茶クマが治らない原因はADM(後天性真皮メラノサイトーシス)?一般的なシミとの見分け方

長年ケアを続けても改善しない茶クマに悩む方は少なくありません。その原因は単なる色素沈着ではなく、皮膚の深層にあるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)である可能性が高いと考えられます。

一般的な美白化粧品やケアでは届かない真皮層にメラニンが存在するため、正しい診断と専門的なアプローチが必要です。

この記事では、通常の茶クマとADMの明確な違いや見分け方、そしてそれぞれに適した解決策を詳しく解説し、あなたの目元の悩みを根本から解消するための道筋を示します。

目次

茶クマと混同されやすいADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の正体とは

通常の茶クマケアを行っても一向に改善の兆しが見えない場合、その正体は皮膚の深い部分に存在するADM(後天性真皮メラノサイトーシス)である可能性が高いです。

ADMは一般的なシミとは異なり、メラニン色素が表皮ではなく真皮層に蓄積しているため、通常の美白ケアでは効果を実感しにくい特徴があります。

ここではADMの基本的な性質と、なぜ茶クマと間違われやすいのかについて詳しく掘り下げていきます。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の基本的特徴

ADMは「後天性真皮メラノサイトーシス」という医学名称が示す通り、生まれつきではなく成人以降に発症するアザの一種です。

通常、シミの原因となるメラニンは皮膚の浅い部分である表皮に存在しますが、ADMの場合はさらに奥にある真皮層にメラノサイト(色素細胞)が存在し、そこでメラニンを作り出しています。

この深さの違いが、見た目の色味や治療の難易度に大きく影響します。

皮膚の深い部分に色素があるため、光の散乱によって灰色や青みを帯びた褐色に見えることが多くあります。これが、一般的な茶色のシミとは異なる独特の色調を生み出しています。

また、ADMは一度出現すると自然に消えることはほとんどなく、時間の経過とともに色が濃くなったり、範囲が広がったりすることもあります。

発症年齢は20代から30代に多く見られますが、遅い場合は40代以降に目立ってくることもあります。思春期以降に現れるため、「遅発性太田母斑様色素斑」とも呼ばれます。

ホルモンバランスの変化や紫外線、慢性的な摩擦などが発症の引き金になると考えられていますが、明確な原因は完全には解明されていません。

なぜ茶クマと間違われるのか

ADMが茶クマと誤認される最大の理由は、その発生場所にあります。ADMは頬骨の上や目の下、小鼻の横などに好発します。

特に目の下に現れた場合、そのくすんだ色調が「茶クマ」や「青クマ」のように見えるため、多くの人がクマの一種だと勘違いしてしまいます。

また、ADMは境界がややぼやけて見えることがあります。一般的なシミ(老人性色素斑)のように輪郭がくっきりとしていないため、色素沈着による茶クマが広がっているように錯覚しやすいのです。

毎日のメイクでコンシーラーを使っても隠しきれない、あるいは色が透けて見えるといった悩みも、ADM特有の「深さ」に起因しています。

さらに、ADMと茶クマが併発しているケースも多く見られます。目をこする癖による色素沈着(茶クマ)の下に、実はADMが潜んでいるという複合的な状態です。

この場合、茶クマのケアで表面の色素は薄くなっても、深層にあるADMの色味が残るため、「治らない」「効果がない」と感じてしまう要因となります。

遺伝的要因とホルモンバランスの影響

ADMの発症には遺伝的な背景が関与していると考えられています。家族や血縁者に同様のシミやアザを持つ人がいる場合、ADMを発症するリスクは高まる傾向にあります。

ただし、遺伝だけで決まるわけではなく、紫外線対策の有無やスキンケアの方法など、後天的な要素も大きく影響します。

ホルモンバランスの変動もADMの状態に影響を与えます。妊娠や出産、更年期など女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期に色が濃くなったり、範囲が広がったりすることが報告されています。

月経周期に合わせて色の濃さが変わるように感じる人もいます。

このように、ADMは体質やホルモンバランスといった内的な要因と、紫外線や摩擦といった外的な要因が複雑に絡み合って形成されます。

そのため、単一の原因を取り除くだけでは解決が難しく、専門的な視点での診断と治療計画が必要不可欠です。

ADMの特徴まとめ

  • 皮膚の深い層(真皮)にメラニンが存在するアザの一種
  • 灰色や青みを帯びた褐色で、メイクで隠しにくい
  • 20代〜30代以降に発症し、自然治癒することは稀である
  • 遺伝的要因やホルモンバランスの影響を受けやすい
  • 目の下や頬骨に左右対称に現れることが多い

