眼輪筋の衰えが目の下の影を作る?スマホ生活で緩んだ目元を鍛えるトレーニング

ふと鏡を見たとき、目の下に落ちる暗い影に驚いた経験はないでしょうか。実はその「影」の正体、単なる寝不足や疲労だけが原因ではありません。

現代人にとって切り離せないスマートフォンの長時間使用が、目元の筋肉である「眼輪筋」を著しく衰えさせ、黒い影を作り出している可能性が高いのです。

この記事では、なぜスマホ生活が目元を老化させるのか、その根本的な理由を解き明かすとともに、自宅で誰でも簡単に実践できるトレーニング方法を具体的に解説します。

高額な治療に頼る前に、まずは自分の筋肉を呼び覚まし、若々しい目元を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。

目次

スマホの使用習慣が眼輪筋を弱らせて影を作る理由

スマートフォンを長時間見続ける行為は、目の周りの筋肉を動かさない時間を増やし、結果として眼輪筋の筋力低下を招きます。

画面を凝視する際、私たちは無意識のうちにまばたきの回数を減らし、視線を一点に固定しがちです。この「不動の状態」こそが、筋肉を痩せ細らせ、目の下のたるみや影を作り出す最大の要因となります。

画面凝視によるまばたき減少と筋力低下

通常、私たちは1分間に約20回程度のまばたきを繰り返しています。まばたきは単に目を潤すだけでなく、眼輪筋を収縮・弛緩させるための重要なポンプ運動の役割を果たしています。

しかし、スマートフォンの小さな画面に集中して文字や動画を追っている間、このまばたきの回数は極端に減少します。研究によっては通常の4分の1以下にまで減るというデータもあります。

まばたきが減るということは、それだけ眼輪筋を使う機会が失われることを意味します。筋肉は使わなければ当然衰えます。

足の筋肉を使わなければ歩行が困難になるのと同様に、目の周りの筋肉も使わなければ、皮膚や脂肪を支える力が弱まります。特に眼輪筋は非常に薄い筋肉であるため、日々の運動不足の影響をダイレクトに受けやすい部位です。

スマホに夢中になっている数時間は、いわば「目元の筋肉をギプスで固定して動かさない状態」を作り出しているのと同じことなのです。

視線の固定化が招く血流不足

スマートフォンを使用している時の視線の動きを想像してください。多くの場合、顔の正面からやや下方向にある画面に対し、眼球だけを動かすか、あるいは顔ごと下に向けて視線をロックしています。

この時、眼球を動かす外眼筋や、まぶたを支える眼輪筋は、特定の緊張状態を強いられたまま硬直します。

筋肉が同じ長さで固定され続けると、ポンプ作用が働かず、血液やリンパ液の流れが滞ります。目の周りの皮膚は人体の中で最も薄い部分の一つであり、血行不良によるうっ血はすぐに「青黒い影」として表面に現れます。

さらに悪いことに、血流が滞ると筋肉への酸素供給も不足するため、筋肉自体の柔軟性が失われ、さらなる衰えを加速させるという悪循環に陥ります。

広範囲に視線を動かす日常生活とは異なり、スマホの狭い画面内だけで完結する視界は目元にとって極めて過酷な拘束環境なのです。

下向き姿勢と重力の二重苦

スマホを見る際、多くの人は首を前に倒し、顔を下に向ける姿勢をとります。この姿勢は重力が顔の皮膚や脂肪を地面方向へ引っ張る作用を強めます。

本来、眼輪筋は眼窩脂肪(目の周りのクッション状の脂肪)が前方に飛び出さないように防波堤の役割を果たしています。しかし、下を向くことで重力の負荷が増し、さらに眼輪筋自体が衰えている場合、脂肪を支えきれなくなります。

支えを失った脂肪は徐々に前方へと突出し、目の下に膨らみを作ります。この膨らみの下が影となり、いわゆる「黒クマ」と呼ばれる濃い影を形成します。

ただでさえ衰えやすい筋肉に対し、物理的な重力の負荷をかけ続けるスマホ姿勢は、目元の老化を数年単位で早める危険な習慣といえます。

顔を上げて正面を見る時間を増やすことは単なる姿勢矯正ではなく、重力によるたるみ進行を食い止めるための防御策となります。

日常動作とスマホ使用時の目元の違い

比較項目通常の生活での目元スマホ使用中の目元
まばたきの頻度潤滑と筋肉運動のため頻繁に行う(毎分20回前後)集中により極端に減少する(毎分5回以下のことも)
視線の可動域上下左右、遠近と広範囲に動く手元の狭い範囲、一定の距離に固定される
筋肉への負荷適度な収縮と弛緩を繰り返し、柔軟性を保つ一定の緊張状態で硬直し、血流が停滞する

