茶クマ改善にハイドロキノンは有効?レチノールとの併用方法と副作用の注意点

結論から申し上げますと、色素沈着が主な原因である茶クマに対して、強力な美白作用を持つハイドロキノンは非常に有効な選択肢となります。

さらに、肌の代謝を促すレチノールを併用することで、その改善効果をより高めることが期待できます。

しかし、目元の皮膚は非常に薄くデリケートであるため、副作用のリスクを正しく理解し、安全な使用手順を守ることが何よりも重要です。

本記事では、茶クマを根本からケアするための具体的な方法と、トラブルを避けるための必須知識を網羅的に解説します。

目次

茶クマの正体とハイドロキノンが効く理由

茶クマの根本原因である「色素沈着」に対して、ハイドロキノンはメラニン色素を薄くする還元作用と、新たなメラニンの生成を阻害する作用の二つの面からアプローチするため、高い改善効果が期待できます。

多くの人が悩む目の下のクマには種類がありますが、ハイドロキノンが明確に効果を発揮するのは「茶クマ」です。

なぜなら、青クマは血行不良、黒クマはたるみによる影が原因であるのに対し、茶クマだけが皮膚そのものにメラニン色素が沈着している状態だからです。

茶クマは日々のメイク時の摩擦、紫外線ダメージ、あるいはアトピー性皮膚炎などの炎症後に残った色素沈着が蓄積して形成されます。

ハイドロキノンは「肌の漂白剤」とも呼ばれるほど強力な成分であり、一般的な美白化粧品に含まれる成分と比較して、数十倍から百倍近くの美白効果があると言われています。

すでにできてしまったシミや色素沈着を薄くする還元作用があるため、定着してしまった茶クマを改善へ導く鍵となります。

ただし、その効果の強さは、同時に肌への刺激にもなり得ることを理解しておく必要があります。

茶クマの原因は色素沈着

茶クマかどうかを見分ける簡単な方法は、目の下の皮膚を優しく引っ張ってみることです。皮膚と一緒に茶色い色味が動く場合、それは色素沈着による茶クマである可能性が高いです。

一方で、引っ張っても色味が変わらない、あるいは薄くなる場合は、眼窩脂肪の突出による影(黒クマ)や、血管の色が透けて見えている(青クマ)可能性があります。

茶クマは、皮膚の浅い部分(表皮)または深い部分(真皮)にメラニンが過剰に蓄積することで発生します。

このメラニン蓄積の最大の要因は「摩擦」です。目をこする癖、クレンジング時の強い力、アイメイクのチップによる刺激などが、微弱な炎症を繰り返し引き起こします。

肌は防御反応としてメラニンを生成し、それが排出されずに残ることで茶色くくすんで見えます。したがって、茶クマの改善には今ある色素を薄くする攻めのケアと、新たな刺激を与えない守りのケアの両輪が必要です。

クマの種類と特徴

クマの種類主な原因ハイドロキノンの有効性
茶クマ色素沈着、摩擦、紫外線、乾燥非常に有効(色素を薄くする)
青クマ血行不良、睡眠不足、冷え、眼精疲労効果なし(血流改善が必要)
黒クマ加齢によるたるみ、眼窩脂肪の突出、むくみ効果なし(リフトアップや脱脂が必要)

ハイドロキノンの漂白作用とは

ハイドロキノンが「漂白剤」と表現されるのは、酸化して濃くなったメラニン色素を還元し、色を薄くする作用を持っているからです。これは、ビタミンCなどが持つ還元作用よりも強力です。

写真の現像液として使われていた歴史があるように、物質を還元させる力が非常に強いため、皮膚内部に沈着した褐色の色素に対して直接的に働きかけます。

茶クマは、古い角質の中にメラニンが含まれて滞留している状態や、表皮細胞そのものに色素が受け渡されている状態で目立ちます。ハイドロキノンを塗布することで、これらの色素が徐々に淡色化され、肌のトーンが明るくなります。ただし、即効性を期待しすぎて高濃度のものを自己判断で使用すると、逆に炎症を引き起こし、色素沈着を悪化させるリスクもあるため、濃度の選定は慎重に行う必要があります。

