目の下の脂肪は加齢で増える?たるみが年々ひどくなる原因

「年々、目の下のふくらみが大きくなっている気がする」「鏡を見るたびに老けた印象になっていく」――そんな悩みを抱えていませんか。目の下のたるみは、多くの方が加齢とともに実感する変化の一つです。

じつは目の下の脂肪そのものが増えているわけではなく、脂肪を支える組織の衰えが根本的な原因となっています。

この記事では、年齢を重ねるごとに目の下のたるみがひどくなる仕組みを、医学的な根拠にもとづいてわかりやすく解説します。

目次

目の下の脂肪は加齢で本当に増えるのか|多くの方が誤解している事実

結論からお伝えすると、目の下の脂肪(眼窩脂肪)は加齢によって量そのものが増えるわけではありません。年齢を重ねて目の下がふくらんで見えるのは、脂肪を押さえている組織が弱くなり、前方へ押し出されるためです。

眼窩脂肪とは目を守るクッションのような存在

目の下にある脂肪は、医学的に「眼窩脂肪(がんかしぼう)」と呼ばれます。頭蓋骨のくぼみ(眼窩)の中で眼球を包むように存在し、外からの衝撃を吸収するクッションとして働いています。

つまり、眼窩脂肪はすべての人に生まれつき備わっている、目を保護するための大切な組織です。量には個人差があり、遺伝的に多い方もいれば少ない方もいます。

「脂肪が増えた」と感じるのは支える力が弱まったから

眼窩脂肪は体脂肪とは代謝のしくみが異なります。太ったからといって眼窩脂肪が増えることはなく、反対にダイエットをしても減ることはありません。

比較項目眼窩脂肪体脂肪(皮下脂肪)
場所眼球の周囲全身の皮膚の下
食事・運動の影響ほぼ受けない増減する
加齢での変化前に押し出される頬などでは減少する
ダイエットで減るか減らない減りやすい

脂肪の量が変わらなくても見た目が変わる理由

若いうちは、眼窩隔膜(がんかかくまく)という薄い膜と眼輪筋(がんりんきん)というまぶたの周りの筋肉が、脂肪を奥に押さえ込んでいます。しかし加齢でこれらの組織がゆるむと、内側の脂肪が前へ飛び出してきます。

その結果、脂肪の総量は同じでも、目の下にふくらみが生じて「増えた」と感じるようになるのです。

目の下のたるみが年々ひどくなる5つの原因を年代別に解説

目の下のたるみは、ある日突然現れるものではありません。複数の要因が長い年月をかけて少しずつ積み重なり、やがて目に見える変化として現れます。

眼輪筋の衰えが目の下のふくらみを加速させる

眼輪筋は目の周りをぐるりと囲む薄い筋肉で、まばたきのたびに収縮しています。この筋肉には眼窩脂肪が前に出てこないように押さえるはたらきがあり、加齢で筋力が落ちると脂肪の飛び出しを食い止められなくなります。

30代後半から40代にかけて「なんだか目元が疲れて見える」と感じ始める方が多いのは、眼輪筋の衰えが進みやすい時期と重なるからです。

眼窩隔膜や靭帯がゆるむと脂肪の「ダム」が決壊する

眼窩脂肪を奥に閉じ込めている眼窩隔膜や、眼球を下から支えるロックウッド靭帯も年齢とともにゆるんでいきます。これらは筋肉ではなく線維性の組織のため、トレーニングで鍛えることができません。

膜や靭帯の弾力が失われると、脂肪が前方へ押し出されるだけでなく、眼球そのものがわずかに下がることもあります。その圧力でさらに脂肪が突出し、たるみが悪化する悪循環に陥りやすくなります。

コラーゲンとエラスチンの減少が肌のハリを奪う

皮膚の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンは、20代後半から少しずつ産生量が低下していきます。目の下の皮膚は顔の中でもとくに薄いため、ハリの低下が目立ちやすい部位です。

