眼窩脂肪を取りすぎると目が窪む?眼球を守る「クッション」としての重要な役割

目の下のクマを解消するために「眼窩脂肪」を取り除く手術を検討している方へ。この組織は、眼球を衝撃から守り、位置を固定する大切なクッションの役割を担っています。

脂肪を過剰に取りすぎると、将来的に目が窪んだり、老け顔を助長したりするリスクが伴います。解剖学的な重要性を無視した切除は、見た目だけでなく目元の健康にも影響を及ぼします。

本記事では、クマ取り手術の前に知っておくべき知識を徹底解説します。失敗を避けるための正しい判断基準と、組織の役割を尊重した治療のあり方を学んでいきましょう。

目次

眼窩脂肪の基本的な役割と構造

眼窩脂肪は眼球を包み込むように存在し、外部からの衝撃を吸収するクッションとして機能します。それと同時に、眼球が眼窩内の正しい位置に留まるよう支える大切な組織です。

私たちの視覚機能を物理的な側面から維持するために必要不可欠な存在です。単なる余分な組織ではなく、眼球の安定走行に寄与するサスペンションのような働きをしています。

眼球を支える物理的なサポート機能

人間の眼球は、頭蓋骨にある「眼窩」という空洞の中に収まっています。しかし、骨と眼球が直接触れ合っているわけではありません。眼窩脂肪がその隙間を埋めることで、眼球は浮いたような状態で保持されています。

この構造があるおかげで、私たちは目をスムーズに動かすことができます。また急激な動作によって眼球が骨に衝突する事態を防いでいます。

脂肪の配置は上下左右のバランスが保たれており、非常に精密な設計です。特に下側の脂肪は、重力に対抗して眼球を持ち上げる役割を担っています。

このサポート機能が低下すると、眼球の位置が微妙に変化してしまいます。その結果、見た目の印象だけでなく眼精疲労の原因になる可能性も否定できません。

眼窩内の組織構成

組織名主な役割特徴
眼窩脂肪衝撃吸収・支持柔らかく流動性がある
眼窩隔膜脂肪の封じ込め薄い膜状の組織
ロックウッド靭帯眼球の吊り下げハンモック状の構造

衝撃からデリケートな器官を守る緩衝材

顔面に強い衝撃を受けた際、眼窩脂肪がそのエネルギーを分散・吸収します。スポーツ中の事故や不意の衝突から、大切な視覚器官を守るためにこの脂肪層は働きます。

もしこの脂肪が存在しなければ、わずかな衝撃でも危険です。特に視神経や血管といった極めて繊細な器官が損傷するリスクを抑えています。

目の下の脂肪は、前方だけでなく下方からの圧力に対しても高い弾力性を発揮します。この弾力性こそが、私たちが日常生活を安心して送るための基盤です。

クマ取り手術でこの防御機能を過剰に削り取る行為は慎重になるべきです。一度失われた防波堤は、外部からのダメージを直接的に受ける隙を作ります。

美容面だけでなく、生体保護の観点から脂肪の価値を再認識しましょう。

温度変化や乾燥から眼窩内を保護する仕組み

眼窩脂肪は断熱材としての機能も備えており、温度を一定に保ちます。眼球周辺の環境を安定させることで、涙液の分泌バランスを整える手助けをしています。

脂肪層が薄くなりすぎると、周囲の温度変化が直接伝わりやすくなります。その結果として、ドライアイの悪化や血行不良を招くリスクが浮上します。

また、眼窩内の容積を適切に保つことで、組織の乾燥を物理的に防いでいます。適度な厚みがあるからこそ、粘膜や筋肉はしなやかさを保てるのです。

美容面でのメリットばかりが強調されがちですが、生理学的な保護は重要です。眼窩脂肪を適切に残すことは、将来的な目の健康寿命を守ることに繋がります。この目に見えない恩恵を理解した上で、手術の方針を立てることが大切です。

