裏ハムラ(経結膜)|脱脂との違い・適応・ダウンタイムを構造で解説|ポノクリニック東京
裏ハムラ(経結膜)|“脱脂では整いにくい段差”を切らずに整える治療|ポノクリニック東京
脱脂との違い・適応・ダウンタイムを、院長 芝 が構造で解説します
裏ハムラは、皮膚を切らずに(経結膜アプローチ)、
目の下の浅層で起きている段差(境界×眼窩脂肪の前後差)を
なだらかに整える治療です。
目の下の膨らみは、脂肪が「多い」からではなく、
境界で動きが止まり“前に出て見える”位置の問題として目立つことがあります。
このタイプでは、脱脂(脂肪を減らす治療)だけでは
段差が残ったように見えたり、影が目立ちやすく感じたりすることがあるため、
私は「量」よりも位置と段差を評価して治療を選びます。
このページでは、
・脱脂だけでは整いにくい構造
・裏ハムラが向くサイン/向かないサイン
・ダウンタイムと注意点
を、できるだけ分かりやすく整理します。
このページの要点は、次の3点です。
- 裏ハムラは「脂肪の量」ではなく「段差と位置」を整える治療
- 脱脂で治りにくいクマには、浅層の構造的理由がある
- どの治療が良いかは、「原因の層」で決まります
裏ハムラで整える“段差”とは
裏ハムラは、まぶたの裏側からアプローチし、
浅層の段差(境界の凹みと眼窩脂肪の前後差)を整えて、
影が生まれにくい形へ戻す治療です。
私は、目の下の印象は「脂肪の量」よりも、
段差がどこで生まれているかで大きく変わると考えています。
そのため、診察では「膨らみの大きさ」より先に、
境界と脂肪の前後関係を確認します。
なぜ脱脂だけでは治らないクマがあるのか?
── “脂肪の量”ではなく、“段差の構造”で理解する
脱脂で整いにくいタイプでは、浅層で次の3つが重なっていることが多いからです。

① 境界(動きにくい凹み)が影の起点になる
目の下には、靱帯や結合組織が骨に強く付着する「動きにくい境界」があり、ここに光が落ちることでクマの“線”が生まれます。

② 眼窩脂肪が、境界で“止まって前に出て見える”
眼窩脂肪は加齢でわずかに下方向へ力を受けますが、境界の付着が強い場合は動きが制限され、境界付近で前に押し出されたように見えることがあります。
これは脂肪が「増えた」のではなく、位置(前後関係)の問題です。

③ 凹み+膨らみの“前後差”が、影を強くする
境界の凹みと、直上の膨らみが並ぶと段差が強調され、影と膨らみがセットで目立つ「段差のクマ」になります。
つまり、脱脂だけで整いにくいのは、脂肪の量ではなく、
・境界(影の起点)
・境界で生じる“せき止め”
・凹みと膨らみの前後差(段差)
が同時に存在することが多いためです。
裏ハムラで私が目指すこと
── “脂肪を取る治療”ではなく、“位置と段差”を整える治療
裏ハムラは、脂肪を“取る”治療ではなく、浅層の段差(前後差)を整える治療です。
私は、必要以上に脂肪を減らすよりも、自然な前後関係を再構築することを優先します。
- 皮膚を切らない(経結膜)
- 表に傷跡が残らない
- 皮膚切開に比べて外反リスクを抑えやすい
- 「量」ではなく「位置と段差」を整える
- やりすぎない自然さを狙う(気づかれにくい変化)
目の下は「皮膚が余りにくい」構造です
── だから私は、まず内部構造を整えることを重視します
目の下は、解剖学的に“皮膚が余りにくい”条件が重なっています。
- 皮膚が薄い
- 皮下脂肪が少ない
- すぐ下に眼輪筋がある
- 境界となる靱帯付着が強い
そのため、鏡で「余っている」と感じても、実際には
弾力低下や内部の段差が原因で“余って見えているだけ”のことが少なくありません。
これは、眼形成外科領域の解剖学的研究や、
下眼瞼手術の臨床報告でも繰り返し示されている考え方です。
私は、まず内部構造(浅い層)を整え、
それでも本当に必要な場合にのみ、次の選択肢を検討します。
(この順番が、自然で負担の少ない結果につながると考えています。)
裏ハムラで行うこと(考え方の整理)
裏ハムラで行うことは、考え方としてはシンプルです。
1) 脂肪の“量”ではなく、前後の位置を整える
膨らみの多くは「多い」よりも「前に出て見える位置」の問題です。
私は必要最小限の調整で、自然な前後関係をつくります。
2) 境界との段差をなだらかにする
影の起点となる境界(凹み)と、そのすぐ上の膨らみの段差を整え、
影が生まれにくい形へ戻します。
3) 形が安定するための“支持条件”を整える
必要に応じて、浅層の支持が自然に働くように微調整を行います。
(詳細を知りたい方へ:下に専門的な補足を用意しています)
【専門的に知りたい方へ】
