エラボトックスとフェイスラインのたるみ|小顔効果の裏にあるリスク

エラボトックスとフェイスラインのたるみ|小顔効果の裏にあるリスク

エラボトックス(咬筋へのボツリヌストキシン注射)は、手軽に小顔を目指せる施術として幅広い年代から注目を集めています。

しかし、咬筋のボリュームが減ることで皮膚を支える力が弱まり、フェイスラインにたるみが生じるリスクがあることをご存じでしょうか。

とくに30代後半以降の方は、肌の弾力が低下しているため、注入後にほうれい線やフェイスラインの輪郭がぼやける症状が出やすい傾向があります。小顔効果だけに目を向けず、自分の年齢や肌質に合った判断をすることが大切です。

この記事では、エラボトックスの仕組みから副作用、たるみの予防策まで丁寧に解説します。施術を検討中の方も、すでに受けた方も、ぜひ参考にしてください。

目次

エラボトックスで小顔を目指す前に押さえておきたい咬筋の働き

エラボトックスを受ける前に、まず咬筋(こうきん)がフェイスラインにどれほど深くかかわっているかを知っておくべきでしょう。咬筋は単に噛む力を生み出すだけではなく、顔の下半分の輪郭を形づくる重要な筋肉です。

咬筋はフェイスラインを支える「土台」のような筋肉

咬筋は耳の下あたりからエラにかけて広がる、顔の中でも特に厚みのある筋肉です。食べ物を噛むときに使われるだけでなく、フェイスラインの輪郭を内側から支えています。

この筋肉が発達している方はエラが張って見えますが、その分フェイスラインがシャープに保たれている側面もあります。つまり、咬筋はたるみを防ぐ「つっぱり棒」のような役目を果たしているといえるでしょう。

咬筋ボトックスが筋肉のボリュームを減らす仕組み

ボツリヌストキシン製剤を咬筋に注入すると、神経から筋肉への信号伝達が一時的にブロックされます。その結果、咬筋の活動量が減り、数週間から数か月かけて筋肉が萎縮(いしゅく=やせて小さくなること)していきます。

筋肉のボリュームが減ると、エラの張りが目立たなくなり、正面や斜めから見たときにフェイスラインがすっきりして見えるようになります。効果のピークは注入から約3か月後で、持続期間はおおむね6か月から12か月程度です。

エラボトックスの効果と持続期間

項目目安補足
効果の発現2〜4週間後個人差あり
効果のピーク約3か月後筋萎縮が進む時期
持続期間6〜12か月反復注入で延長傾向
注入量の目安片側25〜30単位製剤や体格で変動

小顔効果が出やすい人と出にくい人の違い

もともと咬筋が大きく発達している方ほど、ボトックスによる小顔効果を実感しやすい傾向があります。一方で、脂肪や骨格の影響でエラが目立っている方は、咬筋を小さくしても見た目の変化が乏しいことも珍しくありません。

施術前のカウンセリングで、エラの張りが筋肉由来なのか骨格由来なのかを見極めてもらうことが満足度を左右します。噛みしめたときにエラ部分が硬く盛り上がる方は、筋肉の影響が大きいと判断できるでしょう。

エラボトックス後にフェイスラインがたるむ原因を見逃さないで

エラボトックスの施術後にフェイスラインがたるんだという報告は、決して珍しいものではありません。咬筋が急激に萎縮することで、それまで内側から押し上げられていた皮膚や皮下組織が余り、たるみとして現れるのです。

咬筋の萎縮が皮膚のたるみを招く

咬筋にボトックスを注入すると、筋肉のボリュームが徐々に減少します。若い方であれば皮膚の弾力で自然に引き締まりますが、皮膚のハリが低下している方では余った皮膚がそのまま垂れ下がってしまいます。

たとえるなら、パンパンに膨らんだ風船の空気を抜いたとき、風船の素材が新しければ元に戻りますが、古くなった風船ではしわしわになるのと似た現象です。

加齢による皮膚の弾力低下と重なるとたるみが加速する

30代後半を過ぎると、コラーゲンやエラスチンといった肌のハリを保つ成分の産生量が減っていきます。この状態でエラボトックスを行うと、筋肉の萎縮と皮膚の弾力低下が同時に進み、たるみが目立ちやすくなります。

とくに頬からフェイスラインにかけての皮下脂肪が多い方は、脂肪の重みが加わることで輪郭がぼやけるリスクが高まります。年齢だけでなく、肌のコンディション全体を考慮した上で施術の適否を判断すべきでしょう。

