ジョールファット除去とは?バッカルファットとの違いと適応

ジョールファット除去とは?バッカルファットとの違いと適応

鏡を見るたびに気になる口元のもたつきやフェイスラインの崩れは、ジョールファットという脂肪が大きく関係しています。頬の脂肪を減らすバッカルファット除去とは別の施術であり、それぞれ対象となる脂肪の場所も効果も異なります。

この記事では、ジョールファット除去の具体的な内容からバッカルファットとの違い、どんな方に適しているかまでを、20年以上の臨床経験をもとに丁寧に解説いたします。ご自身の悩みに合った治療を選ぶための参考にしてください。

目次

ジョールファットはフェイスラインを老けさせる脂肪だった

ジョールファットとは、口角の外側から顎のラインにかけて存在する皮下脂肪のことです。加齢に伴い下垂し、いわゆる「ブルドッグ顔」の原因となるため、若返り治療において注目を集めています。

口元から顎にかけてもたつくのはジョールファットが原因

40代を過ぎた頃から口角の横やマリオネットライン付近にふくらみが出てきた、と感じる方は多いでしょう。この「もたつき」の正体こそがジョールファットです。

ジョールファットは下顎骨(かがくこつ=あごの骨)の上に位置する皮下脂肪で、上部と下部の2つに分かれています。若い頃は靱帯(じんたい)や皮膚の弾力によって支えられていますが、年齢とともに支えが緩みます。

加齢によってジョールファットが目立ちやすくなる

顔の老化は、骨の萎縮・靱帯の弛緩・脂肪の移動と萎縮が複合的に起こることで進行します。ジョールファットのある領域では「下顎中隔」(マンディブラーセプタム)という隔壁が皮膚と骨をつないでいます。

この隔壁が加齢で弱くなると、上方にあった脂肪が下方へ流れ込み、フェイスラインを越えて膨らみが目立つようになるのです。皮膚のハリが低下する40代以降は特に顕著になるため、多くの方がこの時期に変化に気づきます。

ジョールファットが目立ちやすい加齢変化の特徴

変化の種類影響ジョールファットへの関与
骨の萎縮あごの骨が痩せる脂肪を支える土台が減少
靱帯の弛緩組織を吊る力が弱まる脂肪が下垂しやすくなる
皮膚の弾力低下コラーゲンの減少たるみが外見に出やすい
脂肪の移動上部の脂肪が下方へ流れるフェイスラインが崩れる

ジョールファット除去で得られる若返り効果

ジョールファットを適切に減量すると、顎のラインがすっきりし、マリオネットラインの目立ちが軽減されます。フェイスラインが整うことで、全体の印象が数歳若く見えるケースも珍しくありません。

ただし、ジョールファットの除去だけで劇的な変化が期待できるのは、脂肪量が多い方に限られます。皮膚のたるみ自体が強い方は、脂肪除去だけでは改善しにくいため、複合的な治療計画が必要になるでしょう。

バッカルファットとジョールファットは位置も構造もまったく違う

バッカルファットとジョールファットは名前こそ似ていますが、解剖学的にはまったく別の脂肪組織です。治療の目的や効果にも違いがあるため、正しく区別して施術を選ぶ必要があります。

バッカルファットは頬の内側にある深い脂肪体

バッカルファット(頬脂肪体)は頬骨とあごの骨の間、咬筋(こうきん)の内側に位置する丸いかたまり状の脂肪です。筋肉と筋肉のあいだに挟まれた深層脂肪であり、皮下脂肪とは異なります。

赤ちゃんの頃はおっぱいを吸うために発達しており、成長とともにやや小さくなりますが、成人でも平均7〜8mlほどの体積があります。頬がふっくらしすぎて丸顔に見える方は、このバッカルファットが大きいケースが多いです。

ジョールファットは顎のラインにたまる皮下脂肪

一方のジョールファットは、口角の外側から下顎のラインに沿って広がる皮下脂肪です。バッカルファットが頬の「奥」にあるのに対し、ジョールファットは顔の「表面近く」に存在しています。

下顎中隔という膜状の組織でジョールファットと首の脂肪が仕切られており、解剖学的にもバッカルファットとは独立した構造をもっています。ある研究では、この2つの脂肪はまったく別の区画に属していることが確認されています。

