中顔面リフトとは?手術の効果・対象者・ダウンタイムを解説

年齢とともに目の下のたるみやほうれい線が深くなり、鏡を見るたびにため息が出る方は少なくないでしょう。中顔面リフト(ミッドフェイスリフト)は、頬の脂肪組織を本来の位置へ引き上げることで、目の下から頬にかけてのエリアを若々しく整える外科手術です。

フェイスリフトとは異なり、顔の中央部分に焦点を当てるため、目の下のクマやゴルゴラインの改善にも効果が期待できます。この記事では、手術の仕組みから具体的な効果、どんな方が対象になるのか、そして術後のダウンタイムまで、20年以上の臨床経験をもとにわかりやすく解説いたします。

「自分に合った治療なのかわからない」「ダウンタイムが心配」という不安を少しでも和らげるお手伝いができれば幸いです。

目次

中顔面リフト(ミッドフェイスリフト)は頬のたるみを根本から改善する手術

中顔面リフトとは、目の下から頬にかけて下垂した脂肪や筋膜を持ち上げ、若々しい顔立ちを取り戻す外科的な施術です。英語では「ミッドフェイスリフト」と呼ばれ、顔の中央3分の1にあたるエリアを集中的にケアします。

そもそも中顔面とはどこを指すのか

中顔面とは、目の下の縁(眼窩下縁)から上口唇にかけての範囲を指します。具体的には、頬骨の突出部分やほうれい線周辺、そして目の下のくぼみを含むゾーンです。

このエリアには「頬骨脂肪体(マラーファットパッド)」と呼ばれる脂肪の塊が存在し、加齢とともに重力の影響で下方へずれていきます。脂肪が下がることで目の下にくぼみが生じ、頬の高い位置にあったボリュームが失われるのです。

なぜ通常のフェイスリフトでは中顔面を十分に改善しにくいのか

一般的なフェイスリフト(リティデクトミー)は、耳の前後から切開し、主にフェイスラインやあごのたるみを引き上げる手術です。牽引する方向が横方向になりやすく、頬の中央部分まで十分にリフトアップすることが難しいとされてきました。

一方、中顔面リフトは頬の脂肪や筋膜を斜め上方向あるいは垂直方向に引き上げるため、頬の高さを回復しながら自然な仕上がりを目指せます。こうした違いから、目の下のクマやたるみを改善したい方にとっては、中顔面リフトのほうが理にかなった選択肢となるケースがあるのです。

フェイスリフトと中顔面リフトの比較

項目フェイスリフト中顔面リフト
対象エリアフェイスライン・あご・首目の下・頬・ほうれい線
牽引方向主に横方向斜め上方向または垂直方向
目の下への効果限定的高い改善効果
手術時間の目安3〜5時間1〜3時間

中顔面リフトが目の下のクマ改善に有効な理由

加齢によって頬の脂肪体が下方へ移動すると、目の下には「涙袋の下のくぼみ(ティアトラフ)」が目立つようになります。中顔面リフトはこの脂肪体を元の高い位置に戻すことで、くぼみを埋めて滑らかな曲線をつくり出します。

目の下の脱脂手術だけでは改善が難しい「ゴルゴライン」と呼ばれる斜めの溝にも対応でき、頬全体のボリュームバランスが整うことで、クマが目立ちにくくなるという効果も期待できるでしょう。

中顔面リフトの手術方法にはどんな種類がある?

中顔面リフトにはいくつかのアプローチがあり、患者さんの状態や医師の経験によって使い分けられます。大きく分けると、切開を最小限にする内視鏡(エンドスコープ)を用いた方法と、まぶたの下の切開線から行う経眼瞼法、そしてこめかみから行う経側頭法の3つが代表的です。

内視鏡を使った骨膜下ミッドフェイスリフト

こめかみの生え際に小さな切開を入れ、内視鏡のカメラで中顔面の内部を確認しながら手術を行う方法です。骨膜の下で頬の軟部組織を広範囲にはがし、上外方向へ引き上げて固定します。

傷が小さく目立ちにくいのが特長で、研究では15年経過しても改善が持続した例が報告されています。ただし、骨膜下の剥離には高い技術が求められるため、経験豊富な術者が行うことが大切です。

経眼瞼法(まぶたの下からのアプローチ)