たるみが起こりやすい年齢層と肌質

一般的に、40代以上の方や皮膚が薄い方、紫外線ダメージの蓄積が大きい方はたるみが出やすいとされています。反対に、20代で肌にハリがある方はリスクが低い傾向があります。

ただし年齢が若くても、極端に痩せ型の方や頬の脂肪が少ない方は、注入後に頬がこけて見えることがあるため注意が必要です。

たるみリスクに影響する要因

要因リスクが高いリスクが低い
年齢40代以上20代
皮膚の弾力弾力が低下しているハリがある
皮下脂肪量多い・または極端に少ない適度にある
紫外線ダメージ蓄積が大きい少ない

小顔ボトックスで報告されている副作用を正しく把握しよう

エラボトックスは比較的安全性の高い施術ですが、副作用がゼロではありません。噛む力の低下や頬のこけ、表情の変化など、事前に知っておくべきリスクがあります。

噛む力の低下と食事への影響

咬筋は食べ物を噛み砕くための主要な筋肉です。ボトックス注入によって筋力が弱まると、硬い食べ物が噛みにくくなったり、食事中に顎が疲れやすくなったりするケースがあります。

ある研究では、注入を受けた方の約30%が一時的な咬合力の低下を経験したと報告されています。多くの場合、数週間から2か月程度で日常生活に支障がない程度まで回復するとされています。

頬のこけや左右差が出るケース

咬筋が萎縮しすぎると、頬骨の下がくぼんで見える「頬こけ」が起こる場合があります。注入量が多すぎた場合や、もともと頬の脂肪が少ない方に多い症状です。

また、左右の咬筋の大きさが異なるのに同じ量を注入すると、左右差が目立つときがあります。日ごろから片側だけで噛む癖がある方は、その旨を事前に医師へ伝えてください。

エラボトックスの主な副作用と発生頻度

副作用頻度の目安回復期間
咬合力の低下約30%1〜2か月
頬こけ約0.4%3〜6か月
左右差個人差あり効果消失まで
笑顔の違和感約0.15%2〜3か月
皮膚のたるみ約0.2%3〜6か月

笑顔の違和感や表情の変化

ボトックスが咬筋の周辺にある笑筋(しょうきん)や頬筋(きょうきん)に広がると、笑ったときに口角が上がりにくくなったり、不自然な表情になったりすることがあります。これは薬剤の拡散が原因で、注入部位や量の調整で防げるケースがほとんどです。

施術後に笑顔が不自然だと感じたら、自己判断で放置せず、施術を受けたクリニックに早めに相談しましょう。

エラボトックスの繰り返しがフェイスラインの骨に及ぼす影響

咬筋へのボトックス注入は筋肉だけでなく、その下にある下顎骨(かがくこつ)にも影響を与える可能性が指摘されています。筋肉を動かすことで骨に適度な刺激が伝わり、骨の強さが保たれているからです。

咬筋の弱体化が下顎骨に及ぼす影響

骨は筋肉からの力学的な刺激を受けて新陳代謝を繰り返しています。噛むたびに咬筋が下顎骨を引っ張り、その力が骨の形成を促しています。ボトックスで咬筋が萎縮すると、この刺激が減少し、骨の吸収が進む可能性があります。

動物実験では、咬筋にボトックスを注入した側の下顎骨で骨密度の低下や骨量の減少が確認されています。人間でも同様の傾向を示す研究結果が出始めており、長期的な視点でのリスク評価が求められています。

繰り返し注入で骨密度が変化する

小顔効果を維持するためにエラボトックスを定期的に繰り返すと、咬筋が常に萎縮した状態に置かれます。筋肉からの刺激がない期間が長引くほど、骨への影響も大きくなる可能性があります。

ある臨床研究では、複数回のボトックス注入後に下顎角部の骨体積が有意に減少したと報告されています。ただし、骨密度変化の臨床的な意味については、まだ議論の余地がある段階です。

骨吸収のリスクを軽視してはいけない

骨の変化はすぐに目に見える症状として現れるわけではないため、多くの方が見過ごしがちです。しかし、下顎骨のボリュームが減るとフェイスラインの輪郭がさらにぼやけ、たるみを悪化させる要因にもなります。

