ほうれい線へのヒアルロン酸注入で「ヒアル顔」を避ける|不自然にならない適正量と注入層

ほうれい線のヒアルロン酸注入で失敗を避ける秘訣は、単に溝を平らにするのではなく、お顔の土台となる深い層と皮膚表面の浅い層を、ミリ単位で使い分ける技術にあります。
過剰に注入された薬剤は「ヒアル顔」という不自然な膨らみを招き、本来のあなたの魅力を損ないかねません。
この記事では、解剖学に基づいた適切な量と層の選び方を詳しく解説し、自然な若々しさを手に入れるための具体的な指針を提供します。
ヒアル顔になりたくないと願うあなたが知るべき不自然さの正体
ほうれい線を消そうと必死になるあまり、ヒアルロン酸を過剰に注入してしまい、笑った時に頬が不自然に盛り上がる状態を「ヒアル顔」と呼びます。
この現象は、お顔の構造を無視して「凹んだ部分を埋める」という平面的な考え方だけで施術を繰り返すことで引き起こされます。元々の骨格や脂肪の配置に逆らってボリュームを足すと、表情の動きが失われてしまうのです。
詰め込みすぎたボリュームが顔の動きを阻害していませんか
ヒアルロン酸には周囲の水分を抱え込む性質があるため、施術の直後よりも数日後の方がボリュームが増したように感じることがよくあります。
この変化を計算に入れずに、注入直後の満足感だけで量を増やしてしまうと、顔の筋肉が動くためのスペースが物理的に奪われてしまいます。結果として、引きつったような笑い方になってしまいます。
特に、お顔を動かした時に薬剤が「塊」として浮き出てしまうと、周囲の視線はそこに集中してしまいます。静止画の美しさだけを追い求めず、会話や笑顔の中での自然さを優先することが大切です。
頬の高さとほうれい線の深さのバランスが崩れる原因
ほうれい線が目立つ本当の理由は、加齢による頬の脂肪の下垂です。このたるみを放置したまま溝だけを埋めると、お顔の下半分にボリュームが溜まり、かえって老けた印象を強めます。
重心が下に偏ることで、お顔の輪郭が四角く見えたり、口元が重たく見えたりするトラブルも少なくありません。不自然さを避けるには、頬の高さとの対比を冷静に見極める必要があります。
ほうれい線のすぐ上の肉が厚いタイプの方ほど、溝を埋めることで盛り上がりが強調されるジレンマに陥りやすい傾向があります。部分的なシワではなく、お顔全体のバランスを俯瞰する視点を持ってください。
笑った時に違和感が出るパンパンな顔立ちを回避する
笑った瞬間に目が細くなり、頬だけが異常に高く突き出すお顔立ちは、ヒアルロン酸の馴染みの悪さや、層の選択ミスが主な原因です。
本来の組織としなやかに連動する高品質な製剤を選び、かつ必要な場所にだけ最小限の量を配置する「引き算の美学」を意識することで、パンパンな印象を劇的に改善できます。
施術後に違和感を感じる多くのケースでは、注入された薬剤がお顔の「おもり」となってしまい、表情筋の繊細な動きを妨げています。若々しさは、肌の滑らかさだけでなく、自然な表情の動きの中にこそ宿るものです。
不自然な仕上がりを招く要因の整理
| 要因 | 見た目への影響 | 回避するための対策 |
|---|---|---|
| 過剰な注入量 | お顔全体が膨張する | 少量から開始し調整する |
| 不適切な注入層 | 笑った時の不自然な凹凸 | 土台を整える注入を行う |
| 馴染みの悪い製剤 | 表情の動きが硬くなる | 柔軟な最新の製剤を選ぶ |
適正量を守って若々しさを取り戻すための注入量の目安
ほうれい線の治療において、何ミリリットル注入すれば十分かという問いに、たったひとつの正解があるわけではありません。
骨格の形や皮膚の厚み、そして現在進行しているたるみの度合いによって、必要な量は一人ひとり異なるからです。しかし、一般的に「美しい」とされる範囲には、必ず共通の目安となるボリュームが存在します。
初めての施術で欲張りすぎると失敗のリスクが高まる理由
