首こり・肩こりが顔の血流を止める?全身の巡りで青クマ改善

毎朝鏡を見るたびに憂鬱になる、目の下に広がる青黒い影。コンシーラーで隠しても夕方には浮き出てくるその「青クマ」は、実は目元だけの問題ではありません。

デスクワークやスマートフォンの長時間使用によって凝り固まった首や肩が、顔への血流をダムのようにせき止めていることが根本的な原因である場合が多いのです。

高価なアイクリームを塗るよりも、まずは首と肩の緊張を解き、全身の巡りを整えることが、明るい目元を取り戻す近道となります。

この記事では体のこりと青クマの密接な関係性を解き明かし、根本から改善するための具体的な方法を提案します。

目次

青クマの正体は滞った静脈血と筋肉の緊張による酸素不足

目の下に現れる青クマの根本的な原因は、目元の薄い皮膚の下で滞留している酸素不足の黒っぽい血液が透けて見えていることであり、その背景には首や肩の筋肉の過度な緊張が深く関わっています。

目元の皮膚は卵の薄皮程度しか厚みがなく、体の中で最も薄くデリケートな部分の一つです。そのため、皮下の血管の状態がダイレクトに肌の色として反映されます。

健康な状態であれば、鮮やかな赤い血液がスムーズに流れているため肌は血色良く見えますが、血行不良が起きると血液は酸素を失い、暗い青黒色へと変化します。これが皮膚を通して「青クマ」として認識されるのです。

この現象を引き起こす最大の要因こそが、顔への血液の通り道である首や肩の凝りなのです。

首が顔への血流をコントロールする関所となっている

心臓から送り出された血液が頭部や顔面に到達するためには、必ず首を通らなければなりません。首は重たい頭を支えながら、重要な血管や神経が通る非常に狭く混雑したパイプのような場所です。

首や肩の筋肉が柔らかく柔軟であれば、血管は圧迫されることなく、血液はスムーズに顔へと流れます。

しかし、筋肉が凝り固まって硬直すると、その中を通る血管は物理的に圧迫を受けます。特に、首の横にある胸鎖乳突筋や、肩から首の後ろに広がる僧帽筋が硬くなると、顔面から心臓へと戻る静脈の流れが阻害されやすくなります。

出口が塞がれた状態では新しい血液も入ってきにくくなり、結果として目元の毛細血管内で血液が渋滞を起こします。これが、慢性的な青クマを作り出す大きな要因となるのです。

酸素不足に陥った血液が青黒く見える理由

血液の色は酸素をどれだけ含んでいるかによって大きく変化します。

肺で酸素をたっぷりと取り込んだ動脈血は鮮やかな赤色をしていますが、全身の細胞に酸素を届け、代わりに二酸化炭素や老廃物を回収した静脈血は暗い赤紫や青黒い色をしています。

首や肩のこりによって血流速度が低下すると、血液が毛細血管内に留まる時間が長くなります。すると、血液中のヘモグロビンは酸素を失った状態(還元ヘモグロビン)の比率が高まり、より一層黒ずんだ色へと変化していきます。

目の下には毛細血管が網の目のように張り巡らされているため、この停滞したドス黒い血液の色がそのまま肌の色として現れてしまうのです。

つまり、青クマを消すには、この古い血液を素早く流し去り、酸素を豊富に含んだ新しい血液と入れ替える循環が必要になります。

リンパの流れも同時に滞りむくみを併発する

血流が悪化している場所では、同時にリンパ液の流れも滞ります。リンパ液は体内の余分な水分や老廃物を運搬する下水道のような役割を果たしていますが、血液循環がスムーズでないとリンパの回収機能も低下します。

首や肩のこりは、鎖骨付近にあるリンパの最終的な出口(リンパ本幹)の流れも悪くします。これにより、目元に余分な水分が溜まりやすくなり、青クマだけでなく「むくみ」や「たるみ」を併発させます。

