黒クマと皮膚のたるみの違いを見分け不要な治療を避ける方法

目の下の印象は顔全体の若々しさを大きく左右するため、多くの人がクマやたるみの悩みを抱えています。しかし、眼窩脂肪の突出による影である「黒クマ」と、加齢による皮膚の余剰である「皮膚のたるみ」は、似て非なるものです。

これらを混同したまま自己判断でケアを行ったり、クリニックでの治療を選択したりすることは、期待した効果が得られないばかりか、逆に症状を目立たせてしまうリスクすらあります。

本記事では、この二つの違いを明確に見分けるための具体的な視点と、それぞれの症状に適した正解の選択肢を提示します。

自身の目元の状態を正しく理解し、不要なコストや身体的負担を避けるための知識を身につけ、納得のいく目元改善へと繋げてください。

目次

黒クマと皮膚のたるみの根本的な発生要因の違いを理解する

黒クマは眼窩脂肪の突出による「影」が主原因であるのに対し、皮膚のたるみは加齢による皮膚そのものの「伸び」や「余り」が主原因です。

この根本的な違いを理解することが、適切な対策への第一歩となります。

眼窩脂肪の突出が作り出す黒クマの正体

黒クマと呼ばれる現象の正体は、色素沈着や血行不良ではありません。それは、目の下にある眼窩脂肪が前方に飛び出してくることで生じる「影」です。

眼球を支えるロックウッド靭帯などの支持組織が緩むと、支えきれなくなった眼窩脂肪が重力に従って前下方に押し出されます。

同時に、頬の脂肪が下垂することで目の下と頬の間に段差が生まれ、その段差が照明の光を遮ることで黒い影として認識されます。したがって、黒クマは「色」の問題ではなく「形状」の問題といえます。

コンシーラーで隠そうとしても、凹凸自体はなくならないため、厚塗りをしても影が消えないのが大きな特徴です。

加齢による弾力低下が招く皮膚のたるみの本質

一方で皮膚のたるみは、皮膚そのものの構造的な変化に起因します。真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといった弾性線維が加齢や紫外線ダメージによって減少・変性すると、皮膚はゴムが伸びきったような状態になります。

さらに、眼輪筋という目の周りの筋肉が衰えることで皮膚を支える力が弱まり、重力に負けて垂れ下がってしまいます。これは脂肪の量に関わらず、皮膚という「袋」自体が中身に対して大きくなりすぎて余っている状態です。

つまむと皮膚が薄く伸びたり、笑った時に細かいシワが寄ったりするのは、この皮膚のたるみが原因である場合が多いです。

両者が混在する場合の複雑性について

実際の症例では、黒クマ(脂肪の突出)と皮膚のたるみが単独で存在する場合だけではなく、両方が併発しているケースも少なくありません。

脂肪が突出することで皮膚が引き伸ばされ、長期間その状態が続くことで皮膚自体も伸びてたるんでしまうのです。

このように複合的な要因が絡み合っている場合、脂肪を取り除くだけでは皮膚が余ってシワが悪化したり、逆に皮膚を引き締めるだけでは脂肪の膨らみが解消されなかったりと、治療の難易度が上がります。

自分がどちらのタイプなのか、あるいは混合型なのかを見極める冷静な視点が必要です。

黒クマと皮膚のたるみの比較

比較項目黒クマ(眼窩脂肪の突出)皮膚のたるみ(余剰皮膚)
主な原因眼窩脂肪の前方突出による段差と影コラーゲン減少による皮膚の弾力低下
見た目の特徴目袋のような膨らみがあり、その下に黒い影ができる皮膚が垂れ下がり、細かいシワやヒダが目立つ
メイクの効果凹凸による影なのでコンシーラーで隠れないシワにファンデーションが入り込み目立ちやすい

自宅の鏡を使ってセルフチェックで見分ける具体的な手法

特別な器具を使わずとも、鏡の前で顔の角度や表情を変えることで自分の症状が黒クマ主体なのか、皮膚のたるみ主体なのかをある程度判別できます。

ここでは簡便かつ精度の高い確認方法を紹介します。

仰向けになった状態で鏡を見る確認法

最も簡単で分かりやすいのが、仰向けに寝た状態で手鏡を持って顔を確認する方法です。重力の影響が変化するため、症状の本質が見えやすくなります。

仰向けになると、突出していた眼窩脂肪は眼窩(目の穴)の奥へと戻る力が働きます。もし、寝た状態で目の下の膨らみや影が消失したり、大幅に薄くなったりする場合は、眼窩脂肪の突出による「黒クマ」である可能性が高いです。