一般的な茶クマの原因とメカニズムの理解

ADMとの違いを正しく理解するためには、まず一般的な「茶クマ」がなぜ発生するのか、そのメカニズムを知ることが重要です。

茶クマの正体は皮膚の浅い部分に蓄積したメラニン色素であり、主な原因は日常的な摩擦や紫外線ダメージです。こ

こでは茶クマが発生する具体的なプロセスと、他の種類のクマとの違いについて解説します。

色素沈着を引き起こす日常的な摩擦

茶クマの最大の原因は目元の皮膚に対する物理的な刺激、すなわち「摩擦」です。

目元の皮膚は顔の他の部分に比べて非常に薄くデリケートです。そのため、無意識に行っている「目をこする」という動作が、大きなダメージとなります。

例えば、花粉症やアレルギー性結膜炎で目がかゆく、頻繁にこすってしまう習慣がある人は、慢性的な炎症によってメラニンが過剰に生成されます。

また、アイメイクを落とす際にクレンジングシートで強く擦ったり、洗顔時にゴシゴシと力を入れたりすることも色素沈着の原因となります。

これらの摩擦刺激に対して、皮膚は防御反応としてメラニン色素を作り出します。

通常であれば肌のターンオーバーによって排出されますが、刺激が繰り返されると排出が追いつかず、表皮に色素が沈着して茶クマとして定着してしまいます。

紫外線ダメージとターンオーバーの乱れ

紫外線も茶クマを悪化させる大きな要因です。目元は顔の中でも特に突出している部分があり、紫外線の影響を受けやすい場所です。紫外線を受けるとメラノサイトが活性化し、メラニン色素が生成されます。

日焼け止めを目の際までしっかりと塗れていない場合、知らず知らずのうちにダメージが蓄積されていきます。

また、加齢や乾燥、睡眠不足などによって肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れると、生成されたメラニン色素がスムーズに排出されなくなります。

古い角質とともに剥がれ落ちるはずの色素が肌内部に留まり続けることで、茶色くくすんだクマが形成されます。

乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、外部刺激に対する感受性を高めます。乾燥した状態で摩擦が加わると、さらに炎症が広がり色素沈着が悪化するという悪循環に陥ります。

保湿ケアが茶クマ対策において重要視されるのはこのためです。

茶クマ・青クマ・黒クマの違い

目の下のクマには、茶クマ以外にも「青クマ」と「黒クマ」が存在します。これらは原因も対処法も全く異なるため、自分のクマがどのタイプなのかを見極めることがケアの第一歩です。

青クマは主に血行不良が原因です。寝不足や冷え、目の疲れによって血液中の酸素が不足し、還元ヘモグロビンが増加して血液が暗赤色になります。

目の下の皮膚が薄いため、その血管の色が透けて青黒く見える状態です。皮膚を引っ張ると色が薄くなるのが特徴です。

黒クマは、目の下のたるみや凹凸によってできる「影」です。眼窩脂肪の突出や皮膚のたるみによって段差ができ、照明の下などで影となって黒く見えます。

上を向いたり、鏡を持って顔を正面から光を当てたりすると薄くなるのが特徴です。

クマのタイプ別特徴比較

種類主な原因見分け方の特徴
茶クマ色素沈着、摩擦、紫外線、角質肥厚皮膚を引っ張っても色は変わらない。皮膚そのものが茶色い。
青クマ血行不良、寝不足、眼精疲労、冷え皮膚を横に引っ張ると色が薄くなる。入浴後など血行が良いと改善する。
黒クマたるみ、眼窩脂肪の突出、皮膚の凹凸上を向くと薄くなる。手鏡で光を当てると消える(影がなくなる)。

ADMと一般的なシミ(老人性色素斑・肝斑)の見分け方

茶クマのように見える症状が、実はADMなのか、あるいは一般的なシミ(老人性色素斑)や肝斑(かんぱん)なのかを見極めることは、正しい治療法を選択する上で極めて重要です。