むくんで皮膚が膨らむと、光の当たり具合によって影ができ、青クマがさらに濃く、暗く見えてしまうという悪循環に陥ります。

単なる色の問題ではなく、立体的な影も加わることで、より一層疲れた印象を与えてしまうのです。

自分のクマのタイプと首こり度を正しく把握する

効果的な対策を行うためには、まず自分の目の下のクマが本当に「血行不良による青クマ」なのかを見極め、同時に首や肩がどれほど深刻な状態にあるかを知ることが重要です。

クマには大きく分けて「青クマ」「茶クマ」「黒クマ」の3種類が存在し、それぞれ原因と対処法が異なります。

首こりや肩こりの解消が直接的な効果を発揮するのは主に青クマですが、黒クマの場合もむくみが取れることで改善するケースがあります。まずは鏡を持って、自分の肌を優しく触りながらチェックを行いましょう。

また、自覚症状がなくても首がガチガチに固まっている「隠れ首こり」の人も多いため、客観的な動作で確認することも大切です。

クマの種類別見分け方と主な原因

クマの種類見分け方主な原因
青クマ目尻を横に引っ張ると色が薄くなる血行不良、冷え、寝不足、眼精疲労
茶クマ引っ張っても色は変わらず、皮膚と一緒に動く色素沈着、摩擦、紫外線ダメージ、乾燥
黒クマ上を向くと薄くなる、または鏡を顔から離すと目立つ加齢によるたるみ、むくみ、骨格の影

目尻を引っ張るテストで青クマを特定する

最も簡単な判別方法は、目尻を指で優しく横に引っ張ってみることです。皮膚が伸びることで皮下の血管の密度が一時的に変わり、クマの色が薄くなったり、見えなくなったりする場合は「青クマ」の可能性が高いです。

逆に、皮膚を引っ張っても茶色い色がそのまま皮膚についてくるように移動する場合は、メラニン色素が沈着している「茶クマ」です。

また、顔を天井に向けた時にクマが消える、あるいは薄くなる場合は、皮膚のたるみや脂肪の突出による影である「黒クマ」と判断できます。

多くの人はこれらが複合している場合もありますが、色が青黒く、日によって濃さが変わるようであれば、血流改善のアプローチが有効です。

首の可動域でわかる隠れこりレベル

自分では「少し肩が重いかな」程度に思っていても、実際には筋肉がロックされていることがあります。首の可動域をチェックすることで、血流を阻害するほどの凝りがあるかどうかがわかります。

まず、姿勢を正して座り、ゆっくりと天井を見上げてみましょう。真上までスムーズに顔が向かない、あるいは首の後ろに詰まりや痛みを感じる場合は、首の前面や後面の筋肉が短縮しています。

次に、左右に首を倒してみます。耳が肩につくくらいまで倒れない、左右で倒しやすさに差がある場合は、胸鎖乳突筋や僧帽筋に偏った緊張があります。

さらに、後ろで手を組んで持ち上げた時にあまり上がらない場合も、肩甲骨周りの血流が滞っている証拠です。

これらの動きに制限があるなら、顔への血流は確実に損なわれています。

触れて感じる温度差と硬さの確認

手を使って直接筋肉の状態を確認することも有効です。清潔な手で自分の首筋や鎖骨周辺、そして目の周りを触れてみてください。

首や肩がひんやりと冷たく感じたり、石のように硬かったりする場合、そこは血流が途絶えている「冷えスポット」です。

特に、耳の下から鎖骨に向かって伸びる筋肉(胸鎖乳突筋)を指で軽くつまんでみましょう。痛みを感じたり、硬くてつまめなかったりする場合は、リンパの流れも悪くなっています。

また、おでこや頭皮を指で動かしてみて、皮膚が頭蓋骨に張り付いたように動かない場合も要注意です。

頭部の緊張はそのまま目元の血行不良に直結するため、これらの「硬さ」と「冷たさ」を取り除くことが青クマ解消のスタートラインとなります。

現代人の生活習慣が招く顔面血流不足の要因

青クマを悪化させる首や肩のこりは、偶発的に発生するものではなく、日々の積み重なった生活習慣が作り出している必然的な結果です。

特に現代の生活環境は体にとって不自然な姿勢や緊張を強いる場面が多く、知らず知らずのうちに「血流を止める姿勢」を取り続けています。

原因を取り除かずにマッサージだけを行っても、それは一時的な対処療法にしかなりません。蛇口を閉めずに床を拭いているようなものです。

まずは、自分の生活の中に潜んでいる「こりの発生源」を特定し、それらを少しずつ減らしていく意識を持つことが、透明感のある目元を取り戻す土台となります。

首こりを加速させる主なNG習慣

  • スマートフォンを覗き込む際、頭が前に出ている時間が1日2時間を超えている
  • デスクワーク中、モニターの位置が低く常に下を向いている
  • 集中すると奥歯を噛み締めていたり、舌が上顎についていなかったりする
  • 運動習慣がなく、肩甲骨を動かす機会がほとんどない
  • 枕の高さが合っておらず、朝起きた時に首や肩に疲れを感じる
  • 入浴をシャワーだけで済ませ、体を芯から温める時間が少ない
  • ストレスを感じやすく、無意識に肩が上がっていることが多い

