加齢で支えが緩み眼窩脂肪が突出する黒クマの原因を徹底解説

鏡を見るたびに憂鬱になる目の下の影。コンシーラーで隠そうとしても消えないその「黒クマ」は皮膚の色素沈着ではなく、加齢によって目元の内部構造が変化し、物理的な凹凸が生じることで発生します。

本記事では、なぜ年齢とともに目の下の支えが緩んでしまうのか、そしてどのようにして眼窩脂肪が前方へ突出し、老けた印象を与える影を作り出すのか、その解剖学的な原因と発生の理屈を徹底的に解説します。

構造上の問題を正しく理解することが、ご自身に適した解決策を見つけるための第一歩となります。

目次

黒クマの正体と眼窩脂肪が作り出す影の構造

黒クマとは、皮膚そのものが黒くなっているのではなく、目の下に生じた「膨らみ」と、その下の「凹み」によってできる「影」のことを指します。

この影を作り出す最大の要因が、眼球を守るクッションの役割を果たしている「眼窩脂肪」の突出です。加齢変化によって眼窩脂肪を本来の位置に留めておく力が弱まると、脂肪は重力に従って前下方向へと押し出されます。

この突出した脂肪が照明の光を遮ることで、その下側に暗い影を落とし、疲れた印象や実年齢以上の老け感を与えてしまうのです。

まずは黒クマと他のクマとの構造的な違いを理解し、ご自身の状態を正しく把握することが重要です。

黒クマ・青クマ・茶クマの発生要因の違い

目の下のクマは一括りにされがちですが、その原因によって大きく3つのタイプに分類します。

青クマは主に血行不良が原因で、皮膚の下の静脈が透けて見える状態を指します。寝不足や冷え、目の疲れなどが主な引き金となります。

茶クマは、紫外線ダメージや摩擦による色素沈着、あるいは角質の肥厚が原因で、皮膚そのものが茶色く変色している状態です。

これに対し、本記事のテーマである黒クマは「形状」の問題です。

皮膚の色や血流の問題ではなく、眼窩脂肪の突出による立体的な段差が影を作っているため、上を向いて光の当たり方を変えると薄くなったり消えたりするように見えるのが特徴です。この物理的な凹凸こそが、黒クマの正体です。

眼窩脂肪の役割と位置関係

眼窩脂肪は、頭蓋骨の目のくぼみ(眼窩)の中で眼球を包み込むように存在しています。この脂肪は眼球を外部の衝撃から守るクッションのような役割を果たしており、眼球がスムーズに動くための潤滑油のような機能も担っています。

若い頃は眼窩脂肪は眼球の周囲や後方に収まっており、目の下のラインは平坦で滑らかな状態を保っています。

しかし、眼窩脂肪の量は人によって異なり、生まれつき脂肪の量が多い方は、若いうちから黒クマが目立ちやすい傾向にあります。

この脂肪が本来あるべき位置から逸脱し、前方へせり出してくることが、目の下の膨らみの直接的な原因となります。

光と影が作り出す視覚的効果

黒クマが厄介なのは、実際の皮膚の色に関わらず、光の当たり方によって濃さが変化して見える点にあります。眼窩脂肪が突出して山のような膨らみを作ると、その直下にある皮膚との境界線に谷のような凹みが生まれます。

天井からの照明が当たると、この膨らみ(山)が邪魔をして、凹み(谷)の部分に光が届かず、影が落ちます。これが黒く見える理由です。

したがって、真正面からの光や明るい場所では目立ちにくくても、ダウンライトの下や夕方の薄暗い場所では影が強調されてクマが濃く見える現象が起こります。

メイクで色を重ねても凹凸自体は消せないため、黒クマを完全に隠すことが難しいのはこのためです。

各クマの特徴と見分け方

クマの種類主な原因見分け方の特徴
黒クマ(影クマ)眼窩脂肪の突出、皮膚のたるみ、凹凸上を向くと薄くなる、横になると目立たなくなる
青クマ血行不良、皮膚の薄さ、静脈の透過皮膚を引っ張ると色が薄くなる、日によって濃さが変わる
茶クマ色素沈着、摩擦、角質肥厚皮膚を引っ張ると一緒に動く、上を向いても消えない