一方で、仰向けになっても目の下の皮膚のヨレや細かいちりめんジワが変わらず残っている場合は、皮膚そのものが伸びてしまっている「皮膚のたるみ」が主な原因と考えられます。

顔を天井に向けた状態で正面から鏡を見る方法

立った状態や座った状態でもチェックは可能です。顔を正面に向けたまま、天井を見るように目線だけを上げてください。あるいは、顔ごと天井に向けて、鏡を顔の正面高い位置に掲げて見てください。

このとき、目の下の影が薄くなるようであれば黒クマの要素が強いといえます。これは、目線を上げることで眼輪筋が収縮し、一時的に脂肪が押し込まれるためです。

逆に、この動作をしても目の下の皮膚がダブついたままであったり、シワの形状が変わらなかったりする場合は、皮膚のたるみが進行しているサインと捉えてください。

指を使って皮膚の動きを確認する触診法

指先で優しく触れることでも情報を得られます。目尻の皮膚を指で優しく横方向に引っ張ってみてください。

このとき、目の下の影が消えてフラットになるなら、それは皮膚のたるみによる影である可能性があります。皮膚を物理的に伸ばすことでシワやたるみが一時的に解消されるからです。

しかし、指で引っ張っても膨らみの形状そのものが変わらず、プクッとした質感が残る場合は、内部の眼窩脂肪が原因である黒クマの可能性が高くなります。

力を入れすぎず、皮膚の動きと影の変化を観察することが重要です。

セルフチェックのポイント

  • 仰向けで影が消えるなら黒クマの可能性大
  • 上を向いて影が薄くなるなら黒クマの疑い
  • 横に引っ張ってシワが消えるなら皮膚のたるみ
  • 笑った時に膨らみが強調されるなら黒クマ
  • 無表情でも皮膚の余りが目立つならたるみ

解剖学的な構造から見る目元の老化現象の違い

表面的な見た目だけでなく、皮膚の下で起きている解剖学的な変化を知ることで、なぜその治療法が必要なのか、あるいは不適切なのかが論理的に理解できます。組織レベルでの違いを深掘りします。

眼窩隔膜の緩みと眼窩脂肪の挙動

眼球は眼窩という骨のくぼみの中にあり、周囲をクッションのような眼窩脂肪が取り囲んでいます。若年層では、眼窩隔膜という膜がこの脂肪をしっかりと堰き止めていますが、加齢とともにこの膜の強度が低下します。

すると、ダムが決壊するように脂肪が前へ前へと押し出されてきます。これが黒クマの膨らみの正体です。

つまり、黒クマは何か悪いものが溜まっているのではなく、本来あるべき場所にあった組織が位置移動を起こしている状態といえます。

この構造変化に対して、単に皮膚表面を引き締めるだけのケアでは太刀打ちできない理由がここにあります。

リガメントの拘縮と皮膚の癒着が生む凹み

目の下には、ティアトラフと呼ばれる独特の凹みラインが生じることがあります。これは、皮膚と骨をつなぐ靭帯(リガメント)が強固に癒着している部分です。

加齢によりリガメントが硬く縮こまると、その部分の皮膚が骨側に強く引き込まれ、深い溝を作ります。この溝の上には突出した眼窩脂肪があり、下には下垂した頬の脂肪(メーラーファット)があるため、溝はより深く強調されます。

黒クマが悪目立ちするのは単に脂肪が出ているだけでなく、このリガメントによる食い込みが影を濃くしていることが多いためです。皮膚のたるみとは異なる、深部組織の問題です。

眼輪筋の菲薄化と皮膚弾力の相関関係

眼輪筋は目の周りを囲む筋肉で、まばたきをする役割を担うとともに、眼窩脂肪を外側から抑え込む壁の役割も果たしています。

加齢により眼輪筋が薄く弱くなると(菲薄化)、脂肪を抑え込む力が弱まり、突出を助長します。また、筋肉の衰えは皮膚への栄養供給や代謝にも影響を与え、皮膚のハリを失わせる要因にもなります。

皮膚のたるみは真皮層のコラーゲン減少だけでなく、土台となる筋肉の質の低下も関与しているのです。筋肉と皮膚の両方が薄く伸びてしまうと、いわゆる「ちりめんジワ」や「目袋の垂れ下がり」が顕著になります。