眼輪筋の構造と加齢による変化を知る

眼輪筋は目の周りをぐるりとドーナツ状に囲んでいる筋肉であり、まぶたの開閉や涙の運搬を行う重要な役割を担っています。

この筋肉が加齢や酷使によってどのように変化し、なぜ目の下の影につながるのかを正しく理解することは、効果的なトレーニングを行うための基礎となります。

  • 上まぶたを引き上げ、目を開く際のサポート機能
  • 下まぶたを引き上げ、目を閉じる際の主動的な動き
  • 目頭側にある涙点へ涙を送り込むポンプ機能
  • 眼窩脂肪を正しい位置に留めるための壁としての役割
  • 表情を作る際の目尻や目の下の動きの制御

ドーナツ状の筋肉が果たす役割

眼輪筋は骨格筋とは異なり、骨から骨へ付着しているのではなく、皮膚や靭帯に付着している皮筋と呼ばれる種類の筋肉です。そのため、眼輪筋の動きはダイレクトに皮膚の形状に影響を与えます。

私たちが笑ったときに目尻にシワができたり、涙袋がぷっくりと強調されたりするのは、この眼輪筋が収縮して盛り上がるためです。

特に重要なのが、眼球を保護している「眼窩脂肪」を抑え込む役割です。

眼球は頭蓋骨のくぼみ(眼窩)の中に脂肪に包まれて浮いているような状態ですが、眼輪筋が若く張りがあるうちは、この脂肪が前に出てこないようにしっかりと壁となって支えています。

つまり、眼輪筋は表情を作るだけでなく、目元の平坦で滑らかな形状を維持するためのコルセットのような機能を果たしているのです。

筋繊維の萎縮が引き起こすたるみ

年齢を重ねると、体の他の筋肉と同様に、眼輪筋の筋繊維も細くなり、数も減少します。これを筋委縮と呼びます。ドーナツの生地が痩せて薄くなるようなイメージを持つとわかりやすいでしょう。

生地が薄くなれば、中に入っているクリーム(脂肪)を包み込む力が弱くなり、形が崩れやすくなります。眼輪筋が薄く伸びてしまうと、奥にある眼窩脂肪の圧力を支えきれなくなります。

その結果、脂肪が重力に従って前下方向へとはみ出し、目の下にポッコリとした膨らみを作ります。同時に、皮膚も筋肉のハリを失って垂れ下がるため、膨らみの下には深い溝が生まれます。

この「膨らみ」と「溝」の段差こそが、光が当たったときに黒い影を落とす「黒クマ」の正体です。

色素沈着ではなく形状の変化であるため、コンシーラーなどのメイクで隠すことが難しく、根本的な解決には筋肉へのアプローチが必要となります。

目の周りの靭帯のゆるみとの関係

眼輪筋の衰えと同時に進行するのが、皮膚と骨をつなぎ止めている支持靭帯(リガメント)のゆるみです。目の下には眼輪筋を貫通して皮膚を骨に固定している靭帯が存在します。

若い頃はこの靭帯がピンと張っているため、皮膚の位置がズレ落ちることはありません。

しかし、加齢や長期間の眼精疲労、そして眼輪筋自体の衰えに伴い、この靭帯も徐々に伸びて弾力を失います。すると、皮膚や脂肪を支えていた杭が抜けたような状態になり、目元の組織全体が雪崩のように下へと移動します。

特に「ティアトラフ」と呼ばれる目頭から斜め下に伸びるラインは、この靭帯による食い込みと、その上の脂肪の突出によって強調されやすくなります。

眼輪筋を鍛えることは、この靭帯周辺の血流を改善し、組織の劣化を遅らせるという意味でも重要な意義を持ちます。

あなたの影はどのタイプ?原因別の見分け方

一口に「目の下のクマ」と言っても、その原因は様々であり、眼輪筋トレーニングが著効するタイプと、別のケアが必要なタイプがあります。

自分の目の下にある影がどの種類に属するのかを正確に判別することが、無駄のない対策への近道です。ここでは主な3つのタイプについて解説します。

黒クマ(たるみ・影タイプ)の特徴

眼輪筋の衰えが直接的な原因となっているのが、この「黒クマ」です。

鏡を持って顔を天井に向けたとき、影が薄くなったり消えたりする場合は、このタイプである可能性が非常に高いです。上を向くことで脂肪が一時的に奥へ引っ込み、たるみが解消されるためです。