これらは見た目が似ていても、発生する深さや性質が異なるため、誤ったケアを続けると症状が悪化することさえあります。

ここでは、それぞれの特徴を比較し、見分けるためのポイントを解説します。

色味と境界線の違いに着目する

ADMとその他のシミを見分ける際、最も分かりやすい指標の一つが「色味」です。一般的なシミ(老人性色素斑)は、茶色や濃い褐色をしており、表皮に存在するため比較的鮮やかな色調をしています。

一方、ADMは真皮層という深い場所に色素があるため、皮膚を通して見ると灰色がかった茶色、あるいは青みを帯びた褐色に見えるのが特徴です。

また、「境界線」も重要な判断材料です。老人性色素斑は輪郭がくっきりとしており、シミと正常な皮膚の境目が明瞭です。これに対し、ADMは皮膚の奥にあるため、境界がややぼやけて見えます。

肝斑も境界がはっきりしないことがありますが、肝斑は筆でサッと塗ったような広範囲のくすみとして現れるのに対し、ADMは米粒大から小豆大の斑点が集まって見えることが多いです。

メイクをした時の見え方も異なります。

表皮にあるシミはコンシーラーで隠しやすいのに対し、ADMは皮膚の深部から色が透けて見えるため、厚塗りをしてもグレーっぽく浮き出てしまい、完全に隠すことが難しいという特徴があります。

発生場所と左右対称性の確認

発生する場所にもそれぞれの特徴があります。ADMは主に両側の頬骨エリア、目の下、小鼻の横(小鼻の付け根部分)、額の両端などに好発します。

特に頬骨の上や小鼻に点状に現れるのが典型的です。多くの場合、左右対称に現れますが、必ずしも左右同時に同じ大きさで出るとは限りません。

肝斑も左右対称に現れることが大きな特徴ですが、頬骨に沿って地図状に広がることが多く、目の際(下まぶたのギリギリの部分)には発生しないという特徴があります。

目の周りが白く抜けたように見える場合は肝斑の可能性が高いです。対してADMや茶クマは、目の際まで色が及ぶことがあります。

老人性色素斑は、紫外線の当たりやすい場所にランダムに発生します。左右対称である必然性はなく、大きさも形も不揃いです。過去に強い日焼けをした場所や、長年紫外線を浴び続けてきた部位に現れやすい傾向があります。

発症年齢と経過の違い

発症する時期も手掛かりになります。ADMは20代前後から30代にかけて発症することが多く、思春期以降に徐々に目立ち始めます。生まれつきあるアザ(太田母斑など)とは異なり、大人になってから気になり始めるのが特徴です。

老人性色素斑は、その名の通り加齢とともにリスクが高まりますが、紫外線の蓄積によって20代でも発生します。一般的には30代、40代と年齢を重ねるごとに数が増え、色も濃くなっていきます。

肝斑は30代から40代の女性に多く見られ、閉経とともに薄くなったり消えたりすることがあります。女性ホルモンの影響を強く受けるため、妊娠中やピルの服用中に悪化し、ホルモンバランスが安定すると改善する傾向があります。

ADMは閉経後も自然に消えることはなく、治療をしない限り残り続けます。

シミの種類別比較まとめ

種類主な色調・形状好発部位と特徴
ADM灰色〜青褐色。境界がややぼやけた点状の斑点。頬骨、目の下、小鼻、額。左右対称に出やすい。20代以降に発症。
老人性色素斑茶色〜濃褐色。輪郭がくっきりしており、形は様々。顔全体、手の甲など紫外線が当たる場所。左右非対称。加齢と共に増加。
肝斑薄茶色。全体的にぼんやり広がる地図状。頬骨周辺。左右対称。目の際は白く抜けることが多い。30〜40代に好発。

なぜADMは茶クマと誤診されやすく治りにくいのか

多くの人が「茶クマが治らない」と悩み続ける背景には、ADMと茶クマ、さらには肝斑などが混在している「複合的な状態」が見落とされがちであるという事実があります。

また、自己判断による間違ったケアが、症状を改善させるどころか複雑化させているケースもあります。

ここでは、ADMの治療が一筋縄ではいかない理由と、誤った自己診断のリスクについて解説します。

複数のシミが混在する難しさ

肌の悩みは単一の原因で起こるとは限りません。

特に目の下のエリアは、ADMの上に色素沈着(茶クマ)が重なり、さらにその周辺に肝斑が広がっているという、複数の症状がミルフィーユのように重なっているケースが非常に多く見られます。