眼球を支える支持組織の緩みと解剖学的変化

眼窩脂肪が突出してしまう根本的な原因は、脂肪そのものが増殖するからではありません。脂肪を本来の位置に留めておくための「ダム」や「壁」の役割を果たしている支持組織が、加齢によって緩んでしまうことにあります。

特に重要なのが、眼球と眼窩脂肪を支える「ロックウッド靭帯」や、脂肪が前方へ漏れ出さないようにせき止めている「眼窩隔膜」、そして目の周りを囲む筋肉である「眼輪筋」です。

これらの組織が強度を失い、テントの幕がたるむように支えきれなくなることで、内部の脂肪が雪崩のように前方へ押し出されてくるのです。

眼窩隔膜の強度低下とヘルニア状態

眼窩隔膜とは、瞼の内部にある薄い膜状の組織で、眼窩脂肪が前方に飛び出さないように壁となって抑え込む重要な役割を担っています。若い頃はこの膜に十分な張りがあり、脂肪をしっかりと奥に押し留めています。

しかし、加齢とともに眼窩隔膜を構成する繊維が変性し、伸縮性や強度が低下します。ちょうどゴムが伸びきってしまったような状態になり、内部からの脂肪の圧力に耐えきれなくなります。

その結果、脂肪が隔膜を押し広げながら前方へと膨らみ出し、いわゆる「目袋」と呼ばれる状態を形成します。これは医学的には眼窩脂肪のヘルニア(脱出)とも表現できる状態で、黒クマの根本原因の一つです。

眼輪筋の菲薄化と拘束力の低下

眼窩隔膜のさらに外側、皮膚の直下には「眼輪筋」という筋肉が存在し、目の周りをぐるりと囲んでいます。眼輪筋は瞼を閉じる際に使う筋肉ですが、同時に眼窩脂肪を外側から抑え込むガードルのような役割も果たしています。

年齢を重ねると、体の他の筋肉と同様に眼輪筋も衰え、薄く引き伸ばされていきます(菲薄化)。筋肉の厚みが減り、緊張力が低下すると、内側からの脂肪の圧力を抑える力が弱まります。

さらに、眼輪筋と皮膚との結合も緩むため、表面の皮膚ごと前方に押し出されやすくなり、たるみや膨らみを助長させる要因となります。

ロックウッド靭帯の緩みと眼球下垂

眼球そのものをハンモックのように下から支えているのが「ロックウッド靭帯」です。この靭帯もしっかりとしたコラーゲン繊維でできていますが、加齢により徐々に緩みが生じます。

支えが緩むと、重力の影響で眼球の位置がわずかに下がります(眼球下垂)。眼球が下がると、その下にある眼窩脂肪は上から押し潰されるような圧力を受けます。

行き場を失った脂肪は、抵抗の少ない前方(目の下の方向)へと押し出されるしかありません。つまり、眼窩脂肪の突出は単なる脂肪の移動ではなく、眼球の位置変化と連動して起こる玉突き事故のような現象なのです。

支持組織の役割とその変化

組織名本来の役割加齢による変化
眼窩隔膜脂肪の前方突出を防ぐ壁繊維が伸びて強度が低下し、脂肪を抑えきれなくなる
眼輪筋瞼の開閉、脂肪を外側から抑える筋肉が薄くなり(菲薄化)、拘束力が弱まる
ロックウッド靭帯眼球を下から支えるハンモック緩むことで眼球が下がり、下の脂肪を圧迫する

皮膚の弾力低下が招く形状の崩れ

眼窩脂肪の突出を許してしまうもう一つの大きな要因は、表面を覆う皮膚自体の質の変化です。皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといった弾性繊維は、肌のハリや弾力を保つために重要です。

しかし、これらは加齢とともに減少し、質も劣化します。ゴム風船のゴムが薄く伸びてしまうと中の空気が簡単に形を変えてしまうのと同様に、皮膚の弾力が失われると内部の眼窩脂肪の膨らみを外側から押し返す力がなくなります。