なぜ目の下のクマ取りで脂肪を取りすぎるリスクがあるのか

クマ取り手術では膨らみの原因を除去しますが、削りすぎてしまう事態が発生します。「平らな目元にしたい」という強い要望に応えようとするあまり、将来が軽視されるためです。

組織のバランスを崩すと、数年後に取り返しのつかない変化を招きます。

加齢による眼輪筋の衰えと脂肪の突出

目の下の膨らみは脂肪が増えたのではなく、支える膜や筋肉が緩んだ結果です。奥にあった脂肪が前方に押し出されることで、いわゆる「目袋」が形成されます。この突出した部分だけを狙って切除するのが理想的なアプローチです。

しかし実際には、その境界線は非常に曖昧で判断が難しいものです。奥にある必要な脂肪まで一緒に引き出してしまうミスは珍しくありません。

加齢によって組織全体が脆くなっている場合、このリスクはさらに高まります。少しの操作で予想以上に多くの脂肪が漏れ出してくることがあるためです。

術者がその流出を制御できなければ、結果として取りすぎの状態を招きます。原因は脂肪の量よりも支える側の筋力低下にあることを忘れてはなりません。

突出の原因と対策の整理

要因状態の変化適切なアプローチ
眼窩隔膜の弛緩脂肪のせり出し適度な脂肪の減量
眼輪筋の低下皮膚のたるみ増強筋肉の引き締めや補強
頬骨の平坦化段差の強調脂肪移動や注入の併用

個人の骨格差を無視した一律の切除判断

眼窩の深さや頬骨の高さ、眼球の突出度合いは一人ひとり異なります。眼窩が深いタイプの方は、もともと脂肪のサポートが必要な構造をしています。

標準的な量を除去しただけでも、窪みが顕著に現れる傾向があります。教科書的な適量が、その個人にとっても正しい量であるとは限りません。

特に東洋人の骨格は中顔面が平坦な場合が多く、窪みが目立ちやすいです。鼻筋横の深い溝が生じやすい特徴もあり、立体的な把握が求められます。

患者様の顔立ちを考慮せず、ただ膨らみをなくす目的だけで手術を行うのは危険です。平面的な視点での処置が、取りすぎのリスクを大幅に増幅させています。個別の骨格に合わせたオーダーメイドな判断こそが、失敗を防ぐ鍵となります。

術者の経験不足による解剖学的理解の欠如

目の周りの解剖学は非常に複雑で、高度な専門知識を必要とします。眼窩脂肪は内側、中央、外側の3つのコンパートメントに分かれています。それぞれの脂肪の役割や結合の強さは異なり、繊細な操作が欠かせません。

これらを一つの塊として大雑把に切除すると、一部だけが極端に窪みます。あるいは一部が残ってしまい、不自然な凹凸ができるトラブルも発生します。

熟練した医師は、脂肪を引き出す際の抵抗感で取り具合を調整します。患者様の視線を動かした時の挙動を観察しながら、ミリ単位で処置を行います。

しかし、短時間で多くの手術をこなす体制では、こうした調整が疎かになりがちです。安全マージンを無視した過剰除去が行われる懸念は、常に存在します。

眼窩脂肪を取りすぎた際に現れる具体的な症状と見た目の変化

過剰に脂肪を失った目元は、手術直後こそスッキリして見えるものです。しかし時間の経過とともに健康的な美しさを失い、不自然な影を落とします。一度失った脂肪は再生しないため、その変化は深刻な悩みへと繋がります。

上まぶたまで影響が及ぶ「サンケンアイ」の発生

目の下の脂肪を取りすぎると、眼窩内の圧力が大きく変化します。この変化により、眼球がわずかに下方や奥へ移動することがあります。

その影響は下まぶただけでなく、上まぶたの脂肪まで引き込まれる現象を招きます。これが、上まぶたが深く窪んでしまうサンケンアイと呼ばれる状態です。

目の下を綺麗にするはずが、顔全体に疲れ切った印象を与えてしまいます。患者様にとってこの結果は大きな誤算であり、精神的なショックも伴います。

上下のまぶたは繋がった空間の中にあり、脂肪のバランスも相互に関連しています。この視点が欠落していると、広範囲の窪みを引き起こすことになります。

部分的な改善にとらわれず、目元全体の連動性を考慮することが必要です。

皮膚の質感が変わり小じわが目立つ現象

脂肪という内側からのボリュームを失うと、それまで張っていた皮膚が余ります。風船の空気を抜くと表面にシワができるのと同じ原理で、縮緬状のシワが増えます。膨らみがなくなった代わりに、皮膚の老化が際立ってしまうのです。

