中顔面リフトと糸リフトの違い|持続期間・効果・費用を比較
中顔面のたるみやゴルゴ線が気になり始めたとき、「中顔面リフト」と「糸リフト」のどちらを受けるべきか迷う方は少なくありません。結論から言えば、両者は手術の深さ・持続期間・費用・ダウンタイムのすべてが大きく異なります。
中顔面リフトは骨膜の下から組織を引き上げる外科手術で、効果は5年以上持続するケースもあるでしょう。一方の糸リフトは特殊な糸を皮下に挿入する手軽な施術ですが、持続は半年から1年半ほどにとどまります。
この記事では、目の下のクマ取り専門医としての臨床経験をもとに、両施術の効果・持続期間・費用・リスクを詳しく比較しました。ご自身に合った選択をするための判断材料として、ぜひ最後までお読みください。
中顔面リフトと糸リフトはそもそも何が違うのか
中顔面リフトは外科的な切開を伴う手術であり、糸リフトは切開せずに糸で組織を吊り上げる施術です。両者は同じ「リフトアップ」でも、アプローチの深さとリフト量に根本的な差があります。
中顔面リフトは骨膜下から引き上げる外科手術である
中顔面リフトとは、こめかみや下まぶたの小さな切開から内視鏡を入れ、骨膜の下で頬の組織を広く剥離して上方に引き上げる手術です。脂肪や筋膜を含むすべての軟組織を一体で持ち上げるため、頬のボリュームを本来あった位置に戻せます。
手術はおもに全身麻酔か静脈麻酔で行い、所要時間は1〜2時間程度かかります。骨に固定するため後戻りが少なく、術後のリフト効果を長期間維持できる点が特徴です。
糸リフトは特殊な糸を皮下に通して引き上げる施術である
糸リフト(スレッドリフト)は、棘(とげ)やコーン状の突起がついた医療用の糸を皮下に挿入し、たるんだ組織を物理的に引き上げる方法です。使う糸の素材にはPDO(ポリジオキサノン)やPLLA(ポリ乳酸)などがあり、いずれも体内で徐々に吸収されます。
局所麻酔で施術可能で、所要時間は30分から1時間程度と短めです。切開がほぼ不要なので、手軽にリフトアップしたいというニーズに応える施術といえるでしょう。
中顔面リフトと糸リフトの基本比較
| 比較項目 | 中顔面リフト | 糸リフト |
|---|---|---|
| 施術の分類 | 外科手術 | 低侵襲施術 |
| 麻酔方法 | 全身または静脈麻酔 | 局所麻酔 |
| 剥離の深さ | 骨膜下 | 皮下組織 |
| 所要時間 | 1〜2時間 | 30分〜1時間 |
| リフト量 | 大きい | 中程度 |
中顔面リフトと糸リフトが向いている人はそれぞれ違う
中顔面リフトは、頬の脂肪が下垂してゴルゴ線や目の下のくぼみが目立つ方、しっかりとしたリフト効果を求める方に適しています。年齢でいえば40代後半から60代の方が多い傾向です。
一方の糸リフトは、まだたるみが軽度で「少しだけ引き上げたい」という方、ダウンタイムをできるだけ短くしたい方に向いています。30代から40代前半の方が選択されることが多いかもしれません。
中顔面リフトの効果は5年以上持続するケースもある
中顔面リフトの大きな強みは、効果の持続期間が長いことです。臨床研究のデータによると、内視鏡下で行った中顔面リフトの効果は5年以上にわたって客観的に確認されており、15年後の時点でも有意な改善を維持した報告があります。
骨膜下剥離だからこそ後戻りが少ない
中顔面リフトでは、骨膜の下という深い層で組織を剥離して引き上げます。骨や深部筋膜に固定するため、重力や加齢による後戻りが起きにくいのが特長です。
皮膚の表面だけを引っ張る方法とは違い、脂肪層を含むすべての軟組織を一括で挙上するため、頬の丸みや目の下のハリを自然に回復できます。
頬のボリュームと目の下のハリを同時に改善できる
加齢とともに頬の脂肪は下方へ移動し、目の下にくぼみやクマが生じます。中顔面リフトは脂肪体を元の位置に戻すことで、ゴルゴ線の改善と頬のボリューム回復を同時にかなえる施術です。
目の下のクマ取り手術(下眼瞼形成術)と組み合わせれば、目元から頬にかけて一体感のある若返りが期待できるでしょう。
中顔面リフトのデメリットも知っておくべきである