下まぶたのすぐ下を切開し、そこから頬の脂肪や筋膜にアクセスする方法です。下眼瞼形成術(下まぶたのたるみ取り)と同時に行えるため、目の下のクマ取りと中顔面リフトを一度の手術で済ませられるメリットがあります。

切開線がまつげの生え際に沿うため傷が目立ちにくく、術後の回復も比較的穏やかです。軽度から中等度の頬のたるみに適した術式といえるでしょう。

経側頭法(こめかみからのアプローチ)

こめかみの毛髪内に切開を入れ、側頭部からアクセスして頬全体を引き上げる方法です。眉毛のリフトアップを同時に行いたい場合に選ばれることが多く、上顔面と中顔面をバランスよく整えられます。

牽引のベクトルが斜め上方向になるため、頬骨付近のボリューム感をしっかりと復元できるのが強みです。加えて、内視鏡と組み合わせることで、より広い範囲の剥離と確実な固定を実現します。

中顔面リフトの主な術式と特徴

術式切開の場所向いている症例
内視鏡下骨膜下法こめかみ・口腔内中等度〜重度のたるみ
経眼瞼法下まぶたの下軽度〜中等度のたるみ
経側頭法こめかみ毛髪内上顔面も同時に改善したい方

中顔面リフトで得られる効果はこんなに多い

中顔面リフトの効果は、単に「頬が上がる」だけにとどまりません。顔全体の印象を若々しく変えるさまざまな変化が期待できます。

頬のボリュームが復活し、ほうれい線も浅くなる

下垂した頬骨脂肪体を引き上げることで、頬の高い位置にふっくらとしたボリュームが戻ります。頬の高さが回復すると、それに伴いほうれい線の溝が浅くなることが多くの研究で示されています。

ヒアルロン酸注入のように外から物質を足すのではなく、もともと自分が持っている組織を再配置するため、触り心地も自然で持続性に優れている点が大きな利点です。

目の下のたるみやくぼみが滑らかになる

目の下の凹みやゴルゴラインは、頬の軟部組織が下がったことで生じる「段差」にほかなりません。中顔面リフトで組織を上方に再配置すると、目の下と頬の境界がなめらかにつながり、若々しい輪郭線が復元されます。

  • ティアトラフ(涙袋の下のくぼみ)の改善
  • ゴルゴライン(目頭から頬にかけての斜めの溝)の軽減
  • 目の下の影クマやたるみクマの目立ちにくさ
  • 頬と下まぶたの境界が滑らかな曲線へ移行

フェイスラインの軽い引き締め効果も見込める

中顔面リフトのメインターゲットは頬周辺ですが、軟部組織全体が持ち上がることで、軽度のジョウル(口角横のたるみ)にも改善が見られることがあります。ただし、フェイスラインのたるみが中程度以上の場合は、フェイスリフトとの併用を検討する場合もあるでしょう。

中顔面リフトの効果は一時的なものではなく、5年から10年以上にわたって持続するという報告もあり、長期的な満足度が高い手術のひとつといえます。

中顔面リフトを受けたほうがよい対象者とは

中顔面リフトはすべての方に適しているわけではありません。効果を実感しやすい方と、別のアプローチが向いている方がいます。

40代〜60代で頬のたるみが気になり始めた方

加齢に伴う頬骨脂肪体の下垂は、40代ごろから顕著になります。目の下のくぼみが深くなり、「疲れて見える」「老けた印象になった」と感じ始めた時期が、中顔面リフトの効果をもっとも実感しやすいタイミングかもしれません。

30代後半でもたるみの進行が早い方は候補になりますし、60代以降であっても健康状態が良好であれば手術を受けられるケースは珍しくありません。

脱脂手術やヒアルロン酸注入だけでは満足できなかった方

目の下の脱脂手術を受けたものの、頬のボリューム低下やゴルゴラインの改善には至らなかったという方には、中顔面リフトが有力な選択肢になります。脱脂は余分な脂肪を取り除く手術ですが、組織の位置を変えるわけではないため、たるみの根本的な原因にはアプローチしにくいのです。

