目の下のクマに糸リフトは効く?効果・持続期間・失敗リスク

目の下のクマを糸リフトで改善したいとお考えの方は少なくありません。糸リフトにはコラーゲン生成を促してたるみを引き上げる作用がありますが、クマの種類によって効果の出方は大きく異なります。

とくに黒クマ(影クマ)と呼ばれるたるみ由来のクマには一定の改善が見込める一方、色素沈着や血行不良が原因のクマには別のアプローチが必要です。

この記事では、糸リフトの効果や持続期間、起こりうる失敗リスクまで、目の下のクマ治療を検討するうえで欠かせない情報を医学的根拠に基づいてお伝えします。

目次

目の下のクマに糸リフトは効くのか|まず結論から

糸リフトは、目の下のたるみに起因する黒クマ(影クマ)に対しては一定の効果が期待できます。ただし、すべてのクマに万能な施術ではありません。

クマの種類によって糸リフトの効果は大きく変わる

目の下のクマは大きく「茶クマ」「青クマ」「黒クマ」の3種類に分かれます。それぞれ原因が異なるため、糸リフトが有効に働くかどうかはクマの種類次第といえるでしょう。

茶クマの原因はメラニン色素の沈着であり、青クマは目の下の皮膚が薄く血管が透けて見える状態です。一方、黒クマは皮膚や脂肪のたるみによってできる影が原因で暗く見えるタイプになります。

PDO糸が目の下のコラーゲン生成を促す仕組み

糸リフトに使われるPDO(ポリジオキサノン)は、体内で4〜6か月かけてゆっくり吸収される医療用の縫合糸素材です。皮下に挿入されたPDO糸は、周囲の組織に軽度の炎症反応を起こし、線維芽細胞を活性化させます。

その結果、コラーゲンの新生が促進され、肌のハリや弾力が徐々に回復していきます。このコラーゲン誘導の働きこそが、糸リフトによる目の下のクマ改善で中心的な役割を果たすポイントです。

糸リフトの種類と目元への適用

糸の種類特徴目の下への適用
モノスレッド(単糸)突起がなく滑らかで、肌質改善に向く目の下の細かいシワやハリ改善に使用される
コグスレッド(棘付き糸)糸に小さな棘がありリフト力が高い頬やフェイスラインが主な対象で、目の下には慎重な判断が必要
スクリュースレッド糸がらせん状に巻かれ、ボリューム感を出す目の下のくぼみや痩せた印象の改善に使われることがある

糸リフトだけでクマを完全に消すのは難しい

糸リフトはたるみの軽減や肌質改善を得意とする施術ですが、クマの原因が複合的な場合、糸リフト単独ではすべてを解消できないケースが多々あります。たとえば、たるみと色素沈着が重なっているクマでは、別の治療を組み合わせる必要があるでしょう。

施術前のカウンセリングで、自分のクマがどのタイプに該当するかを正確に診断してもらうことが、満足のいく結果につながります。

目の下のクマが生まれる原因と糸リフトとの相性

糸リフトの効果を正しく判断するためには、まず自分のクマの原因を知ることが大前提です。原因を見誤ると、せっかくの施術が思うような結果を生まない場合もあり得ます。

茶クマ・青クマ・黒クマの原因はそれぞれまったく違う

茶クマはメラニンの過剰生成が原因で、紫外線ダメージや摩擦による慢性的な刺激が大きく関わっています。目をこする癖がある方やアトピー性皮膚炎のある方に多く見られます。

青クマは目の下の薄い皮膚から毛細血管の色が透けて見える状態です。睡眠不足、疲労、冷え性など血行不良が主な原因となります。黒クマは加齢に伴うコラーゲンの減少、眼窩脂肪の突出、皮膚のたるみが影を作ることで暗く見えるタイプです。

黒クマ(影クマ)には糸リフトが相性がよい

黒クマの本質は、たるんだ皮膚や飛び出した脂肪が光を遮って影を作ることにあります。糸リフトは皮膚を物理的に引き上げながらコラーゲン増生を促すため、この影を軽減する効果が期待できます。

軽度から中等度のたるみであれば、PDOモノスレッドを目の下に挿入するとシワの深さが有意に改善したという研究報告もあります。ただし、重度のたるみや脂肪の突出が強い場合は、糸リフトだけでは十分な改善が得られにくいでしょう。