2つの脂肪を混同すると期待した効果が出ない

頬のふっくら感を解消したいのか、フェイスラインのもたつきを解消したいのかによって、除去すべき脂肪が変わります。バッカルファット除去で頬をすっきりさせても、ジョールファットが残っていれば口元のたるみは改善しません。

逆にジョールファットだけを取っても、頬の丸みは変わらないでしょう。悩みの原因がどちらの脂肪にあるのかを見極めてから施術を選ぶことが、満足のいく結果への第一歩になります。

バッカルファットとジョールファットの基本情報

項目バッカルファットジョールファット
位置頬の深層(筋肉の間)口角横〜下顎ライン(皮下)
脂肪の種類深部脂肪体皮下脂肪
主な悩み頬の丸み・ふくらみ口元のもたつき・ブルドッグ顔
除去の方法口腔内切開で摘出脂肪吸引・脂肪溶解注射など

ジョールファット除去にはどんな施術方法があるのか

ジョールファット除去には、脂肪吸引・脂肪溶解注射・フェイスリフトとの併用といった方法があり、脂肪の量や皮膚の状態によって適した方法が異なります。

脂肪吸引によるジョールファット除去

もっとも広く行われているのが、カニューレ(細い管)を用いた脂肪吸引です。耳の下やあごの下に数ミリの小さな穴を開け、そこからカニューレを挿入して脂肪を直接吸い出します。

局所麻酔で行えるため、日帰りでの施術が可能です。吸引量のコントロールがしやすく、仕上がりの左右差を調整しやすいという利点があります。

脂肪溶解注射(デオキシコール酸)によるアプローチ

デオキシコール酸という薬剤をジョールファットに注射して、脂肪細胞を破壊する方法もあります。もともと二重あご治療として承認された薬剤ですが、ジョールファットへの応用も報告されています。

脂肪吸引と脂肪溶解注射の比較

項目脂肪吸引脂肪溶解注射
麻酔局所麻酔麻酔クリームまたは局所麻酔
施術時間約30〜60分約15〜30分
回数通常1回1〜3回程度
ダウンタイム1〜2週間の腫れ・内出血数日〜1週間の腫れ
効果の発現術後1〜3か月で安定2〜3か月で徐々に変化

フェイスリフト手術と同時に行う方法

たるみが進んでいる方は、フェイスリフト手術の際にジョールファットを同時に除去するケースもあります。たるんだ皮膚を引き上げながら脂肪も処理できるため、1回の手術で大きな改善が期待できるでしょう。

ただし全身麻酔を必要とすることが多く、費用やダウンタイムも大きくなります。顔全体の若返りを一度に行いたい方には適した選択肢ですが、手軽さを求める方には脂肪吸引単独のほうが向いています。

バッカルファット除去とジョールファット除去を目的別に比べてみた

バッカルファット除去とジョールファット除去は、ターゲットの脂肪も手技もまったく異なる施術です。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の悩みに合ったほうを選びましょう。

施術部位・ターゲットとなる脂肪が異なる

バッカルファット除去は、口の中(口腔内)を1〜2cmほど切開し、頬の深層にあるバッカルファットを引き出して摘出します。頬のボリュームを減らし、小顔効果や頬骨を際立たせる効果をねらいます。

ジョールファット除去は、耳の下やあご下などの目立たない部位から皮下脂肪を吸引するか、注射で脂肪を溶解します。フェイスラインの輪郭を整えることが主な目的です。

痛み・麻酔・施術時間の差

バッカルファット除去は口の中を切開するため、術後に口腔内の違和感や腫れを感じやすいかもしれません。施術時間は約20〜30分で、局所麻酔で行えます。

ジョールファットの脂肪吸引も局所麻酔が基本で、30〜60分程度かかります。注射の場合は15〜30分と短時間で済み、痛みも比較的軽く抑えられるでしょう。

ダウンタイムの長さと日常生活への影響

バッカルファット除去のダウンタイムは約1〜2週間です。口腔内の傷は溶ける糸で縫合されるため抜糸は不要ですが、数日間は食事に制限がかかることがあります。

ジョールファットの脂肪吸引は、術後の腫れや内出血が1〜2週間ほど続くのが一般的です。脂肪溶解注射であればダウンタイムは数日程度で、翌日からメイクや通常の生活に戻れるケースが多いでしょう。