メラニンの生成を抑える働き

ハイドロキノンには、今あるシミを薄くするだけでなく、将来のシミを防ぐ予防的な効果もあります。

具体的には、メラニン色素を作り出す工場である「メラノサイト」の働きを抑制し、メラニンの元となる酵素「チロシナーゼ」の活性を阻害します。これにより、新たな色素の合成がストップします。

茶クマができやすい肌は、慢性的な刺激によりメラノサイトが活性化している状態にあります。ここでハイドロキノンを使用することで、過剰なメラニン生成のサイクルを断ち切ることができます。

つまり、排出されるメラニンの量に対して生成される量が減るため、徐々に皮膚の色味が正常に戻っていくという好循環を作り出すことができるのです。

ハイドロキノンの正しい使い方と塗る順番

ハイドロキノンを使用する際は、洗顔後の清潔な肌に化粧水などで十分に保湿を行った後に塗布するのが基本であり、成分の劣化を防ぐために開封後は冷暗所で保管し早めに使い切ることが重要です。

正しい使い方を守らなければ、期待する効果が得られないばかりか、肌トラブルの原因となります。特に目元は顔の中でも皮膚が薄く、薬剤の浸透が良い反面、刺激を受けやすい部位です。

そのため、全顔用の美容液と同じ感覚で塗り広げるのではなく、ピンポイントで丁寧に扱う繊細さが求められます。また、ハイドロキノンは酸化しやすい成分であるため、製品の管理状態も効果に大きく影響します。

茶色く変色してしまったハイドロキノンは刺激物質に変化している可能性があるため、使用を控えるのが鉄則です。

洗顔後のスキンケア手順

スキンケアの順番は、水分の多いものから油分の多いものへと重ねていくのが基本ルールですが、ハイドロキノンをどの段階で投入するかは、製品のタイプや処方によって多少異なります。

しかし、一般的には化粧水や美容液で肌を整えた後、乳液やクリームの前に使用するか、全てのケアの最後に使用するケースが多いです。

肌が乾燥している状態でハイドロキノンを塗ると、浸透が良すぎて刺激を感じやすくなることがあります。そのため、まずは化粧水でたっぷりと水分を補給し、肌のバリア機能を整える土台作りが大切です。

もしレチノールなどの他の活性成分と併用しない単独使用の場合は、以下のリストのような手順が推奨されます。この順序を守ることで成分の効果を最大限に引き出しつつ、肌への負担を和らげることができます。

  • ステップ1:優しい洗顔
    摩擦を与えないようにたっぷりの泡で優しく洗顔し、ぬるま湯ですすぎます。タオルドライも押さえるように行います。
  • ステップ2:十分な保湿
    化粧水、水溶性の美容液を塗布し、肌に水分を与えます。目元の乾燥が気になる場合は刺激の少ないアイクリームを先に薄く塗ることもあります。
  • ステップ3:ハイドロキノンの塗布
    茶クマの気になる部分からはみ出さないように、綿棒や清潔な指先を使って薄く塗布します。
  • ステップ4:保護と蓋
    ハイドロキノンが馴染んだら乳液やクリームで肌全体を保湿し、成分を閉じ込めます。

スポット使いが基本

ハイドロキノンを目元に使用する場合、広範囲に塗り広げることは避けるべきです。理由は二つあります。

一つは、正常な皮膚に塗布することで、その部分の色素まで抜けてしまい「白斑(はくはん)」という色抜けトラブルを引き起こすリスクがあるためです。

もう一つは、目の中に入ったり、粘膜近くに付着したりすることで強い痛みや炎症を引き起こす危険性があるからです。

茶クマの範囲は人によって異なりますが、あくまで「茶色くなっている部分」だけに留める意識が必要です。指の腹で適当に塗るのではなく、鏡を見ながら綿棒などを使って丁寧にのせていく方法が適しています。

また、塗布した直後に目をこすると、成分が広がって目の中に入る恐れがあるため、塗布後は触らないように注意しましょう。

使用期間と休薬期間のルール

ハイドロキノンは、長期間漫然と使い続ける成分ではありません。一般的には3ヶ月から半年程度を目安に使用し、その後は必ず休薬期間を設けることが推奨されます。

これは、長期連用によって肌に耐性ができて効果が薄れたり、「組織黒変症(オクロノーシス)」と呼ばれる、逆に肌が黒く変色してしまう稀な副作用を防ぐためです。

茶クマが完全に消えていなくても、一定期間使用したら一度使用を中止し、1ヶ月から2ヶ月程度肌を休ませる期間を作ります。

この休薬期間中は、ハイドロキノン以外の美白成分(トラネキサム酸やビタミンCなど)で維持療法を行うのが良いでしょう。メリハリをつけて使用することで、安全かつ効果的に治療を継続することができます。