繰り返しの注入を希望する場合は、施術間隔を十分にあけるなどの対策を医師と相談しながら進めることが賢明です。

  • 注入間隔は6か月以上あけることが望ましい
  • 注入回数が増えるほど骨への影響を考慮する
  • 定期的な画像検査で下顎骨の状態を確認する

エラボトックスの注入前に確認すべきポイントと信頼できる医師の選び方

施術の結果を大きく左右するのは、注入前のカウンセリングと担当医師の技量です。事前の準備をしっかり行うと、たるみや副作用のリスクを下げられます。

カウンセリングで伝えるべき自分の肌状態

カウンセリングでは、自分の肌の悩みだけでなく、過去に受けた美容施術の履歴、噛みしめ癖の有無、アレルギーの有無なども正直に伝えてください。これらの情報は、注入量や注入部位の決定に直結します。

「小顔になりたい」という漠然とした希望だけでは、医師も的確なプランを提案しにくくなります。フェイスラインのどの部分が気になるのか、どの程度の変化を求めているのかを具体的に伝えることが満足度の高い結果につながるでしょう。

信頼できるクリニックを見極める基準

エラボトックスは注入部位や量の微妙な加減が仕上がりを左右する、繊細な施術です。経験豊富な医師のもとで受けることが、副作用を避けるための基本となります。

カウンセリング時に副作用やリスクについてきちんと説明してくれるか、質問に対して丁寧に答えてくれるかを確認しましょう。リスクの説明を省いたり、過度に効果を強調したりするクリニックは避けるのが無難です。

クリニック選びで確認したいポイント

チェック項目望ましい対応注意が必要な対応
リスク説明副作用を丁寧に説明リスクをほぼ説明しない
注入量の根拠個別に調整する一律の量で対応
施術実績具体的に開示曖昧な回答
アフターケア再診・相談体制あり施術後のフォローなし

注入量と注入部位が結果を左右する

咬筋の大きさや厚みは個人差が大きいため、注入量は一人ひとりに合わせて調整される必要があります。画一的な量で注入すると、効果が不十分だったり、逆に萎縮しすぎてたるみや頬こけを招いたりします。

注入部位も重要で、咬筋の安全域(セーフゾーン)と呼ばれる範囲内に正確に注入することが合併症予防の基本です。超音波ガイド下で注入位置を確認する手法を採用しているクリニックもあり、安全性への配慮として評価できます。

フェイスラインのたるみが気になったら試してほしいケアと予防策

エラボトックス後にたるみを感じた場合でも、適切なケアで改善が見込めるケースは少なくありません。自己判断での対処は避け、まずは専門の医師に相談することが回復への近道です。

施術後のたるみに気づいたらまず医師に相談する

フェイスラインのたるみに気づいた段階で、施術を行ったクリニックに連絡しましょう。ボトックスの効果は永続的ではないため、時間の経過とともに咬筋が回復し、たるみが自然に改善する場合もあります。

しかし、改善を待つだけでは不安が募るばかりです。医師に診てもらうと、現在の状態を客観的に評価してもらえますし、追加の対策が必要かどうかの判断もつきやすくなります。

日常生活でフェイスラインを引き締めるためにできること

紫外線対策をしっかり行い、肌のコラーゲンの減少を防ぐことは、たるみ予防の基本です。日焼け止めの塗布だけでなく、帽子やサングラスの併用も効果的でしょう。

十分な睡眠とバランスのよい食事も、肌の新陳代謝を支える土台となります。ビタミンCやたんぱく質を意識的に摂取すると、肌のハリを内側からサポートできます。

他の施術との組み合わせで得られる相乗効果

たるみが気になる場合、ヒアルロン酸注入や高周波治療などをエラボトックスと組み合わせる方法が検討されることもあります。ヒアルロン酸で顎先やこめかみにボリュームを補うと、フェイスラインにメリハリが出てたるみが目立ちにくくなります。

ただし、複数の施術を組み合わせる場合は、それぞれのリスクも増えるため、担当医と十分に相談した上で慎重に進めてください。

  • 紫外線対策の徹底で肌のコラーゲン減少を抑制する
  • たんぱく質とビタミンCを含む食事で肌を内側から支える
  • ヒアルロン酸や高周波治療との併用を医師と相談する

エラボトックスで小顔を目指すなら年齢や体質に合った判断が欠かせない

エラボトックスは万人に同じ結果をもたらす施術ではなく、年齢・肌質・骨格によってメリットとリスクのバランスが大きく変わります。自分の状態を正しく把握した上で、施術を受けるかどうかを判断しましょう。

