口角を上げる整形治療|ボトックス・ヒアルロン酸・口角挙上術の比較

口角を上げる整形治療|ボトックス・ヒアルロン酸・口角挙上術の比較

口角が下がると、常に疲れているような、怒っているような印象を周囲に与えてしまいます。その原因は単に「筋肉の問題」だけではなく、口角下制筋(こうかくかせいきん)の過活動、脂肪と骨格の加齢変化、皮膚のたるみが複合的に重なった結果です。

整形治療の選択肢は大きく3つあります。ボトックス注射は筋肉にアプローチして4〜6か月の効果が続き、ヒアルロン酸注射はボリューム補充でマリオネットラインと口角を同時に整え、口角挙上術(外科手術)は皮膚を切除して半永久的な改善を目指します。

それぞれの効果・持続期間・ダウンタイム・費用は大きく異なります。自分の口角が下がる原因と程度、生活スタイルに合わせて治療法を選ぶことが、満足度の高い結果につながります。

目次

口角が下がる原因—整形で改善できる加齢変化のしくみ

40代以降、口角を引き下げる筋肉の力が強まる一方で、脂肪・骨・皮膚がそれぞれ変化し、複数の要因が積み重なって口角の下垂が進んでいきます。単一の原因ではなく、こうした複合的な変化を理解することが、自分に合う治療を選ぶ第一歩になります。

口角下制筋の過活動が口角を引き下げる

口角のすぐ下に位置する「口角下制筋(depressor anguli oris:DAO)」は、口角を外下方へ引っ張る役割を持つ薄い筋肉です。若いころはほほ骨周辺の口角挙上筋群とのバランスが保たれていますが、加齢とともにこのバランスが崩れ、下向きの力が優勢になっていきます。

先天的にDAOの筋力が強い場合、口角の下がりが若い年代から目立つことがあります。「怒っていないのに怒っているように見られる」「疲れて見えると言われる」という方の中には、このDAOの過活動が関係しているケースが少なくありません。

脂肪や骨の変化が口角への支持力を失わせる

顔の深部には、皮膚や皮下組織を内側から支える脂肪層が何層も存在します。加齢とともにこれらの脂肪層が萎縮・移動し、口角下方の組織が薄くなることで、口角が重力に負けて下がりやすくなります。さらに上あごや下あごの骨自体も年齢とともに少しずつ吸収されます。

骨量の減少は顔の「土台」が失われることを意味し、皮膚と軟部組織のたるみを加速させます。ヒアルロン酸注射によるボリューム補充は、こうした失われた土台を補う発想から行われる治療です。

たるみとマリオネットラインが重なると老け見えが加速する

口角の外側から顎にかけて縦に伸びる「マリオネットライン(labiomandibular fold)」は、加齢に伴うDAOの牽引力・頬のたるみ・皮膚の弾力低下が重なって深くなります。人形(マリオネット)の口に似た線から名づけられたこのラインは、口角の下がりと同時に存在することで、不機嫌そう・老けたという印象をより強くさせます。

口角の下がりに関わる主な要因

  • 口角下制筋(DAO)の過活動による下方への牽引力の増大
  • 顔の深部脂肪・皮下脂肪の萎縮と移動によるボリューム損失
  • 上下顎骨の加齢吸収による骨格フレームの縮小
  • 皮膚の弾力低下とマリオネットラインの深化

ボトックス注射で口角を上げる—口角下制筋へのアプローチと効果

ボトックス(ボツリヌストキシンA)を口角下制筋に注入することで、口角を引き下げる力を弱め、相対的に口角が上がった状態をつくり出せます。施術時間は10〜15分程度で、ダウンタイムもほとんどなく、仕事や日常生活への影響が少ない点が多くの方に選ばれる理由のひとつです。

口角下制筋(DAO)への正確な注入が効果の鍵

口角下制筋(DAO)は、口角直下から下顎に向かって扇状に広がる薄い筋肉です。その内側には口唇下制筋(DLI)が隣接しているため、注入部位がわずかにずれると薬剤がDLIに拡散し、左右差や口の動きへの影響が生じる恐れがあります。解剖学的な研究から、モダイオラス(口角の筋肉が集まる結節点)から下顎縁に向かう扇形の領域が、安全で効果的な注入ゾーンとされています。

使用する単位数は製剤の種類や術者の判断によって異なりますが、左右それぞれ2〜8単位が目安です。施術は非常に細い注射針を使うため痛みは軽微で、局所麻酔なしで受けられる場合がほとんどです。