これを「オーバーラップ」と呼びます。

例えば、ADMがある場所に日々の摩擦による色素沈着が加わると色味が複雑になり、一見しただけでは何が原因か判別しにくくなります。

また、ADMと肝斑が併発している場合、ADMに対する強いレーザー治療を行うと、刺激によって肝斑が悪化してしまうリスクがあります。

このように、混在型の症状は治療の優先順位や出力調整が難しく、単純なシミ取り治療では解決しないことが多いのです。

茶クマだと思って美白化粧品を使っていても、それがADMであれば真皮層まで成分が届かず効果が出ません。逆に、ADMだと思って強いマッサージを繰り返せば、摩擦によって茶クマが悪化します。

この複雑な絡み合いが「治らない」という状況を生み出しています。

自己判断による間違ったスキンケアの弊害

インターネット上の情報を元に自己診断を行い、誤ったケアを続けてしまうことも、症状を長引かせる大きな要因です。

例えば、「クマには血行促進が良い」という情報を鵜呑みにし、色素沈着(茶クマ)やADMがある目元を強くマッサージしてしまうケースです。これは摩擦による色素沈着を助長し、肝斑を誘発する恐れさえあります。

また、高濃度のレチノールやハイドロキノンなどの強力な成分を含む化粧品を、自己判断で使用することもリスクを伴います。

これらは正しく使えば効果的ですが、使用方法を誤ると肌に炎症(赤みやかぶれ)を引き起こし、その炎症が治った後に「炎症後色素沈着」として新たなシミを作ってしまう可能性があります。

特にADMは皮膚の深層にあるため、表面的なスキンケアやエステのマッサージ、市販の美白クリームだけでは物理的に除去することが不可能です。

自己流のケアに固執することで適切な医療介入のタイミングを逃し、悩む期間を延ばしてしまうことになります。

自己チェック時の注意点

  • 鏡で見るだけでなく、皮膚を優しく指で動かして色の変化を確認すること
  • コンシーラーで隠しきれない「灰色っぽさ」があるか確認すること
  • 20代以降になって急に出てきたシミか、昔からあるか思い出すこと
  • 生理周期や体調によって濃さが変わるか(肝斑の可能性)を観察すること

ADMを根本治療するための医療的アプローチ

真皮層に存在するADMを治療するためには、医療機関での専門的な治療が必要となります。エステや化粧品では届かない深さにアプローチできるのは、医療用レーザーのみです。

しかし、レーザーなら何でも良いわけではありません。ADMの特性に合わせた波長と出力設定が重要です。

ここでは、ADM治療の主流であるレーザー治療の種類と、治療の経過について解説します。

Qスイッチレーザーによる治療

ADM治療において長年スタンダードとされてきたのが「Qスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、YAG)」です。このレーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)という極めて短い時間で高いエネルギーを照射することができます。

強力なエネルギーを瞬間的に与えることで、周囲の正常な組織への熱ダメージを抑えつつ、真皮層にあるメラニン色素だけを衝撃波で粉砕します。

粉砕されたメラニンは体内のマクロファージ(お掃除細胞)によって貪食され、数ヶ月かけてリンパ管などを通じて体外へ排出されます。一回の照射で全ての色素がなくなるわけではなく、通常は数回の照射が必要となります。

治療後は照射部位がかさぶたになり、一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着(戻りジミ)」が起こることがあります。

これは治癒過程の一環ですが、完全に色が引くまでには半年から1年程度の期間を要することを理解しておく必要があります。

ピコレーザーによる最新の治療

近年、Qスイッチレーザーよりもさらにパルス幅(照射時間)が短い「ピコレーザー」が登場し、ADM治療の選択肢が広がっています。

ピコ秒(1兆分の1秒)という驚異的な短さで照射することで、熱作用ではなく衝撃波による光音響効果でメラニンをさらに微細な粒子に粉砕します。

粒子が細かくなることでマクロファージによる排出がスムーズになり、治療回数の短縮や、炎症後色素沈着のリスク低減が期待できます。

また、Qスイッチレーザーに比べて痛みやダウンタイム(テープ保護の期間など)が軽い傾向にあり、日常生活への影響を抑えたい人に選ばれています。

ただし、ADMは深層にあるため、ピコレーザーであっても複数回の照射が必要である点は変わりません。

スポット照射で強く打つ方法や、トーニングと呼ばれる低出力での照射を繰り返す方法など、医師の判断によって使い分けられます。

治療期間とダウンタイムの理解

ADM治療は「長期戦」になることを覚悟する必要があります。表皮のシミであれば1〜2回で綺麗になることもありますが、真皮のシミは代謝に時間がかかるため、治療完了までに半年から1年以上かかることが一般的です。