これにより、脂肪の形がそのまま皮膚表面に現れやすくなり、黒クマの凹凸をより顕著にしてしまうのです。

真皮層におけるコラーゲン・エラスチンの減少

皮膚のハリを支えているのは、真皮層に網目状に張り巡らされたコラーゲン繊維と、その網目を繋ぎ止めるエラスチン繊維です。

20代をピークに、これらの生成能力は低下の一途をたどります。さらに、長年浴び続けてきた紫外線や、活性酸素の影響によって繊維が切断されたり変性したりすることで皮膚は徐々に薄く、硬くなります。

目の下の皮膚はもともと頬の皮膚などに比べて3分の1程度の薄さしかないため、内部構造の変化の影響をダイレクトに受けやすい部位です。

弾力を失った皮膚は、突出してくる脂肪の圧力に抗えず、なすがままに伸びてしまい、たるみとして定着してしまいます。

乾燥とバリア機能の低下による悪影響

加齢とともに皮脂の分泌量が減少し、角質層の水分保持能力(セラミドなど)も低下します。目の周りは皮脂腺が少なく、特に乾燥しやすいエリアです。

慢性的な乾燥状態が続くと皮膚の表面はキメが乱れ、柔軟性を失います。柔軟性のない乾いた皮膚は、瞬きや表情の変化による繰り返しの動きによってダメージを受けやすく、微細な炎症を引き起こします。

これが真皮層の構造破壊を加速させ、結果として皮膚のたるみを進行させる要因となります。乾燥による小ジワが増えると、黒クマの影にさらに細かい影が重なり、目元の暗さを強調してしまいます。

表情圧による皮膚の伸展

私たちは1日に何千回、何万回と瞬きをし、笑ったりしかめたりして表情を作ります。目の下の皮膚は、こうした動きに合わせて常に伸縮を繰り返しています。

若い頃は皮膚に十分な復元力があるため、表情を作って皮膚が伸びてもすぐに元に戻ります。しかし、弾性繊維が劣化した年齢肌では、伸びた皮膚が元に戻りきらず、徐々に伸びたままの状態になっていきます。

特に眼窩脂肪が突出している場合、皮膚は常に内側から引き伸ばされる力を受けているため、衣服の膝部分が出っ張るように、皮膚自体が余ってたるんでしまいます。

皮膚の弾力低下を招く主な要因

  • 光老化
    長年の紫外線暴露により、真皮層のコラーゲンやエラスチンが破壊・変性すること。
  • 酸化的ストレス
    活性酸素により細胞が錆びつき、線維芽細胞の働きが低下すること。
  • 糖化
    余分な糖がタンパク質と結びつき、コラーゲンを硬く脆くしてしまうこと。

骨格の変化と中顔面のボリュームロス

黒クマの原因として見落とされがちなのが、土台となる「骨」の萎縮と変化です。

顔の骨も他の骨と同様に、加齢とともに骨吸収(骨が溶ける現象)が進み、体積が減少します。特に眼窩(目のくぼみ)の骨縁は、加齢によって広がるように吸収されていきます。

また、目の下から頬にかけての骨(上顎骨)が痩せて後退することで、その上の組織を支える力が弱まります。

土台が低くなることで、相対的に上の脂肪が前に出やすくなったり、段差が深くなったりして、黒クマのコントラストを強める要因となります。

眼窩縁の拡大と後退

頭蓋骨の目の穴である「眼窩」は、加齢とともに下外側を中心に骨吸収が進み、穴自体が広がっていきます。これにより眼球や眼窩脂肪を支えていた骨の縁(リム)が後退し、支えを失った軟部組織が重力で下がりやすくなります。

本来、骨の縁が防波堤のように脂肪の流出を抑えていた部分がなくなることで、眼窩脂肪は容易に前方へ滑り落ちてきます。さらに、骨が後退することで皮膚が余り、たるみが強調されるという側面もあります。