また、皮膚と深部の組織が癒着しやすくなるリスクも抱えます。目を動かすたびに不自然な引きつれ感が生じる場合もあり、不快感が残ります。

若返りを目指したはずの手術が、質感の面では逆効果になることもあるのです。特に皮膚が薄いタイプの方は、このリスクがより顕著に現れる傾向があります。

脂肪を減らすことで失われる皮膚のハリを、どう補うかを考えねばなりません。術前に皮膚の余り具合を正確に評価することが、美しい仕上がりに直結します。

影による「黒クマ」が逆に強調される皮肉な結果

クマには膨らみによるものだけでなく、陥没による影が原因のものもあります。脂肪を取りすぎると、目元の高低差が不自然に逆転してしまいます。以前とは別の場所に深い影が生まれ、これが取りすぎによる黒クマとなります。

光が当たった時に、窪んだ部分が暗く沈んで見えるため、隠すのが困難です。コンシーラーやメイクでも対応しきれない頑固な影として残ります。

膨らみを解消した結果、深い窪みを作るという本末転倒な事態が起こります。多くの修正希望者が抱える共通の悩みは、この「老け見えする窪み」です。

適度なふくらみは、若々しさを演出する重要な要素であることを認識すべきです。完璧なフラットを目指すあまり、大切な光の反射を失わないようにしましょう。

脂肪を取りすぎないための適切な診断とカウンセリングの重要性

成功する手術の多くは、事前の診察でその方向性が決まると言えます。現在地を正確に把握し、無理のないゴール設定を共有することが不可欠です。

医師との綿密な対話こそが、取りすぎのリスクを回避する最大の防御策となります。

脂肪の量だけでなく質と配置を見極める眼力

医師は触診や視診を通じて、組織の柔らかさや集まり具合を見極める必要があります。単に出ているから取るのではなく、残すべき場所を特定する作業が重要です。

例えば目頭側の脂肪は、取りすぎると急激に老け込むため慎重な扱いが求められます。

診察時に確認すべきポイント

  • 座った状態で重力がかかった時の脂肪の出方
  • 仰向けになった時に脂肪が奥へ移動する程度
  • 皮膚の厚みと脂肪のボリュームの相関関係
  • 過去の整形歴やヒアルロン酸注入の有無

笑った時の表情の変化まで考慮したシミュレーション

無表情の時は平らに見えても、笑った時に表情は大きく変化します。涙袋が強調されるのか、あるいは脂肪が不自然に盛り上がるのかを確認します。

動的な変化を考慮しない手術は、仕上がりに強い違和感を生む原因です。特に笑った際に筋肉が収縮し、脂肪が奥へ押し込まれるタイプの方は要注意です。

静止時を基準に脂肪を取ると、笑った時に目が激しく窪んでしまいます。思い切り笑った状態での目元の形状を記録し、慎重にプランを立てるべきです。

視線を上下左右に動かし、脂肪がどのように連動するかも重要な指標となります。左右差がある場合には、両側のバランスを計算した高度な調整が求められます。

あらゆる表情において自然に見えることが、真の意味での手術の成功です。

将来的な加齢変化を予測したデザインの設計

人間は誰しも加齢とともに脂肪が減少していく運命にあります。今この瞬間の完璧を目指しすぎると、10年後には深い窪みとなって現れます。

未来の自分を見据え、あえて少し残すという選択ができる医師は信頼できます。10年後の脂肪減少を見越したマージン設定は、長く美しさを保つために大切です。

また皮膚のたるみが進行した際の見え方を推測する想像力も欠かせません。骨が痩せる現象である骨吸収の影響も、デザインに加味する必要があります。単なるトレンドを追うのではなく、生涯にわたる変化を視野に入れましょう。