美容医療を初めて受ける方は、どうしてもシワを「ゼロ」にしたいと願ってしまいます。しかし、赤ちゃんであっても笑えばほうれい線は出ますし、影が全くないお顔は逆に不気味な印象を与えます。
完全にフラットな状態を目指すと、間違いなく注入過多になります。初回は気になる影の6割から7割を改善するつもりで留めておくのが、誰にもバレずに美しくなるための王道です。
一度にたくさん入れるよりも、少しずつ足していく方が、皮膚がゆっくりと馴染むため、周囲に「痩せた?」「綺麗になったね」とポジティブな変化として受け入れてもらいやすくなります。
左右差や骨格の違いに合わせたオーダーメイドな量
人間の顔はもともと左右非対称です。片方の奥歯で噛む癖があったり、横向きに寝る習慣があったりすると、片側のほうれい線だけが深くなることがよくあります。
そのため、左右均等に1本ずつ入れるといった機械的な注入ではなく、左右のシワの角度や深さに合わせて、きめ細かく量を変える判断が求められます。この微調整こそが、医師のセンスの分岐点です。
また、日本人に多い「口元が突出した骨格」の方は、小鼻の付け根が深く窪んでいることが多いため、まずはその窪みを底上げするための土台作りが必要になります。骨格の短所を補うための量と、シワを埋めるための量は別物だと考えてください。
少量から始めて経過を見ることが自然な仕上がりへの近道
一度入れたヒアルロン酸は、製剤によって半年から2年ほど持続します。万が一、入れすぎてしまった場合は溶かすことも可能ですが、それには追加の費用と精神的な負担が伴います。
こういったリスクを避けるために、まずは「物足りないかな」と感じる程度の量で仕上げてもらうのが賢い選択です。1週間ほど経ってお顔のむくみが取れると、本当の仕上がりが見えてきます。
その時点で、鏡を見ながら「もう少しだけここを埋めたい」と希望を伝えることで、あなたの理想に極限まで近づけることができます。急がば回れの精神こそが、最高の満足感を手に入れる近道となるでしょう。
初回施術時の推奨注入量とスケジュールの目安
| 項目 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 初回注入量 | 両側で1.0mlから2.0ml | 骨格の凹みが強いと変動 |
| 追加の判断 | 2週間から1ヶ月後 | 組織に馴染んでから決める |
| 持続期間 | 12ヶ月から18ヶ月 | 生活習慣や製剤で変わる |
皮膚の層を使い分けてほうれい線の根元から持ち上げる技術
ほうれい線を改善するためには、皮膚のどの深さに薬剤を置くかが、結果の8割を左右すると言っても過言ではありません。
お顔の層は、表面の皮膚、脂肪層、筋肉、そして骨膜という複数のレイヤーで成り立っています。シワの原因がどこにあるのかを特定し、その層に合った薬剤を届けることが、専門医の最も重要な役割です。
深い層への注入で土台を安定させる
ほうれい線の始まりである小鼻の脇の窪みは、加齢による骨の萎縮が大きな原因のひとつです。ここにアプローチする場合は、骨のすぐ上にある深い層に、硬めの薬剤を柱のように注入します。
この深い層への注入は、表面にデコボコが出にくいという大きなメリットがあります。お顔を内側から支える「杭」のような役割を果たし、中顔面を根元からグイッと押し上げてくれるのです。
土台が安定すると、その上にある皮膚もピンと張るため、表面に打つ量を劇的に減らすことができます。こうした目に見えない部分での工夫が、表情の自然さを守るための防波堤となります。
表面の細かい溝を埋めるための浅い層へのアプローチ
深い層の土台が整っても、長年の癖で皮膚表面に深く刻まれてしまった小ジワは、それだけでは解消されません。これに対しては、より滑らかな製剤を浅い層に薄く広げるように注入します。