ヒアルロン酸注入で一時的に改善しても、半年から1年で効果が薄れてしまうことに不満を感じている方にとっても、持続性の高い中顔面リフトは魅力的でしょう。

中顔面リフトが難しいケースもある

出血傾向のある方や抗凝固薬を中止できない方は、術後の血腫リスクが高まるため慎重な判断が必要です。糖尿病のコントロールが不十分な方、喫煙習慣が長期にわたる方、免疫機能に問題がある方なども、傷の治りが遅くなる可能性があるため、事前に担当医との十分な相談が求められます。

全身麻酔に対するリスクが高い方は、手術前に内科的な評価を受けたうえで、安全に施術が行えるか判断してもらうことが大切です。

中顔面リフトの適応・非適応の目安

区分内容
適応となりやすい方頬のたるみが中等度以上、目の下のくぼみやゴルゴラインが目立つ、過去の注入治療で満足できなかった方
慎重な判断が必要な方出血傾向、コントロール不良の糖尿病、長期喫煙者、免疫抑制状態にある方
別のアプローチが適する方たるみが軽度でヒアルロン酸注入で十分な方、フェイスライン中心の改善を求める方

中顔面リフトのダウンタイムは実際どのくらいかかるのか

中顔面リフトのダウンタイムは術式や個人差によって幅がありますが、おおよそ2〜4週間で日常生活に復帰できるケースが多いです。術後の経過を時系列で把握しておくと、不安を軽減できるでしょう。

術直後から1週間の経過

手術直後は頬や目の周りに腫れや内出血が出ることがほとんどです。痛みについては鎮痛薬で管理できる範囲であり、多くの方が「想像していたよりも楽だった」とおっしゃいます。

術後3日間は腫れのピークにあたるため、冷却や頭を高くして休むことが回復を早めるポイントになります。1週間ほどで抜糸を行い、腫れは少しずつ引いていきます。

2週間から1か月にかけての回復

術後2週間が経過すると、腫れや内出血の大部分が消えていきます。メイクで十分にカバーできる状態まで回復する方が多く、社会復帰の目安となる時期です。

ダウンタイムの経過目安

時期状態生活への影響
術後1〜3日腫れ・内出血のピーク安静が望ましい
1週間抜糸、腫れが徐々に軽減軽い家事は可能
2〜3週間内出血がほぼ消失デスクワーク復帰の目安
1〜3か月むくみが解消し最終的な仕上がりへ運動も徐々に再開可能

最終的な仕上がりが完成するまでの期間

手術の効果が完全に落ち着くのは、3か月から6か月後です。術後しばらくは軟部組織のむくみが残り、頬がやや硬く感じることもありますが、時間の経過とともに自然な柔らかさが戻ってきます。

焦らずに経過を見守り、定期的に担当医の診察を受けることが、満足のいく結果を得るための近道です。術後の仕上がりに不安がある場合は遠慮なく相談してください。

中顔面リフト手術のリスクと合併症から目をそらさない

どんな外科手術にもリスクは存在します。中顔面リフトも例外ではなく、術前にリスクを正しく把握しておくことで、万が一の事態にも冷静に対処できます。

術後に起こりうる一時的なトラブル

腫れや内出血は手術の副産物であり、ほぼすべての患者さんに生じます。通常は2〜3週間で自然に改善するため、過度に心配する必要はありません。

まれに知覚神経の一時的な障害が起こり、頬や上唇のしびれを感じることがあります。多くの場合は数週間から数か月で回復しますが、症状が長引くときは担当医に相談してください。

まれに報告される重い合併症

発生頻度は低いものの、下まぶたの外反(エクトロピオン)や下垂(リトラクション)が起こる可能性があります。頬の組織を強く引き上げすぎると、下まぶたが引っ張られて白目が露出する状態になるため、医師は適切なテンションの調整を慎重に行います。

そのほか、感染症や血腫が生じるリスクもゼロではありません。術前の健康管理や術後のケアを徹底することで、合併症のリスクを低くすることが可能です。

リスクを減らすために患者さんにできること

喫煙は傷の治りを著しく遅らせるため、手術の前後少なくとも4週間は禁煙が求められます。血液をサラサラにする薬やサプリメント(ビタミンEや魚油など)も、術前に担当医の指示に従い中止する必要があるでしょう。

術後の安静と指示どおりのケアを守ることが、合併症を防ぐうえでもっとも効果的な方法です。回復期間中の無理は禁物で、焦らずゆっくりと日常生活に戻っていきましょう。

  • 術前4週間以上の禁煙
  • 抗凝固薬やサプリメントの中止(医師の指示に従う)
  • 術後は頭を高くして安静にする
  • 定期的な経過観察の受診を欠かさない