黒クマは皮膚の色自体が黒くなっているのではなく、目の下の形状が凸凹していることによって生じる「物理的な影」です。そのため、ファンデーションを厚塗りしても、光の当たり具合で影が浮き出てしまい、隠しきれません。

トレーニングによって眼輪筋を肥大させ、ハリを取り戻すことで突出した脂肪を押し戻し、段差を平らにすることが最も効果的な解決策となります。

青クマ(血行不良タイプ)の特徴

目の下の皮膚を軽く引っ張ったとき、色が薄くならず、そのまま青黒く透けて見える場合は「青クマ」です。これは、寝不足や眼精疲労、冷えなどによって血液中の酸素が不足し、静脈血が滞留して黒っぽく見えている状態です。

目の下の皮膚は非常に薄いため、下の血管の色がダイレクトに反映されます。スマホの長時間使用は、眼輪筋の凝りを招き、この青クマの原因にもなります。

トレーニングで筋肉を動かすことは血流を促進するため、青クマの改善にも大いに役立ちます。黒クマと青クマは併発していることが多く、現代人の多くがこの「混合型」に悩まされています。

茶クマ(色素沈着タイプ)の特徴

皮膚を引っ張っても、顔を上に向けても色が全く変わらず茶色いまま残る場合は「茶クマ」です。

これは、目をこする癖や紫外線ダメージ、化粧品によるカブレなどが原因で、皮膚そのものにメラニン色素が沈着してしまった状態です。小さなシミの集合体とも言えます。

残念ながら、茶クマに対しては眼輪筋トレーニングの直接的な効果は期待できません。筋肉を鍛えても、皮膚表面の色素は消えないからです。

茶クマの場合は美白化粧品の使用や、紫外線対策、目をこすらないといった皮膚表面へのアプローチが必要になります。

ただし、代謝を上げるという意味では、トレーニングがターンオーバーを正常化する補助的な役割を果たすことはあります。

クマの種類と眼輪筋トレーニングの適合性

クマの種類主な原因見分け方トレーニングの有効性
黒クマ眼輪筋の衰え、眼窩脂肪の突出上を向くと薄くなる非常に高い(原因に直結する)
青クマ血行不良、眼精疲労、冷え皮膚を引っ張っても色が変わらないが、入浴後などに改善する高い(血流促進効果がある)
茶クマ色素沈着、摩擦、紫外線皮膚を動かしても色が皮膚に残る低い(美白ケアが必要)

自宅でできる眼輪筋強化トレーニングの実践

眼輪筋を鍛えるために、特別な器具や広いスペースは必要ありません。重要なのは、正しいフォームで狙った筋肉にしっかりと効かせることです。

ここでは、スマホの合間や入浴中に行える、効果的なトレーニングメソッドを紹介します。無理をせず、痛みを感じない範囲で継続することが成功の鍵です。

下まぶた上げ(「眩しい」のポーズ)

眼輪筋、特に下まぶた側の筋肉を集中的に鍛える基本の動きです。普段、私たちは上まぶたを使ってまばたきをすることが多いため、意識的に下まぶただけを動かす練習が必要です。

まず、背筋を伸ばし、顔は正面を向けます。次に、口を軽く「お」の形に開きます。これは頬の筋肉が動くのを防ぎ、目の周りの筋肉だけに集中するためです。

その状態で、上まぶたは動かさないように意識しながら、下まぶただけで目を閉じようとします。「眩しいものを見る」ときのように、下まぶたをぐっと引き上げてください。

下まぶたがプルプルと震えるくらい力を入れ、5秒間キープします。その後、ゆっくりと力を抜きます。これを10回1セットとして行います。

指を軽く目尻に添えて、筋肉が動いているか確認しながら行うとより効果的です。

8の字視線移動エクササイズ

眼輪筋だけでなく、眼球を動かす外眼筋も同時にほぐし、目元全体の血流を一気に高めるトレーニングです。スマホ使用で凝り固まった視線を解放する効果も抜群です。

顔を正面に向けたまま動かさないようにし、目だけを動かします。視線で目の前に大きな横向きの「8」の字を描きます。右回り、左回り、それぞれゆっくりと大きく動かすことがポイントです。