スマートフォンの長時間使用とストレートネック

現代病とも言える「スマホ首(ストレートネック)」は、青クマ製造機と言っても過言ではありません。人間の頭は約5キログラムもの重さがありますが、うつむく角度が深くなるほど、首にかかる負担は何倍にも膨れ上がります。

スマートフォンを見るために首を前に傾けると、首の後ろ側の筋肉はずっと引き伸ばされた状態で緊張し続け、血管を強く圧迫します。さらに、首の前面の筋肉は縮こまり、リンパの流れ道を塞ぎます。

この状態が長時間続くと頸椎本来のカーブが失われ、常に首の筋肉が緊張状態にあるストレートネックになります。

寝ている間も首の緊張が取れなくなるため、朝起きた時点ですでに顔色が悪い、クマが濃いという状況を作り出してしまうのです。

猫背と巻き肩による呼吸の浅さ

姿勢の悪さは、筋肉の緊張だけでなく、呼吸の質も低下させます。デスクワークなどで背中が丸まり、肩が内側に入る「巻き肩」になると、胸郭が狭くなり、肺が十分に広がらなくなります。

呼吸が浅くなると、体内に取り込める酸素の量が減ります。ただでさえ血流が悪くて酸素が届きにくい目元に、酸素濃度の低い血液が巡ることになります。これは血液の色をより暗く、青黒くさせる直接的な原因となります。

また、巻き肩は鎖骨周辺を圧迫するため、顔から心臓へ戻る静脈やリンパの通り道を狭めてしまいます。姿勢の崩れは物理的な血管の圧迫と、血液の質の低下という二重のパンチで青クマを悪化させるのです。

ストレスによる無意識の食いしばり

精神的なストレスも、顔の血流に大きな影響を与えます。人はストレスを感じたり、何かに集中したりすると、無意識のうちに奥歯をぐっと噛み締めたり、歯を接触させたりする癖が出ます。

顎の筋肉(咬筋)に力が入ると、それと連動して首や側頭部の筋肉も硬直します。咬筋の近くには顔面動脈などの主要な血管が通っているため、ここが硬くなると顔全体への血流ポンプが弱まります。

さらに、食いしばりは夜間の歯ぎしりにもつながり、睡眠中の血行不良を招きます。朝起きた時に顎がだるい、こめかみが痛いと感じる人は、寝ている間に自ら血流を止め、青クマを育ててしまっている可能性が高いのです。

即効性を高める首と肩甲骨のリセットストレッチ

凝り固まった筋肉をほぐし、ダムの放流のように一気に顔への血流を回復させるには、ポイントを押さえたストレッチが非常に有効です。

ただし、力任せに揉んだり叩いたりするのは逆効果になりかねません。デリケートな首周りには優しく、かつ深層に届くアプローチが必要です。

ここでは、仕事の合間や入浴後など、気づいた時にすぐ実践できるリセット方法を紹介します。これらを習慣化することで、その日の血行不良はその日のうちに解消し、翌朝に青クマを持ち越さない体を作ることができます。

特に「胸鎖乳突筋」と「肩甲骨」の2点に集中してケアを行うことが大切です。

部位別リセットアクションのポイント

ターゲット部位アクションの内容期待できる効果
胸鎖乳突筋(首の横)耳の下から鎖骨までを指で優しくつまんで揺らすリンパ排出の促進、顔のむくみ解消
後頭下筋群(首の後ろ)ホットタオルで温めながら、頭の重みを利用して伸ばす眼精疲労の緩和、頭部への血流確保
肩甲骨・僧帽筋肘を曲げて肩を大きく後ろに回す背中の緊張緩和、姿勢改善、呼吸の深化