この工程は極めて繊細で、少しでも量が多すぎたり、層が浅すぎたりすると、皮膚が青白く透けて見えてしまうリスクがあります。ベテランの医師は、皮膚の弾力を確かめながら慎重に作業を進めます。
表面のケアは、あくまで最後の仕上げです。土台作りを疎かにして表面の溝ばかりを埋めようとすると、笑った時の違和感に直結するため、層の優先順位を間違えないことが成功への鍵と言えるでしょう。
異なる硬さの薬剤を使い分けて立体感を作る工夫
最近の美容クリニックでは、複数の種類のヒアルロン酸を組み合わせて使用することが一般的になっています。骨に近い部分には形を維持する力が強いもの、動きの多い口元には柔軟性の高いものを選びます。
この使い分けのおかげで、真顔の時は若々しく、会話をしている最中はしなやかに動くという、理想的な状態を実現できるようになりました。一つの部位に一種類の薬剤という固定観念は、すでに古くなっています。
異なる層に異なる役割を持たせることで、お顔全体の立体感が生まれ、どこから見ても自然な仕上がりになります。こうした多層的なアプローチが、現代の若返り治療における標準的な考え方となっています。
注入層ごとの役割
- 骨膜上層:骨の痩せを補い、お顔全体の構造をリフトアップさせて土台から支えます
- 皮下脂肪層:ボリュームが足りない部分を埋め、お顔にふっくらとした若々しい丸みを与えます
- 真皮下層:皮膚の表面に残る細かな筋を薄くし、アイロンをかけたような滑らかな肌質を作ります
ほうれい線以外の原因にも目を向けてリフトアップを狙う
あなたが鏡を見て「ほうれい線が気になる」と感じる時、その真の原因は口元ではなく、もっと高い位置にある頬のたるみかもしれません。
お顔の組織は、上から下へと連動して動いています。口元のシワを消したいのであれば、その重みの出どころである「上の方」を治療することが、最も美しく自然な結果への近道となります。
頬のたるみが影を作っているなら中顔面への注入を優先する
加齢によって頬のボリュームが前方へ移動し、それがほうれい線の上に覆いかぶさると、深い影が発生します。この場合、ほうれい線に直接入れるのではなく、頬の外側に注入を行い、皮膚を斜め上に引き上げます。
この手法をリフトアップ注入と呼び、物理的にほうれい線の溝を薄くする効果があります。この結果、口周りに余計なボリュームを足さずに済むため、笑顔が重たくなる心配がありません。
頬の位置が高くなることで、お顔の重心が上がり、全体的にハツラツとした印象に変わります。直接的なシワ埋めよりも、はるかに若返り効果を実感しやすいのがこの方法の大きな特徴です。
こめかみや顎のラインを整えることで口元をスッキリ見せる
お顔の上部や下部のボリュームが不足していると、相対的にほうれい線のたるみが目立ちやすくなります。例えば、こめかみが窪んでいると、お顔全体が「下がっている」という視覚的印象を与えてしまいます。
こめかみに適度なふっくら感を取り戻すと、お顔のラインが整い、視線が上へと誘導されます。そのおかげで、ほうれい線への注目度が下がり、お顔全体の調和が劇的に改善されるのです。
また、顎が小さく引っ込んでいる方は、口元が前に出て見えるため、ほうれい線が強調されがちです。顎の形を整えてあげるだけで、横顔のバランスが良くなり、ほうれい線の溝も自然と目立たなくなります。
顔全体のバランスを整えればほうれい線は目立たなくなる
若々しいお顔の代名詞は、頬が高く、顎に向かってシャープに絞られる「逆三角形」のフォルムです。加齢とともにこのフォルムが四角く変化していくことが、老け見えの正体と言えます。
ヒアルロン酸治療の本来の目的は、この失われた黄金比を再構築することにあるべきです。部分的なシワにばかり一喜一憂するのではなく、お顔全体のシルエットが美しくなったかどうかを大切にしてください。
全体のバランスが整えば、多少のシワは「表情の豊かさ」としてポジティブに捉えられます。不自然さを排除した美しさとは、一部の欠点を消すことではなく、全体の調和によって生み出されるものです。