メリットが多い中顔面リフトですが、手術である以上デメリットもあります。全身麻酔が必要な場合が多く、術後の腫れやむくみが2〜3週間続くことも珍しくありません。
また、術者の技術力が結果を大きく左右する手術です。顔面の解剖に精通した経験豊富な医師のもとで受けることが大切といえます。
- 全身麻酔や静脈麻酔に伴うリスクがある
- 術後の腫れが2〜3週間程度続く
- 費用が糸リフトに比べて高額になりやすい
- 術者の技術力によって結果が左右される
糸リフトの持続期間はなぜ半年〜1年半と短いのか
糸リフトの効果は、使用する糸の種類や本数によって差はあるものの、一般的に6か月から18か月程度で減弱します。吸収性の糸が体内で分解される過程でリフト力が低下することが、持続期間の短さにつながっています。
吸収性の糸は体内で分解されてリフト力を失う
PDO糸は約6か月かけて体内に吸収され、PLLA糸でも18〜24か月で分解が進みます。糸が吸収される過程でコラーゲン産生が促進されるため、完全に元に戻るわけではありませんが、物理的なリフト効果は徐々に薄れていきます。
メタアナリシス研究では、糸リフト直後の満足率は98%と高い一方、6か月後には88%まで低下したと報告されています。時間経過とともに効果が落ちていく点は、カウンセリングの段階で正しく理解しておきたいところです。
糸リフトにはコラーゲン生成の副次効果がある
コラーゲン生成と糸リフトの関係
| 時期 | 体内の変化 | 見た目の変化 |
|---|---|---|
| 施術直後 | 糸の棘で組織を物理的に引き上げ | 即時的なリフト効果 |
| 1〜3か月 | 糸の周囲にコラーゲンが生成 | 肌の質感が改善 |
| 6〜12か月 | 糸の吸収が進行 | リフト効果の減弱 |
| 12〜18か月 | 糸はほぼ吸収完了 | コラーゲンの残存効果 |
糸リフトの効果を少しでも長持ちさせるには
糸の本数を適切に設定し、挿入の方向やアンカーポイントを正確に定めることで、持続期間を延ばせる可能性があります。U型糸とI型糸を組み合わせるハイブリッド法では、18〜24か月のリフト効果が持続したという臨床報告もあります。
ただし、糸の本数を増やしても効果が比例して向上するわけではない、というランダム化比較試験の結果も出ています。本数よりも、糸の種類や挿入テクニックが結果に影響するといえるでしょう。
中顔面リフトと糸リフトの費用はどれくらい差があるのか
費用面では、中顔面リフトのほうが糸リフトよりも大幅に高額です。ただし、長期的なコストパフォーマンスで見ると、一概に糸リフトが安いとは言い切れません。
中顔面リフトの費用相場は50万〜120万円程度である
中顔面リフトは全身麻酔を使い、手術室での施術になるため、費用は50万〜120万円程度が相場です。クリニックや術式によって幅がありますが、入院が必要な場合はさらに加算されることもあるでしょう。
一度の手術で5年以上の効果が期待できるため、1年あたりのコストに換算すると10万〜24万円程度になります。
糸リフトの費用相場は10万〜40万円程度である
糸リフトは使用する糸の種類や本数で価格が変動し、10万〜40万円が目安です。1回あたりの費用は手頃に感じるかもしれませんが、効果が1年前後で薄れるため、繰り返し施術が必要になる方も少なくありません。
仮に毎年25万円で施術を受けると、5年間で125万円かかります。中顔面リフト1回の費用を超えてしまうケースも十分にありえます。
長期的に見るとどちらがコストパフォーマンスに優れるか
単純な費用比較では糸リフトのほうが安く感じますが、持続期間を考慮すると中顔面リフトの1年あたりの費用は割安になります。どちらを選ぶかは、「今すぐの出費を抑えたいか」「長期トータルで考えたいか」という価値観次第でしょう。
また、糸リフトを何度も繰り返すことで皮下組織に瘢痕が蓄積し、将来的に中顔面リフトを受ける際に手術が複雑になる可能性も指摘されています。費用だけでなく、治療計画全体を見据えた判断が大切です。
| 費用項目 | 中顔面リフト | 糸リフト |
|---|---|---|
| 1回の費用 | 50万〜120万円 | 10万〜40万円 |
| 持続期間 | 5〜15年 | 6か月〜1年半 |