骨格の変化は深部で起こるため、スキンケアなどでは対処できない物理的な構造変化です。

頬の脂肪(メーラーファット)の下垂

目の下の膨らみのすぐ下、頬骨の上にある脂肪の塊を「メーラーファット」と呼びます。若々しい顔立ちでは、このメーラーファットが高い位置にあり、目の下の境界線を支えるように存在しています。

しかし、加齢によってこの脂肪を支える靭帯が緩むと、メーラーファット自体が重力で下方向へずり落ちていきます。

すると、目の下の眼窩脂肪の膨らみと、下がってしまった頬の脂肪との間に隙間ができ、深い溝(ティアトラフやゴルゴライン)が形成されます。

膨らみとその下の溝がはっきりすることで、黒クマの段差がより強調され、深い影となって現れるのです。

骨萎縮がもたらす段差の強調

眼窩脂肪の突出による「山」と、その下の「谷」の深さは、骨の萎縮によってさらに際立ちます。

特に目頭側から斜め下に伸びる凹み(ティアトラフ)は、皮膚と骨をつなぐ靭帯が強固に付着している部位です。周りの骨が痩せて脂肪が減少しても、この靭帯部分は骨にくっついているため凹んだままとなります。

一方で、その上の眼窩脂肪は突出してくるため、高低差が拡大します。

つまり、黒クマは単に脂肪が出ているだけでなく、その下の土台が痩せて凹んでしまうという引き算の変化も同時に進行しているため、影が濃く見えてしまうのです。

加齢による顔面骨格の変化

変化する部位現象黒クマへの影響
眼窩(目の穴)骨吸収により穴が拡大する支えを失った組織が下垂し、脂肪が出やすくなる
上顎骨(頬の骨)骨が痩せて後退する中顔面のボリュームが減り、目の下との段差が深くなる
眼窩下縁骨の縁が平坦化し後退する目の下の凹みが広がり、影の範囲が拡大する

眼窩脂肪突出の進行レベルとセルフチェック

黒クマや眼窩脂肪の突出は、ある日突然現れるものではなく、時間をかけて徐々に進行していきます。

初期段階では夕方や疲れた時だけ目立つ程度ですが、支持組織の緩みが進むにつれて、朝起きた時から常に膨らみがある状態へと変化します。

ご自身の現在の状態がどの進行レベルにあるのかを把握することは、適切なケアや将来的な対策を考える上で重要です。

ここでは、突出の程度を客観的に判断するための目安と、鏡を使って簡単にできるセルフチェックの視点について解説します。

軽度:特定の条件下で見える影

初期段階では、眼窩脂肪の突出はまだ軽微です。正面から光が当たっている時や、表情を作って笑った時(眼輪筋が収縮して脂肪を抑え込む時)には気にならないことが多いでしょう。

しかし、少し下を向いた時や、真上からの照明の下では、うっすらと目の下に影ができます。また、日中の活動によるむくみや重力の影響を受け、夕方になるとクマが目立ち始めるといった日内変動が見られるのもこの段階の特徴です。

この時期は、保湿やマッサージによる血行促進などで、一時的に見た目を改善できる場合があります。

中等度:常態化する膨らみと凹み

中等度に進むと、眼窩隔膜の緩みが顕著になり、無表情の時でも目の下の膨らみがはっきりと確認できるようになります。

膨らみの下には明確な境界線(凹み)ができ、メイクで隠しきれない影が常駐します。皮膚のたるみも加わり始めるため、膨らみの表面に細かいシワが見えることもあります。

この段階になると、脂肪の突出量が多くなっているため、マッサージなどのセルフケアで形状を変えることは難しくなります。むしろ、過度なマッサージは皮膚を伸ばしてしまうため、逆効果になることもあります。

重度:広範囲に及ぶたるみと複合トラブル

重度の場合、眼窩脂肪の突出が大きく、目袋が垂れ下がるような形状になります。さらに、皮膚の弾力が著しく低下しているため、余った皮膚がひだ状になり、幾重ものシワや深い溝を形成します。

色素沈着(茶クマ)や血行不良(青クマ)を併発しているケースも多く、これらが混ざり合って目元全体が暗く見えます。頬のたるみとも一体化し、顔全体の重心が下がった印象を与えます。