レーザー照射直後は患部が白くなったり、点状出血が見られたりします。その後、かさぶたが形成され、1〜2週間で剥がれ落ちます。

かさぶたが取れた直後はピンク色の新しい肌が見えますが、その後1ヶ月程度で一時的に色が茶色く戻る現象(戻りジミ)が発生しやすくなります。

この戻りジミの期間に「治療が失敗した」と勘違いして治療を中断してしまうのが最も避けるべき事態です。

適切なアフターケア(遮光、美白剤の使用)を続けながら待つことで、徐々に色は薄くなっていきます。治療計画にはこのダウンタイム期間も含まれていることを理解しましょう。

主なレーザー治療機の比較

レーザーの種類特徴とメカニズムダウンタイム・経過
QスイッチYAGレーザー1064nmの波長で深部まで届く。強力なパワーでメラニンを破壊。かさぶたができやすい。戻りジミのリスクがあるが、確実性が高い。テープ保護が必要な場合が多い。
Qスイッチルビーレーザー694nmの波長。メラニンへの吸収率が非常に高い。切れ味は鋭いが、炎症後色素沈着がやや出やすい。ADM治療の実績が豊富。
ピコレーザー(YAG/Alex)衝撃波でメラニンを粉砕。熱ダメージが少ない。かさぶたが薄い、またはできないこともある。色素沈着のリスクが低減されている。

一般的な茶クマ(色素沈着)への効果的な対策

診断の結果、ADMではなく一般的な茶クマ(色素沈着)であった場合、あるいはADM治療と並行して表面の色素沈着を改善したい場合には、肌のターンオーバーを促進し、メラニンの生成を抑制するアプローチが必要です。

ここでは、自宅やクリニックで行える茶クマ対策について解説します。

外用薬と内服薬によるアプローチ

茶クマの改善には、今あるメラニンを排出し、新しいメラニンを作らせない「攻め」と「守り」のケアが必要です。医療機関で処方される外用薬として代表的なのが「ハイドロキノン」と「トレチノイン」です。

ハイドロキノンはメラニンの生成を強力にブロックする作用があり、トレチノインは肌のターンオーバーを数倍に早めてメラニンの排出を促します。

内服薬では、メラニン生成を抑える「トラネキサム酸」や「ビタミンC(シナール)」、ターンオーバーを整える「L-システイン」や「ビタミンE(ユベラ)」などが有効です。

これらは即効性はありませんが、数ヶ月単位で継続して服用することで、肌全体のトーンアップや色素沈着の緩和に寄与します。

ただし、ハイドロキノンは刺激が強いため、自己判断での長期使用は白斑などのトラブルを招く恐れがあります。必ず医師の指導のもとで使用期間や濃度を守ることが重要です。

ケミカルピーリングと導入治療

蓄積した古い角質を取り除き、肌の生まれ変わりを助ける「ケミカルピーリング」も茶クマに有効です。酸の力で皮膚表面の角質をマイルドに剥離させることで、停滞していたメラニンの排出をスムーズにします。

また、ピーリングによって薬剤の浸透が高まるため、美白成分の導入治療と組み合わせるのが効果的です。

エレクトロポレーション(イオン導入の進化版)などを用いて、ビタミンCやトラネキサム酸などの有効成分を肌の奥(真皮層付近)まで大量に届ける施術も推奨されます。

これらはダウンタイムがほとんどなく、痛みもないため、継続的なケアとして取り入れやすいのが利点です。

乾燥によるくすみが茶クマを強調している場合も多いため、導入治療による高い保湿効果は目元の透明感を取り戻すのに役立ちます。

生活習慣の見直しと徹底した摩擦レス

どんなに高価な治療を受けても、日常的に新たな色素沈着を作っていては意味がありません。茶クマ対策の基本にして極意は「絶対にこすらない」ことです。

洗顔時はたっぷりの泡をクッションにし、手と肌が直接触れないようにします。タオルドライも押さえるだけに留め、決して横に滑らせてはいけません。

アイメイクのクレンジングも重要です。落ちにくいマスカラやライナーをゴシゴシ擦って落とすのは厳禁です。専用のリムーバーを使い、馴染ませてから優しくオフするように心がけましょう。