| 5年間の総コスト | 50万〜120万円 | 50万〜200万円 |
| 1年あたりの費用 | 10万〜24万円 | 10万〜40万円 |
ダウンタイムや合併症が心配なら両施術のリスクを比較しよう
どちらの施術を選ぶにしても、ダウンタイムの長さと合併症のリスクは事前に把握しておくべきです。中顔面リフトは回復に時間がかかる代わりに効果が大きく、糸リフトは回復が早い反面、特有の合併症もあります。
中顔面リフトのダウンタイムは2〜4週間が目安である
術後は強い腫れやむくみが1〜2週間ほど続き、内出血が目立つこともあります。デスクワークであれば2週間前後で復帰できる場合が多いですが、人前に出る仕事では3〜4週間のダウンタイムを見込んだほうが安心です。
まれに一時的な知覚鈍麻や顔面神経への影響が報告されていますが、経験豊富な術者のもとでは重篤な合併症の発生頻度は低いとされています。
糸リフトのダウンタイムは数日〜1週間と短い
糸リフトの主な合併症とその発生頻度
| 合併症 | 発生頻度 | 経過 |
|---|---|---|
| 腫れ | 約35% | 1〜2週間で改善 |
| 皮膚の凹み | 約10% | 自然改善または修正 |
| 感覚異常 | 約6% | 数週間で回復 |
| 感染 | 約2% | 抗生剤で対処 |
| 糸の露出 | 約2% | 抜糸で対処 |
糸リフト特有のリスクである「糸の露出」と「皮膚の凹み」
糸リフトで気をつけたい合併症に、皮膚の凹み(ディンプリング)と糸の露出(露出)があります。凹みは糸が皮膚に近すぎる位置に入った場合などに起きやすく、マッサージで改善するケースもあれば、再処置が必要になることもあります。
メタアナリシス研究によると、非吸収性の糸や50歳以上の患者では合併症の発生率が高まる傾向があるため、吸収性の糸を使い、適応を見極めた上で受けることが望ましいでしょう。
中顔面リフトか糸リフトか迷ったら年齢とたるみ具合で判断する
両施術を比較した結果「どちらが自分に合うのかまだ決められない」という方は、年齢・たるみの程度・ダウンタイムの許容度という3つの軸で判断すると整理しやすくなります。
軽度のたるみなら糸リフトから試す選択肢がある
30代〜40代前半で、頬の下垂がまだ軽度な方は、まず糸リフトで変化を体感するのもひとつの方法です。大がかりな手術への心理的なハードルを下げつつ、リフトアップの効果を実感できます。
ただし、軽度のたるみであっても、目の下のくぼみやゴルゴ線が主訴であれば、脂肪体の位置を根本的に動かせる中顔面リフトのほうが満足度は高いかもしれません。見た目の悩みがどこに集中しているかで判断しましょう。
中等度以上のたるみには中顔面リフトが適している
40代後半以降で、頬の下垂やほうれい線の深さが中等度以上の方は、糸リフトでは十分なリフト量を得にくい場合があります。骨膜下から組織を持ち上げる中顔面リフトのほうが、求めている変化に近い結果を出せるでしょう。
「糸リフトを何度受けても満足できなかった」という経験をお持ちの方が、中顔面リフトに切り替えて高い満足を得たという声は、臨床の現場で珍しくありません。
カウンセリングで確認したい3つのポイント
施術を検討する際は、担当医に以下の点を確認してみてください。自分のたるみの原因と程度を客観的に評価してもらうこと、各施術のメリットとデメリットを具体的に説明してもらうこと、そして術後の経過写真を見せてもらうことです。
複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較すると、自分に合った術式をより冷静に選べるようになります。
- 自分のたるみの原因と程度を客観的に診断してもらう
- 持続期間やダウンタイムの具体的な数字を確認する
- 術者の経験症例数や術後写真を見せてもらう
目の下のクマ取りと中顔面リフトや糸リフトを併用する際の注意点
目の下のクマ取りを希望される方のなかには、頬のたるみも同時に改善したいと考える方が多くいらっしゃいます。クマ取りとリフト施術の併用は、目元から頬にかけてのトータルな若返りに有効ですが、いくつかの注意点があります。
下眼瞼形成術と中顔面リフトは相性がよい