バッカルファット除去とジョールファット除去の総合比較

比較項目バッカルファット除去ジョールファット除去
主な目的頬のふくらみ解消・小顔効果フェイスラインの引き締め
施術部位口腔内から切開耳下・あご下から吸引 or 注射
施術時間約20〜30分約15〜60分
ダウンタイム約1〜2週間数日〜2週間
適している悩み丸顔・頬のボリューム過多口元のもたつき・ブルドッグ顔

ジョールファット除去が向いている人・向いていない人

ジョールファット除去はすべての方に効果的な治療ではありません。脂肪の量や皮膚の状態によって向き・不向きがあるため、ご自身がどちらに該当するかを事前に確認することが大切です。

ジョールファット除去をおすすめできる方の特徴

フェイスラインに沿ってつまめるほどの脂肪がある方は、ジョールファット除去の効果を実感しやすいといえます。40代〜50代で皮膚の弾力がまだ残っている方は、脂肪を減らすことで肌が自然に引き締まり、すっきりした輪郭を取り戻せるでしょう。

マリオネットラインが目立ちはじめた初期段階の方にも向いています。ダイエットをしてもフェイスラインだけ痩せない、と感じている方は、ジョールファットが原因の可能性が高いです。

皮膚のたるみが強い場合は別の治療が必要になる

脂肪よりも皮膚の弛みのほうが目立つ方は、ジョールファットを取り除いても皮膚が余ってしまい、かえってたるんで見える恐れがあります。特に60代以降で皮膚の弾力が大きく低下している場合は、脂肪除去単独での施術は慎重に判断すべきでしょう。

ジョールファット除去の向き・不向きチェックリスト

  • あごのラインに沿ってつまめる脂肪がある → 向いている
  • マリオネットラインが目立ちはじめた → 向いている
  • ダイエットしてもフェイスラインが変わらない → 向いている
  • 皮膚のたるみが強く、ハリがほとんどない → 向いていない
  • 極端に痩せ型で顔の脂肪が少ない → 向いていない

カウンセリングで脂肪の状態を正しく診断してもらう

ジョールファットが多いのか、バッカルファットが多いのか、それとも皮膚のたるみが主な原因なのかは、ご自身では判断が難しいものです。経験豊富な医師のカウンセリングを受けて、触診や画像診断で正確な状態を把握してもらいましょう。

脂肪の位置や量だけでなく、骨格や皮膚の厚み、左右差なども含めて総合的に診てもらうことで、術後に「こんなはずじゃなかった」という後悔を防げます。

ジョールファット除去のリスクと失敗を防ぐために大切なこと

どんな施術にもリスクはつきものです。ジョールファット除去で起こりうるトラブルを事前に理解しておくことが、安全な治療と満足いく仕上がりにつながります。

術後に起こりうる腫れ・内出血・しびれ

脂肪吸引後は施術部位の腫れや内出血が1〜2週間ほど続くことがあります。多くの場合は時間とともに自然に消退しますが、まれに一時的なしびれや感覚の鈍さが数週間にわたって残るケースもあるでしょう。

下顎には顔面神経の枝(下顎縁枝)が走っているため、施術中にこの神経に影響が及ぶと口角の動きに一時的な違和感が出ることがあります。熟練した医師が解剖学を熟知した上で行えば、こうしたリスクは大幅に軽減されます。

左右差や取りすぎを避けるために医師選びが鍵になる

脂肪を取りすぎるとコケたような不自然な輪郭になり、年齢よりもかえって老けて見えることがあります。特にジョールファットはフェイスラインの印象を左右するため、数ミリリットルの差が仕上がりに大きく響きます。

バッカルファット除去と同様に、ジョールファット除去でも過剰な脂肪の除去は将来的な顔のくぼみの原因になり得ます。適量を見極められる経験と技術を持つ医師に施術を依頼してください。

信頼できるクリニック選びで後悔しない結果を手に入れる

施術の成否は、担当医の技量と施術環境に大きく左右されます。症例数の多い医師を選び、カウンセリングで十分な説明を受け、メリットだけでなくデメリットもきちんと伝えてくれるクリニックを選んでください。

クリニック選びで確認したいポイント

  • 顔の脂肪除去に関する豊富な症例実績がある
  • カウンセリングで脂肪の種類を丁寧に診断してくれる
  • リスクやダウンタイムについて正直に説明してくれる
  • アフターケアの体制が整っている
  • 施術前後の写真を見せてもらえる