ボトックス施術の概要

項目内容
注入部位口角下制筋(DAO)左右各1〜3か所
使用単位数左右各2〜8単位(製剤・術者判断による)
施術時間10〜15分程度
ダウンタイムほぼなし(針痕の赤みは1〜3日)

効果が出るまでの期間と持続時間

ボトックスの効果は注入後2〜7日ほどで現れ始め、2週間前後で最大になります。効果の持続期間は個人差がありますが、おおむね4〜6か月が目安です。繰り返し施術することで徐々に筋肉の過活動が落ち着き、効果の持続が延びるケースも報告されています。

施術直後は針痕の赤みや軽い内出血が生じることがありますが、多くの場合1〜3日で落ち着きます。万が一左右差が生じた場合も、効果が消退するにつれて自然に解消していきます。

ボトックスに向いている人・注意すべきケースとは?

ボトックスによる口角挙上が特に適しているのは、口角下制筋の過活動が主な原因で口角が下がっているケースです。骨格的な原因や大幅な皮膚のたるみが主因の場合、効果は限定的になることがあります。また、妊娠中・授乳中の方、神経筋疾患(重症筋無力症など)がある方、ボツリヌストキシンにアレルギーがある方には使用できません。

施術後4〜6時間はうつむいた姿勢を避け、注入部位を強く触ったり揉んだりしないことが大切です。運動・飲酒・長時間の入浴などは当日を控えるよう指示される場合が多いです。

ヒアルロン酸注射で口角を整える—マリオネットラインとの同時改善

「ヒアルロン酸は唇を厚くするもの」というイメージを持つ方もいますが、口角周辺への適切な注入によって口角そのものを持ち上げたり、マリオネットラインを目立たなくしたりする効果が期待できます。筋肉にアプローチするボトックスとは異なり、ヒアルロン酸は失われたボリュームを補充することで形を整える治療です。

注入部位と深さが自然な仕上がりを左右する

口角改善を目的としたヒアルロン酸注射では、「モダイオラス(口角に集まる筋肉群の結節点)」の皮下層への注入が中心となります。この部位に適切な量を注入することで口角を直接持ち上げる土台をつくりながら、周辺の小じわを同時に改善できます。

マリオネットラインへの注入では、ライン全体に浅い層から深い層にわたってバランスよくヒアルロン酸を配置し、凹んだ溝を内側から持ち上げます。使用する製剤の硬さ(架橋度)は部位によって選び分けられ、深いシワには高密度タイプ、繊細な調整には柔らかいタイプが用いられます。

マリオネットラインと口角を同時に改善できる

口角の下がりとマリオネットラインが同時に存在する場合、口角のみをボトックスで改善してもラインそのものは残ります。ヒアルロン酸を使ったアプローチでは、この2つの悩みを1回の施術でまとめて対応できる点が大きな強みです。

ヒアルロン酸は体内に存在する成分と同じ構造を持つため、アレルギーが起こりにくく安全性が高い素材です。施術直後から効果が確認でき、仕上がりを医師と一緒に確認しながら調整できる点も安心感につながります。

持続期間とメンテナンスの実際

ヒアルロン酸の効果が持続する期間は、製剤の種類・注入量・代謝の速さによって異なりますが、6か月〜1年程度が一般的な目安です。筋肉の動きが多い部位ほど吸収が早まる傾向があります。効果が薄れてきたと感じたタイミングでメンテナンス施術を行うことで、改善状態を継続して維持できます。

万が一仕上がりに納得できない場合は「ヒアルロニダーゼ(溶解酵素)」を注入することで修正できます。他のフィラー素材にはないヒアルロン酸ならではのメリットといえます。

ヒアルロン酸注射の主な特徴

項目目安・特徴
主な注入部位モダイオラス・マリオネットライン
効果の持続6か月〜1年(製剤・注入量による)
修正・溶解ヒアルロニダーゼで対応可能
ダウンタイム腫れ・内出血3〜7日程度

口角挙上術(外科手術)—スマイルリフトの効果と残るもの

「注射治療を繰り返しているが、より長持ちする改善を望んでいる」「根本的に口角の位置を変えたい」と感じているなら、外科的な口角挙上術が選択肢として浮かびます。手術では皮膚を切除・縫合することで口角の位置そのものを変えるため、注射治療では届かない水準の改善と半永久的な効果が期待できます。

手術の種類と切除デザイン—スマイルリフトのしくみ

口角挙上術の代表的な術式は、口角の直上にある皮膚を三日月形や「Bull’s horn(バッファロー角)形」に切除して縫合するものです。「スマイルリフト」とも呼ばれるこの方法では、切除する皮膚の幅と形を細かく設計することで口角の上がり具合を調整します。フェイスリフトと同時に行われるケースも多く、顔全体のたるみ改善との組み合わせで相乗効果が期待できます。