茶クマと青クマに糸リフトは向いていない

茶クマの原因であるメラニン色素には、糸リフトで直接アプローチすることができません。茶クマの改善にはレーザー治療やハイドロキノンなどの外用薬が有効とされています。

青クマも同様に、血行不良という根本原因に対して糸リフトは直接的な効果を発揮しません。マッサージや生活習慣の改善、レーザー治療といった別の方法が適しています。

クマのタイプ別・糸リフトの適応

クマの種類主な原因糸リフトの適応
茶クマメラニン色素の沈着不向き(外用薬やレーザーを推奨)
青クマ血行不良・皮膚の菲薄化不向き(生活改善やレーザーを推奨)
黒クマ(影クマ)たるみ・脂肪突出による影軽度〜中等度に適応あり

糸リフトの効果はいつ出ていつまで持続するのか

糸リフトの効果は施術直後から感じられますが、本格的な肌質改善には数週間〜数か月を要し、持続期間はおよそ1〜2年程度が目安です。

施術直後から1か月のあいだに実感する変化

糸リフトを受けた直後は、糸そのものの張力によって軽いリフトアップ効果を感じる方が多いといえます。ただし施術後2〜3日は腫れや内出血が出るときもあり、最終的な仕上がりとは異なる点に注意が必要です。

1か月が経過すると腫れが落ち着き、コラーゲン生成が徐々に始まります。肌のハリが増してきたと自覚できるのは、このあたりからでしょう。

PDO糸は4〜6か月で体内に吸収される

PDO素材は加水分解によって少しずつ分解され、およそ4〜6か月で完全に体内へ吸収されます。糸が溶ける過程で周囲の組織に刺激を与え続けるため、吸収が進む期間中もコラーゲンの産生は継続しています。

  • 施術直後:糸の張力による物理的なリフト効果
  • 1〜3か月:コラーゲン増生が進み、肌のハリと弾力が改善
  • 4〜6か月:糸が完全に吸収されるが、コラーゲンの効果は持続
  • 6か月〜1年半:個人差はあるものの、肌質改善効果が残る方が多い

コラーゲンの増生効果は糸が溶けた後も半年〜1年ほど残る

糸そのものが消失した後も、新たに生成されたコラーゲン組織はすぐには失われません。多くの場合、6か月〜1年半ほどは肌の改善効果を維持できるとされています。

ただし、加齢による自然なたるみの進行は止められないため、効果を長く維持したい場合は半年〜1年おきに追加施術を検討するのも選択肢のひとつです。

目の下のクマ治療で起こりうる糸リフトの失敗リスクと副作用

糸リフトは比較的低侵襲な施術ですが、リスクがゼロというわけではありません。目の下は皮膚が非常に薄く血管が密集しているため、他の部位に比べて合併症への注意が求められます。

腫れ・内出血・引きつれなど一般的な副作用

施術後に最も多い副作用は腫れと内出血で、目元は血管が豊富なエリアであるため、ある程度の内出血はほぼ避けられないと考えてよいでしょう。通常は1〜2週間で自然に消退します。

引きつれやつっぱり感は、糸の張力が強すぎたり挿入位置が浅すぎたりした場合に起こりやすい症状です。多くは数日〜数週間で落ち着きますが、気になる場合は早めに担当医へ相談してください。

糸が透けて見える・肌表面にデコボコが出るトラブル

目の下の皮膚は非常に薄いため、糸が浅い層に挿入されると皮膚表面から糸のラインが透けて見えてしまう場合があります。この現象は「糸の可視化」と呼ばれ、26件の研究をまとめたメタ分析でも約4%の発生率が報告されています。

肌表面のデコボコ(スキンディンプリング)も約10%に生じるとされており、特に目元のように皮下組織が少ない部位ではリスクが高まります。経験豊富な医師が適切な深さに糸を挿入すると、発生率を下げることが可能です。

感染症や糸の露出が起きた場合の対処法

頻度は低いものの、約2%の割合で感染症が報告されています。赤み、熱感、痛みが続く場合は感染を疑い、速やかに受診する必要があるでしょう。早期の抗菌薬治療により、多くのケースは改善に向かいます。