構造変化の要因整理

組織名黒クマ形成時の状態皮膚たるみ形成時の状態
眼窩脂肪前方に突出し膨らみを形成量は変わらないか減少することもある
眼窩隔膜張力を失い脂肪を支えきれないたるみの直接原因ではないが関連する
真皮層正常範囲内であることが多いコラーゲン密度が低下し薄くなる

症状の見誤りが引き起こす不適切な治療とそのリスク

最も避けるべきは、黒クマと皮膚のたるみを見誤り、逆効果となる治療を選択してしまうことです。誤ったアプローチは金銭的な損失だけでなく、修正が困難な状態を招く恐れがあります。

たるみが主因のケースで脱脂を行う危険性

皮膚のたるみが顕著であるにもかかわらず、黒クマ治療の定番である「経結膜脱脂法(脂肪取り)」を行うことは、非常にリスクが高い選択です。

中身である脂肪を抜いてしまうと外側の袋である皮膚はさらに余ってしまい、風船の空気を抜いた時のようにシワシワになってしまいます。

これを防ぐためには、脂肪を減らすと同時に余った皮膚を切り取る処置や、別の方法でボリュームを補う処置が必要になります。

たるみが強い人が安易に「脂肪を取ればスッキリする」と考えると、かえって老け込んだ印象になる可能性があるため注意が必要です。

黒クマに対して皮膚的アプローチを行う限界

逆に、眼窩脂肪がたっぷりと突出している黒クマに対して、高周波治療(HIFUなど)やアイクリームなどの皮膚的アプローチだけで改善を図ろうとするのも無理があります。

これらの方法は皮膚を引き締める効果は期待できますが、物理的に飛び出している脂肪の塊を消滅させることはできません。

一時的にハリが出て目立たなくなることはあっても、根本的な解決には至らず、何度も施術を繰り返すことになります。物理的な突出には、物理的な移動や除去といった外科的なアプローチが基本的には必要となります。

ヒアルロン酸注入における過剰注入のリスク

黒クマの影を消すために、凹んでいる部分にヒアルロン酸を注入する方法は一般的です。しかし、脂肪の突出が強い場合にその高さに合わせて周囲を埋めようとすると、注入量が過多になりがちです。

結果として、目の下がパンパンに膨れ上がり、笑った時に不自然な段差ができたり、ヒアルロン酸が透けて青白く見える「チンダル現象」が起きたりします。

また、皮膚が薄くたるみがある場合、重いヒアルロン酸を支えきれずに下垂し、たるみを助長することさえあります。適応の見極めが極めて重要です。

治療ミスマッチによる弊害

誤った組み合わせ想定されるリスク・弊害本来必要な視点
たるみ強+脱脂のみ皮膚が余り、ちりめんジワや凹みが悪化する皮膚切除の併用や移動術の検討
脂肪突出強+照射系変化に乏しく、コストパフォーマンスが悪い脂肪の物理的な処理を優先
たるみ強+過剰注入不自然な膨らみ、皮膚のさらなる下垂リフトアップや余剰皮膚の処理

黒クマ(眼窩脂肪突出型)に対する適切な治療アプローチ

黒クマの本質的な改善には原因となっている眼窩脂肪を適切に処理することが不可欠です。現在主流となっている治療法にはそれぞれ特徴があり、個人の状態に合わせて選択する必要があります。

経結膜脱脂法のメリットと適用範囲

下まぶたの裏側(結膜)に小さな穴を開け、そこから余分な眼窩脂肪を取り除く方法です。皮膚表面に傷がつかないため、ダウンタイムが比較的短く、抜糸の必要もありません。

この方法は皮膚の弾力が十分にあり、単に脂肪だけが突出している若い世代や、たるみが少ないケースに適しています。脂肪を取り除くことで物理的な膨らみが解消され、影がなくなることで目元が明るくなります。

ただし、取りすぎると窪みの原因になるため、適量を慎重に見極める医師の技術が求められます。

ハムラ法および裏ハムラ法による脂肪再配置

単に脂肪を捨てるのではなく、有効活用する方法が「ハムラ法」です。突出している眼窩脂肪を、その下の凹んでいる部分(ティアトラフやゴルゴライン)へ移動させて固定します。これにより、膨らみを解消しつつ、凹みを埋めることができ、滑らかな曲線を形成できます。

