クマ取り手術前の血液検査とは?何を調べる?検査項目一覧

クマ取り手術を受ける前には、血液検査が行われます。美容目的の手術であっても、全身の健康状態や出血傾向、感染症の有無を事前に確認しなければ、安全な手術環境を整えることはできません。

この記事では、クマ取り手術前の血液検査で調べる項目とその意味、検査を受ける前の準備について、目の下のクマ取りに携わる医師の視点から丁寧に解説します。検査への不安を少しでも和らげていただければ幸いです。

初めての方にもわかりやすいよう、専門用語にはかみ砕いた補足説明を添えていますので、どうぞ安心して読み進めてみてください。

目次

クマ取り手術前になぜ血液検査が必要なのか

血液検査は、手術を安全に行うために欠かせない術前準備の一つです。クマ取りは美容目的の手術ですが、メスを使い麻酔をかける以上、体の内側の状態をあらかじめ確認しておく必要があります。

美容整形の手術でも血液検査は省略できない

「ちょっとした手術だから検査は不要では」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、クマ取り手術では局所麻酔や静脈麻酔を用いるケースがあり、麻酔薬の代謝には肝臓や腎臓が関わっています。

血液検査を行うことで、これらの臓器がしっかり機能しているかどうかを数値で確認できます。見た目には健康でも、血液データに異常が潜んでいる場合は少なくありません。

クマ取り手術の安全性を左右する術前の血液データ

手術中の出血量はクマ取りでは比較的少ないものの、出血が止まりにくい体質の方が一定数いらっしゃいます。こうした傾向は自覚症状がほとんどないため、血液検査で凝固機能を調べなければ発見が困難です。

もし凝固異常を見逃したまま手術に臨めば、術後に内出血が広がったり、血腫が形成されたりするリスクが高まるでしょう。事前の検査で異常を把握することが、合併症予防の第一歩になります。

術前に血液検査を行う主な目的

目的確認する内容代表的な検査
全身状態の把握貧血・肝機能・腎機能CBC・生化学検査
出血リスクの評価血液の固まりやすさPT・APTT
感染症の有無肝炎ウイルス・HIV等HBs抗原・HCV抗体
麻酔の安全確認電解質バランスNa・K・Cl

検査結果があってこそ医師は自信を持って手術に臨める

血液検査は、患者さんだけでなく執刀医にとっても心強い情報源となります。検査データを総合的に読み解くことで、麻酔の種類や手術手技の選択を調整でき、万が一のトラブルにも迅速な対応が可能になるからです。

つまり、血液検査は「患者さんの安全」と「手術の質」を同時に高めるための準備であり、クマ取り手術を受けるすべての方にとって大切な工程といえるでしょう。

血液検査で調べる内容は出血・感染症・全身状態の3本柱

クマ取り手術前の血液検査では、出血に関わる凝固機能、感染症の有無、そして体全体の健康状態という3つの領域を中心に調べます。どれか一つでも異常があれば、手術の可否や術式の変更に影響が出ることがあります。

血液一般検査で体の基礎的な状態をつかむ

血液一般検査では、赤血球数・白血球数・ヘモグロビン値・血小板数といった基本的な数値を測定します。赤血球やヘモグロビンが低い場合は貧血が疑われ、術中の酸素供給に不安が生じます。

白血球数が異常に高ければ、体内で何らかの炎症や感染が起きている可能性もあるでしょう。こうした基礎データを確認したうえで、手術に臨んでよい状態かどうかを医師が総合的に判断します。

凝固系検査で血液がきちんと固まるか確かめる

凝固系検査とは、出血した際に血液が正常に固まるかどうかを調べるものです。代表的な項目としてPT(プロトロンビン時間)やAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)があり、これらの数値が基準を外れていると出血が止まりにくい傾向にあります。

クマ取り手術では目のまわりというデリケートな部位を扱うため、わずかな出血でも腫れや内出血につながりやすい点が特徴です。凝固系の検査は、この部位特有のリスクを回避するうえで欠かせません。

感染症検査で手術環境の安全を守る

感染症検査では、B型肝炎(HBs抗原)、C型肝炎(HCV抗体)、梅毒、HIVなどの有無を調べます。万が一、感染症が陽性だった場合でも手術が一律に中止されるわけではありません。