裏ハムラで行う「支持条件の調整」
── 段差を“戻りにくい形”で整えるための構造的考え方
【専門的に知りたい方へ】
裏ハムラにおける「ORL解除・隔膜(CPF)再配置・支持条件の再構築」
裏ハムラで行う「支持条件の調整」とは、
単一の手技を指す言葉ではありません。
ティアトラフ周囲で影や段差を生んでいる
複数の“固定条件”を解除し、
脂肪と支持構造を本来あるべき位置関係に戻す一連の構造操作を指しています。
■ ティアトラフにおける ORL(眼輪筋支持靱帯)の解除
── とくに内側の強固な付着をどう扱うか
ティアトラフ部、特に内側では、
ORL(orbicularis retaining ligament)が骨に強く付着しており、
・影の起点
・段差が戻りやすい原因
となっていることが少なくありません。
当院の裏ハムラでは、
この内側で強固な ORL の付着を不十分なまま残すことはせず、
- ティアトラフ部の ORL
- 特に内側で動きを制限している付着部
を、必要十分な範囲で丁寧に解除します。
これは、
脂肪を動かすためではなく、
脂肪が自然に連続できる「前提条件」を整える操作です。
■ ORLの「下」に眼窩脂肪を再配置・固定するという考え方
ORLを解除したあとに重要なのは、
その“上”で形を作ることではありません。
解除した ORL の「下」に、
眼窩脂肪を自然な位置関係で再配置・固定することが本質です。
これにより、
・境界の凹みが直接皮膚表面に影として現れるのを防ぐ
・凹みと膨らみの前後差を、構造的になだらかにする
という効果が得られます。
一般に「眼輪筋オーバーラップ」と呼ばれる操作は、
本来この
ORL解除+脂肪再配置
という構造操作を指しているべきものです。
■ 隔膜タイトニング=セプタルリセット
── CPF(capsulopalpebral fascia)前葉の再配置という整理
裏ハムラにおいてもう一つ重要なのが、
眼窩脂肪を包む隔膜構造の扱いです。
隔膜タイトニング
セプタルリセット
と呼ばれる操作は、
実際には
CPF(capsulopalpebral fascia)前葉を含む隔膜構造を、
過度な緊張や前方圧がかからない位置へ再配置する操作
として整理できます。
これは、
・眼窩脂肪が前に押し出されて見える
・時間とともに段差が戻りやすい
といった状態を、
構造的に安定させるための工程です。
■ CPF前葉再配置の解剖学的背景(論文的整理)
CPF は、
下眼瞼の運動と眼窩脂肪の位置関係に深く関与する構造であり、
- CPF前葉が隔膜・眼窩脂肪と連続していること
- その張力や位置が、脂肪の前方突出や段差形成に影響すること
は、これまでの解剖学的研究でも示されています。
Mendelson らによる periorbital anatomy の研究や、
Rohrich、Cotofana らの報告では、
下眼瞼の形態変化は、
脂肪そのものよりも
脂肪を支持・制御する筋膜・隔膜構造の位置関係によって生じる
ことが繰り返し示されています。
そのため、
CPF前葉を含む隔膜構造を
過度に引き締めるのではなく、
自然な位置関係へ再配置する
という考え方は、解剖学的にも合理的です。
■ 当院の裏ハムラでは「局所完結」を避けます
── 頬脂肪との連続性を前提にした再構築
当院の裏ハムラでは、
眼窩脂肪や隔膜構造を局所的に留めることはしません。
- ORLを解除し
- 眼窩脂肪を再配置し
- CPF前葉を含む隔膜構造の緊張を整え
そのうえで、
頬の脂肪との連続性を保った位置関係を意識して固定します。
これにより、
・ティアトラフだけが不自然にフラットになる
・目の下だけが局所的に整った印象になる
といった状態を避け、
目の下から頬にかけて自然につながる立体をつくります。
■ これらはすべて「標準術式に含まれる考え方」です
ORLの解除
眼窩脂肪の再配置
隔膜(CPF前葉)の再配置
頬脂肪との連続性の確保
これらは、
・特別な追加手技
・オプションとして選ぶ操作
・効果を誇張するための工程
ではありません。
構造を正しく見れば、
必要に応じて行うのが当然の操作であり、
当院では裏ハムラの標準的な設計の中に含まれています。
裏ハムラは、
脂肪を取るか、足すか、という治療ではありません。
どこが固定され、
どこを解除し、
脂肪と隔膜をどう連続させるか。
その支持条件を正しく整えることで、
段差と影は
“戻りにくい形”として自然に落ち着いていきます。
これが、
当院が行っている裏ハムラの構造的な考え方です。
PONO式裏ハムラ
── 浅層から中間層まで“連続して”整える橋渡し