紫外線ダメージが蓄積すると、コラーゲンの分解がいっそう進みます。長年の紫外線対策の差が、40代以降の目元の印象を大きく左右するといえるかもしれません。

頬の骨や皮下脂肪が減って高低差が目立つ

加齢に伴い、頬の骨(頬骨)や皮下脂肪は少しずつ痩せていきます。頬がくぼんでくると、目の下のふくらみとの高低差が大きくなり、たるみがいっそう強調されて見えるようになります。

50代・60代で「急にたるみがひどくなった」と感じる方は、眼窩脂肪の突出だけでなく、頬のボリューム減少も影響している可能性が高いです。

年代主な変化見た目への影響
20代後半〜30代前半コラーゲン産生量の低下乾燥小じわが出始める
30代後半〜40代眼輪筋・隔膜の衰え目の下のふくらみが出現
50代以降頬の骨・皮下脂肪の減少たるみと影が顕著になる

目の下のクマとたるみは別物|黒クマ・青クマ・茶クマの見分け方

目の下のたるみと「クマ」は混同されがちですが、原因も対処の方向性もまったく異なります。自分の目元がどのタイプに当てはまるかを知ることが、適切なケアへの第一歩となるでしょう。

黒クマは眼窩脂肪の突出による影が原因

黒クマは、目の下の脂肪が前に飛び出し、その下に影ができることで暗く見えるタイプです。上を向いて鏡を見ると影が消えるのが特徴で、加齢による目の下のたるみと深く関係しています。

メイクやコンシーラーでは影を完全に隠しにくいため、悩みを抱える方が多い傾向にあります。

青クマは血行不良で皮膚の下の血管が透けて見える

目の下の皮膚はとても薄いため、寝不足や疲労で血行が悪くなると、血管中の暗い色の血液が透けて青紫色に見える場合があります。温めたタオルを当てて一時的に改善するようであれば、青クマの可能性が高いです。

クマの種類主な原因簡易チェック法
黒クマ眼窩脂肪の突出による影上を向くと薄くなる
青クマ血行不良・皮膚の薄さ温めると薄くなる
茶クマ色素沈着(メラニン)引っ張っても色が変わらない

茶クマは摩擦や紫外線による色素沈着で起こる

茶クマの原因はメラニン色素の沈着です。目をこする癖がある方や、紫外線対策が不十分な方に多く見られます。皮膚を引っ張っても色が変わらない場合は、茶クマである可能性があるでしょう。

誤ったマッサージで目の周りを強くこすると、かえって茶クマを悪化させることがあるので注意が必要です。

目の下の脂肪が目立ちやすい人に共通する特徴とセルフチェック法

同じ年齢でも目の下のたるみが目立つ方とそうでない方がいます。生まれ持った骨格や体質が影響しているケースが多く、早い段階で自分のタイプを把握しておくと、将来の変化にも備えやすくなります。

遺伝的に眼窩脂肪が多い体質は若い頃から要注意

眼窩脂肪の量は遺伝の影響を受けやすいとされています。両親の目の下にふくらみが見られる場合、お子さんにも同様の傾向が出やすいかもしれません。

脂肪の量が多い方は、まだ若い20代のうちから目の下がふっくらして見えることがあります。加齢で支持組織がゆるむと、そのふくらみがさらに顕著になりやすいため、早めの対策を意識しておくとよいでしょう。

頬骨が低い骨格は高低差でたるみが際立つ

頬骨の位置が低めの骨格の方は、目の下のふくらみとの段差が生じやすく、たるみが目立ちやすい傾向があります。

骨格そのものを変えることはできませんが、この特徴を知っておくと、鏡を見たときの「なぜ自分だけ」という不安が少し和らぐのではないでしょうか。

スマホやPCの長時間使用が眼輪筋を衰えさせる

長時間の画面注視はまばたきの回数を大幅に減らします。まばたきは眼輪筋を動かすトレーニングのような役割を果たしているため、回数が減ると筋力低下を招きやすくなります。

デスクワークが中心の方や、スマートフォンを一日に何時間も使う方は、年齢にかかわらず目の下のたるみが進行しやすいと考えられています。意識的にまばたきを増やしたり、こまめに目を休める習慣を取り入れてみてください。