感染症の情報は、手術室での器具の取り扱い方や術後管理の方針を決定するうえで非常に重要です。医療スタッフ全員が感染対策を徹底するために、術前の検査が求められます。

検査カテゴリ主な検査項目調べる目的
血液一般RBC・WBC・Hb・Plt貧血や感染の有無
凝固系PT・APTT・INR出血の止まりやすさ
感染症HBs・HCV・梅毒・HIV感染症の有無
生化学AST・ALT・Cr・BUN肝臓・腎臓の機能
血糖空腹時血糖・HbA1c糖尿病の評価

クマ取り手術前の血液検査で確認する検査項目と基準値

実際の検査項目と一般的な基準値を一覧でまとめました。基準値は検査機関によって多少異なりますが、おおまかな目安として参考にしてください。

全血球計算(CBC)で血液の成分バランスを確認する

全血球計算は英語でComplete Blood Count、略してCBCと呼ばれます。血液中の細胞成分を総合的に測定する検査です。

赤血球数やヘモグロビン値からは貧血の有無、白血球数からは感染や炎症の兆候、血小板数からは止血機能の状態をそれぞれ読み取れます。

クマ取り手術ではヘモグロビンが極端に低い方は手術を延期し、まず貧血の原因を精査するケースもあります。基準値内であっても下限ギリギリの場合には、医師から追加の問診を受けることがあるでしょう。

生化学検査で肝臓と腎臓の働きを数値で捉える

生化学検査ではAST(GOT)やALT(GPT)といった肝機能の指標と、クレアチニン(Cr)やBUN(血中尿素窒素)といった腎機能の指標を調べます。

肝臓は麻酔薬や鎮痛薬を分解する中心的な臓器であり、腎臓は薬物を体外に排出する働きを担っています。

どちらかの機能が低下していると、薬が体内に蓄積しやすくなり、副作用のリスクが上がります。電解質(ナトリウム・カリウムなど)の値も同時に測定し、体内のイオンバランスに異常がないかを確認します。

クマ取り手術前に確認する主な検査項目と基準値

検査項目略称一般的な基準値
赤血球数RBC男性430〜570万/μL 女性380〜500万/μL
ヘモグロビンHb男性13.5〜17.5g/dL 女性11.5〜15.0g/dL
白血球数WBC3500〜9000/μL
血小板数Plt15〜35万/μL
AST(GOT)AST10〜40 U/L
ALT(GPT)ALT5〜45 U/L
クレアチニンCr男性0.6〜1.1mg/dL 女性0.4〜0.8mg/dL
プロトロンビン時間PT10〜13秒
APTTAPTT25〜35秒
空腹時血糖FBS70〜109mg/dL

凝固検査と感染症スクリーニングの読み方

凝固検査のPTやAPTTは「秒数」で表示されます。基準値より長いほど血液が固まるまでに時間がかかることを意味し、出血リスクの目安になります。

数値がわずかに基準を超えた程度であれば問題なく手術可能な場合もありますが、大幅に逸脱している場合は血液内科への紹介が検討されます。

感染症検査は「陽性」「陰性」で結果が出ます。陽性だった場合の対応は次の章で詳しく触れますが、陽性がただちに手術中止を意味するわけではない点を覚えておいてください。

検査結果に異常値が出たら手術はどうなるのか

血液検査で異常値が見つかった場合、すべてのケースで手術が中止になるわけではありません。異常の種類と程度に応じて、追加検査や治療を経たうえで手術日程を再調整するのが一般的です。

貧血が見つかったときのクマ取り手術への影響

ヘモグロビン値が基準値を下回る「貧血」は、40代以降の女性に比較的多く見られます。軽度の貧血であれば手術を予定通り実施できるケースが大半ですが、中等度以上の貧血では原因検索が優先されます。

鉄欠乏性貧血であれば鉄剤の内服で改善が見込めるため、数週間の投薬後に再検査を行い、数値が改善してから手術を予定し直す流れが一般的です。

凝固異常が判明したときに行う追加の精密検査

PTやAPTTが基準値を大きく超えていた場合は、凝固因子の詳細な測定やフィブリノゲン値の確認など、より専門的な検査を追加で行います。

抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用中の方では薬の影響で数値が延長していることが多く、服薬内容と照合することが重要です。