レチノールとの併用で効果を高める方法

レチノールの持つ強力なターンオーバー促進作用により、メラニンを含んだ古い角質を排出しやすくし、ハイドロキノンの浸透を高めることで、単独使用よりも早く確実な茶クマ改善効果が期待できます。

美容皮膚科などの医療機関では、ハイドロキノンとレチノール(またはその活性型であるトレチノイン)を併用する治療法がスタンダードです。

ハイドロキノンが「新しいメラニンを作らせない・今あるメラニンを薄くする」役割を持つのに対し、レチノールは「肌の生まれ変わりを早めて、メラニンを外へ押し出す」役割を担います。

この二つの成分がタッグを組むことで、色素沈着の改善スピードは飛躍的に向上します。ただし、作用が強まる分、副反応(ダウンタイム)も出やすくなるため、コントロールには知識が必要です。

レチノールのターンオーバー促進作用

レチノールはビタミンAの一種であり、皮膚の細胞に働きかけて代謝を活性化させます。

通常、肌は約28日から40日程度の周期で生まれ変わりますが、加齢やダメージによりこの周期は遅くなりがちです。茶クマが治りにくいのは、沈着した色素がいつまでも肌の奥に留まっているためです。

レチノールを使用すると、表皮の細胞分裂が活発になり、深層にある細胞がどんどん表面へと押し上げられます。

これに伴い、ハイドロキノンによって漂白された、あるいは抑制されたメラニン色素も古い角質と共に垢となって剥がれ落ちていきます。つまり、レチノールは肌の排出機能をブーストさせるエンジンのような役割を果たします。

単独使用と併用療法の比較

使用方法主なメリット主なデメリット・注意点
ハイドロキノン単独刺激が比較的少なく、マイルドに作用する。副作用のリスクが低い。改善までに時間がかかる。古い角質が厚いと浸透しにくい。
レチノール単独肌のハリが出る、小じわ改善、ターンオーバー正常化。漂白作用はないため、濃い色素沈着の改善には限界がある。
併用療法相乗効果で改善スピードが速い。難治性の茶クマにも有効。赤み、皮むけなどの反応が出やすい。徹底した管理が必要。

併用療法(トレチノイン療法)のメリット

医療機関で行われる「トレチノイン・ハイドロキノン療法」は、茶クマ治療において非常に高い実績があります。トレチノインはレチノールの約50倍から100倍の生理活性を持つと言われており、強力にターンオーバーを促します。

この治療のメリットは単に色を薄くするだけでなく、皮膚のコラーゲン生成も促すため、目元のハリが改善し、皮膚が厚くなることで下の血管などが透けにくくなるという副次的な効果も期待できる点です。

市販のレチノール化粧品とハイドロキノンを組み合わせる場合でも、このメカニズムは同様に働きます。特に茶クマと同時に小じわやたるみも気になるという場合には、併用療法が適した選択肢となります。

色素ケアとエイジングケアを同時に行える点は、大きな魅力と言えるでしょう。

併用時の塗布順序と注意点

併用する場合の塗る順番は、製品によって指定がある場合を除き、基本的には「レチノールが先、ハイドロキノンが後」もしくは「混ぜて使う」などの指示が医師からなされることが多いです。

ただし、市販品同士を組み合わせる場合は注意が必要です。一般的には、全顔に使えるマイルドなレチノール美容液を塗布した後、気になる茶クマ部分にのみハイドロキノンを重ねる方法が安全です。