中顔面リフトの手術前に知っておきたい準備と注意点

手術を成功に導くためには、事前の準備が結果を大きく左右します。カウンセリングの活用法から術前検査まで、押さえておきたいポイントをまとめました。

カウンセリングでは遠慮なく希望と不安を伝える

医師とのカウンセリングは、手術の成否を左右するもっとも大切な場面です。「どの部分が気になるのか」「どんな仕上がりを期待しているのか」を具体的に伝えることで、医師は適切な術式を提案しやすくなります。

不安に思っていることや過去の治療歴も正直に話してください。アレルギーや持病がある場合は、安全な手術計画を立てるために必要な情報となります。

  • 気になる部分を鏡や写真で具体的に伝える
  • 過去の美容治療歴や既往症を漏れなく申告する
  • 仕上がりのイメージを担当医と共有する
  • ダウンタイム中のスケジュールも事前に確認する

術前検査と健康状態の確認

全身麻酔や局所麻酔で行う手術であるため、血液検査や心電図検査などの術前検査が必要です。検査結果に異常がなければ手術日を決定し、具体的な準備に進みます。

高血圧や糖尿病などの持病がある方は、内科主治医との連携が欠かせません。手術当日に体調が万全であることが、安全で満足度の高い手術の前提条件です。

手術当日のスケジュールと持ち物

手術当日は、指定された時刻までに食事を済ませる必要があります(全身麻酔の場合は絶食の指示に従ってください)。ゆったりとした前開きの服装で来院し、コンタクトレンズやアクセサリーは外しておきましょう。

術後は自分で運転ができないため、付き添いの方に迎えに来てもらうか、タクシーを手配しておくと安心です。帰宅後はすぐに安静にできるよう、枕やアイスパックを準備しておくのもおすすめです。

よくある質問

中顔面リフトの手術時間はどのくらいですか?

中顔面リフト単独の場合、手術時間はおおよそ1時間半から3時間程度です。眉毛リフトや下まぶたの手術を同時に行う場合はこれより長くなることがあります。

使用する麻酔の種類(全身麻酔または局所麻酔+鎮静)によっても所要時間は変わりますので、カウンセリング時に担当医へ確認されることをおすすめします。

中顔面リフトの効果はどのくらい持続しますか?

中顔面リフトの効果は、個人差はあるものの5年から10年以上持続するとされています。研究によっては15年経過後も有意な改善が維持されていたと報告されています。

ただし、手術によって加齢そのものが止まるわけではありません。時間の経過とともに緩やかな変化は起こりますが、手術を受けていない場合と比べれば、はるかに若々しい状態を保てるでしょう。

中顔面リフトと目の下の脱脂手術は同時にできますか?

同時に行うことは可能であり、むしろ組み合わせることで相乗効果を得られるケースが多いです。脱脂手術で余分な眼窩脂肪を処理しながら、中顔面リフトで頬の位置を整えると、目の下から頬にかけてのラインが非常に滑らかに仕上がります。

同時施術の場合はダウンタイムが若干長引く可能性がありますが、2回に分けて手術するよりも身体への負担やトータルの回復期間は少なくて済むことが多いでしょう。

中顔面リフトの傷跡は目立ちますか?

切開の位置はこめかみの毛髪内や下まぶたのまつげの際など、目立ちにくい部位に設けられます。内視鏡を用いた術式であれば切開は数センチ程度と小さく、術後数か月で傷跡はほとんどわからなくなります。

ケロイド体質の方や傷の治りに不安がある方は、事前に担当医にご相談ください。適切な術式選択とアフターケアにより、傷跡を目立たなくすることが十分に可能です。

中顔面リフトは男性でも受けられますか?

男性でも中顔面リフトを受けることは可能です。近年は男性の美容意識の高まりとともに、中顔面リフトを検討される男性の患者さんも増えています。

男性の場合は、女性とは異なる骨格やたるみのパターンに合わせて、牽引の方向や強さを調整する必要があります。男性らしい顔立ちを維持しながら若々しさを取り戻せるよう、経験豊富な医師のもとで相談されることが望ましいでしょう。

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この症例の担当医・監修医

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 ポノクリニック東京 院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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