精密検査の結果、先天的な凝固因子欠乏が見つかった場合には、血液内科と連携しながら術前・術後の止血管理計画を立てたうえで手術に臨みます。

感染症検査が陽性でもクマ取り手術を受けられるケースは多い

B型肝炎やC型肝炎の陽性反応が出ても、ウイルス量が低く肝機能が保たれていれば、感染対策を強化したうえで手術を行える場合がほとんどです。医療スタッフが適切な防護措置を講じることで、安全な術場環境を確保できます。

HIV陽性の場合も同様に、治療によりウイルスがコントロールされている状態であれば手術の実施は可能です。大切なのは、検査結果を正直に医師と共有し、一緒に対策を考えることでしょう。

  • 軽度の貧血は鉄剤投与後に再検査を経て手術が可能
  • 凝固異常は追加検査のうえ、止血管理計画を立てて対応
  • 感染症陽性でもウイルス量や全身状態で手術の可否を判断
  • 持病による異常値は主治医との情報共有で安全性を確保

40代から60代のクマ取り希望者が特に注意したい血液検査の数値

40代以降は加齢に伴って血液データが変動しやすくなるため、若い世代に比べて検査の意義が一段と大きくなります。持病や常用薬がある場合には、追加の検査が加わることもあります。

年齢とともに変わる血液データの特徴

加齢に伴い、肝機能や腎機能は少しずつ低下していきます。自覚症状がないまま数値が基準ギリギリまで下がっているケースも珍しくありません。また、血小板の機能変化やコレステロール値の上昇など、生活習慣病に関連する指標も変動しやすくなります。

定期的に健康診断を受けている方であれば、直近の検査結果を持参すると医師が過去のデータと比較しやすくなるでしょう。

持病をお持ちの方は追加検査が必要になることがある

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの治療中の方は、通常の検査項目に加えてHbA1c(過去1〜2か月の血糖コントロール指標)や甲状腺機能検査が追加される場合があります。

持病と追加される検査項目の例

持病・状態追加される検査確認する内容
糖尿病HbA1c血糖コントロール状態
高血圧電解質・腎機能降圧薬による影響
甲状腺疾患TSH・FT4甲状腺ホルモンの状態
抗凝固薬服用中PT-INR薬の効き具合

服用中の薬やサプリメントが血液検査に及ぼす影響

普段からワルファリンやアスピリンなどの抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる方は、凝固系検査の数値に大きな影響が出ます。医師の指示なく自己判断で休薬するのは危険なため、必ず処方医に相談してください。

サプリメントのなかにも、イチョウ葉エキスやビタミンEなど出血リスクを高める成分が含まれている製品があります。美容目的のサプリメントであっても、手術前には服用している製品名をすべて申告しておくと安心です。

血液検査を受ける前日と当日に守りたい準備のポイント

正確な検査結果を得るためには、検査前の過ごし方にも気を配る必要があります。とくに食事と服薬に関するルールを守ることで、再検査を避けられる場合がほとんどです。

食事制限と水分補給で気をつけること

空腹時血糖を測定する場合、検査前日の夜21時以降は食事を控えるよう指示されるのが一般的です。水やお茶など糖分を含まない飲み物は摂取できますが、コーヒーやジュース類は避けてください。

アルコールは肝機能の数値に影響を与えるため、検査前日の飲酒は控えるのが望ましいでしょう。過度な脱水は静脈が見えにくくなり、採血がスムーズにいかない原因にもなります。

常用薬やサプリメントの服用状況は事前に申告する

検査当日の朝に常用薬を飲んでよいかどうかは、薬の種類によって異なります。降圧薬などは通常どおり服用して問題ないことが多い一方、血糖降下薬は食事を抜く関係で低血糖を起こすリスクがあるため、事前に主治医へ確認が必要です。

サプリメント類については、前述のとおり出血リスクを高める成分が含まれている場合があるため、手術日の1〜2週間前から休止するよう指導されることがあります。

検査当日の服装と持ち物のチェックリスト

採血は腕の内側の静脈から行うため、袖を肘の上までまくりやすい服装がおすすめです。タイトな長袖よりも、半袖や袖口の広いトップスを選ぶとスムーズに採血が進みます。

持ち物としては、保険証・診察券に加えて、現在服用中の薬やサプリメントのリスト(お薬手帳があればなお良い)を忘れずに持参してください。直近の健診結果があればそれも一緒に持っていくと医師が参照しやすくなります。