皮膚を切開する「表ハムラ法」はたるんだ皮膚の切除も同時に行えるため、たるみと黒クマが併発している人に適しています。

一方、まぶたの裏側から行う「裏ハムラ法」は皮膚切除を行わないため、皮膚のたるみが少ない人に適しています。再発率が低く、自然な仕上がりが期待できる優れた方法です。

脂肪注入を併用した段差の解消

脱脂法で脂肪を取り除いた後、目の下の凹みや色味を改善するために、自身の太ももなどから採取した脂肪を注入する方法です。

脱脂だけでは平坦になりすぎて寂しい印象になる場合や、血管が透けて見える青クマが混在している場合に有効です。微細な脂肪(ナノファットなど)を注入することで、皮膚に厚みを持たせ、ハリを出す効果も期待できます。

「脱脂+脂肪注入」は、多くのクリニックでセットで行われることが多く、立体的で若々しい目元を作るための標準的な選択肢の一つとなっています。

黒クマ治療法の比較

治療法アプローチ皮膚切除
経結膜脱脂法余分な脂肪を除去するなし
裏ハムラ法脂肪を凹みへ移動させるなし
表ハムラ法脂肪移動+皮膚調整あり

皮膚のたるみ(余剰皮膚型)に対する適切な治療アプローチ

皮膚そのものが伸びてしまっている場合、脂肪を扱うだけでは不十分です。余った皮膚を物理的に減らすか、強力に引き締める処置が必要となります。

下眼瞼除皺術(皮膚切開)による根本解決

下まつげの生え際ギリギリを切開し、伸びて余ってしまった皮膚を物理的に切り取る手術です。いわゆる「アイリフト」や「下眼瞼切開」と呼ばれます。

同時に眼輪筋を引き上げて固定することで、目元のハリを取り戻すことも可能です。皮膚のたるみが重度で、深いシワが刻まれている場合には、この方法が最も確実な効果をもたらします。

傷跡は時間の経過とともに目立たなくなりますが、ダウンタイムは脱脂法に比べて長くなる傾向があります。たるみを根本からリセットしたい場合に検討すべき選択肢です。

高周波やレーザーによるタイトニング治療

手術に抵抗がある場合や、たるみが軽度から中程度の場合には、照射系治療が選択肢に入ります。サーマクールやHIFU(ハイフ)などの機器を用いて、真皮層や筋膜層に熱エネルギーを与えます。

この熱収縮作用により即時的な引き締め効果が得られるほか、創傷治癒過程でコラーゲンの生成が促進され、長期間にわたって皮膚の密度が高まります。

一度で劇的な変化を得るものではありませんが、定期的に継続することで老化の進行を遅らせ、自然な若返りを図ることができます。

再生医療的アプローチによる皮膚再生

自身の血液から血小板を抽出して注入するPRP療法や、線維芽細胞を移植する治療法などは、皮膚そのものの若返りを目的としています。

薄くなった皮膚を厚くし、弾力を取り戻すことで、たるみによるシワを目立たなくさせます。即効性はありませんが、自身の細胞組織が活性化されるため、違和感のない自然な仕上がりが特徴です。

特にちりめんジワのような細かい皮膚の劣化に対しては、外科手術よりもこうした肌質改善のアプローチが有効な場合があります。

たるみ治療の比較

治療法アプローチ侵襲性(体への負担)
下眼瞼除皺術余剰皮膚を切除・縫合高い(切開あり)
レーザー・HIFU熱エネルギーで引き締め低い(ダウンタイム少)
再生医療(PRP等)細胞活性化で弾力回復低い(注射のみ)

最適な医師とクリニックを選ぶための判断基準

治療法の選択と同じくらい重要なのが、誰に任せるかという点です。黒クマとたるみの微妙なバランスを見極められる医師に出会うためのポイントを整理します。

複数の選択肢を提示できる診断力

優れた医師は、一つの治療法に固執しません。

「あなたは脱脂だけで大丈夫」と安易に決めるのではなく、「脱脂をすると皮膚が余るリスクがあるから、注入も併用した方が良い」「皮膚のたるみが強いから切開法がベストだが、ダウンタイムが取れないならこの方法で妥協点を探ろう」といったように、メリットとデメリットを含めた複数のプランを提示できる医師を選ぶことが大切です。

状態を多角的に分析できる診断力が、成功の鍵を握ります。

長期的な経過を見据えた提案の有無

目元の治療は直後の仕上がりだけでなく、5年後、10年後の変化も考慮する必要があります。例えば、脂肪を取りすぎてしまうと将来的に目の上が窪んだり、目の下が落ち窪んだりして老け見えの原因になることがあります。