糸が皮膚表面に露出(糸の突出)してしまうトラブルも約2%で起こり得ます。露出した糸は感染のリスクを高めるため、医師が糸を除去する処置が必要です。

左右非対称に仕上がるリスクと修正の負担

目の下は左右で脂肪の量や皮膚のたるみ具合が微妙に異なるケースが多いため、糸の本数や挿入方向が合わないと左右差が目立つ仕上がりになることがあります。こうした非対称は、追加の糸の挿入や、場合によっては糸の除去によって修正を行います。

修正施術は患者さんの身体的・経済的負担が増すため、初回のカウンセリングの段階で左右差のリスクについて十分に説明を受けておくと安心です。

糸リフトで報告されている主な合併症と発生率

合併症発生率(目安)対処法
腫れ約35%冷却・安静で1〜2週間で消退
スキンディンプリング約10%軽度なら自然改善、重度なら修正
知覚異常(しびれ)約6%多くは一時的で数週間で回復
糸の可視化約4%必要に応じて糸の除去
感染約2%抗菌薬治療、糸の除去

糸リフト以外にも目の下のクマに効果が期待できる治療法

目の下のクマ治療は糸リフトだけではなく、クマの原因や症状の程度に合わせて複数の選択肢から選ぶことが大切です。場合によっては併用が効果的なケースもあります。

ヒアルロン酸注入で目の下のくぼみを補う方法

ヒアルロン酸注入は、目の下の涙袋の下にできるくぼみ(ティアトラフ)を内側から持ち上げ、影を軽減する施術です。即効性が高く、施術直後からボリュームの改善を実感できる点が特徴です。

ただし、目の下の皮膚は極めて薄いため、注入量や注入層を間違えると不自然な膨らみやチンダル現象(青白く透けて見える現象)が生じるおそれがあります。解剖学に精通した医師のもとで受けるのが望ましいでしょう。

経結膜脱脂で根本的にクマを取る手術

黒クマの原因が眼窩脂肪の突出である場合、経結膜脱脂術はその脂肪を取り除く根本的な治療法となります。まぶたの裏側(結膜側)から脂肪を除去するため、皮膚の表面に傷が残りません。

経結膜脱脂と糸リフトの比較

項目経結膜脱脂糸リフト
侵襲度やや高い(手術)低い(針穴のみ)
ダウンタイム1〜2週間数日〜1週間
持続期間半永久的1〜2年程度
対応できるクマ脂肪突出による黒クマ軽度のたるみによる黒クマ

レーザー・高周波など肌質改善をめざす施術

茶クマに対してはレーザートーニングやIPL(光治療)が有効で、メラニンを分解して色素沈着を改善していきます。青クマには血行を促す高周波治療やカルボキシセラピー(炭酸ガス療法)が効果を発揮する場合があります。

それぞれの治療は複数回の施術が必要なケースが多いため、治療計画全体の費用と期間を事前に把握しておくとよいでしょう。

目の下のクマに糸リフトを受ける前に確認すべき注意点

安全に施術を受け、満足のいく結果を得るために、術前の準備と確認が非常に大切です。事前の情報整理が、仕上がりの満足度を大きく左右します。

術前カウンセリングで医師に伝えるべき項目

カウンセリングでは、過去に受けた美容施術の履歴、服用中の薬(特に抗凝固薬やサプリメント)、アレルギーの有無を正確に伝えてください。これらの情報は、施術の安全性を高めるうえで欠かせません。

また、自分が改善したいポイントと仕上がりのイメージを具体的に伝えると、医師との認識のずれを防げます。写真を持参するのも有効な方法でしょう。

ダウンタイムとアフターケアの実際

目の下の糸リフトのダウンタイムは個人差がありますが、一般的には3日〜1週間です。施術後は腫れや内出血が出ることがあるため、大切な予定の直前は避けたほうが無難でしょう。

アフターケアとしては、施術後1週間は激しい運動やサウナを控え、目元を強くこすらないよう注意が求められます。洗顔やメイクの再開時期についても、担当医の指示に従ってください。

糸リフトを受けてはいけないケースに当てはまらないか

妊娠中・授乳中の方、施術部位に感染がある方、ケロイド体質の方は糸リフトを受けられません。自己免疫疾患や出血傾向のある方も、施術によるリスクが高まるため慎重な判断が必要です。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 目の下に活動性の炎症や感染がある方
  • ケロイド体質または出血傾向のある方
  • 抗凝固薬を服用中の方(事前に主治医への確認が必要)
  • 過去に糸素材へのアレルギー反応を起こしたことがある方