このレベルでは構造的な修復を行わない限り、スキンケアや生活習慣の改善だけで目に見える変化を得ることは困難になります。

進行度別チェックポイント

レベル状態の特徴見え方
軽度わずかな膨らみ上を向くとほぼ消える。夕方に目立つ。
中等度明確な膨らみと溝正面を向いても影がある。メイクで隠せない。
重度大きな目袋と皮膚の余り深いシワやたるみを伴う。常に目立つ。

生活習慣が加速させる黒クマのリスク

眼窩脂肪の突出は加齢による不可抗力な部分が大きいですが、日々の生活習慣がその進行スピードを早めてしまうことがあります。遺伝的な骨格や脂肪量は変えられませんが、支持組織の劣化を早める要因を排除することは可能です。

特に現代人の生活には、目元への負担となる要素が多く潜んでいます。物理的な刺激、血流の悪化、そして体の内側からの酸化・糖化ストレスは、眼輪筋や皮膚のコラーゲンにダメージを与え、支えが緩む時期を早めてしまいます。

どのような習慣がリスクとなるのかを知り、予防意識を持つことが大切です。

目をこする癖と物理的ダメージ

花粉症やアレルギー性結膜炎、あるいはアイメイクのクレンジング時などに、目を強くこする習慣がある方は注意が必要です。

目の下の皮膚は非常に薄くデリケートであるため、摩擦によって微細な炎症が繰り返されると組織が傷つき、皮膚が伸びやすくなります。

また、強い力で引っ張る行為は、皮膚と眼輪筋、さらにはその下の組織との結合を緩める原因となります。

毎日のわずかな摩擦の積み重ねが、数年後のたるみや色素沈着(茶クマ)の併発を招き、黒クマの状態をより複雑で治りにくいものへと悪化させます。

スマートフォン・PCによる眼精疲労

現代生活において避けられないスマートフォンやパソコンの長時間使用は、瞬きの回数を極端に減らし、眼輪筋を凝り固まらせます。

筋肉は使わなければ衰えますが、逆に緊張状態で血行が悪くなっても機能は低下します。眼精疲労によって目の周りの血流が滞ると組織への酸素や栄養の供給が不足し、細胞の修復機能が低下します。

また、スマホを見る際の下を向く姿勢は、重力の影響で顔のたるみを助長します。長時間同じ姿勢で画面を見続けることは、眼窩脂肪にかかる圧力を一定方向にかけ続けることにもなりかねません。

喫煙と睡眠不足による組織の劣化

喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるだけでなく、大量の活性酸素を発生させます。この活性酸素は皮膚の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の老化を劇的に早めます。

また、ビタミンCを大量に消費するため、組織の修復に必要な栄養素が不足しがちになります。

睡眠不足も同様に、成長ホルモンの分泌を妨げ、日中に受けたダメージの修復を遅らせます。質の良い睡眠と禁煙は目元の支持組織の健康を維持し、黒クマの進行を食い止めるための基盤となる生活習慣です。

注意すべき生活習慣リスト

  • 過度なアイマッサージ
    自己流の強いマッサージは靭帯を伸ばす原因になります。
  • 塩分の摂りすぎ
    むくみは組織を引き伸ばし、たるみの定着を招きます。
  • コンタクトレンズの長期使用
    装着時の瞼への負担が、眼瞼下垂やたるみに関与することがあります。

治療法の選択に向けた基本的な考え方

これまで解説してきた通り、黒クマの根本原因は「眼窩脂肪の突出」と「支持組織の緩み」という物理的な構造変化にあります。

したがって、スキンケア用品やエステなどの表面的なアプローチでは、根本的な解決に至らない場合が多いのが現実です。

突出した脂肪をどう扱うか、余った皮膚をどう処理するか、あるいは凹んだ部分をどう補うかという視点で、医療的な介入を検討することが解決への近道となります。

ここでは具体的な術式の詳細ではなく、どのようなアプローチの方向性があるのか、その基本的な考え方を整理します。

脂肪を取り除くアプローチ(脱脂)