目の下の脂肪が目立ちやすい方のチェック

  • 両親に目の下のふくらみがある(遺伝的に眼窩脂肪が多い可能性)
  • 頬がフラットで凹凸が少ない骨格(高低差でたるみが際立ちやすい)
  • 1日8時間以上PC・スマートフォンを使用している(眼輪筋が衰えやすい)
  • 目をこする癖がある(皮膚が伸びて茶クマも併発しやすい)

自己流マッサージは逆効果になりやすい|目の下のたるみケアで避けるべきこと

目の下のたるみが気になると、つい自分でなんとかしようと考えるものです。しかし、誤ったセルフケアはたるみを悪化させるリスクがあります。

目の周りの強いマッサージが皮膚を伸ばしてしまう

「たるみにはマッサージが効く」と信じて目の下を強くこすったり押したりする方がいますが、目の下の皮膚はわずか0.5mm程度と非常に薄く、物理的な刺激で容易に伸びてしまいます。

皮膚が伸びるとハリが失われ、たるみがさらに進行する原因になりかねません。加えて、摩擦による色素沈着で茶クマを引き起こすおそれもあります。

眼輪筋トレーニングだけでは脂肪の突出を防ぎきれない

眼輪筋を鍛えるエクササイズは目元の血行促進には役立ちますが、すでに飛び出している脂肪を元に戻す効果は期待しにくいでしょう。とくに眼窩隔膜や靭帯のゆるみが主な原因である場合、筋力だけでは支えきれません。

予防の意味では一定の価値がありますが、「トレーニングだけでたるみが治る」と過信しないことが大切です。

たるみを悪化させやすいセルフケアの例

  • 強い力で目の周りを押す・こするマッサージ
  • 美顔ローラーを目の下に長時間当てる行為
  • アイクリームをすり込むようにゴシゴシ塗る習慣

市販のアイクリームに過度な期待を寄せない

保湿成分を配合したアイクリームは、乾燥による小じわのケアには有効な場合があります。ただし、すでに突出した眼窩脂肪を化粧品で戻すことはできません。

紫外線対策や保湿は、これ以上の悪化を防ぐ「予防ケア」として位置づけるのが現実的です。たるみの根本的な原因に働きかけたい場合は、医療機関への相談も選択肢に入れてみてください。

目の下の脂肪によるたるみを予防するために日常生活で気をつけたいこと

すでにできてしまった目の下のたるみを完全にセルフケアで消すのは困難ですが、日常生活の中で進行を遅らせる工夫はできます。毎日の小さな心がけが、5年後・10年後の目元の印象を変えてくれるでしょう。

紫外線対策は目元のコラーゲンを守る基本

紫外線は皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊し、ハリの低下を促進させます。目の下の薄い皮膚はダメージを受けやすいため、日焼け止めの塗布やサングラスの着用を習慣にしてください。

とくに春から夏にかけて紫外線量が増える時期は、SPF値の高い日焼け止めを目の周りにもしっかり塗ることが重要です。曇りの日でも紫外線は降り注いでいるため、年間を通じた対策が望ましいといえます。

スマホ・PCの使用時間を意識してまばたきを増やす

画面を注視しているとき、まばたきの回数は通常の約4分の1まで減るともいわれています。1時間に1回は画面から目を離し、意識的にまばたきを繰り返すだけでも、眼輪筋への刺激になります。

遠くの景色を眺めて目の筋肉をリラックスさせる「20-20-20ルール」(20分ごとに20フィート=約6メートル先を20秒見る)も取り入れやすい方法です。

質の高い睡眠と血行促進で目元のコンディションを整える

慢性的な寝不足は血行不良を招き、目元のむくみや青クマの原因になります。充分な睡眠時間の確保はもちろん、就寝前のスマートフォン使用を控えて睡眠の質を高めることも大切です。

入浴時に身体を温めて全身の血行を促し、目の周りの老廃物を流しやすくすることも心がけてみてください。ホットタオルを目元にのせる習慣も、リラックス効果と血行促進の両方が期待できます。