バッカルファットとジョールファットの同時除去で顔全体を引き締める

頬の丸みとフェイスラインのもたつきの両方が気になる方は、バッカルファット除去とジョールファット除去を組み合わせることで、顔全体のバランスをより美しく整えられます。

同時施術で得られるメリット

2つの施術を同じタイミングで行うと、頬から顎にかけてのラインが一度に整い、ダウンタイムも1回分で済みます。頬の中間部から下顎ラインまでの縦のラインがすっきりするため、横顔の美しさが格段に向上するでしょう。

同時施術と単独施術の比較

項目同時施術単独施術
効果の範囲頬〜フェイスライン全体それぞれの部位のみ
ダウンタイム1回分(やや長め)それぞれ別に発生
通院回数少なくて済む複数回必要
左右バランスの調整全体を見て一度に調整可能部位ごとの調整になる

組み合わせ治療が適している方の条件

頬がふっくらしていると同時に、フェイスラインにももたつきがある方は同時施術の良い適応になります。ただし、脂肪量が少ない方が両方を行うと顔全体が痩けてしまうリスクがあるため、適応の判断は慎重に行いましょう。

理想的には、カウンセリングの段階でバッカルファットとジョールファットそれぞれの脂肪量を確認し、どちらを優先して除去すべきか、あるいは両方取るべきかを医師と相談して決めてください。

施術の順番やスケジュールの組み方

同時に行う場合は、バッカルファットを口腔内から摘出したあとにジョールファットの脂肪吸引を行う流れが一般的です。両方合わせても施術時間は1時間〜1時間半程度で終わるでしょう。

同時施術に不安がある方は、まずどちらか一方を先に行い、仕上がりを確認してからもう一方を検討する段階的なアプローチも可能です。

よくある質問

ジョールファット除去の施術後に傷跡は残りますか?

脂肪吸引の場合、耳の下やあごの下に数ミリ程度の切開を行いますが、しわや皮膚のくぼみに隠れる位置を選ぶため、傷跡が目立つことはほとんどありません。半年ほどでほぼ分からなくなるケースが大半です。

脂肪溶解注射であれば針穴のみですので、傷跡の心配はまずないでしょう。施術直後は赤みや小さな腫れが出ることがありますが、メイクで十分カバーできる程度です。

ジョールファット除去を受ける年齢に制限はありますか?

明確な年齢制限はありませんが、30代後半〜50代の方がもっとも効果を実感しやすいとされています。この年代は脂肪の下垂が目立ちはじめる一方で、皮膚に弾力が残っているため、脂肪除去後に肌が自然に収縮しやすいのです。

60代以降でも施術は受けられますが、皮膚の弾力低下が進んでいる場合はフェイスリフトなどの併用を検討したほうがよいでしょう。年齢だけでなく肌の状態を総合的に見て判断してください。

バッカルファット除去とジョールファット除去は同時に受けられますか?

はい、多くのクリニックではバッカルファット除去とジョールファット除去を同じ日に受けることが可能です。同時に行うことで、頬からフェイスラインにかけてのバランスを一度に整えられるメリットがあります。

ただし、脂肪の量が少ない方が両方を同時に行うと頬がこけすぎるリスクがあるため、医師が適応を判断した上で行うことが大切です。カウンセリング時に脂肪の状態をしっかり診てもらい、同時施術が適しているかを相談してください。

ジョールファット除去の施術中に痛みはありますか?

脂肪吸引によるジョールファット除去は、局所麻酔を使用するため施術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。麻酔注射の際にチクッとした刺激がありますが、数秒で落ち着きます。

脂肪溶解注射の場合は、注入時にじわっとした熱感や軽い痛みを感じる方もいますが、麻酔クリームを事前に塗布することで緩和できます。いずれの方法も術後に鈍い痛みが数日間続くことがありますが、処方される鎮痛剤で対応できる程度です。

ジョールファット除去の効果はどのくらい持続しますか?

脂肪吸引で除去したジョールファットは再生しないため、効果は半永久的に持続します。ただし、加齢による皮膚のたるみや骨の萎縮は施術後も進行するため、年月が経つにつれて再びフェイスラインの変化を感じることはあるでしょう。

大幅な体重増加があった場合は残った脂肪細胞が肥大する可能性もありますが、施術前と同じ状態に戻ることは通常ありません。長期的な効果を維持するためには、体重管理と肌のケアを続けていくことが大切です。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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