバーの遅延と異常な角質肥厚

DNAダメージは表皮の生まれ変わりサイクルであるターンオーバーに甚大な遅れを生じさせます。基底層にある幹細胞のDNAが傷つくと細胞分裂の速度が落ち、新しい細胞が上層へと押し上げられるペースが乱れます。

その結果、古くなった角質が剥がれ落ちずに肌表面に留まり続け、角質層が厚く硬くなる「角質肥厚」が起こります。

これにより、肌はゴワつき、透明感を失い、スキンケア成分の浸透も妨げられます。未熟な細胞と古い細胞が混在することで、肌のバリア機能も著しく低下します。

DNA損傷が招く具体的な肌トラブル

  • 細胞分裂の停止による皮膚の菲薄化(ひはくか)
  • メラニン生成制御の異常による頑固なシミ
  • 修復エラーによるイボや良性腫瘍の発生
  • 線維芽細胞の減少によるハリの喪失
  • ターンオーバー異常による肌のごわつき

ミトコンドリアの劣化とエネルギー産生不足

ミトコンドリアの劣化は肌細胞が若さを保つためのエネルギーを枯渇させ、老化を加速させる主要な要因です。

ミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場であり、活性酸素の発生源であると同時に、活性酸素の最大の被害者でもあります。

ミトコンドリア独自のDNAは核のDNAに比べて保護が弱く、酸化ダメージをダイレクトに受けやすい構造をしています。ここが傷つくとエネルギー産生効率が落ち、肌細胞は活動するための燃料不足に陥ります。

十分なエネルギーがない細胞は修復も合成も排出も満足に行えず、老化の一途をたどります。

細胞内の発電所が攻撃を受けた際の機能低下

ミトコンドリアが酸化によってダメージを受けると、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質を作る能力が著しく低下します。これは、工場で言えば機械が錆びついて生産ラインが止まるようなものです。

肌のハリを保つためのコラーゲン産生や、潤いを保つためのヒアルロン酸合成には、膨大なATPが必要です。

燃料供給が絶たれた線維芽細胞は活動を休止せざるを得ず、美容成分を外から補っても、それを活用する力が細胞側に残っていない状態になります。

ATP不足による肌弾力成分の生産減少

ATPは細胞が行うあらゆる活動の動力源です。特に真皮層でのタンパク質合成はエネルギー消費が大きい作業であるため、ミトコンドリア機能の低下は直ちに美容成分の生産減に繋がります。

ATPが不足すると、細胞骨格を支える力の維持も難しくなり、細胞自体が萎んでしまいます。これが肌全体のボリュームダウンや、深いほうれい線の形成に直結します。

どれだけ高品質な食事を摂っても、それをエネルギーに変換するミトコンドリアが弱っていれば、肌の若返りは期待できません。

質の悪いミトコンドリアがさらに活性酸素を生む悪循環

最も恐ろしいのは、劣化したミトコンドリアが「質の悪い発電所」となり、エネルギーよりも有害な煙(活性酸素)を大量に吐き出すようになることです。

健康なミトコンドリアであれば、酸素を効率よくエネルギーに変えますが、傷ついたミトコンドリアは電子の伝達がうまくいかず、漏れ出した電子が酸素と反応して過剰な活性酸素を生み出します。

この内部から湧き出る活性酸素がさらにミトコンドリアを傷つけるという「老化の悪循環」が細胞内で繰り返され、肌の老化速度は加速度的に増していきます。

ミトコンドリアの状態と細胞機能の比較

状態エネルギー生産量(ATP)活性酸素の発生量
健康なミトコンドリア多い(効率的)少ない(最小限の副産物)
軽度の酸化ダメージやや減少増加(電子漏出の開始)
重度の劣化著しく低い(機能不全)大量発生(老化の加速源)

糖化と酸化の負の連鎖が加速させるエイジング

糖化と酸化は互いに影響し合いながら負の連鎖を引き起こし、エイジングを爆発的に加速させます。糖化とは、余分な糖がタンパク質と結びついてAGEs(終末糖化産物)を作り出す現象で、「肌のコゲ」と呼ばれます。

酸化が「サビ」であるのに対し、糖化は「コゲ」ですが、これらは別々の現象ではありません。酸化ストレスが高い状態では糖化が進みやすく、逆にAGEsが蓄積すると活性酸素が大量に発生するという相互作用があります。

このダブルパンチを受けることで肌は急速に黄色く変色し、柔軟性を失って硬化します。

AGEs(終末糖化産物)が誘発する酸化反応

体内に蓄積したAGEsは単なるゴミではなく、周囲の細胞を攻撃する毒性を持ちます。AGEsは細胞表面にある受容体と結合することで細胞内に酸化シグナルを送り込み、活性酸素の生成を強制的に促します。