20代・30代が注意すべきこと

20代から30代前半の方は肌にハリがあるため、たるみのリスクは比較的低い傾向にあります。しかし、注入量が多すぎると頬がこけて老けた印象になる場合があるため、控えめな量から始めるのが賢明です。

また、若い世代は効果を実感すると何度も繰り返したくなりがちですが、長期的な骨への影響も踏まえて注入間隔を守ることが大切です。

年代別のエラボトックスで気をつけるべきポイント

年代注意点推奨される対応
20代頬こけのリスク少量から開始する
30代繰り返し注入の影響注入間隔を十分にあける
40代たるみリスクの増加皮膚の状態を事前に評価する
50代以上骨密度への影響医師と慎重に協議する

40代以降が慎重になるべき理由

40代以降は皮膚の弾力が低下し、皮下脂肪の下垂も進んでいるため、エラボトックスによるたるみのリスクが格段に高まります。「小顔になれる」という期待だけで施術を決めると、かえってフェイスラインの老化が目立つ結果になりかねません。

この年代の方がエラボトックスを検討する場合は、たるみ対策を同時に行えるプランを医師に提案してもらうとよいでしょう。注入量を通常より少なくする、他の引き締め施術と併用するなどの工夫で、リスクを軽減できる場合もあります。

自分に合った施術を選ぶための心構え

美容施術においては、流行や周囲の評判に流されず、自分自身の顔の状態と向き合うことが何より大切です。エラボトックスが合う方もいれば、別のアプローチのほうが適している方もいます。

信頼できる医師との対話を通じて、自分にとってのメリットとリスクを天秤にかけてください。焦らず、納得した上で決断することが、後悔のない施術への第一歩となるはずです。

よくある質問

エラボトックスの施術後にフェイスラインがたるむ確率はどのくらいですか?

エラボトックスによるフェイスラインのたるみは、大規模な調査では全体の約0.2%前後と報告されています。決して高い数字ではありませんが、とくに皮膚の弾力が低下している30代後半以降の方は発生率がやや高くなる傾向があります。

施術前に肌の状態を医師にしっかり評価してもらうと、たるみのリスクを事前に把握できるでしょう。

エラボトックスで生じたたるみは自然に元に戻りますか?

ボトックスの効果は永続的ではないため、時間の経過とともに咬筋の筋力が回復し、皮膚を内側から支える力が戻ってきます。多くの場合、3か月から6か月ほどでたるみが改善に向かいます。

ただし、回復のスピードには個人差があり、年齢が高い方や皮膚の弾力が著しく低下している方は回復に時間がかかることもあります。気になる症状が続く場合は、医師に相談して追加のケアを検討してみてください。

咬筋ボトックスを繰り返し受けると下顎の骨が弱くなるのですか?

動物実験や一部の臨床研究では、咬筋へのボトックス注入後に下顎骨の骨密度低下が確認されています。筋肉の活動量が減ると、骨に伝わる力学的刺激が弱まり、骨の吸収が促されると考えられています。

ただし、人間における臨床的な影響の大きさについてはまだ研究が進行中であり、明確な結論は出ていません。繰り返し注入を希望する方は、施術間隔を十分にあけながら、定期的に骨の状態を確認するのが望ましいでしょう。

エラボトックスの注入量が多いほど小顔効果は大きくなりますか?

注入量を増やせば咬筋の萎縮は大きくなりますが、その分だけ副作用のリスクも高まります。頬こけや噛む力の著しい低下、フェイスラインのたるみといった問題は、注入量が過剰な場合に起こりやすくなります。

そのため、まずは少なめの量で様子を見て、効果が不十分であれば追加注入を検討するという慎重なアプローチが推奨されています。一度に大量の注入を受けるよりも、段階的に調整するほうが安全です。

エラボトックスによる小顔効果を長持ちさせるにはどうすればよいですか?

小顔効果を長く維持するためには、適切な間隔で繰り返し注入を行うのが一般的です。ただし、間隔が短すぎると筋肉や骨への負担が大きくなるため、6か月以上の間隔をあけることが推奨されています。

日常生活では、歯の食いしばりや噛みしめ癖を意識的に減らす工夫も効果の持続に役立ちます。ストレスによる無意識の噛みしめが咬筋の再肥大を早めるため、リラクゼーションの習慣を取り入れるのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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