日常ケア目的ポイント
紫外線対策コラーゲンの分解を防ぐ通年で日焼け止め使用
まばたき習慣眼輪筋の衰え予防1時間に1回は休憩
良質な睡眠血行促進・回復力の維持就寝前のスマホを控える
ホットタオル目元の血流改善蒸しタオルを5分程度

目の下のたるみ治療で医療機関に相談すべきタイミングと受診の目安

セルフケアだけでは改善が難しいと感じたら、無理を続けるよりも医療機関に相談するほうが合理的です。受診のタイミングを迷っている方のために、目安をまとめました。

「もう少し様子を見よう」と先延ばしにするリスク

目の下のたるみは加齢とともに進行するため、放置すればするほど見た目の変化が大きくなっていきます。ふくらみが大きくなると、脂肪を除去した後に余った皮膚がしわとなって残るケースも出てきます。

早い段階で医療機関に相談すれば、複数の選択肢の中から自分に合った方法を検討しやすくなるでしょう。

メイクやコンシーラーで隠しきれなくなったら受診の目安

サイン考えられる状態
上を向いても影が消えない脂肪突出+皮膚のたるみが進行
目の下のふくらみが年々大きくなる支持組織のゆるみが進行中
コンシーラーを塗っても影が目立つふくらみの段差が大きい
周囲から「疲れてる?」と頻繁に聞かれる他者から見ても変化がわかる段階

治療法の種類と特徴を知ったうえで医師と話し合う

目の下のたるみに対する治療法にはいくつかの種類があります。代表的なのは、まぶたの裏側から眼窩脂肪を取り除く「経結膜脱脂術」です。皮膚の表面を切らないため傷跡が目立ちにくいのが特徴といえます。

そのほかにも、脂肪を再配置する方法や、皮膚のたるみもあわせて改善する術式など、症状に応じた治療の選択肢があります。医師の診察を受け、ご自身の状態に合った方法を相談されることをおすすめします。

よくある質問

目の下の眼窩脂肪はダイエットで減らせる?

眼窩脂肪は体脂肪とは異なる代謝をしているため、食事制限や運動で減らすことはできません。体重が増えても眼窩脂肪が増えることはなく、逆に痩せても減ることはないとされています。

目の下のふくらみが気になる場合は、ダイエットではなく、支持組織の衰えに対するアプローチを検討する必要があります。まずは医療機関で現在の状態を確認してもらうとよいでしょう。

目の下のたるみは何歳くらいから目立ち始める?

一般的には30代後半から40代にかけて自覚する方が多いとされています。ただし、遺伝的に眼窩脂肪が多い方や、長時間のデスクワークで目を酷使している方は、20代から目立ち始めることもあります。

年齢だけで一概に判断できるものではなく、骨格や生活習慣の影響も大きいため、気になり始めたタイミングが相談の適切な時期といえます。

目の下の眼窩脂肪を取り除くと再発することはある?

一度取り除いた眼窩脂肪が元通りに増えることは基本的にありません。ただし、加齢は止められないため、残存する脂肪が長い年月をかけて再び突出してくる可能性はゼロではないとされています。

そのため、治療後も紫外線対策や眼輪筋を意識した生活習慣を続けることが、良い状態を長く保つうえで大切です。

目の下のたるみに市販のアイクリームは効果がある?

アイクリームに含まれる保湿成分やレチノールなどは、乾燥による小じわの軽減には一定の効果が見込めます。しかし、すでに前方に突出した眼窩脂肪を化粧品で元の位置に戻すことはできません。

あくまでも肌の保湿やコンディション維持を目的とした「予防的なケア」として活用し、たるみの根本的な改善を期待しすぎないことが大切でしょう。

目の下の眼窩脂肪の突出と黒クマはどう関係している?

黒クマの正体は、目の下に突出した眼窩脂肪によってできる「影」です。脂肪のふくらみが大きいほど影も深くなり、暗い印象を与えます。上を向いたときにクマが薄くなるようであれば、黒クマの可能性が高いといえます。

つまり、黒クマと目の下のたるみは同じ原因から生じていることが多く、脂肪の突出を改善すれば黒クマも軽減されるケースが多いと考えられています。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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