耳の下から鎖骨へ流す胸鎖乳突筋ほぐし

顔の血流改善において最も重要な鍵を握るのが、耳の後ろから鎖骨の内側に向かって斜めに走る「胸鎖乳突筋」です。顔を横に向けた時に浮き出る太い筋肉です。

ここをほぐす際は、強い力で押すのではなく「つまんで揺らす」のがコツです。顔を少し横に向け、浮き出た筋肉を親指と人差し指で軽くつまみます。上から下へと場所を移動させながら、優しくゆらゆらと揺らしてください。

筋肉が緩むと、その下にある頸動脈やリンパ管の圧迫が解かれ、顔色がパッと明るくなるのを実感できるはずです。

また、鎖骨のくぼみを軽く指で押すことで、リンパの最終出口を開放し、老廃物の排出をさらにスムーズにします。

頭皮と首の境目を緩める眼精疲労ケア

目の使いすぎによる青クマには、後頭部へのアプローチが欠かせません。頭蓋骨と首の骨の境目にある「後頭下筋群」は目の動きと連動しており、ここが硬くなると目周りの血流が著しく低下します。

両手を組んで後頭部に当て、親指で首と頭の境目のくぼみを捉えます。そのまま頭をゆっくり後ろに倒し、親指の圧を感じながら深呼吸をします。

さらに、側頭部(耳の上あたり)を掌の付け根で円を描くようにマッサージすることも有効です。側頭筋の緊張が取れると、目尻が引き上がり、目の周りの空間が広がるため、物理的にも血流が流れやすくなります。

肩甲骨を動かして背中から血を巡らせる

首だけのケアでは、土台である背中が固まっているとすぐに元に戻ってしまいます。肩甲骨周りの筋肉(菱形筋など)を動かすことで背中全体をポンプのように使い、全身の血流を強力に押し上げましょう。

効果的なのは「肩甲骨はがし」のような動きです。両手の指先を肩に置き、肘で大きな円を描くように回します。

ポイントは、肘を前に持ってくる時に背中を丸め、後ろに引く時に胸を大きく開き、肩甲骨同士をギュッと寄せることです。

この動きを繰り返すことで褐色脂肪細胞も刺激され、体温が上がりやすくなります。体が温まれば血管が拡張し、青クマの原因である滞留した血液も流れ出していきます。

温熱効果で血管を広げ循環を底上げする

物理的なストレッチに加え、熱エネルギーを利用して強制的に血管を拡張させることも、青クマ改善には欠かせません。

冷えは血管を収縮させ、血流を悪化させる最大の敵です。特に目の周りの皮膚は薄いため外気の影響を受けやすく、すぐに冷えてしまいます。

外側からの温めと、内側からの体温維持を組み合わせることで、常に血液がサラサラと流れる環境を整えることができます。忙しい時こそ「温める」というシンプルなケアを取り入れるだけで、顔色は驚くほど回復します。

シーン別おすすめ温活テクニック

タイミング方法注意点
朝の洗顔後蒸しタオルを目元と首元に乗せる熱すぎると肌の乾燥を招くため適温で
日中のデスクワーク首の後ろにカイロを貼る、ストールを巻く低温火傷に注意し、直接肌に貼らない
夜の入浴38〜40度のお湯に15分以上全身浴する熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまう

目元と首元のダブルホットタオル習慣

即効性を求めるなら、ホットタオルが一番です。水で濡らして絞ったタオルを電子レンジで1分ほど温め、適温になったら目の上に乗せます。

重要なのは、目元だけでなく、首の後ろも同時に温めることです。目を温めると局所的な血管は広がりますが、供給源である首が冷えていては効果が半減します。

タオルを2本用意するか、長めのタオルを使って目と首を同時に覆うようにしましょう。蒸気による湿熱は乾いた熱よりも深部まで届きやすく、こわばった筋肉を芯から緩めます。

朝のメイク前に行えば、クマが薄くなるだけでなく、化粧ノリも良くなります。

炭酸入浴で全身の血流を一気に改善

シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることは、水圧と温熱効果で全身の巡りを整える最良の手段です。特に炭酸ガス入りの入浴剤を活用することをお勧めします。

お湯に溶け込んだ炭酸ガスは皮膚から吸収されて血管内に入り、血管を拡張させる作用があります。ぬるめのお湯でも血流が数倍にアップするため、湯上がり後もポカポカとした状態が続きます。