注意すべきは、両方の成分ともに刺激性があることです。同時に使い始めると、強い反応(A反応)が出て目元が腫れたり、皮がむけすぎてヒリヒリしたりすることがあります。

まずはどちらか一方から開始し、肌を慣らしてから併用を始める、あるいは隔日で使用するなど肌の状態を見ながら慎重に進めることが大切です。

また、これらを塗布した直後の肌はバリア機能が低下しているため、保湿剤でしっかりと蓋をすることを忘れてはいけません。

知っておくべきハイドロキノンの副作用とリスク

ハイドロキノンは効果が高い反面、赤み、かぶれ、刺激感といった副作用が現れやすく、誤った使い方や紫外線対策の不足は逆に色素沈着を悪化させる原因となるため、肌の反応を常に観察する必要があります。

「副作用のない薬はない」と言われるように、強力な作用を持つハイドロキノンにもリスクは存在します。特に日本人の肌は欧米人に比べてデリケートであり、刺激に対する反応が出やすい傾向にあります。

使用を開始する前に、どのようなリスクがあるのか、自分の肌に異変が起きたときにどう判断すべきかを知っておくことは、茶クマ治療を成功させるための必須条件です。

安易な使用は茶クマを治すどころか、より濃いシミを作ってしまう結果になりかねません。

赤みやヒリヒリ感(刺激性接触皮膚炎)

ハイドロキノンの使用初期に最も多く見られる副作用が、塗布部位の赤みやヒリヒリとした刺激感です。これは成分そのものの刺激による接触皮膚炎の一種です。

特に高濃度の製品(4%以上など)を使用した際や、肌のバリア機能が低下している時に起こりやすくなります。

軽度であれば、肌が慣れるにつれて治まることもありますが、我慢できないほどの痛みや、浸出液が出るような強い炎症がある場合は、直ちに使用を中止する必要があります。

この炎症を放置して使い続けると炎症後色素沈着(PIH)を引き起こし、元々の茶クマよりも色が濃くなってしまうという本末転倒な事態を招きます。

副作用のレベルと症状

レベル主な症状対応の目安
軽度塗布直後のピリピリ感、うっすらとした赤み、乾燥保湿を強化し、様子を見ながら継続、または隔日使用へ変更。
中等度持続する赤み、皮むけ、痒み、熱感使用を一時中止。冷却と保湿を行い、治まれば低頻度で再開検討。
重度強い腫れ、水ぶくれ、ただれ、強い痛み直ちに使用中止。皮膚科を受診し、適切な処置を受ける。

白斑のリスクについて

白斑(はくはん)とは、メラノサイトが破壊され、皮膚の色素が完全に抜けて白くなってしまう現象です。

かつて化粧品による白斑問題が大きく取り上げられましたが、ハイドロキノンにおいても、5%を超えるような高濃度のものを長期間、広範囲に使用し続けた場合にこのリスクが生じるとされています。

しかし、市販されている1%から2%程度の濃度や、医師の指導下で適切に使用される4%程度の濃度であれば、白斑のリスクは極めて低いと言われています。

重要なのは「正常な皮膚にはみ出して塗らないこと」と「漫然と長期間使用し続けないこと」です。茶クマの部分だけを狙って塗布し、定期的に鏡で肌の状態を確認することで、このリスクは回避可能です。

紫外線による色素沈着の悪化

ハイドロキノンを使用中の肌はメラニン生成が抑制されているため、紫外線に対する防御力が極端に低下しています。

この状態で無防備に日光を浴びると肌はダメージをダイレクトに受け、防御反応として急激にメラニンを作ろうとしたり、強い炎症を起こしたりします。これが、逆にシミを濃くしてしまう最大の原因です。

ハイドロキノンを使用している期間中は日焼け止めの使用は「推奨」ではなく「義務」であると捉えてください。

SPF30以上、PA++以上の日焼け止めを毎朝必ず塗布し、帽子や日傘、サングラスなども活用して物理的に紫外線を遮断することが求められます。

室内であっても窓から紫外線は入ってくるため、朝のスキンケアの一環として日焼け止めを塗る習慣をつけることが大切です。

副作用が出た場合の対処法と中止の目安

もしハイドロキノンの使用中に強い刺激や異常を感じた場合は決して無理をして継続せず、直ちに使用を中断して患部を冷やし、保湿を行うことで肌の鎮静化を図ることが最優先です。

「効いている証拠かもしれない」と自己判断して、痛みを我慢しながら使い続けるのは非常に危険です。特に目元の皮膚は回復にも時間がかかるため、早期の対処が傷跡や色素沈着を残さないための鍵となります。