視界の端ギリギリを見るように意識することで、普段使っていない筋肉がストレッチされます。それぞれ5回ずつ行いましょう。

最初は目が回る感覚があるかもしれないので、ゆっくりとしたペースで始め、慣れてきたらスムーズに動かせるようにします。これにより、目の奥の重たさが取れ、パッチリと開いた目元を作ることができます。

全力「パー」「グー」まばたき

眼輪筋全体を大きく収縮・弛緩させることで筋肉のポンプ機能を最大化し、老廃物を流すトレーニングです。シンプルですが、正しく行うと顔全体が温まるほどの運動量になります。

まず、目を限界まで大きく見開きます(パーの状態)。おでこにシワが寄らないように注意し、目の力だけでカッと開いて5秒キープします。

次に、目の奥に力を込めるイメージで、ギュッと目を固く閉じます(グーの状態)。梅干しのような顔になるイメージで、5秒間全力で閉じます。この「パー」と「グー」を交互に5回繰り返します。

終わった後は目を閉じて深呼吸し、リラックスさせます。これにより、滞っていたリンパの流れが良くなり、むくみの解消にもつながります。

トレーニング実践時のポイント

項目内容と注意点推奨頻度
下まぶた上げ頬の力を使わず、下まつ毛を上まぶたに近づける感覚で行う朝晩各10回
8の字視線顔を動かさず、眼球の動きだけで視界の限界を追う仕事の合間に数回
グーパ運動シワを恐れずに全力で動かし、終わった後は保湿を行うと良い1日3セット

トレーニング効果を高めるための生活習慣

いくらトレーニングを頑張っても、普段の生活習慣が眼輪筋にダメージを与え続けていては、効果は半減してしまいます。

トレーニングはあくまで「プラス」の行為であり、マイナスを減らす「生活習慣の見直し」を同時に行うことで、目元の改善スピードは格段に上がります。

  • スマートフォンの画面を目線の高さまで上げて操作する
  • 30分に一度は画面から目を離し、遠くの景色を見る
  • 就寝の1時間前にはデジタル機器の使用を控える
  • 意識的にまばたきの回数を増やし、強く閉じる動作を入れる
  • コンタクトレンズの装着時間を減らし、メガネを活用する

スマホを見る姿勢と距離の適正化

最も即効性があり、かつ重要なのがスマホを見る姿勢の改善です。

多くの人が画面を胸やお腹の位置で持っていますが、これを「目の高さ」まで持ち上げるようにします。脇を締め、片手で持つ方の肘をもう片方の手で支えると安定します。

顔を正面に向けるだけで、眼窩脂肪にかかる重力の負担が大幅に軽減されます。電車内などで抵抗がある場合でも、できるだけ視線が下がらないよう工夫します。

また、目と画面の距離は最低でも30cm、できれば40cm以上離します。距離が近いほど、目のピント調節筋が緊張し、血流が悪化するためです。

文字が小さくて近づけてしまう場合は、フォントサイズを大きく設定し直しましょう。これだけで目の疲れ方は驚くほど変わります。

ブルーライト対策と睡眠の質

ブルーライトは可視光線の中でもエネルギーが強く、目の奥まで届いて酸化ストレスを与えます。また、夜間にブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下します。

睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、筋肉や皮膚の修復を遅らせる最大の敵です。

スマホの「夜間モード」や「ブルーライトカット設定」を常時オンにする、カット機能付きのメガネやフィルムを使用するなど、物理的な対策を講じましょう。

そして、質の高い睡眠をとることで、昼間にダメージを受けた眼輪筋や皮膚細胞の修復を促します。目元の若返りは、夜寝ている間に作られると言っても過言ではありません。

目の乾燥を防ぐ環境づくり

ドライアイはまばたきの減少を招くだけでなく、無意識に目を細める、こするといった動作を誘発し、シワやたるみの原因になります。特に冬場やエアコンの効いた室内では、加湿器を使用して湿度を保つことが大切です。

