コンシーラーの色選びと光で黒クマを自然に消すメイクテク

鏡を見るたびに気になってしまう目の下の暗い影、いわゆる「黒クマ」。実はこれ、色素沈着ではなく皮膚のたるみや膨らみが作り出す「影」が原因です。だからこそ、単に塗って隠すだけでは解決しません。

重要なのは、影を打ち消す「色選び」と、くぼみをふっくら見せる「光の反射」を味方につけることです。

本記事では、黒クマ特有の構造を理解し、メイクだけでマイナス5歳の目元印象を作るための具体的なテクニックを徹底解説します。正しい知識と技術で自信あふれる明るい表情を手に入れましょう。

目次

黒クマの正体を見極めて対策の基礎を固める

黒クマを解消するためには、まずその原因が「影」であることを深く理解し、他のクマとの違いを明確に区別することがスタートラインになります。

多くの人がコンシーラー選びで迷走してしまう最大の理由は自分のクマのタイプを誤認し、適切な処置ができていないことにあります。

黒クマは皮膚の色そのものが変化している茶クマや青クマとは異なり、立体的な構造の変化によって生じる現象です。そのため、平面的なカバー力よりも立体感を操るアプローチが必要になります。

影ができる原因と構造的な特徴

黒クマがなぜ発生するのか、その構造を知ることはメイクの方向性を決める上で非常に大切です。

私たちの眼球は眼窩脂肪というクッションのような脂肪に守られていますが、加齢や眼輪筋の衰えによってこの脂肪が前方に押し出されてきます。

同時に、頬の皮膚が重力によって下がることで、目の下には「膨らみ」と「くぼみ」の段差が生まれます。

太陽が高い位置にある昼間や、ダウンライトの下で鏡を見たときに黒クマが濃く見えるのは、この段差に光が遮られて物理的な「影」が落ちているからです。

したがって、黒クマを消すということは、この影の部分を明るく見せ、膨らみとの高低差を目立たなくさせる錯覚を利用する作業と言い換えられます。

ファンデーションを厚塗りしても消えないのは厚塗りをしても段差そのものは埋まらず、むしろ崩れの原因になってしまうからです。

他のクマとの見分け方を再確認する

自分が本当に対策すべきは黒クマなのか、それとも複数のクマが混在しているのかを確認しましょう。正しい診断が、正しい色選びへと直結します。

手鏡を持って顔を上に向けてみてください。天井を見上げるように顔を動かしたとき、目の下の色が薄くなったり消えたりする場合は「黒クマ」の可能性が高いです。光が正面から当たることで影が飛ぶためです。

一方で、顔を動かしても色がまったく変わらない場合は色素沈着による「茶クマ」、皮膚を横に優しく引っ張ったときに色が薄くなるなら血行不良による「青クマ」と判断できます。

大人の目元悩みはこれらが複合しているケースも多いため、まずは一番目立つ黒クマ(影)を解消しつつ、必要に応じて色味補正を加えるという二段構えの対策が有効です。

主なクマの種類と特徴比較

クマの種類主な原因見分け方のポイント
黒クマたるみ・脂肪の突出による影上を向くと薄くなる
青クマ血行不良・皮膚が薄い引っ張ると薄くなる
茶クマ色素沈着・摩擦・乾燥何をしても色が変わらない

影を消すためのコンシーラー色選びの理論

黒クマ特有の「黒っぽい影」を打ち消すには、肌色よりもワントーン明るい色や鮮やかなオレンジ系のカラーを戦略的に配置することが重要です。

影になっている部分は周囲の肌よりも明度が低く、グレーがかった暗い色に見えています。ここに単純なベージュを重ねても、グレーと混ざって「ドブ色」のように濁ってしまい、かえって顔色が悪く見えることがあります。

色の持つ補正効果を利用して、マイナスをゼロに戻す発想を持ちましょう。

オレンジとアプリコットが影に効く理由

黒やグレーといった無彩色に近い影の色を中和するために最も効果を発揮するのが、補色の関係に近い「オレンジ」や「アプリコット」です。

これらの暖色系カラーは、血色感をプラスしながら暗い影の色味をキャンセルする力を持っています。

特に黒クマの場合、影による暗さが強いため、少し「濃いかな?」と感じるくらいのオレンジを最初に仕込むことがプロの現場でも常套手段となっています。

肌のトーンにもよりますが、色白の方であればピンク寄りのサーモンピンクやアプリコット、標準的な肌色や健康的な肌色の方であれば、しっかりとしたオレンジを選ぶと馴染みが良くなります。