好転反応(レチノール併用時のA反応など)と、有害な副作用の区別は難しい場合もありますが、生活に支障が出るレベルの不快感がある場合は、迷わず「ストップ」を選択する勇気を持ってください。

すぐに使用を中止すべき症状

以下のような症状が現れた場合は、肌がハイドロキノンに対してアレルギー反応を起こしているか、濃度が高すぎて肌に合っていない可能性があります。

これらは使い続けても慣れるものではなく、悪化の一途をたどる可能性が高いため、即座に使用を中止してください。

  • 我慢できないほどの強い痒み
    無意識に掻いてしまうほどの痒みは、新たな色素沈着の原因
  • パンパンに腫れあがる
    目の周りが浮腫んで人相が変わるほどの腫れは、重篤な接触皮膚炎のサイン
  • 水泡(水ぶくれ)や浸出液
    皮膚のバリアが破壊されていて、感染症のリスクも
  • 塗布範囲を超えて広がる赤み
    アレルギー反応の可能性があり、全身に症状が広がる前に中止が必要

冷却と保湿によるケア

副作用による炎症を鎮めるための応急処置として有効なのが「冷却」です。保冷剤をタオルで包んだものや、冷たいタオルを目元に当てて、血管を収縮させることで赤みや痒みを和らげることができます。

ただし、冷やしすぎは凍傷のリスクがあるため、適度に行いましょう。

冷却後は徹底した保湿が必要です。炎症を起こした肌は極度の乾燥状態にあり、バリア機能が崩壊しています。

アルコールや香料などの刺激成分が入っていない、敏感肌用の高保湿化粧水やワセリンなどを使用して、肌を保護膜で覆ってください。

この時期は美白化粧品やエイジングケア化粧品などの「攻めのケア」は全てお休みし、肌を休ませる「守りのケア」に徹することが大切です。

医師に相談するタイミング

使用を中止し、冷却と保湿を行っても数日以内に症状が改善しない場合、あるいは症状が急速に悪化している場合は、速やかに皮膚科専門医を受診してください。

自己判断で市販のステロイド軟膏などを使用すると、症状を複雑化させる恐れがあります。

受診の際は使用していたハイドロキノン製品(および併用していたレチノール製品)を持参し、「いつから」「どのくらいの頻度で」「どの範囲に」使用したかを正確に医師に伝えることで、適切な診断と治療を受けることができます。

早めの受診が、色素沈着を残さずにきれいに治すための近道です。

ハイドロキノンが使えない人のための代替成分

ハイドロキノンの刺激が強すぎて肌に合わない場合や、アレルギーがある場合でも、アルブチンやトラネキサム酸、ビタミンC誘導体など、よりマイルドで安全性の高い美白成分を活用することで、時間をかけて茶クマを改善していくことは十分に可能です。

ハイドロキノンは確かに強力ですが、唯一の正解ではありません。敏感肌の人や妊娠中・授乳中でハイドロキノンの使用を控えたい人にとって、代替成分は心強い味方となります。

これらはハイドロキノンほどの劇的な即効性は期待できないものの、長期的に使用することで確実にメラニンの生成を抑え、肌のターンオーバーを整えて茶クマを目立たなくさせる効果があります。

主な代替美白成分と特徴

成分名主な働きハイドロキノンとの比較
アルブチンチロシナーゼの働きを阻害し、メラニン生成を抑制ハイドロキノンの誘導体。効果は穏やかだが、安全性と安定性が高い。
コウジ酸銅イオンを取り込み、チロシナーゼの活性を防ぐ分子量が小さく浸透性が良い。黄ぐすみ対策にも定評がある。
ビタミンC誘導体メラニンの還元作用、生成抑制、皮脂抑制美白だけでなく、コラーゲン生成促進などマルチな効果がある。
トラネキサム酸メラノサイト活性化因子(プラスミン)をブロックし炎症を鎮める抗炎症作用があるため、摩擦による茶クマや肝斑に特に適している。

アルブチンやコウジ酸の活用

アルブチンは「ハイドロキノン誘導体」とも呼ばれ、肌の中で酵素と反応してハイドロキノンに変化することで効果を発揮する成分と、構造が似ていてメラニン生成酵素を阻害する成分があります。