そのためには、患者様側も目先の劇的な変化だけを求めない姿勢が大切です。長期的な視点を持つことが、後悔しないクマ取りを実現するための第一歩です。

取りすぎてしまった場合の修正治療とその難易度

一度失われた組織を元に戻すことは、取り除くよりもはるかに高度な技術を要します。不足を補うためには、他の部位から移植するか、外部の充填剤を用いるしかありません。それぞれに特有の課題と限界が存在するため、慎重な検討が求められます。

脂肪注入によるボリュームの再建とその定着率

自身の太ももなどから採取した脂肪を、窪んだ部分に注入する方法が一般的です。しかし目元は皮膚が極めて薄いため、しこりや凹凸ができるリスクが高くなります。

移植した脂肪のすべてが定着するわけではなく、数割は吸収されてしまいます。この吸収率の個人差があるため、最終的な仕上がりを予測するのは困難を極めます。

本来の脂肪が持っていたクッション性を完全に再現することは不可能です。あくまでボリュームを補う処置であり、機能を完全復活させるわけではありません。

修正方法の比較検討

手法メリットデメリット・課題
自家脂肪注入アレルギーがなく長期持続定着率の個人差・しこりのリスク
ヒアルロン酸注入手軽で即効性があり微調整可能半年〜1年で吸収・チンダル現象
脂肪移動(再配置)血流のある組織を利用できる初回手術時のみ可能な場合が多い

ヒアルロン酸を用いた一時的な補正と注意点

手術に踏み切る前に、まずは注入療法で様子を見る選択肢もあります。溶かすことができるため、やり直しが効くという心理的な安心感は大きいです。

しかし目元はヒアルロン酸が透けて見える現象が起きやすく、注意が必要です。これをチンダル現象と呼び、不自然な青白さが残ってしまうことがあります。

またヒアルロン酸は水分を吸収して膨らむ性質があり、浮腫みのように見えます。時間の経過とともに腫れぼったさが現れることもあり、定期的な管理が必要です。

長期的に打ち続けることで皮膚が伸びてしまう懸念も、無視できません。あくまでも一時的な補正であり、根本的な解決策ではないことを理解すべきです。

注入に頼りすぎず、組織への負担を最小限にする方法を模索するのが賢明です。

他院修正における組織の癒着と技術的な壁

一度手術を行った部位は、内部で傷跡の組織が形成されています。周囲と硬く癒着しているため、それを剥がしながらの修正は非常に困難です。出血量が増えやすく、神経損傷のリスクも高まるため、専門性が問われます。

前医がどのように組織を扱ったのか、外見からは把握できない不確実性もあります。切開してみるまで正確なプランが立てられないという課題も抱えています。

修正費用も高額になるのが一般的で、精神的な負担も大きくなるでしょう。安易な初回手術がいかに大きな代償を伴うか、この点からも明らかです。

修正を受け付けてくれるクリニックは限られており、探す手間もかかります。最初の選択を誤らないことが、目元の美しさを守るための最短ルートです。

クッション機能を維持しながらクマを解消する美容医療の進歩

近年、ただ捨てるのではなく、脂肪を有効活用する考え方が主流になっています。機能を最大限に尊重しつつ、悩みを解消する現代的なアプローチが選べます。

正しい知識を身につけることで、より安全で自然な結果を得ることができます。

脂肪移動術(裏ハムラ法)による凹凸の平滑化

突出している脂肪を切り捨てず、凹んでいる部分へと移動させて固定する手法です。これを裏ハムラ法と呼び、組織の総量を減らさずに表面を滑らかにします。

クッション機能を維持したまま、見た目のクマを改善できる画期的な方法です。

裏ハムラ法のメリット

  • 脂肪を捨てずに活用するため、将来の窪みを防げる
  • 目元の健康的なボリュームをそのまま維持できる
  • 窪みと膨らみの境界を同時に解決し、自然に仕上がる
  • まぶたの裏側から行うため、表面に傷跡が残らない