つまり、甘いものを食べすぎて糖化が進むと、結果として酸化ストレスも増大するのです。肌のコラーゲン繊維にAGEsがこびりつくと繊維同士が架橋されてガチガチに固まり、表情の変化についていけずにシワが定着します。

黄ぐすみとハリ低下の複合的な要因

酸化による過酸化脂質は褐色、糖化によるAGEsは褐色から黄色を呈します。これらが肌に蓄積することで透明感が失われ、独特の「黄ぐすみ」が発生します。

これはメラニンによる日焼けやシミとは異なり、肌の構成成分そのものが変色しているため、美白化粧品だけでは改善が困難です。

さらに、酸化で切断されたコラーゲンと、糖化で硬くなったコラーゲンが混在する真皮層は、スポンジとしての弾力を完全に失い、重力によるたるみを食い止めることができなくなります。

酸化した脂質がさらなる糖化を招く相互作用

酸化反応で生じたアルデヒドなどの物質は、糖化反応を促進させる触媒のような働きをします。脂質の酸化が進んでいる人は同じ量の糖質を摂取しても、そうでない人に比べてAGEsが作られやすい傾向にあります。

揚げ物やスナック菓子などは酸化した油と糖質の塊であり、この負の連鎖を一気に進める最悪の組み合わせと言えます。

肌の若さを守るためには、酸化ケアと糖化ケアを切り離して考えるのではなく、両輪として同時に取り組むことが大切です。

酸化と糖化の相互作用と肌への影響

現象別名相互作用の特徴
酸化肌のサビ糖化反応を促進させる環境を作る
糖化肌のコゲ受容体を介して活性酸素を発生させる
複合影響老化スパイラル黄ぐすみ、深いシワ、動脈硬化のリスク増大

日常生活に潜む活性酸素の発生源と対策

日常生活の些細な習慣が活性酸素の発生源となっており、これらを見直すことが最も確実な酸化対策となります。私たちは無意識のうちに、自ら活性酸素を増やす行動をとっていることが多いです。

例えば、一時のストレス解消のために行う行動が、実は体内で大量の活性酸素を生み出し、肌の老化を早めている場合もあります。

酸化要因を完全にゼロにすることは不可能ですが、発生量を「処理能力の範囲内」に抑えることは可能です。生活の中に潜むリスクを知り、意識的に避ける選択をすることが、高価な美容液以上に肌を守ります。

ストレスや睡眠不足が自律神経に与える負担

精神的なストレスや慢性的な睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、交感神経を過剰に優位にします。この緊張状態が続くと、血管が収縮と拡張を繰り返し、血流が再開する際に大量の活性酸素が発生します(虚血再灌流障害)。

また、コルチゾールなどのストレスホルモンの分解過程でも活性酸素が生じます。

質の高い睡眠はメラトニンという強力な抗酸化ホルモンの分泌を促すため、眠ることはそのまま酸化ダメージの修復時間となります。リラックスする時間を確保することは、立派なエイジングケアです。

食品添加物や酸化した油の摂取による内側からの影響

口から入るものも大きな活性酸素源です。加工食品に含まれる添加物や保存料は、肝臓で解毒される際に活性酸素を発生させます。

特に注意が必要なのは「時間の経った揚げ物」や「スナック菓子」などの酸化した油です。これらは過酸化脂質そのものであり、摂取することはサビを直接食べているのと同義です。

体内の抗酸化酵素を無駄遣いしないためにも、新鮮な食材を選び、調理後すぐに食べる習慣をつけることが大切です。また、アルコールの分解でも活性酸素は発生するため、深酒は肌を急速に老けさせます。

激しい運動と喫煙習慣がもたらす酸素消費の代償

健康に良いとされる運動も、激しすぎると逆効果になります。呼吸量が急増する激しい有酸素運動は、酸素の消費量に伴って活性酸素の発生量も跳ね上げます。

プロアスリートに見た目が実年齢より高い人が見られるのはこのためです。美容のためには、息が上がらない程度のウォーキングやヨガが適しています。

そして、喫煙は最大の酸化要因です。タバコの煙には数兆個ものフリーラジカルが含まれており、ビタミンCを大量に破壊します。副流煙も含め、タバコを避けることは肌を守るための必須条件です。

見直すべき生活習慣チェックリスト

  • 揚げ物や加工食品を日常的に摂取する習慣
  • 呼吸が苦しくなるほどの激しいトレーニング
  • 就寝前のスマートフォン使用による睡眠の質低下
  • 喫煙および受動喫煙の環境
  • 過度なアルコール摂取
  • 日焼け止めの塗り忘れや対策不足

抗酸化物質を取り入れて肌のサビを防ぐ方法

抗酸化物質を積極的に取り入れることは、自前の酵素だけでは足りなくなった抗酸化力を補い、肌のサビを防ぐための最も有効な手段です。抗酸化物質とは、自らが身代わりとなって酸化されることで、細胞を酸化から守る物質の総称です。