  • 前日21時以降は原則として食事を控える
  • 水・お茶はOK、コーヒーやジュース類は避ける
  • アルコールは前日から控えるのが望ましい
  • お薬手帳やサプリメントの製品名をメモして持参する
  • 袖をまくりやすい服装で来院する

血液検査から手術当日までの流れと安心の心構え

採血を終えてから手術日を迎えるまでには、結果の確認やカウンセリングといったいくつかの段階を経ます。全体の流れをあらかじめ把握しておくと、不安を和らげることができるでしょう。

検査結果が出るまでの一般的な日数

通常の血液検査であれば、結果は採血から数日〜1週間程度で判明します。感染症検査はやや時間がかかることもありますが、多くのクリニックでは1〜2週間以内に全項目の結果が揃います。

検査結果の一般的な所要日数

検査の種類結果判明の目安
血液一般・生化学2〜5日
凝固系検査2〜5日
感染症スクリーニング5〜10日

検査結果をもとに医師が行うカウンセリング

検査結果がすべて揃った段階で、担当医から結果の説明を受けます。数値に異常がなければ手術日程を確定し、麻酔方法やダウンタイムの説明を含めた最終カウンセリングへと進みます。

異常値が見つかった場合も、前の章で解説したように追加検査や治療で対応できるケースが多いため、過度に心配する必要はありません。わからない点があれば遠慮なく質問してください。

手術当日に向けた最終チェックと気持ちの整え方

手術前日は十分な睡眠をとり、体調を万全に整えておきましょう。手術当日はメイクを控えて来院するのが基本です。コンタクトレンズを使用している方は、眼鏡に替えてお越しください。

術前の緊張はごく自然な感情です。血液検査を通じて体の状態が確認されているからこそ、医師も万全の体制で手術に臨んでいます。「ここまで準備をしてきた」というご自身の行動に、どうか自信を持ってください。

よくある質問

クマ取り手術前の血液検査はどのくらい前に受ければよいですか?

多くのクリニックでは、手術日の2週間〜1か月前を目安に採血を行います。検査結果の有効期限はおおむね1か月程度とされているため、あまり早すぎると再検査が必要になることがあります。

手術日が決まったら、クリニックから指定されたスケジュールに従って来院するのが確実です。遠方にお住まいの方は、かかりつけの医療機関で採血を済ませ、データを郵送できる場合もありますので、事前にご相談ください。

クマ取りの血液検査にかかる費用はいくらぐらいですか?

クリニックや検査項目数によって異なりますが、一般的には5000円〜15000円程度です。手術費用に含まれている場合と、別途請求される場合がありますので、カウンセリング時に確認しておくと安心でしょう。

自費診療の場合はクリニックごとに料金設定が異なるため、事前に問い合わせておくことをおすすめします。

クマ取り手術の血液検査で貧血が見つかった場合、手術は中止になりますか?

軽度の貧血であれば、そのまま手術を実施できるケースが多いです。ヘモグロビン値が大きく基準を下回っている場合には、鉄剤の内服などで数値を改善させてから改めて手術日を設定する流れになります。

中止というよりは「延期して体を整える」という対応が一般的ですので、結果を受けて担当医と相談しながら進めていきましょう。

クマ取りの血液検査で痛みや副作用はありますか?

一般的な腕からの採血で行うため、注射針を刺す際にチクッとした痛みを感じる程度です。採血量は数本分の試験管に分ける量で、体への負担はほとんどありません。

まれに採血後に内出血(青あざ)が出ることがありますが、数日で自然に消えます。採血後はしばらくの間、刺した箇所をしっかり押さえておくと内出血を予防できるでしょう。

他院の血液検査の結果をクマ取りの手術に使えますか?

直近1か月以内の検査結果であれば、多くのクリニックで流用を認めてもらえる場合があります。ただし、クリニックごとに必要とする検査項目が異なるため、事前に項目リストを確認しておくことが大切です。

不足している項目がある場合は追加で採血が必要になりますので、あらかじめ手術予定のクリニックに問い合わせると無駄がありません。

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この症例の担当医・監修医

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 ポノクリニック東京 院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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