下眼瞼形成術との同時手術の利点
| 同時手術の利点 | 中顔面リフト併用 | 糸リフト併用 |
|---|---|---|
| 目の下と頬の一体感 | 高い | 中程度 |
| ダウンタイムの効率 | 1回で完了 | 別日が望ましい |
| ゴルゴ線の改善度 | 良好 | 限定的 |
下眼瞼形成術と中顔面リフトの同時手術は頬と目元を一体で改善できる
下眼瞼形成術(目の下のクマ取り手術)で眼窩脂肪を再配置しながら、同時に中顔面リフトで頬を引き上げると、目の下から頬にかけてのなだらかなカーブを再現できます。別々に手術するよりもダウンタイムを1度にまとめられるのも利点です。
一方、糸リフトとクマ取りの同時施術は、糸が下まぶたの術野に干渉するリスクがあるため、同日の施術は避けて時期をずらすことが推奨される場合もあります。
併用施術を成功させるためには術前計画が重要である
クマ取りとリフトの併用を考えるなら、両方の手術に精通した医師を選ぶことが成功の鍵です。目の下の脂肪の量、頬の脂肪体の位置、皮膚のたるみ度合いを総合的に診断したうえで、術式を組み立てる必要があります。
カウンセリングの段階で「自分の悩みの一番の原因はクマなのか、頬のたるみなのか」を明確にしておくと、担当医との意思疎通がスムーズになるでしょう。
よくある質問
- 中顔面リフトと糸リフトでは、どちらが目の下のたるみに効果的ですか?
-
目の下のたるみに対しては、中顔面リフトのほうが高い改善効果を見込めます。中顔面リフトは頬の脂肪体を骨膜下から持ち上げるため、目の下のくぼみやゴルゴ線を根本的に改善できるためです。
糸リフトでも軽度のたるみであれば一定の引き上げ効果はありますが、深い層の組織を動かす力には限界があるため、中等度以上の症状には向かないことがあります。
- 糸リフトは何回まで繰り返し受けられますか?
-
糸リフトの繰り返し回数に明確な上限はありませんが、何度も施術を重ねると皮下に瘢痕組織が蓄積し、糸の引き上げ効率が下がる可能性があります。
一般的には2〜3回程度の繰り返しであれば問題になりにくいとされていますが、回数を重ねるごとに担当医と効果の見込みを相談することが大切です。将来的に外科的リフトを検討している場合は、糸リフトの回数を控えめにしておくと手術がスムーズに進みやすくなります。
- 中顔面リフトの術後に糸リフトを追加施術することはできますか?
-
中顔面リフトを受けた後、数年が経過してリフト効果が弱まった段階で糸リフトを補助的に追加することは可能です。中顔面リフトで大枠のリフトアップを行い、糸リフトで微調整をするという組み合わせ方は、臨床でも採用されています。
ただし、前回の手術で皮下の組織構造が変化している場合があるため、糸の挿入位置や方向には慎重な計画が求められます。必ず中顔面リフトの術歴を担当医に伝えてください。
- 糸リフトで使われるPDO糸とPLLA糸にはどのような違いがありますか?
-
PDO(ポリジオキサノン)糸は約6か月で体内に吸収される素材で、比較的柔軟性があり、施術時の痛みが少ない傾向があります。一方のPLLA(ポリ乳酸)糸は吸収に18〜24か月かかるため、リフト効果がやや長めに持続するとされています。
どちらの素材も糸の周囲にコラーゲンの生成を促す作用がありますが、PLLAのほうがコラーゲン生成の刺激が強いという報告もあります。肌質やたるみの状態に応じて医師が使い分けるため、カウンセリングで素材の選択理由を確認するとよいでしょう。
- 中顔面リフトの手術後、いつ頃から日常生活に復帰できますか?
-
個人差はありますが、デスクワーク中心の仕事であれば術後2週間前後で復帰される方が多い印象です。腫れや内出血のピークは術後3〜5日目ごろで、その後は日ごとに落ち着いていきます。
人前に出る仕事や激しい運動は、3〜4週間程度控えていただくのが望ましいでしょう。メイクでカバーできる程度の腫れは1週間ほどで収まることがほとんどですが、完全にむくみが引いて最終的な仕上がりを実感できるまでには2〜3か月かかる場合もあります。
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