首までしっかり浸かることで重たい頭を支えていた首の筋肉が浮力によって解放され、緊張が解けます。リラックスすることで副交感神経が優位になり、血管がさらに緩むという好循環が生まれます。

就寝時の冷え対策と寝具の選び方

寝ている間は体温が下がり、血流も穏やかになります。この時に首元が冷えていると、筋肉が収縮して朝の青クマにつながります。

冬場はもちろん、夏場の冷房にも注意が必要です。首元を冷やさないよう、ネックウォーマーを活用したり、布団をしっかり肩まで掛けたりしましょう。

また、枕の高さも重要です。高すぎる枕は首を圧迫し、シワの原因になるだけでなく血流も阻害します。逆に低すぎると顔に水分が溜まりやすくなります。

立った時の姿勢に近い自然なカーブを保てる枕を選ぶことが、睡眠中の血流確保には大切です。

内側から血液の質を高める栄養と水分摂取

外側からのアプローチで血流の「通り道」を確保したら、次はそこを流れる「血液そのものの質」を高めることに目を向けましょう。

いくら血流を良くしても、血液自体がドロドロだったり、酸素を運ぶヘモグロビンが不足していたりしては、青クマは改善しません。

毎日の食事や水分補給の仕方を見直すことで鮮やかな赤い血液を作り出し、肌色をトーンアップさせることが可能です。特に女性は鉄分不足になりがちなので、意識的な栄養摂取が求められます。

血液の質と巡りを高める栄養素リスト

栄養素働き多く含まれる食品
鉄分(ヘム鉄)酸素を運ぶヘモグロビンの材料になるレバー、赤身肉、カツオ、アサリ
ビタミンE血管を広げ、血行を促進するアーモンド、アボカド、うなぎ、かぼちゃ
タンパク質血管や筋肉の材料となり、体熱を生み出す肉、魚、卵、大豆製品

鉄分不足を解消し酸素運搬能力を上げる

青クマに悩む人の多くは、潜在的な鉄欠乏の状態にあります。鉄分は赤血球中のヘモグロビンの主成分であり、全身に酸素を届けるトラックの役割を果たしています。

鉄分が不足すると、血液は十分な酸素を運べず、色が暗くなります。これが皮膚を通して青黒く見える原因の一つです。

吸収率の高い動物性の「ヘム鉄」を積極的に摂るようにしましょう。レバーや赤身の肉、魚などがおすすめです。

植物性の「非ヘム鉄」(ほうれん草やひじきなど)を摂る場合は、吸収を助けるビタミンCと一緒に摂ることで効率よく体内に取り込めます。

水分バランスを整えてドロドロ血を防ぐ

水分不足は血液の粘度を高め、流れを悪くします。しかし、一度に大量の水を飲むと、逆にむくみの原因となり、青クマを目立たせてしまうこともあります。

大切なのは「こまめに、常温で」飲むことです。冷たい水は内臓を冷やし、代謝を下げてしまいます。白湯や常温の水を、喉が渇く前に一口ずつ飲む習慣をつけましょう。

また、カフェインを含むコーヒーや紅茶は利尿作用があり、水分を排出してしまうため、飲み過ぎには注意が必要です。

ノンカフェインのハーブティーや麦茶などを活用し、体の中を常に綺麗な水で満たすイメージを持つことが、透明感への第一歩です。

体を温める食材を選んで代謝アップ

漢方の考え方では、体を温める「陽」の食材と、冷やす「陰」の食材があります。青クマが気になる人は、体を温める食材を意識して選ぶことが大切です。

一般的に、地下で育つ根菜類(生姜、人参、ごぼう、レンコン)や、寒い地域で採れる食材は体を温める作用があります。特に生姜に含まれる成分は、加熱することで血行促進効果が高まります。

