クマ治療に脱脂・脂肪注入は必須ではない｜No,066

他院で目尻切開とグラマラスライン（下眼瞼下制・たれ目）の施術歴がある方のクマ治療を担当させて頂きました。

たれ目手術を行っている場合に、後から裏ハムラや裏ミッドフェイスリフトなどの施術を行う場合に、たれ目の効果が低下する可能性について指摘される場合があります。

しかしながら、私の場合は、結膜の切開部を15mm未満のできる限り小さな傷で行うことができるため、たれ目の効果に影響する外側部分に対する影響を最小限にして施術することが可能です。

今回も、脱脂・脂肪注入を行わないクマ治療の裏ミッドフェイスリフトを選んで頂きました。

脱脂も脂肪注入もしないでクマが治せるという事実をより多くの人に知ってもらうのが私の目標の一つです。

もちろん脱脂や脂肪注入によってクマが改善し喜んでおられる方がたくさんいらっしゃるのは承知しています。

しかし、脱脂も脂肪注入も行わずに、もちろん皮膚も切除せずにクマが治せるのであれば、その方が良いのではないでしょうか。

脱脂は脂肪を取って捨てる施術で、もちろん取り返しのつかない施術です。「脂肪は財産」という言葉が最近よく聞かれるようになっていますがまさにその通りで、中顔面（目と口の間）の脂肪も加齢と共に減っていきます。

だとすれば、取って捨ててしまうよりも有効利用した方が良いというのが私の考えです。

脂肪注入は、太ももやおなかの脂肪を採取してボリュームを増やしたい部分に注入する治療ですが、注入した脂肪がすべて生きた脂肪として定着するわけではありません。

脂肪注入後半年で、入れた脂肪の半分くらいが残るイメージですが、残ったボリュームを構成しているものは繊維や壊死組織（死んだ組織）によるボリュームも含んでの物なので、きちんと生きた脂肪細胞はもっと少量です。

脂肪注入は思ったよりボリュームが残らない可能性や、死んだ組織がしこりになるリスクも当然ありますし、注入して何か問題があったときにそれを回収するのは簡単ではありません。

美容医療で失敗しないコツは取り返しのつかない処置を最小限にすることだと私は考えます。

私が行う裏ハムラや裏ミッドフェイスリフトは、脂肪を一切取らずに、皮膚切除もしないで、外から何かを入れたりしません。

もちろん移動した脂肪を固定するために手術用の縫合糸を用いますが、半年もすれば溶けてなくなってしまうモノフィラメントの吸収糸を使用しています。

つまり、何も入れず、何も取らず、元々そこにあるものの位置関係を調整することでクマを治す治療です。

脱脂も脂肪注入もせずに、脱脂や脂肪注入をするよりももっと根本的に、もっと安全にクマが治療できる施術であり、私はまず最初に考慮すべき治療の選択肢の一つだと考えています。

上を向くと目立っていた凹凸も改善しています。

術後1か月くらいすると見た目の問題はほぼなくなります。