ハイドロキノンそのものよりも刺激が大幅に軽減されており、多くの美白化粧品に配合されています。敏感肌でハイドロキノンが怖いという方は、まずはアルブチン配合のアイクリームから試してみるのが良いでしょう。

コウジ酸は、酒造りに携わる杜氏の手が白いことから発見された成分です。メラニンを作る酵素が必要とする銅イオンを奪い取ることで酵素の働きを止めます。

皮膚科でも処方されることがあり、ハイドロキノンアレルギーの患者さんへの代替治療薬として実績があります。

ビタミンC誘導体の働き

ビタミンCは美肌の万能成分ですが、そのままでは肌に浸透しにくく酸化しやすいため、化学的に安定させて浸透力を高めたものが「ビタミンC誘導体」です。

茶クマに対しては濃くなったメラニンを薄くする還元作用と、これからできるメラニンを防ぐ作用の両方を持っています。

さらに、ビタミンC誘導体には真皮のコラーゲン生成を助ける働きがあります。これにより、皮膚に厚みとハリが生まれ、茶クマだけでなく、皮膚が薄いために目立つ青クマや、たるみによる黒クマの予防にも寄与します。

ハイドロキノンが夜のみの使用推奨であるのに対し、ビタミンC誘導体は朝の使用も可能で、紫外線ダメージから肌を守る効果も期待できます。

トラネキサム酸の内服と外用

茶クマの原因が「摩擦」や「慢性的な炎症」である場合、トラネキサム酸が非常に効果的です。

トラネキサム酸は、メラノサイトに「メラニンを作れ」という指令を出す情報伝達物質(プロスタグランジンなど)の働きをブロックします。つまり、炎症の火種を消すような役割を果たします。

化粧品としての外用も有効ですが、皮膚科で処方される内服薬としてのトラネキサム酸は体の中から全身の色素沈着や肝斑に働きかけるため、頑固な茶クマに対してより高い効果を発揮することがあります。

ハイドロキノンが「できたシミ」への対症療法なら、トラネキサム酸は「シミができる原因」への根本療法に近い位置付けとなります。

茶クマを悪化させないための生活習慣とケア

いくら高価な美白成分を使用しても、日常生活で目元への摩擦や紫外線ダメージを与え続けていては茶クマは改善しないため、物理的な刺激を徹底的に排除し、正しい保湿とUVケアを習慣化することが治療と同等に重要です。

茶クマの治療は「穴の開いたバケツに水を注ぐ」状態にならないようにする必要があります。薬を塗ることで水を注いでも、摩擦という穴が開いていれば効果はどんどん漏れ出してしまいます。

まずはその穴を塞ぐこと、つまり悪化要因を断つことが改善への最短ルートです。毎日の何気ない癖や習慣を見直し、目元の皮膚を「絹豆腐」のように慎重に扱う意識改革が求められます。

摩擦対策と紫外線対策のアクションプラン

対策項目NG行動(悪化要因)OK行動(改善アクション)
クレンジングシートタイプで拭き取る、ゴシゴシ擦る、時間をかけすぎる油脂系オイルやミルク等を使い、指が肌に触れない程度の圧で浮かせ、素早く流す
洗顔・タオルシャワーを顔に直接当てる、タオルでゴシゴシ拭くぬるま湯を手ですくって洗い、タオルは当てるだけで水分を吸わせる
メイクチップやブラシで強く擦る、ウォータープルーフの多用指で優しくのせる、お湯で落ちるマスカラや石鹸オフコスメを活用する
痒み対策無意識に目を掻く、花粉症等の炎症を放置する点眼薬で痒みを抑える、冷やす、ワセリンで保護して直接掻かない

摩擦を徹底的に避ける

茶クマ持ちの人の多くは、無意識のうちに目元を触る癖があります。また、アイメイクをしっかり落とそうとするあまり、クレンジング時に過度な力が加わっているケースが非常に多いです。

目元の皮膚の厚さは頬の約3分の1ほどしかなく、卵の薄皮程度しかありません。「触らない」ことが最高のスキンケアです。

クレンジング剤は量をケチらずたっぷりと使い、摩擦係数を減らしてください。アイメイクを落とす際は専用のリムーバーをコットンに含ませ、しばらく置いて馴染ませてから、絶対に擦らずにスッと滑らせるように除去します。