このオレンジの層がフィルターの役割を果たし、下から透けて見える影の黒さをカモフラージュしてくれます。

明るいベージュで立体感を偽装する

オレンジで影の色味を打ち消した後は、ご自身の肌色に合った、もしくは半トーン明るいベージュやイエロー系のコンシーラーを重ねます。

これはオレンジ色を肌に馴染ませると同時に、くぼんでいる部分を前に出して見せる「ハイライト効果」を狙うためです。

ここで注意したいのは、白すぎるコンシーラーを選ばないことです。白は膨張色ですが、黒クマの上に直接のせると、影のグレーと混ざって青白く浮いてしまい、不自然さが際立ちます。

あくまで「肌色の延長線上にある明るい色」を選ぶことが、自然に仕上げるための鉄則です。

肌の明るさと推奨カラーの組み合わせ

肌のトーン補正用カラー(1層目)馴染ませカラー(2層目)
色白肌サーモンピンク・アプリコットライトベージュ・アイボリー
標準肌オレンジ・ピーチナチュラルベージュ・オークル
健康肌ダークオレンジ・アンバーミディアムベージュ・イエロー

光の反射を利用してくぼみをふっくら見せる

黒クマ対策において「色」と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「光」のコントロールです。

影になっているくぼみ部分は光が届きにくいため暗く見えます。そこに人工的に光を集めることで、視覚的にくぼみを隆起させ、フラットな状態に見せることができます。

マットな質感で厚塗りして隠すのではなく、光で飛ばすという感覚を身につけると、厚塗りを防ぎながら透明感のある仕上がりが手に入ります。

パールとラメの繊細な使い分け

光を集めるためには、パールや微細なラメが含まれているアイテムが有効です。しかし、粒子の大きさには注意が必要です。

ギラギラとした大粒のラメは、かえって肌のキメの粗さや小ジワを目立たせてしまうリスクがあります。黒クマ対策として選ぶべきは、濡れたようなツヤを出す「微細パール」配合のものです。

リキッドタイプのハイライトコンシーラーや、光拡散パウダー(ソフトフォーカス効果のあるパウダー)を使用すると、あらゆる方向から光を反射し、影の輪郭をぼかすことができます。

まるでレフ板を目の下に置いているかのような効果を狙いましょう。

光を置くべきピンポイントな位置

光をのせる位置を間違えると、膨らんでいる部分(目袋)をさらに強調してしまい、クマが悪化したように見えてしまいます。

光をのせるべきは膨らみの頂点ではなく、その下にある「影のライン(ゴルゴラインの入り口)」の最も深い部分です。

細い筆ペンタイプのリキッドコンシーラーなどを使い、影の線の上をなぞるようにピンポイントで明るさを足します。これにより、一番凹んでいる部分が前に出て見え、膨らみとの高低差が緩和されます。

範囲を広げすぎず、必要な場所にだけ光を置くことが成功の鍵です。

光拡散効果を狙うアイテムの特徴

  • 粒子が細かく、上品なツヤが出るパール配合のもの
  • 乾燥してもひび割れにくい保湿力の高いリキッドタイプ
  • 肌馴染みの良いピンクゴールドやシャンパンベージュの色味
  • ソフトフォーカス効果を謳ったルースパウダー

崩れを防ぎカバー力を高める下準備

どれほど優れたコンシーラーを選んでも土台となる肌の準備が整っていなければ、数時間後にはヨレてしまい、黒クマが再び顔を出してしまいます。

特に目元は皮膚が薄くよく動く部分であり、乾燥もしやすいため、スキンケアと下地の段階で「崩れにくさ」と「潤い」の両立を仕込んでおくことが大切です。

目元専用の保湿でハリを与える

メイク前のスキンケアでは、アイクリームを使ってたっぷりと保湿を行います。乾燥して萎んだ肌は影をより深く見せてしまうため、水分と油分で肌をふっくらとさせておきます。

ただし、油分が多すぎるとコンシーラーが滑って定着しないため、メイク直前はティッシュで軽く押さえて余分な油分を取り除くひと手間が必要です。

また、マッサージなどで血行を良くしておくことも有効です。黒クマに加えて青クマの要素がある場合、血流を促すことで土台の色ムラが軽減され、コンシーラーの量を減らすことができます。