逆に、夏野菜や南国のフルーツ、白砂糖などは体を冷やす傾向があります。これらを食べる時は加熱したり、温める食材と組み合わせたりする工夫が必要です。

毎日の食事で「内臓温度」を上げることは、全身の血流改善に直結します。

セルフケアの限界とプロの手を借りる判断基準

ここまで紹介したセルフケアを続けても改善が見られない場合や、こりの症状が重い場合は、無理をせずに専門家の力を借りることも重要な選択肢です。

自己流のケアで強い力を加えすぎて逆に筋肉を傷めてしまったり、皮膚を摩擦して色素沈着(茶クマ)を招いてしまったりするリスクもあります。

プロによる施術は深部の凝りに直接アプローチできるだけでなく、自分の体の癖を知る良い機会にもなります。セルフケアとプロケアを上手に組み合わせることが、最短距離で青クマを解消する賢い方法です。

  • ストレッチをしても首や肩の痛みが全く引かない、または悪化する
  • 頭痛や吐き気、手のしびれなどを伴う重度のこりがある
  • 青クマだけでなく、まぶたの重みや視力の低下を感じる
  • 十分な睡眠をとっても、クマの色が濃いまま変化しない
  • セルフケアを2週間以上続けても効果が実感できない

整体や鍼灸で深層筋へアプローチ

整体やマッサージでは、自分では手の届かない背中や、深層にある筋肉の癒着を剥がすことができます。骨格の歪みを矯正することで、筋肉への負担を根本から減らすことも可能です。

また、鍼灸治療は、直接筋肉に刺激を与えて強制的に血流を促す強力な手段です。特に顔や首への鍼は局所の血行を劇的に改善し、コラーゲンの生成を促す効果も期待できます。

美容鍼として青クマ改善メニューを提供している治療院も多くあります。筋肉が石のように硬くなってしまっている場合は、手技では限界があるため、鍼のような物理的刺激が突破口になることがあります。

美容医療という選択肢も視野に入れる

血行不良だけでなく、皮膚の薄さ自体が原因で血管が透けすぎている場合や、目の下の脂肪が突出して影を作っている場合は、生活習慣の改善だけでは限界があります。

美容皮膚科などのクリニックではレーザー治療で血行を促進したり、皮膚に厚みを出したりする治療が可能です。また、再生医療(PRP療法など)によって皮膚自体を若返らせるアプローチもあります。

まずは自分の努力でできる血流改善を徹底し、それでも残るクマに対しては医療の力を借りるというように、段階を踏んで考えると良いでしょう。

カウンセリングを受けるだけでも、自分のクマの正体が明確になり、対策の方向性が定まります。

よくある質問

首こりのための運動はどのくらいの頻度で行うべきですか?

理想は毎日ですが、一度に長時間行うよりも、1日数回こまめに行う方が効果的です。

筋肉は同じ姿勢を30分続けると硬くなり始めると言われています。仕事中であれば1時間に1回、トイレに立つタイミングなどで首を回したり肩甲骨を動かしたりする「ちょこっと運動」を習慣にすることをお勧めします。

継続することで、筋肉が固まりにくい体に変わっていきます。

青クマを温めるとかゆくなるのはなぜですか?

急激に血行が良くなることで、一時的にかゆみを感じることがあります。これはヒスタミンという物質が関係しており、血流が改善している証拠でもあります。

ただし、皮膚に赤みが出たり、かゆみが強すぎたりする場合は温度が高すぎるか、肌が乾燥して敏感になっている可能性があります。温度を少し下げ、保湿をしっかり行った上で温めるようにしてください。

症状が治まらない場合は皮膚科医に相談しましょう。

枕なしで寝ると首のシワやこりに良いと聞きましたが本当ですか?

枕なしが良いかどうかは、その人の背骨のカーブや体型によります。ストレートネックの人が枕なしで寝ると、かえって首への負担が増す場合もあります。

重要なのは「寝ている時に首の骨が自然なカーブを描いているか」です。横向きで寝る場合は、肩幅分の高さがある枕が必要です。

自己判断で枕をやめるよりも、タオルなどで高さを微調整し、朝起きた時に首や肩が楽な高さを見つけることが大切です。

メイクで青クマを隠す時のコツはありますか?

青色の補色(反対色)である「オレンジ系」のコンシーラーを使うのが正解です。明るいベージュなどを重ねると、青色が透けて灰色っぽくなり、かえって目立ってしまいます。

まずはオレンジ系のコンシーラーで青みを打ち消し、その上から肌色に合ったファンデーションやコンシーラーを薄く重ねることで自然にカバーできます。

厚塗りは崩れの原因になるため、薄く層を重ねるイメージで行いましょう。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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