お顔全体の調和を保つための注入ポイント
| 部位 | 期待できる変化 | ほうれい線への影響 |
|---|---|---|
| こめかみ | お顔の上半分が持ち上がる | たるみによる影の軽減 |
| 頬(チークライン) | 頬の位置が高くなる | シワの物理的な引き上げ |
| 顎(フェイスライン) | 口元の突出感が改善 | 口角周りのスッキリ感 |
施術後の経過で現れる変化を冷静に見極めて不安を解消する
施術が終わった後の経過は、どなたにとっても不安なものです。しかし、正しい知識があれば、一時的な変化に過剰に驚く必要はなくなります。
ダウンタイム中に起こる現象の多くは、身体が異物を迎え入れるための正常な反応です。これらの変化が落ち着くまでのルールを守ることが、最終的な美しさを守るための唯一の秘訣となります。
注入直後の腫れや赤みを失敗と勘違いしないで待つ
注入した直後から2、3日間は、針の刺激や薬剤が水分を吸収する作用によって、多少の腫れや浮腫みが出ることが一般的です。この時期は「少し入れすぎたかも」と感じやすいものです。
しかし、それは完成形ではありません。通常は3日から1週間程度で落ち着き、薬剤が組織に馴染んで、質感も柔らかく変化していきます。この期間に慌ててマッサージをしたりしないよう注意してください。
内出血が出る場合もありますが、コンシーラーで隠せる程度のことが多く、10日前後で完全に消失します。焦らずに、お顔の細胞が新しい環境に馴染むのをゆっくりと待つ余裕を持つことが大切です。
馴染むまでの期間に必要なアフターケアのポイント
ヒアルロン酸がお顔の組織と完全に一体化するには、約2週間の時間が必要です。この期間中は、注入された薬剤が移動してしまわないよう、激しい運動やサウナなどの血行を促進しすぎる行為は控えてください。
お顔のマッサージも、定着を妨げる原因となるため厳禁です。洗顔やスキンケアの際も、指先で優しく触れる程度に留めるのが、美しい仕上がりを維持するためのルールとなります。
また、乾燥は皮膚の修復を遅らせる要因になるため、いつも以上に丁寧な保湿を心がけましょう。紫外線対策も忘れずに行い、炎症を長引かせないよう気をつけることで、定着率を高めることができます。
修正が必要だと感じた時にヒアルロニダーゼを検討するタイミング
2週間以上経っても、どうしても左右差が気になったり、しこりを感じたりする場合は、施術を受けたクリニックに相談してください。ヒアルロン酸は専用の酵素で溶かすことができるため、やり直しは可能です。
ただ、一度溶かすと元々の組織に馴染むまで少し時間をおく必要があります。「すぐに直したい」と焦る気持ちもわかりますが、冷静に次のステップを医師と話し合うことが、最終的な満足度を高めます。
修正を行う場合も、なぜ不自然に感じたのかという原因(量、層、位置)を明確にすることが重要です。このプロセスを経て、あなたにとって本当の意味で適切な注入スタイルが見えてくるはずです。
経過時間と症状の目安
| 経過時間 | よくある症状 | 推奨される行動 |
|---|---|---|
| 当日〜3日 | 軽度の腫れ・違和感 | 安静にし、患部を冷やす |
| 4日〜1週間 | 腫れが引き、馴染み始める | 保湿を徹底し、マッサージ禁止 |
| 2週間〜 | 組織に定着し、完成 | 仕上がりを最終チェックする |
失敗しないクリニック選びで後悔しないための判断基準
ヒアルロン酸注入の成功を左右するのは、薬剤のブランド力以上に、担当する医師の技術と美的センスであることは間違いありません。
安さや広告の華やかさだけで選ぶのではなく、あなたの「自然に綺麗になりたい」という繊細な希望を、正面から受け止めて形にしてくれるパートナーを慎重に見極める必要があります。
カウンセリングでリスクやデメリットを詳しく説明してくれるか