レーザーや高周波を用いた皮膚の引き締め併用

脂肪の量がさほど多くない場合、無理に除去する必要はありません。表面の皮膚や筋肉をレーザーで引き締めることで、目立たなくさせる方法もあります。

機能を完全に温存したまま、見た目の改善を図ることが可能になります。メスを使わないためダウンタイムが短く、損傷も最小限で済みます。劇的な変化は望めない場合もありますが、安全性を優先する方には最適です。

脂肪を減らす前に、土台を強化するという発想が現代では推奨されます。マシンの進歩により、深層まで熱を届けて組織を再構築できるようになりました。

外科手術に抵抗がある方や、取りすぎを極端に恐れる方への有力な選択肢です。まずは保存的な方法でどこまで改善できるか、医師と相談してみてください。

内側からのアプローチで傷跡を最小限に抑える工夫

まぶたの裏側からアプローチする経結膜脱脂も、細かな技術向上が見られます。必要最小限の切開口から、目的の箇所だけを処理する技術が高まりました。

周囲の健常な脂肪や血管へのダメージを抑え、回復を早める工夫がなされています。ただし、この手法であっても取りすぎのリスクが消えるわけではありません。術者がどれだけ残すべきかに重きを置いているかどうかが結果を左右します。

侵襲が少ないことと、適量であることは、別の次元の問題として捉えるべきです。技術の進歩は、あくまで適切な判断があって初めてその価値を発揮します。

最新の設備を誇るクリニックであっても、診断が雑であれば失敗は起こります。道具に惑わされることなく、それを操る人間の質を見極めることが肝要です。

納得のいくクマ取りを実現するためのクリニック選び

手術の結果を左右するのは、術式の名前ではなく担当する医師の哲学です。後悔しないために、どのような基準でパートナーを選ぶべきか考えてみましょう。

冷静な視点を持つことが、あなたの大切な目元を守ることに繋がります。

解剖学に基づいた説明を徹底している医師の選定

良い医師はカウンセリング時に必ず図などを用いて論理的に説明を行います。なぜその量を残すべきなのか、物理的な根拠に基づいた回答があるか確認しましょう。

成功例だけでなく、リスクの説明に十分な時間が割かれているかも重要です。感情的なメリットだけでなく、構造的なデメリットを強調する姿勢は誠実さの証です。

自身の骨格の弱点を的確に指摘してくれるかどうかもチェックしてください。無理な要求に対して、毅然とNOと言える医師こそが真のプロフェッショナルです。

専門用語を並べて煙に巻くのではなく、噛み砕いて話してくれるかを見極めます。疑問に対して納得がいくまで付き合ってくれるかどうかが、信頼のバロメーターです。あなたの人生に寄り添う覚悟がある医師を、妥協せずに探してください。

クリニック選びの基準

  • 執刀医自身が30分以上の十分なカウンセリング時間を設けている
  • 過去の症例写真が豊富で、不自然な修正がないことを確認できる
  • 手術のデメリットや長期的な合併症について詳しく書面で説明がある
  • 利益優先ではなく、不要な手術を勧めてこない誠実な姿勢がある

リスクやデメリットを包み隠さず話す誠実さ

絶対に綺麗になると断言したり、リスクを否定したりする言葉には注意が必要です。どんな手術にも合併症の可能性はあり、窪みのリスクは常に隣り合わせです。その可能性を認め、万が一の際のプランまで提示してくれる医師を選びましょう。