将来の加齢変化まで予測し、「今は少し控えめにしておきましょう」といったアドバイスができる医師は信頼に値します。

その場の売上よりも、あなたの人生に寄り添った提案をしてくれるかどうかを確認してください。

リスクや限界点についての明確な説明

どのような医療行為にも必ずリスクや限界が存在します。

「絶対に治る」「一生持つ」といった過剰な表現を使わず、起こりうる合併症(内出血、腫れ、左右差など)や、治療では改善できない部分について正直に話してくれる医師を選びましょう。

また、万が一トラブルが起きた際のアフターフォロー体制が整っているかどうかも、契約前に必ず確認すべき項目です。

クリニック選びのチェックポイント

  • カウンセリング時間を十分に確保しているか
  • 医師自身が診察を行っているか(カウンセラー任せでないか)
  • 症例写真の加工がなく、様々な角度から提示されているか
  • 良いことだけでなくリスクも具体的に説明してくれるか
  • 見積もりが明瞭で、不必要なオプションを強要しないか

よくある質問

自力でのマッサージや眼輪筋トレーニングで黒クマは治りますか?

残念ながら、眼窩脂肪の突出による黒クマをマッサージやトレーニングだけで完全に治すことは困難です。

マッサージでリンパの流れを良くすることでむくみが取れ、一時的にスッキリ見えることはありますが、物理的に突出した脂肪を減らすことはできません。

また、過度なマッサージは皮膚への摩擦となり、色素沈着(茶クマ)や皮膚のたるみを悪化させる原因になるため注意が必要です。

眼輪筋トレーニングは予防的な意味合いでは有効ですが、すでに飛び出してしまった脂肪を押し戻すほどの効果を得るには限界があります。

黒クマと皮膚のたるみが両方ある場合どちらを優先すべきですか?

基本的には、内部の構造的問題である「黒クマ(脂肪の突出)」の処理と、表面の問題である「皮膚のたるみ」の処理を同時に行うことが理想的です。

例えば「表ハムラ法」のような手術であれば、一度の手術で両方にアプローチできます。

しかし、ダウンタイムや費用の面でどちらか一方しか選べない場合は、まずは黒クマの原因である脂肪の処理(移動や適度な除去)を優先することが多いです。

土台の形を整えた上で、残った皮膚のたるみに対して後からタイトニング治療などで対処するという段階的な計画を立てることも可能です。

痩せれば目の下の脂肪も減って黒クマは改善しますか?

体重を落としても、眼窩脂肪だけが都合よく減ることは稀です。眼窩脂肪は体のエネルギー貯蔵用の脂肪とは性質が異なり、ダイエットの影響を受けにくい組織です。

むしろ、急激なダイエットで頬の脂肪が落ちてしまうと、目の下の膨らみとの段差が強調され、かえって黒クマが目立つようになることがあります。

また、栄養不足により肌のハリが失われれば、皮膚のたるみも加速してしまいます。全身のダイエットと目元の局所的な脂肪突出は切り離して考える必要があります。

治療を受けるのに適した年齢は何歳くらいですか?

黒クマ治療に明確な年齢制限はありません。遺伝的な要素が強い場合、20代でも眼窩脂肪が突出している方は多く、早期に治療を行うことで皮膚が伸びるのを防ぐ予防効果も期待できます。

一方、皮膚のたるみは40代以降に顕著になる傾向があります。皮膚の弾力が失われすぎる前に治療を行う方が、仕上がりは自然で美しくなります。

年齢そのものよりも、鏡を見て「気になり始めた時」や「影がメイクで隠せなくなった時」が相談のタイミングといえます。70代、80代で治療を受けて満足される方も多くいらっしゃいます。

メイクで隠す際のコツはありますか?

黒クマは「影」であるため、コンシーラー単色でのカバーには限界があります。

ポイントは影になっている最も暗い部分(黒いライン)に、オレンジや赤みの強いコンシーラーをピンポイントでのせることです。

これにより青黒さを補正します。その上から、自分の肌よりワントーン明るいベージュを重ねて光を集め、凹みを目立たなくさせる「光の錯覚」を利用する方法が有効です。

ただし、皮膚のたるみが強い場合、厚塗りはシワに入り込んで崩れやすくなるため、薄く密着させることを意識し、パール入りのハイライトで光を散らすなどの工夫をすると良いでしょう。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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