また、コンタクトレンズは角膜を覆うため、長時間装用は目の呼吸を妨げ、乾燥を加速させます。帰宅後はすぐに外し、メガネに切り替える習慣をつけましょう。

目薬を適宜使用することも有効ですが、防腐剤の入っていない人工涙液タイプを選ぶなど、目に優しい選択を心がけます。

潤いのある瞳はスムーズなまばたきを助け、眼輪筋の自然な運動をサポートします。

トレーニングと併用したいマッサージとスキンケア

眼輪筋トレーニングは筋肉へのアプローチですが、それを支える皮膚のケアや、老廃物を流すマッサージを組み合わせることで相乗効果が期待できます。

筋肉、血流、皮膚の3方向から攻めることで、頑固な目の下の影に立ち向かいます。

目元を温める「ホットアイ」の効能

トレーニング前や就寝前に目元を温めることは、非常に有効な手段です。温めることで血管が拡張し、血流が劇的に改善されます。

これにより筋肉の柔軟性が増し、トレーニングの効果が出やすくなると同時に、蓄積した疲労物質が流れやすくなります。

市販のホットアイマスクを使用するのも良いですし、濡らしたタオルを電子レンジで温めて(40度程度、火傷に注意)目の上に乗せるだけでも十分です。

約10分間温めると副交感神経が優位になり、リラックス効果も得られます。温まった後の筋肉はほぐれやすく、その後のマッサージやトレーニングの準備状態として理想的です。

摩擦を避けた優しいリンパマッサージ

目の周りのリンパ液の流れを良くすることで、むくみを解消し、影を薄く見せることができます。ただし、ここで絶対に守るべきは「こすらない」ことです。

目の下の皮膚はティッシュペーパー一枚分ほどの厚さしかなく、強い摩擦は色素沈着(茶クマ)や新たなたるみの原因になります。

マッサージを行う際は必ずたっぷりのクリームやオイルを塗布し、指の滑りを良くします。人差し指ではなく、力の入りにくい薬指を使うのがコツです。

目頭から目尻へ、そしてこめかみへと、皮膚を動かさない程度のごく軽いタッチで流します。最後にこめかみを軽くプッシュし、耳の下から鎖骨へと流します。

これを数回繰り返します。「押す」のではなく「撫でる」感覚で行うことが、将来の肌を守るために不可欠です。

ハリを与える成分の選び方

スキンケアにおいては眼輪筋の上の皮膚にハリを持たせ、たるみを目立たなくする成分を選びます。

代表的な成分として「レチノール」や「ナイアシンアミド」があります。これらはコラーゲンの生成を促し、皮膚の厚みや弾力を取り戻す助けとなります。

また、乾燥による小ジワが影を強調している場合は、「セラミド」や「ヒアルロン酸」配合の保湿力の高いアイクリームを使用します。

アプリケーター付きのアイクリームなら塗布と同時にひんやりとしたマッサージ効果も得られ、朝のむくみ取りにも役立ちます。

トレーニングで内側から支え、スキンケアで外側から引き締める、この両輪が揃って初めて満足のいく結果が得られます。

ケア方法の組み合わせと期待できる効果

ケア方法目的トレーニングとの相乗効果
ホットタオル血行促進、筋肉の緊張緩和筋肉が柔軟になり、可動域が広がることでトレーニング効率が向上する
リンパ流し老廃物・余分な水分の排出トレーニング後の疲労物質を流し、むくみによる影の強調を防ぐ
レチノール等皮膚のコラーゲン産生促進筋肉の土台となる皮膚自体を引き締め、たるみ改善を加速させる

セルフケアの限界と美容医療の活用判断

眼輪筋トレーニングは安全でコストのかからない素晴らしい方法ですが、全ての「目の下の影」を完全に消し去ることができるわけではありません。症状の進行度合いによっては、セルフケアだけでは改善が難しい場合もあります。

ここでは、専門的な治療を検討すべきタイミングや、その種類について客観的な視点で整理します。

トレーニングで改善しにくいケース

眼窩脂肪の突出が極端に大きい場合や、皮膚の余剰(たるみ)が著しく進行してしまっている場合は、トレーニングだけでフラットな状態に戻すことは困難です。

一度伸びきってしまった皮膚は、筋肉を鍛えてもある程度までしか縮まないからです。

また、骨格的に眼窩(目の入っている骨のくぼみ)が小さい人や、頬骨が低い人は、構造的に脂肪が前に出やすいため、セルフケアの効果を感じにくい傾向にあります。

数ヶ月間、真面目にトレーニングと生活改善を続けても全く変化が見られない、あるいは影が濃くなっていると感じる場合は、セルフケアの限界点に達している可能性があります。