後悔しない糸リフトのクリニック選び|目の下のクマ治療の成功条件

目の下という繊細な部位に糸リフトを施すには、クリニックと医師の選び方が施術の成否を大きく分けます。技術力だけでなく、カウンセリングの丁寧さや術後フォローの体制まで含めて判断することが後悔を防ぐ第一歩です。

目元の解剖学に精通した医師を選ぶべき理由

目の下には眼窩下神経や眼窩下動脈など、損傷すると深刻な合併症につながる解剖構造が集中しています。これらの構造を避けて適切な層に糸を挿入するためには、目元の解剖学を熟知した医師の技術が求められます。

クリニック選びで確認したいポイント

チェック項目確認すべき内容
医師の専門性形成外科や皮膚科の専門医資格、目元施術の症例経験
カウンセリングクマの診断を丁寧に行い、複数の選択肢を提示してくれるか
術後フォロートラブル時の再診体制や保証制度が明確か

カウンセリングで確認したい3つのチェック項目

まず、自分のクマがどのタイプで、なぜ糸リフトが適しているのか(あるいは適さないのか)を明確に説明してくれるかどうかを確認しましょう。次に、使用する糸の素材・本数・挿入位置について具体的な説明があるかも重要です。

そして、施術のリスクとダウンタイムについて正直に伝えてくれる医師は信頼に値します。「リスクはほとんどありません」とだけ言う医師には注意が必要かもしれません。

費用だけで決めると後悔しやすい

糸リフトの費用はクリニックによって差が大きく、安さだけを基準に選ぶと技術や安全面で不安を抱えるリスクがあります。使用する糸の品質や本数、医師の経験値によって妥当な価格帯は変わるため、複数のクリニックでカウンセリングを受け比較検討することをおすすめします。

また、追加費用(麻酔代、術後検診代など)が別途かかるかどうかも事前に確認しておくと安心でしょう。総額ベースで比較すると、想定外の出費を防げます。

よくある質問

目の下のクマに対する糸リフトの施術時間はどのくらいですか?

目の下への糸リフトの施術時間は、片側あたり15〜30分程度が一般的です。両側合わせても30分〜1時間ほどで終了するケースがほとんどでしょう。

局所麻酔を用いるため、施術中の痛みは軽度です。日帰りで受けられる手軽さが、糸リフトを検討する方にとって大きなメリットのひとつとなっています。

目の下のクマへの糸リフトは何本くらい挿入しますか?

目の下への糸リフトで使用する本数は、片側あたり5〜10本程度が目安です。クマの範囲やたるみの度合いによって本数は変わるため、カウンセリングの際に医師と相談して決めるのがよいでしょう。

本数が多ければ効果が高まるとは限らず、目の下の薄い皮膚に過度な本数を挿入すると、かえってデコボコや引きつれのリスクが上がる場合もあります。

目の下のクマに糸リフトをした後、メイクはいつからできますか?

目元のメイクは、施術後24〜48時間は控えるよう指導するクリニックが多い傾向にあります。針穴がふさがった後であれば、ファンデーションやコンシーラーの使用は問題ないでしょう。

ただし、施術部位を強くこすったり圧迫したりすると糸がずれる原因になりかねません。メイクの際はやさしくタッチする意識を持つことが大切です。

目の下の糸リフトは繰り返し施術を受けられますか?

はい、目の下の糸リフトは繰り返し受けることが可能です。PDO糸は体内で完全に吸収されるため、前回の糸が残っている心配はありません。

効果の持続を望む方は、前回の施術から6か月〜1年のタイミングで追加施術を受けるケースが多く見られます。ただし、毎回の施術で医師がクマの状態を再評価し、糸リフト以外の方法が適しているかどうかも含めて判断することが望ましいでしょう。

目の下の糸リフトとヒアルロン酸注入は同時に受けられますか?

糸リフトとヒアルロン酸注入の併用は技術的に可能であり、実際に両者を組み合わせて目の下の総合的な若返りを図る施術報告もあります。糸リフトでたるみを引き上げ、ヒアルロン酸でくぼみを補うという相乗効果が期待できるでしょう。

ただし、同時施術は目の下への刺激が大きくなるため、腫れや内出血のリスクがやや高まります。同日に行うか間隔を空けるかは、担当医の判断に委ねるのが賢明です。

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この症例の担当医・監修医

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 ポノクリニック東京 院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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