カウンセラーが主導して契約を急がせるような体制は警戒すべきです。医師の診察が数分で終わり、すぐに会計へと促される場合は一度立ち止まってください。

顔の状態を直接診る時間が短いほど、個別の調整は困難になります。対話を通じて不安が解消されるまで、何度でも足を運ぶ価値はあります。

一生モノの目元を託す相手として、ふさわしいかどうかを厳しく吟味しましょう。安易な安売りやキャンペーンに惑わされず、質を追求する姿勢を持ってください。

アフターケアの充実度とトラブル時の対応力

手術が終われば関係も終わり、というクリニックは避けるべきです。経過観察を丁寧に行い、数ヶ月後の変化にも対応してくれる体制が求められます。術後の検診がスケジュールに組み込まれているか、事前に確認しておきましょう。

また、緊急時の連絡手段が確保されているかどうかも安心感に直結します。万が一結果に満足できなかった場合、再手術の基準が明確であるかも重要です。

保証内容だけでなく、実際のスタッフの丁寧さを肌で感じ取ってください。トラブルが起きた時にこそ、そのクリニックの本質が現れます。

口コミだけでなく、実際に相談した際の雰囲気から誠実さを判断しましょう。心から信頼できるパートナーを見つけることが、満足度の高い結果への近道です。

よくある質問

手術後に目が窪んでしまったら元に戻りますか?

一度切除した脂肪が自然に再生することはありませんので、自力で戻ることは不可能です。組織が欠損している状態を修復するには、脂肪注入などの処置が必要になります。

ただし、術後数週間の腫れが引く過程で、一時的に窪んで見えるケースもあります。

組織が周囲と馴染んで落ち着くまでに、少なくとも3ヶ月から半年はかかります。そのため、すぐに失敗と決めつけず、慎重に経過を見守る姿勢が求められます。

最終的な判断は、ダウンタイムが完全に終了した時点で行うのが一般的です。

将来的にさらに目が窪んでいく可能性はありますか?

はい、加齢による変化は避けられないため、その可能性は十分に考えられます。骨の萎縮や脂肪の自然減少により、目元は年々ボリュームを失っていきます。

手術でギリギリまで取ってしまうと、この老化現象が重なった際に窪みが目立ちます。そのため、経験豊富な医師は将来の減少分を計算に入れ、余裕を持った設計をします。

今だけのスッキリ感を優先しすぎないことが、長く美しさを保つ秘訣です。数十年後の自分の顔を想像しながら、控えめな処置を選択することも一つの知恵です。

脂肪を取る量に限界や決まりはあるのでしょうか?

医学的に何グラムまでという全国一律の明確な数値基準は存在しません。適切な量は眼窩の容積や眼球の突出度、皮膚の厚みによって大きく変わります。ある人にとっての適量が、別の人にとっては過剰除去になることもあります。

数値的な決まりがないからこそ、医師の解剖学的な知見と美的センスが問われます。多くの症例を経験し、個人差を見極める力を持った医師を選ぶことが大切です。

自分にとっての最適解を導き出してくれる専門家を、丁寧に見定めてください。

一度窪んだ場所に再度脂肪を注入するのは危険ですか?

危険というよりも、高度な技術が必要な難易度の高い処置であると言えます。

目の下の皮膚は非常に薄いため、注入した脂肪が少しでも偏ると凹凸が出やすいためです。また、過去の手術による癒着がある場所では、均一に広げるのが難しくなります。

しこりとして残ってしまうリスクを最小限にするには、注入の専門性が不可欠です。修正を検討する場合は、初回以上にクリニック選びに慎重になるべきです。

安易に修正を繰り返すのではなく、組織の負担を考えた長期的な計画を立てましょう。

クマ取りを検討していますが、まず何から始めれば良いですか?

まずは、自分のクマがどのタイプに分類されるのかを知ることが出発点です。膨らみなのか、窪みによる影なのか、あるいは色素沈着なのかで対策は異なります。ネットの情報だけで判断せず、複数の専門医によるカウンセリングを受けてください。

診断結果が医師によって異なる場合もあるため、セカンドオピニオンは有効です。自分の理想と医学的な安全性のバランスが取れる着地点を見つけましょう。

正しい知識を持って相談に臨むことで、納得のいく治療法に出会える確率が高まります。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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