また、目のかゆみがある場合は、眼科でアレルギー治療を行い、物理的にこする原因を絶つことも必要です。

紫外線対策も年間を通して行います。サングラスや帽子を活用し、物理的に紫外線を遮断することも効果的です。

これらの地道な習慣の積み重ねが、茶クマの改善と再発防止につながります。

日常で意識すべき摩擦レス習慣

  • 洗顔時は薬指や小指を使い、肌を動かさないように優しく洗う
  • クレンジングは量を多めに使い、摩擦係数を減らす
  • 化粧水やクリームを塗る際も叩いたり擦り込んだりせず、ハンドプレスで馴染ませる
  • 目がかゆくても手で掻かず、点眼薬や保冷剤で対処する

混合タイプ(ADM+肝斑+茶クマ)の治療戦略

実際の臨床現場では、ADM単独であることよりも、ADMに肝斑や茶クマが合併しているケースの方が圧倒的に多く見られます。このような混合タイプの場合、治療の順番を間違えると特定の症状が悪化する恐れがあります。

ここでは、複雑な目元の色味を解消するための戦略的な治療手順について解説します。

治療の優先順位と肝斑のコントロール

ADMと肝斑が混在している場合、基本的には「肝斑のコントロール」を最優先します。

なぜなら、肝斑は非常にデリケートで、ADM治療のような強いレーザー刺激を与えると、炎症を起こして色が濃く広がってしまうリスクがあるからです。

まずは内服薬(トラネキサム酸など)やマイルドなトーニング治療、こすらないケアを徹底し、肝斑の活動を鎮静化させます。

肝斑が落ち着いて色が薄くなってきた段階で、ADMに対する高出力レーザーのスポット照射を行います。あるいは、肝斑を避けながら慎重にADMを狙い撃ちすることもあります。

医師は肌の状態を見極めながら、「今は攻める時期か、守る時期か」を判断します。

患者さん自身も「早く治したい」と焦らず、段階を踏んで治療を進めることに同意し協力することが、最終的な美肌への近道となります。

色素沈着とADMの同時並行ケア

表面の色素沈着(茶クマ)と深層のADMが重なっている場合は、同時並行でのケアが可能です。

ADMに対してはレーザー治療を行い、ダウンタイムの期間中にハイドロキノンなどの外用薬を使用することで、表面の色素沈着も同時に薄くしていくことができます。

レーザー治療後の炎症後色素沈着を予防するためにも、美白内服薬や外用薬の使用は必須となるため、結果的に茶クマの治療も兼ねることになります。

ただし、レーザー照射直後の傷がある状態での外用薬使用は刺激になる場合があるため、医師の指示に従ったタイミングで開始することが大切です。

また、黒クマ(たるみ)が合併している場合は脱脂手術や注入治療などが検討されますが、色素の問題(ADM・茶クマ)とはアプローチが全く異なります。

構造的な影をなくしてから色味の治療をするか、色味をある程度改善してから形状を整えるか、個々の状態に合わせたプランニングが必要です。

複合トラブルの治療ステップ例

段階目的主な治療内容
ステップ1:準備肝斑の沈静化、肌の基礎力向上トラネキサム酸内服、摩擦レスケアの徹底、保湿、UVケア
ステップ2:攻撃ADMの破壊、真皮メラニンの粉砕Qスイッチレーザーまたはピコレーザーのスポット照射
ステップ3:排出・鎮静粉砕されたメラニンの排出、炎症後色素沈着のケア美白外用薬(ハイドロキノン等)、導入治療、内服継続

よくある質問

茶クマやADMはメイクで完全に隠すことはできますか?

