なぜ「裏からミッド」なのか|裏ミッドフェイスリフトという発想
私は、クマを量ではなく構造の問題として捉えています。目の下から頬へ続く構造のつながりを整えることを追求し、その結果を臨床で確かめてきました。「切らない・取らない・入れない」は、その中でたどり着いた結論です。
執筆:芝 容平|院長紹介|最終更新:2026年10月19日
目の下は「表面を切らない」方が合理的なことが多い
まず大前提として、皮膚表面を切る治療と切らない治療では、後者の方が肉体的・精神的な負担が少ないことが多い。だからこそ、クマで悩む方に、より受け入れやすい形でクマ治療を検討いただくための選択肢としても、できるだけ表面(皮膚)を切らない設計の方が望ましいと考えています。
これは私が、患者様の顔に“傷を残したくない”という感情だけの話ではありません。目の下は、そもそも皮膚が余りにくい部位です。つまり、皮膚を切って張力で整える発想を前提にしない方が、じつは無理がなくより合理的なのです。
つまり私が「切らない」ことを重視するのは、ライトな治療を提供したいからなどではなく、皮膚表面の張力に頼らずにクマ治療を成立させたいからです。また、より根本的にクマを改善しようとするほど、実は表面ではなく内部から正しく整える必要があります。だから裏から行う、という結論になるのです。
私がクマをこう捉える理由:量ではなく「連続性」
クマは「目の下の脂肪が多い」「凹みが強い」という量だけの話ではありません。もちろん、局所の凹凸が見え方に影響することはありますが、それだけでクマを説明することはできません。
私が一貫して見ているのは、目の下から頬へ続く連続性(面のつながり)です。連続性が崩れると、境界が影として目立ち、疲れて見える。クマの“正体”はここにある。これが私の視点です。
この視点に立つと、「クマは目の下の問題」というよりも、中顔面全体を立体として捉えて整える方が合理的になります。つまり中顔面全体の条件が整えば、目の下の境界も自然に落ち着き、クマが改善する。だから私は、クマを“中顔面全体の問題”として扱います。
なぜ量ではなく、つながりを整えるのか
私が診察で確かめるのは、ふくらみや凹みの大きさだけではありません。目の下と頬がどこで途切れて見え、その境界にどのような段差があるのか。周囲の組織の位置関係を含めて見ています。写真の一場面だけでなく、表情を動かしたときの見え方や、時間の経過も含めて考えることを大切にしています。
私は、目に見える凹凸に合わせて取る量や足す量を決める前に、もともとある組織のつながりをどう整えるかを考えます。目の下の段差を整えるだけで十分か、中顔面の位置関係まで整える必要があるかを判断し、必要な範囲を整える。その結果を確かめ、十分であれば治療を追加しない。課題が残った場合に、その原因と追加の必要性を判断する。これが、私の治療の考え方です。
「目の下」だけでは結論に届きにくい
一般的なクマ治療(脱脂・注入・裏ハムラなど)は、目の下の凹みやふくらみといった“局所の問題”から考えるコンセプトになりやすい傾向があります。もちろん適応が合えば有効ですし、それらの治療で満足している患者様もたくさんいます。ただ、私の経験では、クマの中心が連続性にあるタイプでは、局所だけを整えても境界部分の問題が残ることがあります。
同じように、「裏ハムラにミッドフェイスリフトを加える」発想の治療もあります。これも一つのアプローチですが、私の重視するクマ治療の設計は、量を均すより、連続性を取り戻すことを先に置く点が違います。
裏ハムラの処置を含め、中顔面のつながりを整える
連続性を優先する発想に立つと、「目の下の脂肪を下へ動かす」だけでは届かないことがあります。頬のボリュームを“増やす”ことでも、連続性は十分に改善できません。必要なのは、中顔面を土台から整えて、立体としてのつながりを作り直すことです。
私が行う裏ミッドには、裏ハムラの処置が含まれます。私が重視しているのは、目の下の段差と頬の位置関係を、最初から一続きの構造として捉えることです。裏ハムラだけで十分な場合には、治療を広げません。
まとめ:裏からミッドは、順番の結論
目の下は皮膚が余りにくいため、切除の優先度は低く、また表面を引っ張るだけでは長期経過は安定しません。加えて、クマは量ではなく、連続性(立体のつながり)の問題としてとらえることがより本質を捉えています。
この2つを前提にすると、結論は「目の下単独」ではなく「中顔面全体」。そして「表から」ではなく「裏から」になります。
裏ミッドフェイスリフト——これは、私のこだわりというより、クマをよりよく改善するための設計によって導かれた結論です。