信頼できる医師は、良いことばかりを言いません。万が一の副作用や、血管閉塞といった重大なリスクについても、事前にしっかりと説明し、その対策を講じていることを示してくれます。
また、あなたの希望が「不自然になる」と判断した時に、勇気を持って反対してくれるかどうかも重要です。なんでも「はいはい」と聞き入れるだけの医師は、ヒアル顔を作る原因になりかねません。
あなたの骨格や表情の癖を丁寧に分析し、根拠に基づいたプランを提示してくれる医師であれば、安心して身を委ねることができます。カウンセリングでの「対話の質」を最も重視してください。
症例写真で不自然なパンパン顔が混ざっていないかチェック
クリニックが公開している症例写真は、その医師が「何を美しいと考えているか」という価値観の表れです。アフターの写真を見て、違和感を感じるような膨らみがないか、厳しくチェックしてください。
また、無表情の時の写真だけでなく、笑った時の写真や、斜め・横からの角度も確認することが大切です。特定の角度からだけ綺麗に見えても、日常生活での自然さは保証されません。
自分と似た年齢層や、同じような悩みを持った方の症例があるかどうかも確認しましょう。実績の多さは、それだけ多くの異なるお顔立ちに対応してきた証であり、大きな安心材料となります。
注入技術だけでなく解剖学的な知識が豊富な医師を指名する
お顔の下には無数の神経や血管が入り組んでいます。これらを避け、安全に効果的な層へと薬剤を届けるには、深い解剖学の知識が不可欠です。医師の経歴や、形成外科の専門医資格の有無も参考になります。
技術力のある医師は、針の進め方一つとっても非常にスムーズで、痛みや内出血を最小限に抑える工夫を凝らしています。こうした細かな配慮が、最終的な満足度の差となって現れます。
実際にお顔に触れて、骨の形状や筋肉の強さを診察してくれるかどうかも、腕の良い医師を見分けるポイントです。目で見るだけではわからない情報を、五感を使って収集する医師こそがプロと言えます。
クリニック選びのチェックリスト
- 無理な勧誘がなく、予算に応じた複数の選択肢を提示してくれるか
- 血管閉塞などの緊急事態に備えた、リカバリー用の薬剤が常備されているか
- あなたの質問に対して、専門用語を使わずに分かりやすく答えてくれるか
長期的に美しさを維持するために心がけたいメンテナンスの頻度
ヒアルロン酸は一度注入して終わりではなく、お肌のコンディションに合わせてメンテナンスを続けることで、その真価を発揮します。
若々しさを維持するために大切なのは、急激な変化を求めることではなく、緩やかに時間を戻し、その状態を長くキープするという「長期的な視点」を持つことです。
完全に吸収される前に継ぎ足すことが定着を促す
ヒアルロン酸は時間とともに吸収されますが、完全に元通りになる前に、少量を補充する「タッチアップ」が非常に効果的です。これにより、組織への馴染みがさらに良くなり、持続期間が延びる傾向にあります。
完全にシワが戻ってからやり直すよりも、お顔のボリュームを一定に保つことができるため、周囲からも気づかれにくく、常に「ベストな状態」で過ごすことができます。
定期的なメンテナンスは、お肌の土台そのものを強化し、加齢による下垂を予防する効果も期待できます。担当医と相談しながら、あなただけの美のサイクルを見つけていくことが理想的です。
過度な頻度での注入は組織の硬化を招く恐れがある
一方で、少しでも減るのが怖くて、数ヶ月おきに頻繁に注入を繰り返すのは避けてください。短期間に同じ部位への刺激が重なると、組織が硬くなってしまう可能性があります。
お顔の中に薬剤が溜まりすぎると、表情が動きにくくなるだけでなく、皮膚が重みに耐えきれず、さらなるたるみを引き起こすという本末転倒な結果を招くこともあるのです。
一般的には、1年から1年半に一度のペースで、全体のバランスを見直すメンテナンスを行うのが最も安全で美しい方法です。焦りは美しさの敵であることを、常に心に留めておいてください。