この段階で無理なマッサージなどを続けると、逆に皮膚を傷めるリスクがあるため、専門家の意見を聞くことも選択肢の一つです。

注入療法という選択肢

メスを使わない治療法として、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの注入療法があります。これは、目の下の凹んでいる部分(影になっている溝の部分)にフィラーを注入し、段差を埋めることで影を目立たなくする方法です。

即効性があり、ダウンタイム(回復期間)も短いため、多くの人が利用しています。

ただし、これはあくまで「溝を埋める」対症療法であり、突出した脂肪そのものを減らすわけではありません。また、注入技術によっては凸凹になったり、チンダル現象(青白く透ける)が起きたりするリスクもあります。

眼輪筋トレーニングでベースの筋肉を維持しつつ、どうしても消えない微細な溝を注入で補うといった、ハイブリッドな考え方も有効です。

外科的アプローチの概要

根本的に脂肪を取り除くには、「脱脂術(経結膜脱脂法)」などの外科的手術が必要となります。

これは下まぶたの裏側から余分な脂肪を摘出する方法で、皮膚表面に傷が残らないのが特徴です。脂肪そのものがなくなるため、物理的な膨らみは解消されます。

しかし、脂肪を取りすぎると逆に目がくぼんでしまったり、シワが増えたりすることもあります。

また、眼輪筋そのものがたるんでいる場合は脂肪を取るだけでなく、余った皮膚を切り取る手術や、脂肪を移動させる「ハムラ法」などが適応となることもあります。

外科手術は一度行うと元に戻せないため、医師との十分なカウンセリングとリスクへの理解が必要です。トレーニングは術後の再発防止や、仕上がりを美しく保つためにも役立ちます。

セルフケアとプロフェッショナルケアの比較

比較項目眼輪筋トレーニング(セルフ)注入治療(ヒアルロン酸等)外科手術(脱脂術等)
アプローチ筋肉を強化し、脂肪を支え直す溝を埋めて段差を隠す原因となる脂肪を除去・移動する
効果の持続継続する限り維持される(長期的)半年〜1年程度(吸収される)半永久的(加齢による変化は除く)
リスク・負担なし(誤った方法は逆効果)内出血、しこり、塞栓など腫れ、痛み、取りすぎによる窪み

よくある質問

効果を感じるまでどのくらいの期間が必要ですか?

筋肉の細胞が入れ替わり、目に見える変化として現れるまでには、一般的に2ヶ月から3ヶ月程度の継続が必要です。

ただし、むくみによる青クマが混在している場合は、血流改善効果によって1週間〜2週間程度で「目が軽くなった」「顔色が明るくなった」といった初期の変化を感じることが多いです。

焦らずコツコツと続けることが大切です。

トレーニングをするとシワが増えませんか?

正しいフォームで行えばシワが増えることはありません。しかし、乾燥した状態で皮膚を無理に折り曲げたり、必要以上に強く目を細めたりすると、表情ジワが定着する恐れがあります。

トレーニング前には必ず保湿クリームを塗り、皮膚を柔軟にしておくこと、そして鏡を見て余計な場所にシワが寄っていないか確認しながら行うことを推奨します。

メイクをしたままでもトレーニングできますか?

基本的には問題ありませんが、強く目を閉じる動作などでメイクが崩れる可能性はあります。

また、視線移動のエクササイズなどは問題ありませんが、まぶたに触れる動作を含む場合は、衛生面や摩擦を考慮し、クレンジング後やスキンケアのタイミングで行うのがベストです。

日中の隙間時間に行う場合は、触れないトレーニングを中心に行いましょう。

年齢に関係なく効果はありますか?

筋肉は何歳からでも鍛えることができます。もちろん、若い頃の方が反応は早い傾向にありますが、60代、70代から始めても筋力の向上は確認されています。

むしろ、年齢を重ねているほど、少しの筋力アップが大きな見た目の変化(リフトアップ感)につながりやすいとも言えます。諦めずに始めることが重要です。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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