※ 裏ハムラを「浅層」、裏ミッドを「深層」とすると、PONO式裏ハムラはその中間層を扱う位置づけです。
PONO式裏ハムラは、裏ハムラ(浅層の段差)に加えて、骨膜上の中間層(浅い重心)までを“連続した構造”として整える設計です。
一般的には、骨膜上ミッドフェイスリフト/SOOFリフトと呼ばれる層を扱う考え方に近い位置づけです。
- 影が境界だけでなく、やや広く見える
- 段差に加えて、中間層の浅い重心がわずかに下がっている
- 裏ハムラだけでは説明しきれない「疲れ感」がある
※深層ユニット+支持構造(骨膜下アプローチで重心再配置が成立する領域)を扱う裏ミッドフェイスリフトとは、扱う層が異なります。
裏ハムラが向いているタイプ/向かないタイプ
── 原因の層で整理します
裏ハムラが向いているサイン(浅層が主因)
- 影が境界に沿ってはっきり見える
- 膨らみが「量」より位置(前に出る)で目立つ
- 頬の立体は比較的保たれている
- 脱脂で効果が乏しい/むしろ影が気になった経験がある
別の層が主因かもしれないサイン
- 影が線ではなく“面”として広がる
- 頬が平坦・下向きに見え、疲れ感が強い
- 中間層(骨膜上)の影響が強い → PONO式裏ハムラ
- 深層ユニット+支持構造の影響が強い → 裏ミッドフェイスリフト
裏ミッドフェイスリフトとの違い
── 優劣ではなく、“扱う層”の違いです
裏ハムラ:浅層の段差(境界×眼窩脂肪の前後差)
PONO式裏ハムラ:浅層+中間層(骨膜上の浅い重心)
裏ミッドフェイスリフト:深層ユニット+支持構造(骨膜下アプローチが必要な領域)
優劣ではなく、原因の層がどこかで選択が変わります。
私は診察で主因の層を評価し、必要な層にだけ最小限にアプローチします。
ダウンタイム・経過(目安)
裏ハムラ/PONO式裏ハムラはいずれも経結膜アプローチで、回復は比較的スムーズです。
- 腫れ:数日〜1週間程度
- 内出血:出る方もいます(多くはメイクでカバー可能な範囲)
- 痛み:強くないことがほとんど
- メイク:数日後〜
- 完成:数ヶ月かけて内部が落ち着き、影や膨らみが自然にやわらぎます
※経過には個人差があります。診察時に、ご希望の方にはより詳しくご説明します。
リスク・注意点
私はメリットだけでなく、リスクや限界も正直にお伝えしています。
- 腫れ・内出血
- 一時的な違和感
- 左右差
- 仕上がりの個人差
不安が残る状態で治療を急ぐ必要はありません。
まずは構造を一緒に確認し、判断材料を整理しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 裏ハムラと「クマ取り(経結膜脱脂)」はどう違いますか?
A. 私は、脱脂は脂肪の「量」を減らす治療、裏ハムラは脂肪の「位置と段差」を整える治療として整理しています。
膨らみの主因が「量」ではなく「位置」の場合、脂肪を減らしすぎると凹みが目立ったり、疲れた印象に見えたりすることがあります。
裏ハムラでは、脂肪を必要最小限に保ちつつ、前後関係と段差をなだらかに整えることを重視します。
Q. 皮膚が余っているように見えます。切除が必要ですか?
A. 目の下の皮膚は解剖学的に“余りにくい”部位です。
「余っている」ように見えても、実際には弾力低下や内部の段差が原因のことが少なくありません。
私は、まず切らずに内部から整え、それでも本当に必要な場合にのみ次の選択肢を検討します。
Q. PONO式裏ハムラと裏ミッドフェイスリフトの違いは?
A. 扱う層が異なります。
PONO式裏ハムラ:中間層(骨膜上)
裏ミッドフェイスリフト:深層(骨膜下)
どちらが優れているという話ではなく、クマや疲れた印象がどの層から生まれているかで適応が変わります。
Q. 何歳でも裏ハムラは受けられますか?
A. 私は、年齢ではなく「どの層が主因か」という構造評価で判断します。
浅層が主因であれば年齢にかかわらず適応になることがありますし、深層の変化が主体なら別の治療が必要になることもあります。
診察では、どの層が主因かを丁寧に評価します。
カウンセリングのご案内
── 治療を前提とせず、「構造を知る」ための時間です
カウンセリングは契約の場ではありません。
まずは目の下と中顔面の構造を一緒に確認し、
- 今の状態で治療が必要かどうか
- どの層に原因がありそうか
- 浅層だけで足りるのか、中間層・深層まで考えるべきか
を整理します。
「今はまだ治療をせずに様子を見る」という結論になることもあります。
迷っている段階でも、どうぞ安心してご相談ください。
※診察の結果、治療をおすすめしない判断になることもあります。
監修医師:芝 容平(ポノクリニック東京)