日々のスキンケアと生活習慣がヒアルロン酸の持ちを左右する
注入治療の効果を最大限に引き出すのは、あなた自身の「健康な肌」です。睡眠不足や偏った食事、そして喫煙は、お肌の代謝を下げ、ヒアルロン酸の分解を早める原因となります。
特に保湿ケアは重要です。お肌が乾燥していると、注入されたヒアルロン酸が水分を十分に蓄えることができず、ふっくら感が損なわれてしまいます。毎日の丁寧なケアが、医療の効果を支える土台となります。
プロの技術と、あなたの愛情深いセルフケア。この二つが重なり合うことで、不自然さのない、輝くような若々しさが完成します。治療をきっかけに、自分のお肌をもっと大切にする習慣を始めてみてください。
長期メンテナンスの推奨プラン
| 時期 | 状態の変化 | メンテナンス内容 |
|---|---|---|
| 注入後 6〜9ヶ月 | わずかな吸収を感じる | 検診を受け、変化を確認する |
| 注入後 12〜18ヶ月 | 効果の減少を実感する | 少量の補充(タッチアップ) |
| 注入後 2年以降 | 大部分が吸収される | 全体バランスを考慮し再計画 |
よくある質問
- ほうれい線へのヒアルロン酸注入を繰り返すと、将来的に皮膚が伸びて余計にたるんでしまう可能性はありますか?
-
適正量を守っている限り、ヒアルロン酸によって皮膚が伸びてたるむことは考えにくいです。むしろ、適切な注入は真皮のコラーゲン産生を刺激し、肌のハリを維持する助けになります。
しかし、過剰な量をパンパンに入れ続け、皮膚が常に限界まで引き伸ばされた状態が長年続くと、薬剤が吸収された際に風船が萎んだように皮膚が余る可能性は否定できません。
そのため、常に自然な余白を残した注入計画を立てることが、将来の美しさを守るために重要です。
- ほうれい線へのヒアルロン酸注入を行った後、笑った時に注入部位がボコッと盛り上がる不自然さを防ぐにはどうすれば良いですか?
-
この現象を防ぐためには、注入する量と薬剤の性質の選択が不可欠です。静止している時だけを見て溝を埋め尽くすと、笑った時に頬の肉が移動して重なり、盛り上がりが強調されます。
これを防ぐには、動的な表情を考慮し、あえて少しシワが残る程度に留めるか、表情の動きに柔軟にフィットする組織親和性の高い製剤を使用する必要があります。
また、ほうれい線の溝だけに打つのではなく、頬のリフトアップを併用して顔全体の組織を正しい位置に誘導することも非常に有効な対策となります。
- ほうれい線へのヒアルロン酸注入は痛みが強いと聞きますが、痛みを軽減して自然な状態で施術を受ける方法はありますか?
-
現代のヒアルロン酸製剤の多くは、あらかじめ麻酔薬が配合されており、注入時の痛みは大幅に軽減されています。
さらに、先端が丸いマイクロカニューレという特殊な管を使用することで、血管や神経を傷つけるリスクを減らし、痛みや内出血を最小限に抑えることが可能です。
痛みが強いと表情が強張り、医師が正確な注入ラインを見極めにくくなるため、事前の処置をしっかり行ってくれるクリニックを選ぶことが、結果として仕上がりの自然さにも繋がります。
- ほうれい線へのヒアルロン酸注入をすると、時間が経つにつれて薬剤が移動して顔が不自然になることはありますか?
-
適切な注入層に正しい硬さのヒアルロン酸を選択していれば、重力で劇的に移動したり、別の場所に流れたりすることはほとんどありません。
ただし、皮膚の非常に浅い層に柔らかすぎる製剤を大量に入れた場合や、注入直後に強くマッサージをした場合は、周囲に広がって不自然な膨らみを作ることがあります。
解剖学に基づいた骨膜上などの深い層への注入であれば、組織によってしっかりと保持されるため、移動の心配は極めて低いです。
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