この毎日の小さな積み重ねを変えるだけで、肌のトーンが変わってくることを実感できるはずです。

紫外線対策の徹底

前述の通り、紫外線はメラニン生成のスイッチを押す最大の要因です。ハイドロキノンを使用していない時でも、茶クマを治したいなら年中無休での紫外線対策が必要です。雨の日や曇りの日でも、紫外線は降り注いでいます。

日焼け止めは、汗や皮脂、摩擦で落ちてしまうため、朝一度塗っただけでは不十分です。可能であれば昼休みに塗り直すか、UVカット効果のあるパウダーなどでリタッチを行うことが理想です。

また、最近ではブルーライトも色素沈着の原因になることが分かってきているため、ブルーライトカット効果のある日焼け止めやPCメガネの活用も検討する価値があります。

目元の保湿とアイクリームの選び方

乾燥した肌はバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。つまり、乾燥は摩擦や紫外線のダメージを増幅させてしまうのです。

茶クマを改善するためには、常に目元が潤いで満たされている状態をキープすることが大切です。

アイクリームを選ぶ際は美白成分だけでなく、セラミドやヒアルロン酸、スクワランなどの高保湿成分が配合されているものを選びましょう。

また、テクスチャーも重要です。硬すぎるクリームは塗る時に摩擦が生じやすいため、体温で溶けるような柔らかいものや、伸びの良いジェルタイプが適しています。

塗る際は力が入りにくい薬指を使って、優しくプレスするように馴染ませるのがコツです。

よくある質問

ハイドロキノンは市販のものでも効果がありますか?

はい、市販の製品でも効果は期待できます。ただし、市販品は安全性を考慮して濃度が低め(1%から2%程度)に設定されているものや、安定型ハイドロキノンという作用が穏やかなものが主流です。

医療機関で処方される高濃度(4%以上)のものに比べると効果の実感までには時間がかかりますが、その分副作用のリスクも低くなっています。

初めて使用する場合は、まずは市販の低濃度のものから試すのが適しています。

妊娠中や授乳中に使用しても問題ありませんか?

一般的に、妊娠中や授乳中のハイドロキノンの使用は推奨されていません。

皮膚からの吸収率は低いとされていますが、動物実験において胎児への影響が完全には否定されていないため、安全を最優先して避けるべきという見解が多くの医師の間で共通しています。

この時期はホルモンバランスの影響で色素沈着が起きやすいですが、ビタミンC誘導体などの安全性の高い成分でのケアに留め、ハイドロキノンの使用は卒乳後まで待つことをお勧めします。

効果が出るまでどのくらいの期間が必要ですか?

個人差や茶クマの濃さ、使用するハイドロキノンの濃度によりますが、早ければ1ヶ月程度で色味の変化を感じ始めます。

一般的には、目に見える改善効果を実感するまでに3ヶ月程度かかると考えてください。肌のターンオーバーは約1ヶ月以上のサイクルで行われるため、即効性を求めすぎず、焦らずに継続することが大切です。

半年使用しても変化がない場合は茶クマの原因が色素沈着だけではない可能性(ADMなど)があるため、医師の診断を受けることをお勧めします。

塗ったまま紫外線を浴びても大丈夫ですか?

いいえ、絶対に避けてください。

ハイドロキノンを塗った状態で紫外線を浴びると、普段以上に日焼けしやすく、色素沈着が悪化するリスクが高まります。そのため、ハイドロキノンは基本的に「夜のみ」の使用が推奨されます。

もし朝に使用するタイプの製品を使う場合でも、上から完璧な紫外線対策を行うことが必須条件です。夜塗った分も、朝の洗顔でしっかりと洗い流してから外出するように心がけてください。

ハイドロキノンクリームが茶色くなっていますが使えますか?

茶色く変色している場合は、ハイドロキノンが酸化して劣化しています。

酸化したハイドロキノンは美白効果が失われているだけでなく、ベンゾキノンという刺激物質に変化しており、肌にかぶれや炎症を引き起こす原因になります。

もったいないと感じるかもしれませんが、変色した製品は絶対に使用せず、新しいものに買い替えてください。開封後は冷蔵庫で保管し、1ヶ月から3ヶ月以内を目安に使い切るようにしましょう。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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