傷跡は口角の直上、唇の縁(バーミリオンボーダー)に沿った位置に入ります。術者の技術と縫合方法によって傷跡の目立ち方が大きく変わるため、手術実績が豊富な専門医を選ぶことが大切です。

ダウンタイムと回復期間の目安

術後の腫れや内出血は術直後が最も強く、通常1〜2週間で目立ちにくくなります。抜糸は術後1週間前後に行われることが多く、抜糸まではメイクに一部制限が生じます。強い表情を作ったり大きく口を開けたりすることは、術後一定期間は控えるよう指示されます。

術後の経過の目安

時期状態の目安
術直後〜3日腫れ・内出血がピーク、テープ保護
1週間前後抜糸(傷跡は閉じている)
1〜3か月傷跡の赤みが徐々に薄れる
6か月〜1年傷跡が落ち着く(個人差あり)

向いている人と術前に必ず確認しておくこと

口角挙上術が特に向いているのは、注射治療では改善しにくい程度の下垂がある方、長期的・半永久的な効果を求める方です。一方で、手術である以上、傷跡・感染・神経損傷・左右非対称などのリスクは必ず伴います。ケロイド体質の方は傷跡が目立ちやすい場合があるため、術前に医師とその可能性を確認することが大切です。

術前カウンセリングでは、切除デザインの細部・期待できる変化の程度・アフターケアの方法について十分に確認しましょう。手術後の結果は元に戻すことが難しいため、信頼できる医師と十分に話し合ったうえで決断することが重要です。

ボトックス・ヒアルロン酸・口角挙上術—3治療を比較して選ぶ

「どの治療が自分に向いているか」は、口角が下がる原因・程度・ライフスタイルによって変わります。ダウンタイムをほとんど確保できない方にはボトックスやヒアルロン酸が、長期間効果を保ちたい方には手術が選択肢になるでしょう。

治療法効果の持続ダウンタイム
ボトックス注射4〜6か月ほぼなし
ヒアルロン酸注射6か月〜1年数日
口角挙上術(手術)半永久的1〜2週間

3治療の効果・持続期間・ダウンタイムを比べると

ボトックスはダウンタイムが最も少なく日常生活への影響が小さい反面、効果が数か月で切れるため定期的な施術が必要です。ヒアルロン酸は腫れなどが数日続く場合がありますが、マリオネットラインと同時に改善できる点で幅広い悩みに対応できます。口角挙上術は一度の手術で長期にわたる改善を得られる一方、回復に1〜2週間を要し傷跡が残ります。

費用面では、ボトックスとヒアルロン酸は1回ごとの費用は手術より低くても、繰り返し施術するため長期的なコストは積み重なります。手術は初期費用が高くなりますが、長い目で見るとコストパフォーマンスが高くなる場合もあります。

自分に合う治療を選ぶ判断基準

口角の下がりが「筋肉の過活動」に由来するならボトックスが優先候補です。「ボリューム不足やマリオネットライン」が主因ならヒアルロン酸が適しています。両方の要因が混在している場合は、ボトックスとヒアルロン酸の組み合わせが有効で、国際的なガイドラインでも標準的な選択とされています。

注射治療では限界がある下垂や、長期的な改善を最優先するなら手術を検討する価値があります。初めて施術を受ける方には、まず非外科的治療から試し、仕上がりを確認してから手術を検討するという段階的なアプローチがとられることも多いです。

ボトックスとヒアルロン酸を組み合わせると相乗効果が生まれる

ボトックスとヒアルロン酸の組み合わせ治療は、単独治療よりも自然でバランスのとれた仕上がりが得られると多くの専門家が評価しています。ボトックスで口角を下げる筋肉の力を弱め、ヒアルロン酸でボリュームを補充することで、顔の下部全体のたるみにも対応できます。

施術の順序や間隔については医師の判断に委ねるのが安心で、一方の効果を確認してからもう一方を加えるケースもあります。双方の効果を最大限に引き出すためにも、一連の治療計画を同じ医師に相談しながら進めることを勧めます。

口角を上げる整形治療のリスクと副作用—施術前に確認しておくこと

どの施術にも一定のリスクが伴います。治療内容とリスクについて正確に知ったうえで医師と相談することが、後悔のない選択につながります。

ボトックスとヒアルロン酸の注射に伴うリスク

注射治療全般に共通するリスクとして、内出血・腫れ・感染・アレルギー反応があります。これらはほとんどが一時的なもので、数日から2週間程度で落ち着くことが多いです。ヒアルロン酸注射では、血管内への誤注入が起こると皮膚の壊死(えし)という重大な副作用が生じる可能性があるため、顔面の解剖学的知識を持つ医師による施術を受けることがとても大切です。