一般的な茶クマ(色素沈着)であれば、オレンジ系やイエロー系のコンシーラーを使用することで、補色効果により比較的きれいに隠すことができます。

しかし、ADMの場合は皮膚の深い部分に色があるため、青みや灰色がかった独特の色調が透けてしまい、厚塗りをしても完全に隠すことは困難な場合が多いです。

むしろ隠そうとして厚塗りになることで、かえって目元がグレーっぽく浮いて見えてしまうこともあります。根本的な解決には医療的な治療が必要です。

ADMは遺伝するのでしょうか?

ADMの発症には遺伝的な素因が関わっていると考えられています。親や兄弟にADMや似たようなアザがある場合、体質的に発症しやすい傾向があります。

ただし、遺伝だけで決まるわけではなく、紫外線暴露の量やホルモンバランスの変化、肌への摩擦習慣など、後天的な要因も発症や悪化に大きく影響します。

遺伝的リスクがある方は、早いうちから紫外線対策や摩擦レスなケアを心がけることをお勧めします。

ADMは放っておけば自然に消えますか?

残念ながら、ADMが自然治癒して消えることは基本的にありません。

表皮のシミであればターンオーバーによって薄くなることもありますが、ADMは真皮層にメラニンが存在するため、通常の代謝では排出されにくいのです。

むしろ加齢とともに色が濃くなったり、範囲が広がったり、他のシミと混ざってより複雑に見えるようになることが多いです。

改善するにはレーザー等による物理的な破壊が必要です。

レーザー治療は痛いですか?

痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的にゴムでパチンと弾かれたような瞬間的な痛みを感じます。

ADM治療に使用されるQスイッチレーザーなどは皮膚の奥までエネルギーを届けるため、表面のシミ治療より強い痛みを感じる場合があります。

しかし、現在は麻酔クリームや冷却装置を使用することで、痛みを大幅に緩和することが可能です。ピコレーザーなどは比較的痛みがマイルドと言われています。

不安な場合は事前のカウンセリングで麻酔の使用について相談してください。

治療後すぐに綺麗になりますか?

ADM治療は即効性があるものではなく、照射直後に色が消えるわけではありません。

レーザー照射後は一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着」の時期を経て、マクロファージが分解されたメラニンを食べて掃除してくれるのを待つ必要があります。

このプロセスには数ヶ月単位の時間がかかります。半年から1年程度のスパンで徐々に薄くなっていくものと理解し、焦らず治療を継続することが大切です。

参考文献

MARUMA, Frans, et al. Nevus of Hori in African patients: an entity that is most likely underdiagnosed in clinical practice. International Journal of Women’s Dermatology, 2025, 11.1: e190.

HARA, Yusuke, et al. Correlation between the efficacy of picosecond‐domain laser treatment for solar lentigo and the vascularity in the upper dermis using optical coherence tomography angiography in Asian women. Lasers in Surgery and Medicine, 2024, 56.1: 62-67.

DEEUDOMWONGSA, Pasinee. The effectiveness of intradermal platelet-rich plasma for the treatment of acquired bilateral nevus of Ota-Like macules Hori s nevus in institute of dermatology Thailand, pilot study. 2023. PhD Thesis. Rangsit University.

YOO, J. Differential diagnosis and management of hyperpigmentation. Clinical and experimental dermatology, 2022, 47.2: 251-258.

HO, Stephanie GY; CHAN, Henry HL. The Asian dermatologic patient: review of common pigmentary disorders and cutaneous diseases. American Journal of Clinical Dermatology, 2009, 10.3: 153-168.

SHASHIKIRAN, A. R. Clinical Study of Facial Skin Disorders. 2016. PhD Thesis. Rajiv Gandhi University of Health Sciences (India).

MANUSKIATTI, Woraphong. 13 Use of lasers on Asian skin. Lasers and Energy Devices for the Skin, 2013, 293.

CHAN, Aldous Kwok Keung; WONG, Sky Tin Hau. Utilizing portable dermoscope as a new concept for effective clinical instrument to guide the diagnosis and suggestions of laser dermatology in Asian Pigmentation. 

DAS, P. C.; KUMAR, Piyush (ed.). Atlas of Clinical Dermatology in Coloured Skin: A Morphological Approach. CRC Press, 2023.

KHANNA, Neena; RASOOL, Seemab. Facial melanoses: Indian perspective. Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology, 2011, 77: 552.

この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

目次