最も直接的な方法は、突出の原因となっている眼窩脂肪そのものを物理的に取り除くことです。瞼の裏側(結膜側)からアプローチするため、皮膚表面に傷を残さずに脂肪を減量できます。

風船の空気を抜くように膨らみをしぼませることで影の原因となる山をなくし、平らな目元を目指します。ただし、取りすぎると逆に目が窪んでしまったり、シワが増えたりするリスクもあるため、適切な量の調整が重要です。

皮膚のたるみが少ない、比較的若い世代や軽度の黒クマに適した考え方です。

脂肪を移動させるアプローチ(再配置)

単に脂肪を捨てるのではなく、資源として有効活用する考え方です。「裏ハムラ法」などに代表されるように、突出している眼窩脂肪を切り取らず、その下の凹んでいる部分(ティアトラフ)へ移動させて固定します。

山を削って谷を埋めることで、体を平坦にならす整地工事のようなイメージです。脂肪の量を温存できるため、将来的な目の窪みを防ぐことができ、再発のリスクも低いとされています。

また、脂肪を包んでいる隔膜ごと移動させて固定することで、緩んだ支持組織の補強も兼ねることができます。

ボリュームを補う・皮膚を引き締めるアプローチ

手術に抵抗がある場合や、脂肪の突出よりも凹みの方が強い場合には、凹んでいる部分にヒアルロン酸や自身の脂肪を注入して高さを出し、段差を目立たなくする方法があります。これは「カモフラージュ」的なアプローチと言えます。

また、レーザー治療や高周波治療によって皮膚のコラーゲン生成を促し、皮膚を引き締めることで軽度のたるみを改善する方法もあります。

ただし、これらは著しい脂肪の突出がある場合には効果が限定的であり、定期的なメンテナンスが必要になる傾向があります。

主なアプローチの比較

アプローチ目的特徴
脱脂(除去)膨らみの原因物質を減らす皮膚を切らない。ダウンタイムが比較的短い。取りすぎに注意が必要。
再配置(移動)凹凸をならし、構造を強化する脂肪を無駄にしない。凹みも同時に改善。再発しにくい。
注入・照射凹みを埋める、皮膚を引き締めるメスを使わない。即効性があるが、効果の持続は一時的であることが多い。

よくある質問

自力で眼輪筋を鍛えれば黒クマは消えますか?

眼輪筋トレーニングは軽度のたるみ予防や血行促進には一定の効果が期待できますが、すでに突出してしまった眼窩脂肪を筋肉の力だけで完全に押し戻すことは非常に困難です。

伸びきってしまった眼窩隔膜や靭帯は筋トレでは修復できないからです。逆に、無理なトレーニングでシワを深くしてしまうリスクもあるため、過度な期待は禁物です。

遺伝によって黒クマができやすい人はいますか?

はい、います。眼窩(骨のくぼみ)が浅い骨格の人や、生まれつき眼窩脂肪の量が多い人は、若い頃から黒クマが出やすい傾向にあります。また、皮膚が薄い体質の方も、内部構造の影響を受けやすいため目立ちやすくなります。親御さんに目袋がある場合、骨格や体質が似ていれば、将来的に同様の変化が現れる可能性は高くなります。

なぜ片目だけ黒クマが目立つことがあるのですか?

人間の顔は左右非対称であり、骨格の形や眼球の位置、脂肪の量にも左右差があります。また、普段の表情の癖や、どちらか一方を下にして寝る習慣、視力の左右差による目の使い方の違いなども影響します。

これらの要因が複合的に重なり、片側の支持組織だけが先に緩んだり、脂肪の突出が強く出たりすることがあります。

急激にダイエットをしたら黒クマが悪化しました。なぜですか?

急激な体重減少により顔の脂肪が落ちると頬のボリュームが減少し、目の下との段差が強調されることがあります。

また、栄養不足により肌のハリが失われると、皮膚がたるみやすくなり、眼窩脂肪の突出が露わになることもあります。

眼窩脂肪自体はダイエットでも落ちにくい性質があるため、周りが痩せて目袋だけが取り残されたように目立ってしまうのです。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

日本美容外科学会認定専門医

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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