プライマーで凹凸を滑らかにする

黒クマ特有の皮膚の凹凸や小ジワを埋めるために、シリコン系の部分用下地(ポアプライマーやアイベース)を活用するのも一つの手です。

これらは肌表面をフラットに整える効果があり、その後に塗るコンシーラーの伸びを良くし、毛穴落ちやシワに入り込むのを防ぎます。

全体用の化粧下地にも、トーンアップ効果のあるものを選ぶと良いでしょう。ピンクやラベンダー系の下地を目の下の三角ゾーンに仕込んでおくだけで光の土台ができあがり、コンシーラーの発色を助けます。

下地選びの指針

下地のタイプ期待できる効果おすすめの肌質
保湿系プライマー乾燥による小ジワを防ぐ乾燥肌・年齢肌
シリコン系部分下地凹凸を埋めてフラットにする凹凸が気になる肌
パール配合下地光でくすみを飛ばす全肌質・くすみ肌

黒クマを自然に消す具体的な塗布手順

いよいよ実践的なメイク手順に入ります。ここでは「隠す」という意識よりも「カモフラージュする」という意識で、薄い層を重ねていくイメージを持ってください。

厚塗りは時間が経つと笑いジワに溜まり、余計に老けた印象を与える原因になります。少量ずつ、的確な位置にのせることが、一日中きれいな目元を保つ秘訣です。

色を置く位置は「影の濃い部分」のみ

最初のステップとして、オレンジ系のコンシーラーを塗布します。この時、目の際(キワ)からべったりと塗るのはNGです。

目の際は自然な涙袋の影などを残しておかないと目が小さく見えてしまいますし、瞬きの影響で最もヨレやすい場所だからです。

塗るべき場所は、たるみの膨らみの下にある「黒い影のライン」の上です。影のラインに沿ってコンシーラーを点置きし、指の腹やスポンジで優しく叩き込みます。決して横に擦ってはいけません。

スタンプを押すように垂直にタップすることで色素が肌に密着し、カバー力が高まります。

境界線をぼかして肌に溶け込ませる

オレンジのコンシーラーを馴染ませたら、次に明るいベージュやハイライトカラーを重ねます。この際、先ほど塗ったオレンジの範囲よりも少し広めに、しかし薄く重ねるのがポイントです。

そして最も重要なのが「境目の処理」です。コンシーラーを塗った部分と、何も塗っていない頬の皮膚との境界線がくっきり残っていると、メイクをしている感が強く出てしまいます。

何もついていない指やスポンジの綺麗な面を使い、アウトラインをぼかしてグラデーションを作ります。中心部は触りすぎずカバー力を維持し、外側に向かってフェードアウトさせるイメージです。

塗り方の重要ポイントリスト

  • 一度に大量に出さず、手の甲で量を調整してから肌にのせる
  • 指を使う場合は、力の入りにくい薬指を使って優しくタップする
  • 目のキワ5mmはあえて塗らず、抜け感とヨレ防止を両立する
  • クマの影のライン「ゴルゴ線」の始点を重点的にカバーする

ツールとテクスチャーの使い分けで仕上がりを格上げ

プロのメイクアップアーティストと一般の方の大きな違いは、道具(ツール)へのこだわりです。指だけで仕上げるのも悪くありませんが、ブラシやスポンジを適材適所で使うことで密着度や薄づき感が劇的に向上します。

また、コンシーラー自体のテクスチャー(硬さ)も、黒クマの深さや肌の状態に合わせて選ぶ必要があります。

硬いテクスチャーと柔らかいテクスチャー

コンシーラーには、スティックやパレットタイプのような「硬め」のものと、チップや筆ペンタイプのような「緩め(リキッド)」のものがあります。

黒クマの場合、影の色が濃く、しっかりと留まりたい部分(影の底)には、カバー力と密着力の高い「硬め」のタイプが適しています。

一方で、目周りの乾燥がひどい場合や、広範囲に光を集めたい場合には、保湿力が高く伸びの良い「リキッド」タイプが活躍します。

理想的なのは、影のラインを消すために硬めのコンシーラーを使い、その上から明るさを足すためにリキッドを使うというハイブリッドな使い方です。

ブラシとスポンジの役割分担

コンシーラーブラシは、指では届きにくい細かい部分に色を正確にのせることができます。平筆タイプは面を埋めるのに、細筆タイプは線を消すのに適しています。

ブラシで色を置いた後、濡らして固く絞ったスポンジで上から軽く押さえる(フィックスさせる)と余分な油分が吸い取られ、肌への密着度が格段に上がります。

この「置き」と「定着」の作業を分けることで、プロのような仕上がりに近づきます。

ツールごとの特徴と適した用途

ツール名特徴・メリット適した用途
平筆ブラシ均一な厚みで塗布できる広範囲の色補正・カバー
細筆ブラシピンポイントで描ける影のライン消し・微調整
指(薬指)体温で馴染ませやすい最終的なぼかし・密着
スポンジ余分な量を取り除ける仕上げのパッティング