これらは体内では十分に生成できないものが多いため、食事やサプリメント、化粧品を通じて外部から継続的に供給する必要があります。

水溶性と脂溶性、それぞれ働く場所が異なる抗酸化物質をバランスよく組み合わせることで、鉄壁の防御システムを構築できます。

ビタミンCやEが持つ電子を与える還元作用

ビタミン類は抗酸化の主役です。ビタミンCは水溶性で、血液中や細胞内部の水分中で活性酸素を無害化します。また、一度酸化してしまったビタミンEを再生させる働きもあります。

一方、ビタミンEは脂溶性で、主に細胞膜の脂質部分に入り込み、過酸化脂質の発生を食い止めます。

この二つは相性が良く、一緒に摂取することで相乗効果を発揮します。「ビタミンエース(A・C・E)」と呼ばれるように、これらを豊富に含む緑黄色野菜やナッツ類は、肌のサビ止めとして機能します。

ポリフェノール類によるスカベンジャー機能

植物が紫外線から身を守るために作り出した色素や苦味成分であるポリフェノールは、強力な活性酸素除去(スカベンジャー)能力を持っています。

赤ワインやブルーベリーに含まれるアントシアニン、お茶のカテキン、大豆のイソフラボンなどが代表的です。これらは特に強い抗酸化力を持ち、種類によってはビタミンCの数倍から数百倍の力を持つものもあります。

アスタキサンチンなどは細胞膜を貫通して内側と外側の両方から酸化を防ぐことができる特殊な構造を持っており、シワ予防に高い効果が期待できます。

食事とスキンケアの両面から構築する防御壁

抗酸化対策は、体の内側と外側の両面から行うことが重要です。食事では色の濃い野菜やフルーツを中心に、毎食抗酸化成分を取り入れ、体内の血中抗酸化濃度を一定に保つよう心がけます。

同時に、スキンケアでは、ビタミンC誘導体やフラーレン、コエンザイムQ10などが配合された化粧品を使用し、紫外線が当たる肌表面で直接活性酸素を消去するバリアを張ります。

朝は紫外線対策としての抗酸化ケア、夜はダメージ修復のための抗酸化ケアと、時間帯に合わせた使い分けも効果的です。

積極的に摂取したい主な抗酸化成分

成分名主な特徴と働き多く含む食材
ビタミンC水溶性。即効性があり、コラーゲン生成も助けるパプリカ、ブロッコリー、キウイ
ビタミンE脂溶性。細胞膜の酸化を防ぐ「若返りのビタミン」アーモンド、アボカド、うなぎ
アスタキサンチン非常に強力な抗酸化力。紫外線ダメージを軽減鮭、エビ、カニ、イクラ
ポリフェノール種類が豊富。強い還元力を持つ赤ワイン、チョコレート、緑茶

よくある質問

活性酸素は完全になくすべきものですか?

活性酸素は白血球が細菌を殺す際の武器としても使われるほか、細胞間の情報伝達や血管新生など、生体維持に必要な役割も担っています。したがって、完全にゼロにすることは健康維持の観点から推奨されません。

大切なのは、過剰に発生した分だけを取り除き、生成と消去のバランスを保つことです。必要な分は残し、害になる余分な「サビの原因」だけをケアするという意識が必要です。

若い頃から酸化対策を行う必要はありますか?

はい、早ければ早いほど効果的です。抗酸化酵素の働きは20代をピークに低下し始めますが、紫外線やストレスによるダメージは子供の頃から蓄積されています。

肌の老化は「蓄積ダメージの結果」として現れるため、目に見えるシワやたるみが出る前から抗酸化ケアを習慣化することで、5年後、10年後の肌状態に大きな差が生まれます。予防こそが最大のエイジングケアです。

紫外線を浴びてしまった後のケアはどうすれば良いですか?

紫外線を浴びた直後から肌内部では活性酸素が大量発生し、炎症が始まります。

まずは冷やして炎症を鎮めた後、通常よりも多めに保湿を行いましょう。そして、ビタミンCやリコピン、アスタキサンチンなどの抗酸化作用のある食材やサプリメントを摂取し、内側から発生した活性酸素の無害化をサポートしてください。

スキンケアでも抗酸化成分配合のものを使用し、メラニン生成指令を遮断することが重要です。

どのような食材が肌の酸化防止に役立ちますか?

色の鮮やかな野菜や果物が特に役立ちます。

トマトのリコピン、ニンジンのβカロテン、鮭のアスタキサンチンなど、自然界の色素成分は強い抗酸化力を持ちます(ファイトケミカル)。また、ゴマに含まれるセサミンや、緑茶のカテキンも有効です。

特定の食材ばかりを大量に食べるのではなく、様々な色の食材をまんべんなく食べる「レインボーダイエット」を意識すると、多様な抗酸化物質をバランスよく摂取できます。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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