ボトックスで特有のリスクとしては、薬剤が隣接する筋肉に拡散することによる「笑顔の非対称」や「口の動きへの影響」があります。適切な部位・量の注入と、解剖学に精通した術者の技術がこのリスクを大幅に低減します。

口角挙上術(外科手術)に特有の注意点

外科手術では傷跡・感染・血腫・神経損傷・左右非対称などのリスクが伴います。口角周辺には顔の表情に関わる神経が密集しているため、術者の経験と技術が安全性と仕上がりに直結します。術後の傷跡ケアは最終的な仕上がりに大きく影響し、紫外線対策・保湿・傷跡ケアクリームの使用などを継続的に行うことが大切です。

術後に気になる変化(過度な腫れ・強い痛み・傷口の開きなど)が現れた場合は、自己判断せず速やかに担当クリニックへ連絡することが重要です。

信頼できるクリニックを見分けるポイント

クリニックを選ぶ際には、費用だけでなく医師の経験と施術体制をしっかり確認することが重要です。カウンセリングでリスクについてきちんと説明してくれる医師を選ぶことが、安全な施術への第一歩になります。

信頼できるクリニックの見分け方

  • 顔面・口周りの美容医療に実績が豊富な専門医が在籍している
  • 施術前に医師本人が十分なカウンセリングを行う体制がある
  • リスク・副作用・失敗の可能性について率直に説明してくれる
  • アフターケアや修正対応の方針が明確に示されている
  • 費用の内訳と根拠を丁寧に説明してくれる

よくある質問

ボトックスで口角を上げる施術は、どのくらいの痛みがありますか?

注射で使用する針は非常に細いため、施術中の痛みは刺入時のチクッとした軽い感触程度がほとんどです。多くのクリニックでは局所麻酔なしで施術を行っており、痛みに敏感な方向けに麻酔クリームを事前に塗るオプションを用意しているところもあります。

施術後は注射部位に一時的な圧痛や軽い腫れが出る場合がありますが、通常は数日以内に落ち着きます。注射部位を強く触ったり揉んだりすることは術後数時間は避けるよう医師から案内される場合が多いです。

ヒアルロン酸注射による口角挙上の効果は、どのくらいの期間持続しますか?

持続期間は使用する製剤の種類・注入量・個人の代謝によって異なりますが、目安として6か月〜1年程度が一般的です。表情の動きが多い部位ほど吸収されやすく、持続期間が短くなる傾向があります。

効果が薄れてきたと感じたタイミングでメンテナンス注射を受けることで、継続的に改善した状態を保てます。定期的にメンテナンスを続けることで、少量でも効果が維持されやすくなるケースもあります。

口角挙上術(外科手術)の術後に傷跡は残りますか?

口角挙上術は皮膚を切除する手術であるため、傷跡は残ります。傷跡は口角の直上、唇の縁に沿って入ることが多く、術後数か月から1年程度かけて徐々に目立たなくなっていきます。

最終的な傷跡の目立ちやすさは、術者の技術・縫合方法・個人の体質(ケロイド傾向など)によって異なります。術後のUVケアや保湿を丁寧に続けることが、傷跡の回復を助けます。

ボトックスとヒアルロン酸を組み合わせた口角挙上は可能ですか?

ボトックスとヒアルロン酸の組み合わせ治療は一般的に行われており、国際的なガイドラインでも標準的なアプローチとして位置づけられています。口角を引き下げる筋肉の力をボトックスで弱め、ヒアルロン酸でボリュームを補充することで、それぞれ単独よりも自然で相乗的な効果が期待できます。

注入量・部位・順序の調整は医師が個別の状態を確認しながら行いますので、自己判断で追加することは避け、必ず担当医に相談してください。

口角を上げる整形治療を受けられない人はいますか?

ボトックス注射は、妊娠中・授乳中の方、神経筋疾患(重症筋無力症など)がある方、ボツリヌストキシンへのアレルギーがある方には使用できません。ヒアルロン酸注射は、施術部位に感染・炎症がある場合や血液凝固に問題がある方では慎重な対応が必要です。

外科手術を含む治療全般で、服用中の薬(抗凝固薬など)や全身状態によって施術に制限がかかる場合があります。カウンセリング時には既往歴・服薬歴・アレルギー歴を正確に伝えることが安全な治療の土台となります。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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