時間が経っても綺麗を持続させるリタッチ術

朝完璧に隠せたとしても、夕方になると表情の動きや皮脂によってコンシーラーが浮いてきたり、乾燥して割れてきたりすることがあります。

黒クマ対策は「直すこと」まで計算に入れておくのが賢明です。外出先でも簡単にできるリタッチ方法を知っておけば、一日中自信を持って過ごせます。

崩れにくいパウダーの選び方とのせ方

コンシーラーの仕上げにはフェイスパウダーが必要ですが、ここでも注意が必要です。マットすぎるパウダーを多量にはたくと、乾燥を招きシワっぽくなってしまいます。

選ぶべきは、保湿成分が含まれたしっとりした粉質のパウダーか、微細パールが入ったタイプです。

パフでバフバフと叩くのではなく、小さめのブラシに少量のパウダーを含ませ、ふわっとヴェールをかけるようにのせます。これにより、コンシーラーを固定しつつ、光の反射効果を持続させることができます。

午後のお直しは保湿から始める

夕方、目の下がグレーにくすんできたと感じたら、いきなりコンシーラーを重ねるのは避けましょう。乾燥して固まった層の上に重ねても、さらに汚く崩れるだけです。

まずは乳液を含ませた綿棒や、スティック状の美容液を使って、ヨレた部分を優しく拭き取りつつ保湿をします。土台をリセットしてから筆ペンタイプの明るいリキッドコンシーラーを薄くのせ、指で馴染ませます。

この「リセット&保湿」の工程を挟むだけで、朝のメイクしたてのようなフレッシュさが蘇ります。

仕上げパウダーの種類別比較

パウダー種類仕上がりの特徴黒クマへの適性
パール入りルースツヤが出て光で飛ばす非常に高い
クリア(無色)自然で厚塗り感がない高い
高カバーマット陶器肌になるが乾燥しやすいやや低い(量に注意)

よくある質問

コンシーラーを使ってもたるみの段差自体は消えませんか?

メイクアップはあくまで視覚的な錯覚を利用するものですので、物理的な皮膚のたるみや脂肪の膨らみ自体を平らにすることはできません。

しかし、影になっている暗い部分を明るくし、光の反射を利用することで、段差を目立たなくさせる効果は非常に大きいです。正面から見たときの印象を劇的に変えることは十分に可能です。

コンシーラーとファンデーションはどちらが先ですか?

使用するファンデーションの種類によって順番が異なります。

リキッドやクリームファンデーションの場合は、ファンデーションの「後」にコンシーラーを使います。パウダーファンデーションの場合は、ファンデーションの「前」にコンシーラーを仕込みます。

基本的には「液状・練り状のもの」から「粉状のもの」へという順番を守ることで、ヨレを防ぐことができます。

パール入りのアイテムはシワを目立たせませんか?

粒子の粗いラメや、メタリックすぎる質感のものは、確かにシワの溝に入り込んで目立たせてしまうことがあります。

しかし、粒子が細かく上品な「微細パール」であれば、光を乱反射(ソフトフォーカス)させて、逆にシワや毛穴のアラをぼかして見せる効果があります。

手の甲で試して、ギラギラせず濡れたようなツヤが出るものを選びましょう。

オレンジのコンシーラーを持っていないのですが代用できますか?

緊急の場合、お手持ちのオレンジ系やコーラル系のリップスティック、またはクリームチークを薄く仕込むことで代用できることがあります。

ただし、目元専用に作られていないアイテムは油分が多く崩れやすかったり、色素沈着の原因になったりする可能性もあるため、あくまで一時的な裏技として考え、目元専用のコンシーラーを用意することをおすすめします。

男性でもこのメイクテクニックは使えますか?

もちろんです。最近では男性向けのコンシーラーも多く販売されています。

男性の場合、ファンデーションを全顔に塗ることに抵抗がある方も多いですが、黒クマ部分だけにコンシーラーを使い、周囲を指でしっかりぼかせば、メイクしていることはほとんどバレません。

清潔感や若々しさを出すために非常に有効な手段です。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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